北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和四年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.12.24-2022.12.31)

2022-12-23 20:00:34 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末は行事ではないですが舞鶴基地が海軍記念館の一般公開を行う程度です。

 上皇誕生日、平成時代には祭日という一日でしたが令和時代には平日となりましたこの年末には、さすがに今週末の自衛隊関連行事は行われません。しかし来年には第1空挺団降下訓練始めが、昨年には中止されましたが今年は実施されるという。この空挺団降下訓練始めには久々に第82空挺師団がアメリカより参加するとともにイギリス陸軍も初降下する。

 空挺初降下というのは年初めの初降下という意味合いでしたが、イギリス第16空中機動旅団より空挺兵が落下傘降下により参加し、オーストラリア軍も参加するという文字通りの初降下となります。来年の話をしますと鬼が笑うといいますが、鬼神の様な戦いを繰り広げた旧軍落下傘部隊の精神を受け継ぐ自衛隊空挺部隊、今から楽しみと思うところです。

 自衛隊行事、しかし、単に見ているだけでは、とも思うのですね。閲兵式という行事は本来、国家元首に対して国軍の即応体制を示す国家行事です。師団祭や旅団祭に駐屯地祭には国家元首といいますか、行政府の長は観閲しませんが、国民主権の現行憲法では国民に示す、という意味で重要な意味があると思うのです。見ると見られる、この関係は重い。

 ドイツ軍、自走榴弾砲がほとんど機能していないようです。連邦軍は牽引砲を全廃していますので、107両のPzH-2000自走榴弾砲がドイツ連邦共和国が保有するすべての火砲ということになるのですが、稼働数は半数であり、更にその半分程度が整備中であり即応火砲は少なく、その中で即応火砲をウクライナへ供与した為に、真剣に動く火砲が無いという。

 NATOリトアニア戦闘団、NATOが精鋭を出しあい即応大隊戦闘群を編成しているものの一つなのですが、ドイツ軍は18門のPzH-2000を派遣する担当なのですけれど、動く火砲が皆無ということで、派遣させる事が出来なかった。ちょっと日本では信じられない事ではありますが、五年ほど前に指摘されていた状況を考えますと、ありうることだなあ、と。

 自衛隊の場合は、定期的に行事が行われますので、全部ではないにしても一定の数の装備は稼働している事が観ていて分かる事です、もちろん世界中の自衛隊以外の各国軍も記念行事は開いているのですが、フィンランド軍で例えば演習完了とともに民有地付近での演習に協力してくれたことに感謝する市街パレードなどはあるのですが、これは例外的です。

 記念行事、これは一つの要素であり、師団訓練検閲など幾つもの過程はあるのでしょうが、行事が行われていて、数千数万の観衆が集まる、広い関心が有る、という事はみられる側にも、格好好いところを見せようという、日本的ではあるかもしれませんが意識に繋がるでしょうし、そういう点で行事は、広報というものは双方にとり意味がある事だと思う。

 共食い整備機の配置区画の展示、さてこの見られているという意味ですが、某基地や某航空基地の一般公開において、共食い整備中の機体が一般の方に見える位置に並べられていたという事例があったようです、比較的新しい機種を含めて。これは、整備予算も維持予算もたりていないという、悲鳴のような現場の声を一般公開に託したという印象もある。

 2020年と2021年、2022年の前半と自衛隊関連行事はCOVID-19の影響を大きく家真下、しかし2022年半ばから本格的に行事が再開し、2023年には期待がもたれるところです。税金を投じて広報行事を行っている、これは理解する事も大切ですが見る立場という、こうした視点も必要なのかもしれませんね。それでは来年の週末行事紹介をお待ちください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・行事予定:特になし 

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-錦小路,上皇陛下のお誕生日は昭和平成世代にとり心の祝日

2022-12-23 18:22:04 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 令和時代、みなさんにとってこの本日12月23日というのはどういった一日なのでしょうか。

 上皇陛下誕生日を祝して、今夜は秘蔵のワインでも栓を抜こうか、こう思うところです。ホワイトクリスマスという気象条件が揃うところですが、ホワイトテンチョウセツというものはなかなか聞きません、しかし雪景色、ちょっと期待してみたいところではあります。

 サイドワインダーでちょっと一杯、と思いましたが覚え違いでこれはレッドアイというビアカクテル。軽い一杯というところの、夕方にちょっとだけ一杯やりまして雰囲気を愉しむ、風情を嗜むには丁度良い、紅玉が投下に透きとおる、なんといいますか色合いです。

 mumurik、このお店は新京極から直ぐ近くの、いや錦小路の狭い商店街を進みまして麩屋町通りを、100mくらいか90mか、上がりますとその右手、街中に洋風東屋のような入口のお店がありまして、カウンター中心で小さなテーブルのある、愉しげなイタリアンだ。

 マスカルポーネチーズのトマトソース、歯応え噛みごたえで個性が有ります平打ちパスタに滋味の富んだチーズと酸味の新鮮なトマトソースを絡めましたひと品でして、肴というよりも小腹を満たすという点で、アンティパストとか難しい事を考えずに注文しました。

 上皇陛下誕生日、昭和末期世代とか平成初期世代の方には12月23日は祝日、という、これは価値観といえるほどの認識があるのではないでしょうか、年末が近く師走の忙しさに祭日を挟むのは仕事では大変な事なのですが、ちょっと一休みできる重要な一日とおもう。

 日本人働き過ぎ、といいますとILOの各国労働時間の比較を示されるのでしょうが、通勤時間と始業前会合にサービス残業時間、労働拘束時間全体で見ても同じことが言えるのでしょうか、ふとそんな事も思うのですね。上皇陛下誕生日、祭日の頃、と思い返すのです。

 混雑している印象があるのですが、一杯だけでも気分でと早めに入りますとお客はテーブルに一組のみ、予約でいっぱいの時も一杯だけ短時間で、という条件だと座れたりもしますので、気分転換にバルな居心地を探す時など、早めならば柔軟に対応してくれましたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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パトリアAMVは82式指揮通信車の後継となり得るか?96式装輪装甲車よりも老朽化進む不可欠の装備

2022-12-23 07:00:41 | 先端軍事テクノロジー
■指揮通信車232両の後継
 フィンランド製のパトリアAMV装甲車はAMVが装甲多目的車両の略称である為に様々な用途が期待される車両です。

 陸上自衛隊の次期装甲車にパトリアAMV装甲車が選定されました。96式装輪装甲車の後継として、今後は即応機動連隊へ配備されてゆく事となります、なにしろ即応機動連隊へ既存の総合近代化師団や総合近代化旅団から96式装輪装甲車を掻き集めた為、全国の装甲車配備は大変な混乱となっており、来年度29両を取得する計画ですが、加速の必要がある。

 96式装輪装甲車の後継車両は決まった、そして今後自衛隊はもう一つの装甲車両について考えなければなりません、それは96式装輪装甲車よりも古い車両ですが後継車両の見通しがついていない、82式指揮通信車の後継車両です。実際、不意教導団などは82式指揮通信車の老朽化から2010年代後半より96式装輪装甲車を転用する程、深刻な問題なのです。

 82式指揮通信車、小松製作所が232両もの多数を配備しましたので、後継車両についても相応の数が必要となります。具体的には当初、特科中隊本部車両として開発されましたが、普通科部隊や高射特科部隊に偵察隊などにも幅広く配備されていますので、特科部隊が1980年代よりは縮小しているものの、その後継車両の需要は、まだ数多い状況なのです。

 パトリアAMVを充てられるのか、結論から示しますとパトリアAMVは車体が大きい事から12名の人員を収容できるため、指揮通信車として転用できます。ただ、2023年度防衛予算概算要求を見ますとパトリアAMVは29両が232億円、つまり1両あたり8億円が要求されています、これは89式装甲戦闘車を超える高い取得費用という点が、課題という。

 NBC偵察車、小松製作所の車体が転用される可能性はないのか。もともと小松製作所は防衛省に採用されなかった装輪装甲車(改)を1両当たり1億7000万円で量産する計画でしたので、パトリアAMVは4.7倍もの高価な装甲車両となります。もともとNBC偵察車の前型である化学防護車は82式指揮通信車の派生型でしたので、転用の余地は充分あります。

 防衛予算は2000年代に入りほぼ20年間、ミサイル防衛という巨大事業を既存の防衛予算の枠内で行う事が求められ、練習機や観測ヘリコプターに掃海艇と救難機、多用途ヘリコプター等など、様々な装備の代替装備調達が棚上げされてきました。この皺寄せが非常に厳しい段階にまで来ているのですが、そろそろ防衛力を再建しなければならない時代です。

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航空宇宙自衛隊の宇宙戦争能力【4】防衛費GDP2%増税と反撃能力保有にも関わる宇宙問題と防空自衛隊問題

2022-12-22 20:00:20 | 国際・政治
■金額のみ議論の現状
 航空宇宙自衛隊へ改称するよりも防空自衛隊と云う現状をせめて航空自衛隊という名に恥じない水準まで転換する必要がある。

 反撃能力などは本来不要、航空打撃の本来任務だ。今回防衛三文書として政府は陸上自衛隊と海上自衛隊に射程2000km前後のミサイル、国産ミサイルとトマホークミサイルを配備し、日本本土へ弾道ミサイル攻撃や核攻撃の着手が行われた場合には、反撃し破壊する能力の確保が進められることとなりました、先ず当面五年間で2兆の予算と投じるという。

 しかし、航空打撃は航空自衛隊の所管であり、本来であれば反撃能力というのではなく、航空打撃戦の一環として航空攻撃を行えば、わざわざ新しい能力を構築する必要はありません、もちろん護衛艦にトマホークが搭載されても、それほど困ることはないのですが、航空自衛隊が現在の防空自衛隊から脱却していれば新装備調達に2兆円も必要ないのです。

 制空戦闘、ここで忘れられているのはF-15戦闘機は制空戦闘機であり、単なる防空戦闘機ではないということ、そして制空戦闘機というのはアメリカ空軍のドクトリンとして、敵国上空に展開し迎撃にあがる敵戦闘機をすべて撃破し制空権を掌握する、という戦闘機です。航空自衛隊ではこのための戦闘行動半径の大きさが有利とし採用の背景となりました。

 F-100のような爆撃機は不要だ。自衛隊の防空自衛隊志向という組織はもともと岸内閣時代に当時の主力であったF-86昼間戦闘機、全天候レーダーを有さないために昼間しか飛行できない故にこう呼ばれていた、この後継を選定する際にF-100戦闘機が提案されたさい、この機体は戦闘爆撃機としても使用できる点に、我が国に爆撃機は不要と一蹴したため。

 F-104戦闘機という純然たる迎撃戦闘機が採用されることとなりましたのが当時の次期戦闘機選定となっていますが、こののちに対地攻撃能力は周辺国に脅威を与えるという点から社会党などの要求もあり一種の禁忌となり、続いて導入されたF-4EJ戦闘機も、わざわざオプションで改造し照準装置を取り外す追加費用をくんだほどです。今とは全く違う。

 核戦争の時代なので気にする必要はなかった、当時の防衛政策において、日本有事として想定されていたおは米ソ核戦争の波及でした、74式戦車や73式装甲車などがNBC防護能力で90式戦車よりも高い水準、90式戦車は乗員が防護服を着用し車内は汚染物質が入る設計ですが、74式戦車は気密室構造を採用、その背景は核兵器使用が前提であった為でした。

 短期間で戦争は終わる、核戦争は短期間で終わると考えられたために、護衛艦などは小型のもので充分と考えられていましたし、航空自衛隊の任務は日本に飛来する爆撃機による核攻撃から防衛するという想定、だからこそ防空自衛隊のような能力で充分だと考えられていたのですが、当たり前ですが現代の戦争は核兵器使用前提は無く、実例もありません。

 しかし、これも1970年代後半には米ソ全面戦争という概念そのものを念頭としたドクトリンよりも、段階的に拡大する戦争への抑止や限定戦争という核兵器を前提としない戦いに転換しています、だからこそ自衛隊はこの頃にF-1支援戦闘機などを1970年代後半に導入しているのですが、基本的に防空、当時は敵基地攻撃能力など憲法違反という認識です。

 支援戦闘機、実は対艦攻撃ならばF-86戦闘機をF-4戦闘機の配備開始に併せ余剰となった機体を戦闘機から支援戦闘機に変更し反跳爆撃という、なかなか古めかしい方法で対艦攻撃訓練を実施していた時代まで遡る事は出来るのですけれども、世界が戦闘機と攻撃機に分かれていた時代から多用途戦闘機の時代に移行する最中にも、日本の動きが低調でした。

 F-15戦闘機、近代化改修には驚くべきことに試作改修で一機当たりF-2戦闘機新造分に匹敵する費用を投じています、いや、量産改修が始れば一機当たりの費用も下がるのかもしれませんが、自衛隊でF-15の配備が開始されたのが1981年、近代化改修で延命したとしても、わたしよりも年上の戦闘機が2040年代2050年代まで延々使えるのか、ともおもう。

 次期戦闘機としてF-35戦闘機の配備を進めている最中ですが、例えば既存の、延命しても抜本的な運用期間の延長が望めない機体について、三菱重工においてF/A-18E戦闘攻撃機かF-15FX戦闘爆撃機のような機体を導入により早期に置換えるという選択肢も必要でしょう、そして何より、対地攻撃や低空侵攻訓練を抜本的に増やす必要があるのではないか。

 防衛費の増額という方向で増税の話ばかりが進んでいますが、“宇宙作戦能力の強化”と“反撃能力の整備”は多くの防衛費を必要とする新事業です。しかし、それ以上に今ある装備を有効活用するという試みや、防衛力の効率運用と云う部分に話が踏み込まれていません、これはいままで政治も国民も防衛力の中身に踏み込まなかった結果なのですが、そろそろ改める時が来ているよう思うのです。

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プーマ装甲戦闘車全滅!ドイツ軍NATOリトアニア戦闘団派遣車両全車故障で稼働せず,ランブレヒト国防相激怒

2022-12-22 07:00:32 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-NATO即応部隊
 防衛省が調達するパトリアAMVの費用を見ますと89式装甲戦闘車よりも高いのではないかと危惧するところですが、ドイツから装甲戦闘車の残念な話題が入りました。

 NATOリトアニア戦闘団、NATO加盟国から選び抜かれた精鋭部隊が一つの戦闘団を編成し、万一の状況に備えて即応体制に置くというNATOが複数編成している戦闘団の一つが、編成完結を経て、その総合演習を実施しました。これはドイツ連邦軍公式SNSにおいて写真が発表され、良い画角だとかもう少し引けばよかったのに、と思いつつ眺めていました。

 プーマ装甲戦闘車、不思議に思いましたのはドイツ連邦軍公式SNSに発表される写真で日を追うごとに最新鋭のプーマ装甲戦闘車の写真が減り、1960年代のマルダー装甲戦闘車の写真が増えてゆく、当初これはわたしが74式戦車の写真を選りすぐって撮るように、撮影者の懐古趣味なのだろうかと思ったのですが、演習とともにドイツ国防相の怒りの声明が。

 ランブレヒト国防大臣は、NATOリトアニア戦闘団へ派遣されたプーマ装甲戦闘車18両全てが演習中に故障し動かなくなったという、数週間以内に是正できなければ退役させる、という厳しい声でした。プーマ装甲戦闘車は、装甲戦闘車が30t前後の時代に全備重量45tもの重装甲を誇り、新時代のドイツ連邦軍を背負うと期待され2004年に完成しています。

 重装甲戦闘車、と当方は一時期区分していたほどですが、問題はドイツ軍のアフガニスタン派遣が始まると、汎用性の高いボクサー装輪装甲車が重視され、量産開始が2010年までずれ込みます、ただ、2014年までは年間数両という寂しい規模でした、どこかの89式装甲戦闘車を思い出す。ただ、連邦軍建て直しへ2015年から大量生産へ移行してゆきました。

 邦貨換算1両12億円の装甲戦闘車です。350両を生産し、最終的に410両を調達する計画でしたが、とにかく不具合が多い装甲車として知られ、無人砲塔を搭載したものの頻繁に再移動を必要とする、設計が2004年と古い為に自衛隊の広帯域無線機に当るデータリンク装置を搭載していない、エンジンの排気制御装置の不具合など、伝えられていたものです。

 5億0100万ユーロを投じて、ドイツ連邦軍は昨年6月末に初期型の154両を不具合対応することとしています。1両あたり325万ユーロもの費用を投じて改修するのですが、今回不具合が発生したものは改修済みの車両ということで、製造から十年前後の装備としては、一寸お粗末、というところです。連邦軍は8億2000万ユーロの追加改修を計画している。

 冷戦時代のドイツ連邦軍は洗練された装甲師団と装甲擲弾兵師団に勇気で挑む降下猟兵旅団と、理想的な編成の軍隊に、傑出していないが優秀な装備の高い稼働率と最高の戦術研究や指揮官に支えられた編成の軍隊でした。しかし、冷戦後は一気に脅威がなくなる平和の配当を前に、雑多な旅団の寄せ集め、再編成し僅か2個となった装甲師団、となった。

 日本の自衛隊は、ここまで酷いものではありませんが、可動する火砲は数十門とか、動く潜水艦が無いとか、戦闘機は即応機5機だが衝突事故を起こした為に3機、などなど厳しい話が聞こえました。ある程度は再構築された、とは聞いていたのですが、今回最新鋭のプーマ装甲戦闘車の概況を伝え聞きますと、一旦崩れたものの再建の難しさを、痛感する。

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【京都幕間旅情】仁和寺,江戸時代に再興成った金堂と五重塔とを巡る冬の気まぐれな太陽は極彩色紅葉の瞬間

2022-12-21 20:22:59 | 写真
■椛いまいちばん輝くとき
 仁和寺を拝観する際に紅葉の季節となりますと風景というものも歴史と並ぶほどに一つの関心事と思う。

 仁和寺の伽藍は江戸時代に徳川家光の支援により応仁の乱から漸く再興されたものなのですが、二条城に天皇の行幸を仰いだ徳川家光の京都上洛は江戸時代という徳川幕府治世安定を象徴させる一大事業であり、この際に決定された寺院の再興には大きな意味がある。

 二王門は重要文化財に指定されていまして、これこそ寛永18年こと西暦1641年から正保2年の西暦1645年にかけ再建された、徳川家光の京都上洛と云う国家事業そのものを示す、そんな雄大さが有ります、鐘楼に経蔵と御影堂中門など再建されたのもこのころという。

 金堂は国宝に指定されていますが、建物底の持は更に古く慶長18年こと江戸時代初期の西暦1613年に造営された京都御所正殿の紫宸殿を一宇したものです、つまり江戸時代初期の宮廷建築が、多少仏教建築としているとはいえ、移築した事で現存しているのですね。

 五重塔も重要文化財に指定されていますが、こちらは寛永21年こと西暦1644年にそのまま新しく再建されたもので、高さは36.18mといいますから、ウルトラマンなみの高さ、となります。歴史を巡っている、まさにこの感覚に尽きると共に、その情景を写真に収める。

 紅葉と京都の写真は一瞬で決まります、いやこの一瞬というのは比喩でも何でもなく五分で、いや下手をしますと数十秒で変わってしまう。これはへんな話かもしれませんが、山頂ご来光、この感覚に近い、一瞬光が射したかと思うと十秒後には、というあれですね。

 桜の写真とは根本から違う何かがある、桜は春を告げる、つまりこれまでの冬を乗り越えた木々の芽生えという、なにもないところに活気が戻ってくる爛漫という表現があてはまるような、つまりこれから勢いを増すという一年の風景の序章のようなもの、対して。

 爛漫という単語は春には用いますが秋の紅葉には用いない、それはこれから冬に向かい、最後の鮮やかな風景を示すためです、そしてこれが太陽とどういう関係があるかと思われるかもしれませんが、春は桜の花々以外に太陽の光を遮るものはないものの、秋には。

 錦秋という単語が用いられますが、秋は太陽光線を遮蔽するものが多い、これが紅葉の写真を左右してしまう、ということです。そして秋というのは太陽の傾きが急に変化する、いやだから冬が近づいているという逆因果関係なのですが、これが紅葉の写真にひびく。

 逆光のほうが撮影にはよい影響を及ぼす、なにか黒澤映画のような発言かもしれませんが、戦車や戦闘機ですと逆光は背景を白黒の陰にのみ押し込んでしまいます、しかし、紅葉は透けるのですね、太陽光で透けるのです、すると見上げ逆光の方が鮮やかさは際だつ。

 椛は、そして桜の花々よりも一つ一つが大きい、葉と花弁の違いですけれども、真上からの逆光よりも、真横から透ける構図の方が際だつという。つまり斜め横から太陽光が差し込む構図の方が紅色朱色真紅深紅が目立つ、その斜めの瞬間は、早朝か午後少しのち。

 午後か午前か、というのはもう立地で全部違うとしか言いようがありません、しかし晴れていればその瞬間は訪れるものでして、訪れた太陽の角度の一瞬を逃さないようにしませんと、撮ることが難しい。そんなところですが、一瞬を撮影できますと、感動はひとしお。

 信仰と云うものの在り方と風景は関係ない、こう思われるかもしれませんが、寺院の風景はその哲学の現れているところであり、この当たりが日本の寺院の不思議なところでもあるのですよね。色々と思い浮かべる事もあるのですが、帰路に就きこの写真を見ています。

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【京都幕間旅情】仁和寺,中世から近世と云う信仰の時代と現代は正面から向き合わなければならない摩擦が有る

2022-12-21 20:00:40 | 写真
■千年を超える寺院とともに
 仁和寺の紅葉はもう落葉の季節を過ぎています故に懐古の写真ともなるのですが。

 衣笠山を借景としまして広がります仁和寺、この周囲には金閣寺こと鹿苑寺に等持院、妙心寺と数多塔頭寺院、龍安寺も等持院もその一つなのですが、京都だ、という情景はこう仏教文化と共に広がり、少し進めば北野天満宮と平野神社、信仰の時代を今に伝える。

 信仰、近年は難しい時代を迎えているように思います。これは仁和寺の話ではないのですが、全国に昭和時代に数多くたてられた巨大な観音像、こういうのも堂宇に収まる大きさではなく、淡路島の遂に解体されました観音像の様な、大きなものが全国で壊されている。

 仁和寺ひとつとりまして、この壮大な伽藍を維持する事は簡単ではありません、実際応仁の乱により荒廃した際には江戸時代まで本格的な復興に着手する事さえ出来なかったのですね。御室御所という寺院でもこうなのですから、昭和の時代のものとなれば、とおもう。

 観音像、昭和時代に創建したものの多くは、平和への願いというようなものはありましても、確たる歴史に依拠した寺院でない限り檀家と拝観者だけで担えるものではありません、そして昭和時代の高度経済成長の時代こそ、そういった新興という寺院が目立つようにも。

 維持というところまで考えたのか、そういう以前に高度経済成長と共に一代限りの寺院といいますか、それ程さきを考えずにつくったおおもの、的な信仰の寄る辺という施設や堂などは大変な事になるだろうなあ、特に少子化が進むこれからは特に、と思うのです。

 巨大観音像、これを一例に出したものですが、あまりに侵攻と云うものを俗物化しているところは無いか、こうも思うのです。いや仁和寺の情景とともに思い浮かべますと、仁和寺の場合は高級宿坊松林庵の一例が有りますので、信仰とは何か、と原則論となりますが。

 新興宗教と政治の接近は、2022年に安倍元総理大臣暗殺事件を契機に巨大な問題として認識されましたが、短期間で巨大な伽藍を造営する事は現実的な寄進だけでは無理なものがあり、しかし彼らはかつての先人が千年を超えて造営した様な先を視れないのでしょうか。

 庵は小さくとも千年後まで通じる、今風にいうならば持続可能な信仰に依拠しているならば、もちろん当人たちは見る事は出来ないのかもしれませんが、千年後までの持続を考える信仰の在り方を模索しないところは、いずれ破たんしてゆくのだろう、とおもうのだ。

 信仰の時代と現代、難しいのは中世の社会保障システムと云うものが確立する以前と云いますか、概念さえ存在しない中での一種の再分配システムの末端を担った寺院の在り方と、いまの近代憲法制定を経て人権が確立した後の現代とはその条件が根本から異なります。

 摩擦という問題があるのですから、もっと正面から向き合わなければならないのですが、しかし内心の自由が保障されているからこそ、もっと歴史、これは政治思想史や宗教史に人権や憲法制定権力という、踏み込んだ歴史まで、関心を持たなければ、ともおもうのだ。

 旧御室御所という名称とともに、格式の高い寺院となっていますが、見た目の華美さといいますか、鹿苑寺の金閣と比べられてしまうのはちょっとなあ、と思いつつ、しかし堂宇は大き過ぎないものの御所の名を冠せられているということになにかこう納得してしまう。

 歴史により培われたもの、千年を超える歴史により培われた蓄積が成し遂げたものですので、この巨大堂宇と自分の小ささを見比べて伽藍だけ巨大さを模した、こうした寺院が無理を重ねている様子を報道で接しますと、もっと長い視点が必要だなあ、ふと思うのです。

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ゼロコロナ政策撤回の中国で新型コロナ感染爆発-死者200万の懸念,日本はワクチン外交を検討すべき

2022-12-21 07:01:01 | 国際・政治
COVID-22出現を回避せよ
 2020年の武漢市内における混乱は僅か2ヶ月で世界を覆う大参事となりましたがその後ワクチンにより沈静化した、そう考えられた矢先の中国での大規模感染爆発です。

 mRNAワクチンの中国への緊急供与を行うべきではないのか、勿論日本の備蓄などは限られており国内でも高齢者への第五回接種に右往左往している段階であり、全く余裕などは無いのですが、ゼロコロナ政策の急激な転換を実施した中国では、一ヶ月前では考えられないような感染爆発が発生しており、非常に深刻な状況が現実となっているのです。

 200万の人命が今後数カ月間で失われる可能性がある、ロイター通信は一部の専門家の分析としながら、今後数カ月間で人口の60%が感染するとの悲観的な分析のもと、致死率が低いとされるオミクロン株であっても200万名死亡という懸念すべき数字を示しました。アルファ株の致死率2%に比べればオミクロン株は致死率が低いとはいえ、感染力はたかい。

 PCR検査体制に注力し過ぎ地方都市のICU集中治療施設整備などを怠っていた、中国はPCR検査費用が国防費を越えており、感染者を見つけ次第地域封鎖を繰り返してきましたが、19日付中国環球時報によれば都市部を中心に今の時点で治療施設を拡充している段階といい、各国で有効性の高さが確認されたmRNAワクチンは中国で接種されていません。

 不活性化ワクチン、中国ではシノバックや中国国家医療集団シノファームなど幾つかの企業が国産ワクチンの開発に成功していますが、ウィルスそのもののに不活性処理を行い免疫力を付与する事を目的とした不活性化ワクチンであり、mRNAワクチン程効力がないのです、また二回目の追加接種完了者は成人で57.9%、高齢者の接種率は42.3%と更に低い。

 200万という数字には驚かされるのですが、mRNAワクチン認可について、日本政府は中国政府に対して呼びかけ必要ならば電話首脳会談を行う必要はないのか。これは人道問題であるとともに中国の製造業サプライチェーンへの世界規模の影響とともに短期間でここまで多数が感染するとヒトとヒトとの感染連鎖によりCOVID-22というべき次の変異株が生まれかねない。

 台湾へ我が国は過去にアストラゼネカ製COVID-19ワクチンを緊急供与した事例がありました、アストラゼネカ製ワクチンは不活性化ワクチンではありますが中国がミャンマーやインドネシアへワクチン外交として供与したシノバックワクチンよりはワクチン効力の高さが臨床試験で証明されています。今一度、日の丸ワクチン外交を検討すべきでと考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】EBRCジャガー装甲偵察車とL-85A3小銃,CLRV指揮連絡偵察車に将来火砲用ラムジェット砲弾

2022-12-20 20:22:47 | インポート
週報:世界の防衛,最新12論点
 防衛装備の日本における行進は中々ゆったりとした速度ではあるのですが各国の趨勢を見極めて調達を進めねばなりません。

 フランス陸軍第1外人騎兵連隊はEBRCジャガー装甲偵察車とAMX-10RC装甲偵察車の複合運用を開始した。第1外人騎兵連隊は第6軽装甲旅団隷下の軽戦車部隊であり、本部管理中隊と装甲偵察中隊など7個中隊を基幹としている。ジャガー装甲偵察車は40mmCTA機関砲を搭載した六輪式装輪装甲車でVBMRグリフォン装甲車と車体が共通だ。

 EBRCジャガー装甲偵察車はERC-90空挺機動砲やAMX-10RC装甲偵察車の後継と位置づけられている。ただ、第1外人騎兵連隊はAMX-10RCの5個中隊を基幹としていた、AMX-10RCは105mm低圧砲を搭載しており軽戦車的な運用にも充当、後継のEBRCジャガー装甲偵察車は機関砲を搭載し火力に不安が在り、部隊は混成運用で対応を試みている。
■L-85A3小銃試験
 L-85A3小銃試験ということで評判はべつとしましてL-85の改良はまだまだ続きます。

 イギリス国防科学技術研究所DSTLはL-85A3小銃試験を進めていますこれはSA-80/L85A2小銃との比較試験も兼ねており、同時に将来歩兵用個人装具として開発進むSWEATとの適合性なども試験、具体的には射撃精度と歩兵移動速度や俊敏性と機動性等に関する比較試験を6名の歩兵により実施、1987年から運用の続くL-85の改良を継続する。

 L-85A3小銃試験はイギリスのソールズベリー平原において実施されていて、25mから最長400mまでの標的へ14か所の射撃地点から36の障害物を越えて試験を実施している。L-85A3小銃そのものは2018年に試作銃が完成し2025年から部隊配備を目指す。この評価試験はSTO北大西洋条約機構科学技術機構のSAS-145研究として進められています。

 L-85小銃は外見が先進的なブルパップ式小銃として開発、イギリスは1951年にエンフィールド造兵廠がEM-2小銃というブルパップ式小銃を試作していますが、NATO弾としてアメリカが制式化した7.62mm弾を用いるには小さすぎ量産を見送っている。1987年に制式化されたL-85は先進的外見であるが装填不良と排莢不良に悩まされ、改良が続いている。
■スキャンイーグル無人機
 スキャンイーグル無人偵察機を駆使するならば観測ヘリコプターの代替に位はなるのでしょう。

 アメリカ軍はウクライナ軍へ提供したスキャンイーグル無人偵察機により新時代の対砲兵戦を展開しています。これは8月19日に発表された7億7500万ドルのウクライナ軍事援助にスキャンイーグル無人機や105mm榴弾砲及び105mm砲弾1000発等が含まれていた事と関連、既に運用されている15機のスキャンイーグル無人機を補完する事となります。

 対砲兵戦は対砲レーダーなどによる標定が従来用いられてきましたが、スキャンイーグル無人機を多数滞空させ砲兵部隊や砲弾集積所などをコンピュータなどを駆使し標定する手法が用いられているとの事で、大火力を誇るロシア軍に対して、逆に活発過ぎる砲兵部隊の動静から火砲や弾薬の位置を標定するというもの、無人機を観測から索敵に転用した。
■CLRV指揮連絡偵察車
 小国なりに防衛努力という。

 ルクセンブルク軍はCLRV指揮連絡偵察車80両を取得します。これはルクセンブルクのフランソワバウシュ国防相が9月15日に明らかにしたもので、現在ルクセンブルク軍が装備しているハンヴィー高機動車の後継に位置付けられています、M-1114装甲ハンヴィーは比較的高い防御力を有しますが、現代戦場において第一線装甲車としては限界があります。

 CLRV指揮連絡偵察車の車種は今後選定されるものとなっていますが、車体の電子通信装備等はフランスのスコーピオン計画において開発された装甲車用の器材が搭載されるほか、ルクセンブルク軍が選定したRWS遠隔操作銃搭を搭載するといい、また基本的に耐爆車両ほど不整地突破能力は低くないが四輪駆動方式の装甲車両を想定しているとのことです。
■レオパルド2A4バーター
 バーター供与という一種の迂回供与方式が欧州で盛ん。

 ドイツ政府はスロバキアへ中古レオパルド2A4戦車15両を無償譲渡します、これはロシア軍のウクライナ侵攻に際しウクライナ軍はNATO各国へウクライナ軍と運用共通性のある旧ソ連製主力戦車の提供を要請しており、これに対してスロバキア政府は戦車を供与、この際にスロバキア軍の戦車を補填する為にドイツ政府が供与を約束していたものという。

 レオパルド2A4戦車は基本設計型のレオパルド2でありA5型以降は特徴的な楔形装甲を採用しています。スロバキア政府はドイツ政府と8月23日に提供協定を結びましたが今後もウクライナ支援を継続する方針でBVP-1装甲戦闘車30両をウクライナへ提供する方針です。なお、レオパルド2A4戦車は2022年後半にも予備部品等と共に到着する予定です。
■ラムジェット砲弾試験
 ラムジェット砲弾試験というのは単純に言えば砲弾をとおくまで飛ばすためにエンジンを仕込むということ。

 アメリカ陸軍の将来火砲用ラムジェット砲弾試験が6月28日にノルウェーのアンドン兵器試験場において実施されました。開発にはノルウェーの弾薬企業ナムモも参加、ラムジェット砲弾は砲弾の先端部から空気を吸入しラムジェット燃焼機構を通じて後部から噴出、従来のRAPロケット補助推進弾よりも加速させることで長射程を実現させるこが狙い。

 ラムジェット砲弾は39口径砲とアメリカ陸軍はXM-1155計画として進める58口径155mm榴弾砲から投射されるものです。野砲では従来の常識で、射程を延伸させるには初速を高めれば良いのですが、これは同時に猛烈な腔圧が砲身を痛めライフリングと寿命を削る点が難点です、しかし、発射後に加速する方式ならば砲身を痛める心配はありません。

 ラムジェットは構造が単純ではあるのですが、これはエンジンとしての構造であり火砲から射撃される際の強烈なG加圧に対応させる技術の確認も試験の目的でした。ラムジェット推進装置の開発にはノースロップグラマン社やレイセオンテクノロジーズ社などが参加しているとのこと。陸軍では2024年までに実用装備まで開発を進めたいとしています。
■ボクサー装甲車
 ボクサー装甲車も含めて現代の防衛装備品は導入する先の装備体系や整備体系に適合させるというのが一つの特色ですね。

 イギリス軍が導入するボクサー装甲車はエンジンをロールスロイス社が供給する、特定目的会社WFELとRBSLラインメタルBAEシステムズランド社が決定しました。ボクサー装輪装甲車はFV-432装甲車等イギリス軍が1960年代から導入した多種多様な装甲車を置換えるべく532両の調達計画が立てられ、その後の増強で632両へ上方修正されました。

 ボクサー装甲車はMTU社製MTU-8v199-TS21ディーゼルエンジンを搭載していますが、今回の決定は主要コンポーネントとライセンス生産部品をウェストサセックス州イースト グリンステッドにあるロールスロイスエンジン工場において完成させるとのこと。RBSL社ではボクサー装甲車について現地生産や現地予備部品製造の姿勢を強調しています。
■猛士182軽装甲車
 猛士GEN-III-CSK-182軽装甲車も含めて猛士シリーズの発展は凄いと率直に思うのですが懸架装置等の冗長性は大丈夫なのかとも思うのです。

 パキスタン軍は中国より猛士GEN-III-CSK-182軽装甲車を導入します。パキスタンはアメリカとの関係が良好であった時代にアメリカよりM-1114装甲ハンヴィーなどを導入していますが、過去の核実験、核実験後は9.11以降アフガニスタンでの米軍作戦がパキスタンに影響が及び、逆に911首謀者パキスタン潜伏確認などにより関係が悪化していました。

 猛士GEN-III-CSK-182軽装甲車は重量8tで乗員2名と兵員6名を輸送し、車体には機関銃などを搭載、東風汽車がアメリカのハンヴィーに影響を受け開発した高機動車輛猛士の軽装甲型で、中国人民解放軍では車体延長型や軽装甲型にウェポンキャリアや自走榴弾砲等を開発し、猛士各型により軽型合成旅団という機械化軽歩兵部隊を編成しています。
■M-108自走榴弾砲譲渡
 自衛隊で云えば75式自走榴弾砲のひとつ前の装備の世代という。

 ウルグアイ国防省はブラジルより中古のM-108自走榴弾砲譲渡を受ける事となりました。これはブラジル軍余剰兵器供与に関するブラジル下院決議を受けて実現したもので、M-108自走榴弾砲10門、そしてEE-11装甲車11両も譲渡されます。M-108は今日では珍しい105mm自走榴弾砲で、155mm自走榴弾砲の時代にあってはある意味特殊な装備でしょう。

 M-108自走榴弾砲M103榴弾砲を搭載し、これは22.5口径105mmで1962年に制式化されました。最大射程は11.5kmでRAP弾を使用した場合には15kmに延伸しますがブラジル陸軍では運用していません。南米地域では2010年代までM-4シャーマン戦車が現役で、2020年代もM-3スチュアート軽戦車が現役であるなど、旧式装備が今も現役なのです。
■M-2榴弾砲ウクライナへ
 M-2榴弾砲といいますと自衛隊ではFH-70に置換えられ射程としては120mm迫撃砲よりも若干短い。

 リトアニア国防省はウクライナ支援へ第二次世界大戦前に設計されたM-2榴弾砲を供与したと発表しました。今回供与されたのは陸上自衛隊でもM-2榴弾砲として長らく直掩火力と位置づけられた105mm榴弾砲で、当時としては先進的ですが射程は11kmに留まり、また操砲にも12名を要するという、現代の自動化された火砲と比較しますと古風なもの。

 M-2榴弾砲は設計が頑丈であり、アメリカ陸軍ではヴェトナム戦争まで北ヴェトナム軍などが多用した迫撃砲を制圧する為に重宝しています。今回リトアニアが乏しい装備の中から105mm砲を供与した背景には、最新型のヴィルカス装甲車等は供与できないが、精一杯出来る範囲でウクライナ軍をロシア軍に対抗出来る装備を供与する決意ともいえましょう。
■NH-90ヘリコプター
 NH-90ヘリコプターは非常に高価な多用途ヘリコプターなのですが機体そのものはNBC防護能力もあり航続距離なども理想的な水準の装備です。

 ニュージーランド国防省はNH-90ヘリコプターの長期エンジン契約をサフラン社との間で締結しました。NH-90は欧州共通ヘリコプターをめざし開発されたもので、この契約では予備を含むRTM-332エンジン21基の定期整備及びオーバーホールが契約に含まれます。契約はオーストラリアにあるサフランヘリコプターズオーストラリアで結ばれました。

 NH-90ヘリコプターは特命合弁会社であるNHインダストリアルにて生産され、ニュージーランド軍は8機を導入しました。この機体は隣国オーストラリアにも採用されていますが運用実績は芳しくなくUH-60への置き換えが始まる、サフランヘリコプターズオーストラリアは数は減るものの太平洋地域でのNH-90のエンジン整備を担う唯一の企業です。
■MUM-T用無人機
 MUM-T有人無人チームという新しいm神亀運用の模索が各国で加速しており自衛隊も乗り遅れないよう各国技術の同好と必要ならば装備導入へ動かねばなりません。

 イスラエル国防軍はMUM-T有人無人チーム用に音声管制無人機研究を進めています。この目指すところは、歩兵部隊を支援する無人機に対して現在の無人機は基本的にタブレット端末か専用操作端末により管制するか完全自律飛行を行うしか選択肢が無く、歩兵部隊と協同行動を執るには近接戦闘の特性上、敵前でタブレットを見る事は危険となります。

 MUM-T有人無人チームでは、タブレット端末を覗きこんだすぐ手前の曲がり角に敵歩兵が射撃を加えてくる可能性は当然考えねばならず、ここで音声により、前方を偵察させる、若しくは屋内の敵を視てくる、などの操作を行えるならば事情は異なります。なお現時点でも、高度を高く上げる、または前進、などの音声指示に対応する無人機は配備中です。

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F-2後継機とテンペスト!戦闘機日英伊共同開発,この国際共同開発が成功する可能性を示す幾つかの視点

2022-12-20 07:00:00 | 先端軍事テクノロジー
■戦闘機日英伊共同開発
 国際共同開発は各国軍の同床異夢と各国毎技術者人事異動があり成功しにくいとの視点はあるようですが。

 F-2戦闘機のイギリスと日本の共同開発方針、ここにイタリアが加わりまして欧州と日本の戦闘機開発という、日本の防衛用航空機開発としては過去にないあたらしい一歩を進む事となりました。従来はFSX支援戦闘機,F-2戦闘機日米共同開発、しかし完成した装備はアメリカが生産に関与するがアメリカ軍は採用しない、という方式が執られてきました。

 イギリスと共同開発で大丈夫なのか、こう思われる方が思いのほかいるようですが、幾つかの事情を踏まえてみますと、むしろ日米共同開発の方がリスクがある、という事に気付かされます。先ずイギリスですが、国防費のGDP比は2%を越えており、これ以上支出できない為に各国と共同開発を進めるという必然性があるのです、一国で開発費を出せない。

 センチネルR1地上監視航空機、アメリカは将来発展性を見込み様々な性能を盛り込む、結果高くなる。イギリスは米英共同開発によりセンチネルR1という航空機を開発しました、しかし、常識的な性能に対してアメリカは将来発展性から満足できず不採用、イギリスのみ調達する事となり運用費用が高騰、僅か14年で退役させています。この点は重要だ。

 テンペスト戦闘機、イギリスが今回の共同開発戦闘機のたたき台となる第六世代戦闘機計画を開始した際、取得性を重視する、としました。要するにF-35よりも安価にしたいという国防予算の切迫性、そして掛け声倒れになりますとイギリス自身が買えないという、ハイローミックスではなく揃えられる事こそが次世代機、と認識している点も重要でしょう。

 日米共同開発を行うにも適当な機体が無い、アメリカはF-22にF-35のセンサーを搭載した機体を提示しましたが、F-35ライセンス生産さえ認めない現状では技術移転に現実味がない、とはいえアメリカに次期戦闘機計画はF-22後継機位しか無く技術移転の目処は無い、F/A-18E後継機については着手さえされていない、アメリカに提示できる物が無いのです。

 F-2戦闘機の後継である、この点も重要です、もしF-15後継機であれば難航したでしょうが、防空自衛隊というべき制空戦闘至上主義の航空自衛隊に在って多機能戦闘機であり、航空自衛隊の任務かとの内部での議論もある対艦攻撃を担うF-2後継機ですので、元々“支援”戦闘機とされた区分、つまり性能などに譲歩余地がある、F-2開発の際の様に、ね。

 イタリアが開発に参加しましたが、こちらで興味深い点が生まれます、日本は2024年からF-35Bを導入しますが、イギリスとイタリアは導入しており、日本とイタリアはF-35Aを運用している、つまり第五世代戦闘機を切迫して導入なければならない状況にありません、そしてF-35を補完する機体を必要としている、この点で共通している点は注目に値します。

 ユーロファイター戦闘機、国際共同開発が空中分解する懸念も無いには無いのですが、イギリスとイタリアは思いのほか短かったユーロファイター戦闘機の構造寿命を前に、それほど悠長に開発を待てないという背景はあります、一方で手元にF-35が配備済みという余裕はある。この国際共同開発は、実は非常に各国の時機が良いプロジェクトとなるでしょう。

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