北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】アメリカ陸軍協会2022年度年次総会のOMFV有人戦闘車両計画とAMPV装甲多目的車両量産

2022-12-27 20:21:44 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 アメリカ陸軍協会年次総会に関する話題です。

 アメリカのアメリカンラインメタル社は10月10日から三日間にわたり行われたアメリカ陸軍協会年次総会にリンクス装甲戦闘車を展示しました。リンクス装甲戦闘車は増加装甲で50tの戦闘重量を有する恐らく世界最高度の防御力を有する装甲戦闘車であり、ドイツ連邦軍に配備されているプーマ装甲戦闘車をも上回る防御力と戦闘重量を有している。

 OMFV有人戦闘車両計画として、アメリカ陸軍は1980年代より運用されているブラッドレイ装甲戦闘車の後継車両を模索しています。開発当時は23tという戦闘重量は以前に導入されていたM-113装甲車を大幅に上回るものですが、増加装甲の装着により戦闘重量は30tを越えているものの、これ以上の防御力強化は懸架装置等の面で限界を超える事になる。

 リンクス装甲戦闘車は50mmCTA機関砲と対戦車ミサイル搭載した無人砲塔型がアメリカ陸軍へ提示されていますが、OMFV有人戦闘車両計画はアメリカンラインメタル社の他、ジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社やBAEシステムズ社とオシュコシディフェンス社など5社が参加し、2027年までに選定し2030年から量産を予定しています。

 アメリカのジェネラルダイナミクスランドシステムズGDLS社は10月10日から三日間にわたり行われたアメリカ陸軍協会年次総会においてストライカーX将来装輪装甲車の概念実証車輛を発表しました。ストライカーXはハイブリッド動力方式を採用し、静粛性と高い監視能力及び歩兵分隊へより大きな収容能力や各種端末用電力供給能力を有しています。

 ストライカー装輪装甲車は戦車旅団と軽歩兵旅団の中間を担うミディアム旅団構想として1998年に当時のエリックシンセキ陸軍参謀総長が進めた緊急展開能力に長けた機械化部隊という概念の具現化であり、新しい装備に思われるストライカー装甲車も、元々は1980年代に形作られたLAV3シリーズ、従って2020年代の装輪装甲車と比べて見劣りします。

 LAV3シリーズ、この原型となったピラーニャシリーズは既にピラーニャⅤが量産されており、二世代ほど古く特に防御力の面で近年の装輪装甲車は正面装甲が大口径機関砲に耐える等の高い水準となっています。この為、ストライカーXは動力体系を近代化するとともに防御力なども強化されており、MUM-T有人無人協同戦闘にも対応する装甲車となります。

 アメリカ陸軍はブラッドレイ装甲戦闘車後継車両に高度なAI人工知能搭載を希望しています。OMFV有人戦闘車両計画にはAI 対応のターゲティングとナビゲーションの二要素が不可欠である、とさえ発言があったのは、アメリカ陸軍協会年次総会の装甲戦闘車分科会における次世代戦闘車両開発調整部の統括官を務めるジェフリーノーマン少将の発言だ。

 AI対応のターゲティングとナビゲーション、これは主砲やミサイルなどの目標識別とともに歩兵の下車展開や脅威情報を瞬時に選別し歩兵の生存性を確保すると共に主力戦車の支援を行う、また必要だと判断するならば自動運転により回避行動や戦術機動を行うなど、装甲戦闘車に求める能力そのものが変化している事を反映させるものとなっています。

 アメリカ国防総省はAI人工知能開発へ多額の研究予算を割いており、2021会計年度では25億ドルが投じられ685の研究プロジェクトが推進中です、これは2016会計年度のAI関連研究予算の6億ドルをはるかに上回る水準であり、これらの研究プロジェクトの内232は陸軍のAI開発とされ、所謂産業分野に留まらずAI人工知能の有用性を認識しています。

 アメリカ陸軍はAMPV装甲多目的車両の量産を加速する方針とのこと。AMPV装甲多目的車両は長らく運用してきましたM-113装甲車の後継として、ブラッドレイ装甲戦闘車の車体部分を共通車輛とする多目的装甲車で、BAEシステムズ社がアメリカ国内において生産し供給しているもの。当初は年間生産数を削減する計画でしたが、逆転したかたちです。

 AMPV装甲多目的車両の量産を加速する背景には、ロシア軍のウクライナ侵攻を受けアメリカが行った多数の武器援助の中にM-113装甲車が多数含まれていた点で、少なくとも200両がウクライナへ渡され、特に錯綜地形や泥濘地における歩兵の機動用に重宝、当初は第三世代戦車に随伴できない機動力などアメリカでの低い評価を一新する働きをみせている。

 M-113装甲車のウクライナ供与による減勢を受け、しかし当初はCOVID-19新型コロナウィルス感染症による生産能力低下などを受け、AMPVの年間生産数を減らす計画であり、計画当初の年産190両の調達計画を年産131両まで下方修正されていました。この計画を当初の190両以上まで増強できないかを、アメリカ陸軍はBAE社と交渉中とのことです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台湾海峡の緊張,中間線付近中国軍演習と尖閣諸島領海侵犯に沖縄近海中国空母-同時並行の事象を全体像で考える

2022-12-27 07:00:18 | 国際・政治
■臨時情報-台湾海峡情勢
 物事は全体像で見ると印象が一新する事が多い。

 クリスマスに世界中がにぎわう頃の25日、中国人民解放軍は台湾の台湾を管区とする東部戦区部隊を中心に大規模な軍事演習を実施、26日までの24時間で、台湾海峡の中間線付近を71機の軍用機が飛び交い、うち60機が戦闘機であったとのこと。台湾海峡の緊張、少なくない可能性として演習に見せかけた奇襲の準備とも受け取れる故に緊張するのです。

 中国政府は、今回の軍事演習について、アメリカと台湾が挑発行為を行ったためといわれていますが、アメリカ軍と台湾中華民国軍の合同演習は1970年代以降実施されておらず、この挑発行為というものは昨今の中国政府による台湾武力統一に関する公言を受けてのアメリカ議会での100億ドル規模の台湾援助にかんする法整備を示していると考えられます。

 防衛省の発表では、中国海軍航空母艦が沖縄周辺海域を遊弋するとともに120回以上の艦載機発着訓練を実施していて、また同じ時期に中国公船による沖縄県尖閣諸島への72時間以上にわたる、過去にない異例の長時間にわたる領海侵犯事案が発生、ひとつひとつの事案をみますと過去の延長に見えるものですが、繋ぎますと異常な事態の全体像が浮かぶ。

 台湾海峡、この重要性については改めて示すまでもありませんが、日本と東南アジアとの多国間国際分業による製造業サプライチェーンの骨幹を担っています。ただ、日中関係についても貿易関係において切れない関係がある。他方で、貿易関係が太くとも有事というものは起こる際には起こるというのが、第一次世界大戦のころから続いている現実です。

 難しいのは、大きな損耗を受けるために相手が有事という軍事行動に出ることを躊躇、論理が抑止力として機能するという期待があったのですが、国運をかけてという優先度で国家の方針を画定する場合、ロシアのウクライナ侵攻、いたや日本が真珠湾を攻撃した際の政策決定過程をみればわかるのですが、常識を度外視して一線を越える例があるのですね。

 台湾海峡での大規模演習、またかと思う。公船の尖閣諸島領海侵犯、またかと思う。中国空母の南西諸島近海での訓練、またかと思う。こうなるのかもしれませんが、数年前であれば一回行われるだけで大騒ぎしていた事案が頻度が高くなり、そして同時期に平行して発生する、日米を沖縄と九州南方で遮断しつつ台湾に侵攻、この訓練と思えなくもない。

 周辺事態、かつてはこうした定義で日本周辺の有事について考えられていましたが、台湾有事について、アメリカ軍がとるであろう行動はいろいろと認識されていますが、日本は憲法上の集団的自衛権公使の制約から、そのときを想定しての日米共同訓練を実施できていません。そして、台湾とアメリカについても起こるまでわからない状況がある。

 戦争を回避することは必要なことであり多くのかたの願いですが、戦争の起こる要員と、本腰を入れて戦争を回避する努力、回避する努力だけでは相手の国運をかけてでも開戦するというような意思を押さえられない場合は相応の覚悟で封じ込める覚悟がなければ、回避したいと考えていたことは現実のものとなる、こうした認識が必要なのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【防衛情報】F-35戦闘機のスイスとシンガポールとノルウェーの動静にA330MRTT,KC-46空中給油機最新情報

2022-12-26 20:21:41 | インポート
週報:世界の防衛,最新12論点
 今回はF-35戦闘機と空中給油機の話題を中心に。

 スイス政府はF-35戦闘機30機の調達を閣議決定し正式な調達契約署名を果たしました。これは9月19日、スイス国防省調達局長マーティンソンデレッガーが表明したもので、署名式典にはロッキードマーティン社よりF-35プログラムマネージャーのダルコサヴィッチが出席しています。今回契約の機体は2027年から2030年にかけ引き渡されるとのこと。

 F-35戦闘機30機は米貨換算で62億5000万ドルの契約となり、この契約は先んじてスイス連邦議会において調達軽悪が可決された事にもとづくものです。そして2021年に表明したスイス空軍調達計画のF-35戦闘機36機のうち、先ず30機を調達契約したものであり、スイス空軍の旧式化したF/A-18戦闘機と老朽化が深刻なF-5戦闘機を置換える事となる。

 ロッキードマーティン社によれば、F-35戦闘機は空軍仕様のF-35Aであり、まず8機がテキサス州フォートワース工場において製造されると共にアメリカ本土においてスイス空軍操縦士の機種転換教育に供されます、そして22機以上の機体がイタリアのカメリにあるレオナルド社のFACO最終組立工場において組み立てられ、スイス軍へ納入されるでしょう。
スイスがFACO誘致希望
 FACOは小牧にもありますが。

 スイス政府は導入するF-35戦闘機の内一部をスイス国内で最終組立が可能かを模索しています。現在スイス空軍向けのF-35戦闘機はイタリアのカメリにあるレオナルド社のFACO最終組立工場において製造され、スイスへ空輸される方針で調整されていますが、4機をスイス国内にあるルアーグ社の工場施設において組み立てを希望しているとのこと。

 ルアーグ社は1999年に設立されベルンに本社を置く防衛産業でドルニエDo228NG輸送機の部品製造請負やエアバスA320旅客機胴体部分、航空機部品、HG-85手榴弾や弾薬等を製造しています。スイス空軍が運用するF/A-18戦闘機の定期整備を担っており、最終組立だけならばスイス国内にて可能でないかとの認識に基づくものですが、可能かは不明です。
F-35BかF-35Aか
 F-35BかF-35Aか意外に悩むところなのでしょう。

 シンガポール空軍はF-35戦闘機について既に導入計画を進めるF-35Bから別のF-35A等に変更の可能性を示唆しました。これは9月までにオーストラリア北部において行われたPitch Black多国間合同空軍演習においてシンガポール空軍広報官が示唆しました。この演習はアメリカ海兵隊のF-35Bとともにオーストラリア空軍はF-35Aを参加させています。

 F-35B戦闘機、アメリカ海兵隊と同じ第五世代戦闘機をシンガポール空軍は現在運用するF-16戦闘機の後継として60機導入する計画を推進中です。F-35Bは2020年1月にアメリカ国務省の有償供与許可を受けており、27億5000万ドルでF-35B戦闘機4機と続いて8機のオプション契約を結んでおり、2026年にも引き渡しが開始される計画となっています。

 F-35B戦闘機は垂直離着陸さえ可能な戦闘機ですが、空軍型のF-35Aと比べ、必要な垂直離陸用ファンの内臓などから燃料タンク区画が制限されており、これは航続距離の低下に直結しています。一方、この能力は軽空母などからの運用では必須のものであるのですが、シンガポール海軍には空母導入の計画はなく、F-35Bへの急な再検討といえるでしょう。
KC-46A空中給油機の改良
 KC-46A空中給油機には数少ない問題があります。

 アメリカ空軍はKC-46A空中給油輸送機がA-10攻撃機への給油能力欠如に取り組むかを検討しています。KC-46A空中給油輸送機はアメリカ空軍のB-2爆撃機からF-22戦闘機まで前型のKC-135空中給油機が担ったほぼ全ての機種への空中給油が可能ですが、唯一例外的にA-10攻撃機だけは構成要素の再設計をしない限り、空中給油能力を有していません。

 KC-46A空中給油輸送機からA-10攻撃機へ空中給油が出来ない背景には、ブーム方式の空中給油に在ってブーム部分の剛性に問題が、稀に給油中に折れる可能性があるといい、この再設計へボーイングとの間で2019年に5550万ドルの契約を結んでいます。しかしKC-46Aは完成後幾つか不具合があり現在の再設計だけで不充分となる懸念があるという。
KC-46A空中給油機実任務
 KC-46A空中給油機が初の実任務に参加した。

 アメリカ空軍はKC-46A空中給油機を初の実任務作戦へ参加させました。これは9月15日に空軍が発表したもので、空軍によれば8月29日、アメリカ中央軍が実施した任務へF-15E戦闘爆撃機2機への空中給油を実施したという、作戦の詳細は非開示ですがKC-46A空中給油機はカタールのアルウデイド空軍基地を拠点として行動していたとのこと。

 KC-46A空中給油機はアメリカ空軍へ配備開始となってから4年となりますが、空中給油システムのプログラム欠陥などで運用試験が長期化した背景が有り、2022年に入り漸く実戦投入が可能となったかたちです。KC-46A空中給油機は航空自衛隊とイタリア空軍が採用したKC-767空中給油輸送機のアメリカ軍仕様で、航空自衛隊もこれを追加調達しています。
KC-46A空中給油機損傷
 KC-46A空中給油機でトラブルです。

 アメリカ空軍のKC-46A空中給油機が上院議員視察中に給油ブームが格納不能となる椿事がありました。これは8月23日民主党上院のジャンヌシャヒーン上院議員とマギーハッサン上院議員、下院のアニークスター開銀議員とクリスパパス下院議員がニューハンプシャー空軍州兵の第 157給油航空団の最新鋭KC-46A空中給油輸送機を視察中の出来事です。

 ニューハンプシャー空軍州兵はKC-135空中給油機から2021年に機種転換を終えたばかりでしたが、別の戦闘機への空中給油訓練展示を実施した直後に、給油ブームを格納する際のケーブルが断線し、ニュージャージー州のマクガイアディックスレイクハースへ給油ブームを伸ばしたまま緊急着陸を余儀なくされました。なお負傷者などは居ませんでした。
F-16戦闘機8機増強計画
 中小国にはF-16でも大きな出費です。

 ブルガリア政府は9月21日、F-16戦闘機8機増強計画の予算を正式に計上しました。ブルガリア空軍は2019年よりF-16戦闘機の導入を開始し冷戦時代に導入し老朽化が進むソ連製のMiG-29戦闘機の代替を開始しました、現在8機のF-16戦闘機を運用していますが、将来的に飛行隊を編成する計画であり、今回の増強により16機体制となります。

 F-16、ブリガリアのディミタルストヤノフ暫定国防相は追加分の機体引き渡しは2025年から開始されるとしています。導入するF-16はAESAレーダー搭載型であるblock70のF-16C/Dであり、この導入計画にはアメリカ空軍による訓練支援支援も含まれていて、ブルガリア空軍のF-16戦闘機運用教育にはアメリカ空軍第162航空団が対応しています。
MS-110複合領域偵察ポッド
自衛隊も停滞し中断されているRF-15はこのMS-110複合領域偵察ポッドを導入する事で解決する。

 アメリカのコリンズエアロスペース社は開発を進めているMS-110複合領域偵察ポッドの搭載初飛行を実施しました。MS-110複合領域偵察ポッドはF-16戦闘機やF-15戦闘機に搭載される外装式の偵察ポッドで、戦闘機に搭載する事で戦術偵察機に転用可能、特にRQ-4のような高高度を低速で飛行する偵察機では難しい強行偵察などを担う装備という。

 MS-110複合領域偵察ポッドはコリンズエアロスペース社が手掛けたU-2 戦略偵察機に搭載される SYERS-2C偵察装置の技術的基盤に依拠するシステムでMSIマルチスペクトルイメージング技術方式を採用している。なお、コリンズエアロスペース社によればこのポッドは高高度を滞空する情報収集用ビジネスジェットなどにも搭載可能とされています。
ストームブレイカー
 ノルウェーはストームブレイカーを導入します。

 ノルウェー空軍はF-35戦闘機用打撃装備としてGBU-53Bストームブレイカーを採用します。GBU-53BストームブレイカーはSDB小口径爆弾として知られ、精密誘導により小型でも充分な打撃力を有しているという。F-35戦闘機の場合、ステルス性を維持する際に機内兵装庫に8発を搭載可能、機外にも搭載する場合は最大で24発を搭載可能とされる。

 GBU-53Bストームブレイカーはミリ波レーダーと非冷却画像シーカー誘導方式を採用、重量は93kgとなっています。興味深いのは滑空爆弾方式として推進力は持たないものの主翼を展開し60km以上を滑空する点で、F-35戦闘機に搭載する場合はAMRAAM空対空ミサイルとともに搭載可能、ノルウェー政府は今後アメリカ政府と導入交渉をおこないます。
DIGAR対妨害型GPS受信機
 GPSは軍用でも妨害される時代でありDIGAR対妨害型GPS受信機は妨害に備えるもの。

 アメリカ空軍はBAE社よりF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機用DIGAR対妨害型GPS受信機の開発契約を結びました。これは試験器材と共に技術開発予算を含んだものとされています。契約規模は1300万ドルとのことで、近年増大しているGPS妨害装置等厳しさを増す電子戦環境においてF-15戦闘爆撃機の能力を維持する事が目的とされます。

 DIGAR対妨害型GPS受信機は複数のステアリングビームを組み合わせるデジタルビームフォーミング技術と高性能信号処理とを組み合わせ、GPS信号の受信感度を強化するもの。現代の装備はほぼすべての分野でGPS座標標定に大きく依存しており、ここが脆弱性ともなりGPS信号の妨害技術が進み、これは民生用に加え軍用GPSにも危険が及んでいます。
C-130H輸送機128機
 アメリカ空軍にはC-130H輸送機128機が維持されています。

 アメリカ空軍は9月30日、保有するC-130H輸送機128機の大半に欠陥があるとして緊急に飛行を停止させています。欠陥はプロペラアセンブリ部分とのことで、128機の内116機が対象とのこと、残る12機については緊急点検中であり、プロペラアセンブリ部分の換装が必要ですが、飛行中止決定時にその換装が完了する目処は明らかにされませんでした。

 C-130H輸送機は、アメリカ空軍ではC-130J輸送機へ順次置き換えが始っていますが、空軍予備役部隊と空軍州兵部隊に広く配備しており、なかにはMC-130H特殊作戦輸送機やEC-130H電子作戦機等も含まれているとのこと。具体的な欠陥としてはエンジンテスト中に潤滑油が漏れ続ける欠陥が確認、精密検査の結果、看過できない亀裂が確認されました。
エアバスA330MRTT
 カナダのエアバスA330MRTT計画について。

 カナダ統合軍空軍は8月、エアバスA330MRTT空中給油輸送機の調達計画を具体化しました。計画では2023年に正式契約を結ぶ方針となっていて、いまのところ4機のエアバスA330MRTT空中給油輸送機を最大50億カナダドル、米貨換算で40億ドルにて取得する方針とのことです。カナダ国防省は今年5月13日に機体をエアバスから取得すると決定した。

 A330MRTT空中給油輸送機はカナダでは戦略給油輸送機と位置づけられ、空中給油任務は勿論、世界規模のカナダ軍部隊派遣や人道支援任務における輸送能力も期待されている。カナダ空軍は現在CC-150ポラリス空中給油機を運用中で、これはエアバスA-310旅客機の民間型を空中給油機へ改造したものですが老朽化により後継機調達計画を進めています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

反撃能力よりも戦闘機が必要だ-その論理的背景,多用途性-議論されつくしていない専守防衛と防衛政策の転換

2022-12-26 07:00:00 | 防衛・安全保障
■戦闘機の”多用途性”
 この主張反論はあるでしょうが、専守防衛という時代が長かった為に相手の敵意に同じものを突き返すという度量よりもお互いの整合性を考えてしまうのかもしれない。

 反撃能力よりも戦闘機、この主張なのですが北大路機関の考えが古いだけなのかもしれません、しかし国民世論的にはどのような考え方になるのか。戦闘機、個人的には生産再開出来ないという事情は分かっていてもF-2戦闘機、イギリスと後継機開発を進める中でもその円滑な移行へ製造基盤を回復する為にも、42機から70機程度製造しては、と思う。

 F-2戦闘機、制空戦闘第一の航空自衛隊は忌避感があるでしょうが、この機種を敢えてあげるのは、航空自衛隊は飛行隊が足りない為です。何故なら戦闘機を増やさず第83航空隊を第9航空団に格上げし第201飛行隊を教育訓練部隊に転換した事で2個飛行隊が不足し、首都防空と南九州防空を担う航空団を1個飛行隊のみの編成としている為、たりません。

 戦闘機だ、こう考えるのは多用途性を挙げます。対艦攻撃から制空戦闘まで対応するものですが、スタンドオフミサイルを搭載しますと策源地攻撃と云いますか反撃能力にも応用が利きます、そして多用途性というのは、この戦闘機は制空用であり着上陸阻止用であり、あなたの国を攻撃する用途では考えていないのですよ、という方便が可能となるのですね。

 専守防衛が1950年の警察予備隊創設から反撃能力が今回明確に示された2022年まで実に72年間続いていますので、相手国が上陸した際に防衛を行うという自衛隊、こういう認識があるものでして、相手の国が攻めてきそうな状況、これを着手要件とか2001年から提唱される先制的自衛権行使、つまりヤラレそうなので相手本土を叩く運用に違和感を受ける。

 戦闘機であれば、有事の際に各航空団から可能な飛行隊を抽出、これをする為にも整備基盤の予算は重要だが閑話休題、低空侵攻訓練を行っても近接航空支援の訓練、スタンドオフミサイル運用能力を付与しても海岸橋頭堡無力化用、長距離打撃訓練を実施しても協同転地演習、こういう方便は成り立つのです。これが地対地ミサイルで成り立つ方便なのか。

 12式地対艦誘導弾の射程を1000kmに延伸する、500km程度ならば分かるのですが、微妙な距離とした場合、これは動かない地対地用、我が国に届く射程ではないかとの周辺国の反論に、統合機動防衛力用です、こう主張して成程納得だ、と周辺国ではなく、国民世論が周辺国攻撃着手の時点でミサイルを撃込む事を専守防衛と理解するのか、疑問なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【04】イージス艦ちょうかい-横浜みなとみらいビル群とともに(2012-10-08)

2022-12-25 20:12:04 | 海上自衛隊 催事
■イージス艦ちょうかい
 ちょうかい。こんごう型ミサイル護衛艦4番艦であり1993年から短期間で4隻か建造された我が国イージス艦の鏑矢です。

 ちょうかい。Weblog北大路機関をOCN時代からご覧の方はお気づきと思いますが、長らく北大路機関のロゴタイトルにはイージス艦ちょうかい、その雄姿を掲載していました。ちょうかい、この堂々航行の様子を見ますと、ある意味で思い入れ或る護衛艦なのです。

 十年一昔、こういう単語があるのですが年末にさしかかるクリスマスの季節にこうして自衛隊観艦式、十年前の観艦式の写真を紹介しつつ、今年すなわち海上自衛隊70周年の我が国安保環境を思い起こしますと、その変容ぶりに驚くという次第です。特に今年の。

 二十年に及ぶミサイル防衛の、予算増なき巨大防衛事業の推進により自衛隊の防衛力は破綻してしまった、こう説明するところですが、思い起こせばこの観艦式を撮影しました2012年の段階はミサイル防衛に着手しほぼ十年という時期なのですが、防衛力は健在でした。

 10年でここまで、というのは非常に残念なのですが、例えば海上自衛隊も、あぶくま型護衛艦、あさぎり型護衛艦が延命に延命を重ねていますし、もう竣工29年となるイージス艦こんごう型の後継計画はまだ未着手、P-3C哨戒機にSH-60J哨戒ヘリコプターについても。

 海上自衛隊はもう少し状況はよいのかもしれませんが、原型機が1959年に初飛行を迎えたF-4EJ戦闘機がようやく全機用途廃止されたのがつい昨年のことですし74式戦車もまだまだ残っているばかりか、後継戦車ではなく戦車部隊ごと廃止さえ追いついていないという。

 ヘリコプターはずいぶん減りました、観測ヘリコプターはOH-1観測ヘリコプターが製造終了してから15年ですが、その増強が行われないままOH-6D観測ヘリコプターは全廃し、なんと無人機で補うということですがそのすばらしい無人機はほとんど実績がありません。

 ミサイル防衛に今度は島嶼部防衛、しかもそのための新部隊が編成されましたが、定員は同じまま、その十年すこし前には中央即応集団が創設されていますが、これも定員を同じままとしましたので、5000名を切る師団、という惨状がでています。平時の定員とはいえ。

 大学でいえば単科大学ではなく総合大学なのに学生数が二百人、というような状況になっていますし、予算が同じで箱物を調達するものですから既存の装備を運用する予備部品や整備治具、いや消耗品さえ不足する有様で使える装備と稼働率が明確に影響を受けている。

 ミサイル防衛、必要性はわかるのです。北朝鮮の各開発とミサイル開発は、たとえ日本が北朝鮮と決定的な対立をしなくとも、横田基地や横須賀基地、横浜ノースドックに500kt水爆が撃ち込まれれば、横浜の場合で横浜駅はもちろん品川付近までなにものこりません。

 しかし、小泉内閣時代、ミサイル防衛に必要な予算を、防衛予算の増額という形で増額していたならば防衛力は破綻せずに済んだように思うのです。いや実際、2012年と2022年でヘリコプターや戦車に装甲車両と航空機、なかでも稼働機を比較しますとかなり減った。

 防衛費1%、2012年の時代には田中内閣時代から長らく継続されていました防衛費の一種の上限は、中曽根内閣時代に一時若干超過したものの、基本的に踏襲されてきました、いや日本の高度経済成長時代と安定成長時代には防衛費を増やすことができていたのですが。

 破綻してしまうと立て直すのが難しくなるものです、例えば原発事故、格納容器が破損しそうな状況で立て直すと、危険を無視していたという批判やもう廃止しろという圧力に周辺の地価に影響するとか批判はあるでしょうが再構築することはできるでしょう、しかし。

 一線を越えるといいますが、原子炉を例に思い浮かべますとこわれてしまったならば、もう格納容器から漏れ出す一方であり、その前の状態に戻すことは基本的にできなくなってしまいます。これは一例なのですが、防衛力、無理を重ねて20年、限界を超えてしまった。

 2011年東日本大震災、こうした大規模な震災は幸いもう日本をおそうことはありません、こう開き直れるならば防衛力は特にヘリコプターなどの削減は看過できるところです。しかし現実をみますと真逆であり、南海トラフ地震、千島海溝地震などが懸念されている。

 GDP2%、思い切った政治の決定という印象なのですが、しかし、その分だけ宇宙防衛や認知領域戦争という任務が加わりましたので、果たして大丈夫なのか、宇宙は通信と偵察を司る新しい戦場ですが、宇宙に及ぶほど日本は核保有国ではありませんし切迫性は少ない。

 コンピュータウィルス対策として消毒用アルコールや高性能空気清浄機を買い込むような方向性の間違いはないのか、こんな懸念を感じてしまうのですね。まず、防衛力はミサイル防衛に必要な予算を割きすぎたことで崩壊している、認識を共有することは重要です、ただし。

 防衛力を強化するのではなく再構築するという視点をまず第一に示した上で、足りない装備と足りない維持部品などを列挙し、"防衛再構築基金"のような特別会計予算を構築した上で、一つ一つ、いきなり防衛産業に増産を求めることはできない故、数年間でそろえる。

 戦車などは2010年代前半に毎年8両しか予算が認められず、これでは戦車定数の400両をそろえることは難しいために防衛大綱を300両に削減すると、今度は毎年6両しか認められないようになる、定数を減らして現実の調達にあわせようとすれば調達数も削られる。

 GDP2%の点について、防衛費は足りないという懐疑的ではあるにもかかわらず、その増額にどうしても賛同できない背景には、予算を増やしても必要な装備がそろう気配がない、こと。そして予算を増やす政治決定があっても年度ごとに財務省に認められない歴史が。

 財務省が姑息なところは、防衛予算のための増税と責任を防衛省に転嫁する一方で、増税した予算を防衛予算として認める確証はなく、また政府が内閣人事局を設置しながら、民主主義により選ばれ場政治の政策を蔑ろにした官僚を更迭せず義務を怠るという実状です。

 自衛隊がミサイル防衛という巨大事業を組み直しで挑み20年で防衛力が崩壊に近い状態まで追い込まれてしまいましたが、しかし10年間は何とかなりました。これを政府の予算全体で、他の省庁に無理を強いる事は簡単ではないのでしょうが、数年やっては、とおもう。

 10年間なんとかなりましたのはこの2012年の状況を見ればわかるとおりであり、先ず増税ではなく既存予算の組み直しにより、5年間GDP2%の予算を組み、新任務の付与はせず、その上で防衛力を崩壊する前の段階まで、とりあえず再建する事の方が重要でないか。

 ミサイル防衛という新任務、この追加を既存の枠組みにより実施した事で、削り過ぎた各々の部分が維持できなくなり崩壊したのですから、防衛費は数千億円規模で不足するものの、数兆円を必要とはしていません。ただ、一旦崩壊した為に組みなおすには努力が必要です。

 防衛力を再建するには、数年間のGDP2%の支出は必要だと思う、しかし永遠に必要とするほど、自衛隊の想定する任務は広いものではない、GDP1.4%でも充分といえる。他方で再建までの期間であれば増税せずとも、既存枠組で、防衛省はこれまでやってきました故に思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】阪急6300系,京都本線-京とれいん定期運行終了後も嵐山線で続く阪急6300系の旅路

2022-12-25 18:21:25 | コラム
■乗っていて暖かい電車
 6300系はやはり良い電車です。

 阪急6300系、京とれいん編成が遂に定期運航から脱してしまいまして6300系の延命が叶ったという当時は日所に嬉しく感じた一方、京とれいん運行は土曜日日曜日に限定された一方、流石に京都本線特急時代の限界を超えていたのだろうなあ、と察してしまいます。

 嵐山線の主力車両に運行を変更しています6300系、なにかこうテーマパークの路線的な、いやこの当たりで暮らす方にはれっきとした通勤通学路線なのですけれども、6300系の運行が続いていますのは嬉しい所で、名車2300系を受け継ぐ6300系の運行は続きます。

 ホームドア設置とも関係はあるのだろうか、こういう事も考えてしまうのですね。身障者団体などからのホームドア設置を求める声は大きいといいまして、バリアフリーを否定するわけではないのですが、乗り心地の良い車両を排除してまでの第一主義なのか、とも。

 ダブルデッカー車や展望車が全国の鉄道で廃止されている背景に、利用者の乗り心地という要望よりも、バリアフリーを求める一部の要望と、普通の車両に詰め込む事での輸送効率を求める事業者の一部の要望とが合致している、こうした背景を聞く事もありまして。

 6300系は片側2扉車、これは停車駅が少ない特急時代の名残なのですけれども、扉が限られている分、車内が広々と感じられたものでした、特に乗り降りとつり革よりも、着席しての快適な通勤を志向した、余裕ある時代の設計というのは、今の時代でも評価したい。

 9300系特急電車も悪い車両ではないのです、しかし、一両に着席して百名をゆったり輸送するよりも、一人でも立たせて吊革をつかませた方が、少ない車両で多数を運べるし、あああとエコでしょう、というような流れについて、温暖化の時代に冷たいなあと感じるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ供与のJDAMは翼を授かるか?ウクライナの侮れぬDIY装備開発能力と手製JSOW滑空兵器の可能性

2022-12-25 07:00:44 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ウクライナ情勢
 アメリカを電撃訪問したウクライナのゼレンスキー大統領はバイデン大統領と首脳会談に臨みJDAMの供与決定を受けました。JDAM,自衛隊にも装備されている装備です。

 ウクライナへ供与されるJDAM精密誘導弾薬について、ウクライナ軍は活用した場合はどこまで威力を発揮するのだろうか。JDAMは500ポンド爆弾などに装着する事で、通常の自由落下爆弾を精密誘導爆弾に変身させる改修キットです。精密誘導できるものですが、滑空爆弾ではない為に射程は限られ、ロシア本土に脅威を及ぼさない、大義名分がある。

 JDAMの誘導はGPS誘導方式であり、JDAMに任意のGPS座標を入力し、戦闘機や攻撃機、一定以上の大きさの無人航空機にも搭載可能です。一定以上の無人航空機というのはMQ-9リーパー無人機などで、500ポンド爆弾を搭載した状態で離陸する事が出来ないバイラクタルTB-2については搭載できません。ウクライナ軍にはMiG-29戦闘機などがある。

 JSOW滑空爆弾のように翼をもつ誘導装置ではない為に、高高度から投下することで多少飛距離は伸びるのでしょうけれども、遠距離を攻撃する事は出来ません。ただ、DIY兵器、ウクライナ軍はかなり装備品を創意工夫して運用しています、ウクライナ軍にはJDAM精密誘導爆弾はどのように活用されるのかを考えますと、意外と踏み込んだ用途があります。

 JDAMに滑空翼をウクライナが独自に追加する事は可能ではないか、ウクライナ国営軍事企業は海外からの防衛装備品供与に感謝すると共に、独自の装備開発も実施しています。これは防衛情報として北大路機関でも繰り返し紹介していますが、装備の近代化改修も、そして独自の新型装備も開発しています、なにしろあのハリコフ戦車工場を継承している。

 ウクライナが独自に有翼型爆弾を開発し、その誘導用にJDAM誘導キットを用いた場合、高高度から投下した場合はHIMARS高機動ロケットシステムから発射されるGMLRS精密誘導ロケット弾の射程70kmに迫る、若しくは運用次第で凌駕する様な改良が可能なのかもしれません。いや、アメリカで現地改修が為されないのはJSOWがあるためとも。

 MiG-29戦闘機を騙した、ウクライナ軍はアメリカからHARM対レーダーミサイル供与を受けた際、いやHARMは優秀な装備だが運用できる機体がウクライナ空軍には無く、搭載改修を受けようにも流石にウクライナ国外にMiGを持ち出すわけにもいかないし、メーカーから現地へ技術者を派遣する事も出来ない、ともも割れていましたが、戦果を挙げた。

 HARM対レーダーミサイルがウクライナへ供与された際、ウクライナ空軍はMiG-29戦闘機のプログラムを独自改修し、HARMをR-77空対空ミサイルだと認識させるようプログラムを書き換え、操縦士もR-77の操作手順でHARMを運用、ロシア軍の地対空ミサイル脅威をHARMにより封じています。独自改修、DIYはウクライナ軍が実績を上げました。

 DIY兵器、ウクライナ軍は日曜大工精神と云いますか無ければ自分で方式で創意工夫の装備運用を続けています、JDAMは射程が短い事は確かですが、単価が2万ドルと非常に安価であり、初めてウクライナに供与される装備故にアメリカ軍の対外供与備蓄も手つかずというほど充分あります。これは意外に強力な装備として活用できるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クリスマスイヴ二〇二二特集!思い出の横浜-国際観艦式フリートウィークヨコハマの大夜景と佇む護衛艦の情景

2022-12-24 20:08:26 | 旅行
■いずも-横浜大夜景
 夜景というものは撮影は寒く器材操作が難しく写真確認も大変なのですけれども、撮れました写真は中々な思い出になるものです。

 クリスマスイヴということでイルミネーション写真ではありませんが、国際観艦式フリートウィークの際に撮影しました護衛艦の夜景という情景をお送りしましょう。寒い中で舞鶴基地の夜景撮影という大冒険も少しは考えたのですが、ちょっと猛寒波が凄いのです。

 電燈艦飾、護衛艦による電燈艦飾が行われていない場合でも常夜灯だけで美しいものです、それは大都市の夜景が特別なイルミネーションを行わない場合でも100万ドルの夜景とか、最近は電気代高騰と急激円安で100億ドルの夜景とか、こうしたものを醸すのとおなじ。

 2022年は海上自衛隊創設70周年という節目の年となりました、よくぞできたものだと感心したのは2022年国際観艦式です。残念ながら一般公開はされなかったのですが、停泊式観艦式しか無理ではないのか、2002年の海上自衛隊50周年国際観艦式を思い出したもの。

 横浜港、日本で最初に開港しました、いわば世界への玄関口の一つです。その大桟橋に護衛艦いずも停泊、その昔に護衛艦ひゅうが観艦式フリートウィークに併せての大桟橋接岸が行われたのを反対側の新港埠頭から見ますと、大桟橋越しに護衛艦の艦橋がみえました。

 大桟橋越しに護衛艦ひゅうが艦橋が見えますと、これは他の方が撮影された写真を見返してふと気づかされたのですが、大桟橋そのものが一種の航空母艦のように見えたもので、長崎の軍艦島ではないのですが、いつかあの海へ、大きいのが浮かんだなら、と思った。

 いずも、いつかあの海へ、なんていうアニメのタイトルのような事を思い浮かべたのは2009年と2012年の観艦式なのですが、意外な事に早くも実現したものだ、というのはヘリコプター搭載護衛艦いずも竣工の際です。ひゅうが一般初公開のこの場所で行われたのだが。

 駆逐艦ですよいや空母だ、と、まあ一般公開反対のオジサンに絡まれている方を傍目に友人知人たちと、DDHなのだから駆逐艦だとか、空母型の駆逐艦だとか、そんなことを護衛艦ひゅうが、見上げつつ思っていたものです。しかし、もう少し想像力が必要でしたね。

 いずも。これは、もう。友人の一人が護衛艦ひゅうが全長を50mほど大きくした護衛艦いずも目の前に呟いたというか本音が漏れた瞬間です。いや、50mといえば掃海艇1隻、掃海艇と護衛艦が並ぶのは舞鶴基地の北吸岸壁でも時折見ているのですが、されど50mです。

 空母か駆逐艦かという前に護衛艦なのですが、海上自衛隊の護衛艦は防衛政策と周辺情勢を反映して整備されるものなのですから、要するにそれだけ周辺情勢が緊迫しているということなのですね。もっとも、現実を直視した装備が間に合った事は僥倖なのでしょうか。

 くらま、美しい護衛艦でした。はるな、良い雰囲気の護衛艦でした。そして第一世代型ヘリコプター搭載護衛艦は所謂ところヘリコプター巡洋艦型の護衛艦でしたが、第二世代型ヘリコプター搭載護衛艦は全通飛行甲板型護衛艦、これが必要になった時代の要請という。

 あたご、もがみ、横浜港。もっと単純にイージス艦カッコィイ、という悟りの精神で防衛装備品を見る余裕も必要なのかもしれませんが、どういった用途に用いるべく政治が巨額の防衛費を投じているか、ということを考えると、少し厳しい気持ちになってしまうのだ。

 抑止力というものを考えれば、軍事的な現状変更の試みに対しての充分な防衛力を整備する事で、相手に耐えがたい代償を強いる事を想定させるという論理はあるのですが、その損耗を度外視して侵攻するという事例を歴史上今年二月を含め知っている故に、重い。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都市役所前,スペイン料理で敢えて-マオウさんは凄いんです!

2022-12-24 14:47:35 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 バラッカと云うお店が京都市役所前にあります。御幸町御池から少し上がったあたりにありますスペイン料理店でパエリアが有名なのですがタパスとワインも愉しめるちょっとお勧め。

 スペイン料理、情熱の国、こうスペインを表現したのはどこのどなたあたりが始まりなのでしょうか、しかし小皿のタパス料理とともに、ビールではじまる食文化とは、なかなか日本的な居酒屋の一品料理ととりあえずビール的な文化と重なるようで、わたしは好き。

 クリスマスです、といいますかクリスマスイヴです。今年は六月から40度越えという恐ろしい熱波が、真夏に生命の危機を予感させるものでしたが、思い返してみると夏は猛暑、しかし酷暑というほどでなく猛暑だったのですよね、過ごしやすいとはいわないけれども。

 万願寺、ここは万願寺がビールとあうのです。緑色の万願寺は舞鶴のお野菜なのですが、伝統と格式のようになぜか清酒よりもビールのほうがあうという、そして適度な歯ごたえ、確かな風味、見た目と違い辛くない、そんな一皿とともに、まずビールを進めてゆく。

 紅葉が今年はすばらしかったものなもので、つまり気候がめちゃくちゃではない、ということの証左なのですよね。昨年などは紅葉の季節に椛や楓が熱波と、そしてこれが大きいのですけれども雨量不足に見舞われてしまい、半分枯れたような変な色づきになっていた。

 四季で生きている、というほど風流人ではないのですけれど、やはり移り目の季節の象徴というもの、大切といいますか日常の感覚に入れておかないと、とおもう。この点考えますと、今年はここ数年でいい年だなあ、と師走に改めて思うのです。グラスを傾けながら。

 カジョスという、格好いい名前のメニューは牛さんのハチノスをトマトペーストで煮込んだ、欧風煮込み料理でイタリアンなお店でも見かけるのですが、つんつんと摘まんでビールの肴とするには良い料理と思う、ハチノス、モツ系でいちばん楽しいのはその歯応え。

 人間は社会性の生物である、とはアンソニーギデンズの社会学、その割と最初のあたりに記されているところなのですが、もう五年か六年か、京都市役所の近くに美味しいスペイン料理の店を見つけた、と友人と、COVID-19以降はメールと年賀状のみの、話しました。

 京都市役所前のお店は知らないけれども烏丸御池から少し行ったところに、こんなお店が有るんだ的な良いお店を見つけたよ、と友人の話です。いや実はスペイン料理と云えば京都駅ビルだよねと意気投合していた、そのお店が潰れて韓国料理店になり、困っていた。

 スペインにアフリカから経済難民が地中海を越えて押し寄せる頃、気楽なものだといわれるかもしれませんが京都はスペイン料理難民がでていたのです、幾つかいいお店はあるのですが、混雑している印象がありまして、料理を、混むと撮るよりも食べるという感じ。

 マオウ、というビール。なにかライトノベルなんかで目にするタイトルのような名前ですが、黒ビールとピルスナースタイルが有りまして、黒ビールの方はマオウ-ネグラという、魔王のねぐら的な響きにっこえる、けれどもこのビールの大事なところは名前ではない。

 五つ星ビール、マオウさんはすごいんです。ごくごく行ける程度に口当たりが軽いものですから、お気に入りです。ビールが苦手という人を稀に見かけますが、それは日本のビールしか知らないという方が多いのかな、と。銘柄をいろいろ試してみるのは面白いと思う。

 ブロチェッタというあぶり焼き、もともとはビンチョスという串焼き料理なのですが、流石に南米の様に大きな牛肉の塊の串焼きをかぶりつくようなことは、スペインでは嗜まないのでしょうか、上品に焼き上げられています。お肉と云うのは、やはり愉しみたいもの。

 ビンチョスの状態でかぶりついてみたい、こういう気持ちの在るのですが、この頃になりますと一つをがつんと頂くよりはこうなんといいますか一品一品を吟味して、味の冒険や風味の探索に香りの思慮、を愉しみたくなるものです。たまにがつんもやってしまうが。

 サングリア、へんな映画のタイトルにされて食わず嫌いと云うか飲まず嫌いが多いときく、要するにあまーいグリューワインです。果実と共にワインをこう煮こんでいるものですから独特の甘みがあって、ひとまず一杯のんで見れば嫌いな人はいないのではないかなあ。

 柳馬場通、考えてみれば通りの名前を行ってくれればよかったのですよね、というのは冒頭のお店の一之情報共有です、烏丸御池のあたりと云いますと、どうしても六角堂のあたりとか、思い浮かべてしまいますので、あのビル街の何処かに、とスペイン料理を想った。

 烏丸御池駅から、情報の共有はもう少し進みますと朝日新聞の方へ進むという事でしたが、歩いて直ぐ、という。五分程なのか、しかし京都市役所駅からみますと、個人的には北大路機関の会合場所が市役所の裏手に前ありましたので、そこから此処は指呼の距離にある。

 スペイン料理、同床異夢と云いますか、此処はお店の方の話を聞きますと、烏丸御池から五分で京都市役所前から五分の中間点にあるという、ようするに同じ店の事を示していたという。友人知人、コロナ時代で疎遠になった人も多い、交流と交歓は大事なのですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ペトリオットは古い-プーチン大統領発言,確かに古くイージスシステムと同じくらい前の装備だが重なる改良

2022-12-24 07:00:46 | 先端軍事テクノロジー
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアのプーチン大統領はアメリカがウクライナへ供与するペトリオットについて、古いシステムであり脅威ではないと発言しました。ならば長沼のペトリオットを礼文島にでも配備したいところだが。

 Windowsは古臭いOSだ、と云われますと違和感を受けられるでしょうか、もしくはiOSが十五年以上前の古いもの、と言われますと今度こそ違和感を受けられるでしょう。確かにiOSは最初期のものは2007年に出されていますし、Windows1.01は1985年に発表されたものです、しかし改良を重ねる事で世代交代を続け最新鋭水準を維持し続けています。

 ペトリオットミサイルも同じことが言える、ペトリオットミサイルが制式化されたのは1976年、基本となるシステムは確かに古いものなのです。実際、1976年に制式化された時点での火器管制装置の処理能力は24ビット、当時としては高い水準でした。24ビットは最初期数年のものであり、年々改良を続けている。だからこそ今も各国が新規採用さえする。

 PAC-1とPAC-2,改良の度合いはと云われますと、最大射程はPAC-1で90kmなのですが発射コンテナが同じPAC-2は160kmに、90kmや160kmといっても相手が高高度を巡航飛行している状況での最大射程であり、実際は目標は機動していますし低空飛行する為に実用はPAC-2で100km程度とされるのですが、当然の様に進化するミサイルなのですね。

 PAC-2,PAC-3のPACとはペトリオットケイパビリティの略称で、PAC-2もPAC-2-GEMという弾道ミサイル迎撃能力を強化したレーダーとミサイル信管を持つ改良型、微細なレーダー反応目標にも対応する更なる改良型のPAC-2-GEM+が開発されています。射程を抑え弾道ミサイル迎撃能力を強化したPAC-3,その射程を延伸したPAC-3-MSEも開発された。

 イージスシステムは古いシステムだ、こう言い換えますと今度こそ違和感を共有できるか、アメリカ海軍がイージス計画を開始したのが1969年、1944年のマリアナ沖海戦で飽和攻撃への手動対応限界が指摘され、迎撃システムの完全なデジタル化を進め、延長線上にイージス計画、洋上試験開始は1975年で最初のイージス艦タイコンデロガ竣工は1983年だ。

 プーチン大統領の、ペトリオットミサイルは古いシステムという発言までは正いのですが、脅威ではない、というのは間違いです。ペトリオットはイージスシステムと同世代、思い起こせばプーチン大統領が欧米と対立を明確化したのは東欧へのイージスアショア配備決定の2007年です、言い換えればイージスシステムと同程度に無害、なのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする