■予想できなかった2020年代
防衛力整備が2012年当時は東日本大震災の影響は残るもののおおむね順調に見えまして流石に2020年代の変容は予想でき無かった。
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ゆうだち艦上からこの観艦式を撮影していました当時は、ひゅうが大きいなあ、という印象とともに22DDHこと現在の護衛艦いずも型の建造に将来の海上防衛について予想は恐らく遠い将来にF-35B戦闘機を搭載するのだろう、と思っていたものなのですが。
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F-35B戦闘機の配備開始は来年であり、先日航空自衛隊へF-35戦闘機搭載用のJSMミサイル、射程510kmのミサイル引き渡しが開始され、此処まで急速に防衛力が近代化されるとは思っていなかったのですが、それ以上に中国がこんなに空母を揃えると思わなかった。
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いずも型護衛艦のF-35B戦闘機搭載は予想よりも早くなった印象ですが、それ以上に自衛隊が防衛力を強化しなければならなくなります背景に中国の軍事圧力があり、これほど短期間に一気に中国海軍が戦力を拡大するとも思わなかったというのが率直なところです。
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新田原基地へ配備されるというF-35B戦闘機ですが、しかし予想できるといいますか、懸念するのは海上自衛隊と航空自衛隊との間で、F-35Bの運用についての齟齬が生まれないか、と危惧するのです。実際、イタリア軍で海軍と空軍の間でF-35Bの問題がありました。
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イタリア軍の縄張り争い、海軍は空母カブールで運用したい、空軍はAMX軽攻撃機の後継としてKC-130J空中給油輸送機とともに遠征航空団を編成したい、といい結果仲良く半分こにすることになった構図で。仲良く、といえば響きはいいのですが、現実は厳しい。
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第五世代戦闘機の運用基盤を二か所用意するというのは、いずも型護衛艦のF-35B戦闘機運用能力付与と同じくらい時間がかかります、F-35B含めF-35戦闘機はシミュレータでの訓練時間も長く、これが逆に普段それほど飛行訓練せずとも十分な技術を得られるという。
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F-35のシミュレータ重視設計思想は、機体寿命は飛行により削られませんし飛行させることによる消耗品の劣化も抑えられ、という利点はある、しかしその分シミュレータは高額となっていますし、この設置の費用とデータリンク装置の費用もかなり高くなります。
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F-35Bについて30機をあえて二つの基地へ分さん配置する必然性はあまりありません、政治的に二つに割れたという。イタリア国防省は、一か所にまとめておくとその基地が空爆で全滅すると危険だから分散は合理的なのだ、としていますが、そんなものなのかな、と。
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ミサイル攻撃を警戒するならば地下ハンガーに入れればいいしF-35Bならば滑走路が破壊された場合でも誘導路から短距離発着できる、と反論できてしまい、要するにやはり政治的なのだ、となります。日本の場合はイタリアと違い海上自衛隊は戦闘機を持たない。
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ハリアー攻撃機を運用するイタリア海軍のような、無駄にF-35B運用能力があるのだから割れるのだ、という事にはなりませんが、航空自衛隊が、海上自衛隊の護衛艦運用、特に護衛艦隊は別に南西諸島近海での任務だけが任務ではなく、これは広範な運用をめざす。
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佐世保地方隊の任務にとどまらず、インド洋や大西洋さえを含めた世界での運用を想定していますので、と事前にどのように調整しているのかが少々関心事となるのです。一方で、この護衛艦運用は、ある程度見込まれていましたが、早くなったことはまだにおどろき。
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反撃能力という新しい防衛力整備については、ちょっと想定できませんでした。専守防衛の枠外での反撃能力と、専守防衛の枠内での反撃能力では意味がまるで違います。専守防衛の枠内での反撃というのは防御戦闘という意味でしょう、しかし今回のものは違う。
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専守防衛、当たり前ですが防御戦闘には攻撃的な要素があり、逆襲部隊というものが防御戦闘では当然のように編成に内部化されています、ようするに相手の攻撃衝力を防御戦闘により削ぎ、つまり防御戦闘により相手の戦車や装甲車などを一定以下まで削ったのち。
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逆襲部隊という、息切れしたような時機を見計らって逆襲部隊を展開させる、逆襲部隊は戦車によるものが基本ですが、歩兵の、いや普通科による迂回攻撃等も含まれます。もちろん海岸橋頭保への攻撃や上陸部隊の洋上での撃破も含まれるのでしょうけれども。
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これが、特に逆襲部隊は反撃的な意味を含めているように見える。海岸橋頭保への攻撃もその反中でしょう、しかし、いま政府が想定する反撃能力は射程2000kmから3000kmのミサイルが中心、これを数百発程度保有するとともに従来の防衛力も維持するならわかる。
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戦車や火砲に戦闘ヘリコプターといった、これこそ専守防衛であるし日本を侵攻する相手もこれくらいで反撃されるのは想定するだろうというものを、従来の数まで再構築していざという時の為の抑止力と普段使いの戦車等の防衛力を整備するならば、わかるのだが。
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2000kmの射程のミサイルを保有する事は理解する、けれどもそんなミサイルを防衛力の主柱に据えるのは判らない、いったん陸上自衛隊がグアムまで撤退してから、という運用は考えられませんから、これでは北海道からハバロフスクが射程内に含まれます、実に長い。
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東京から北京を十分狙える、いや九州から四川省の核ミサイル部隊をも射程2000kmならば狙えます、いや安全保障政策の基本に専守防衛の終了という名言はありませんでしたから、専守防衛なのだ、そして自衛隊は軍隊ではないし日本は戦力を持っていないとする。
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憲法にあるノダ、と強弁を張ることも、できないことはないのが、ちょっと不思議といいますか、法律とは、と考える点なのですね。更にちょっと不安となるのは、防衛予算を増やす、という部分についてで、持続的な防衛力整備が可能なのか、という事なのです。
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日本はGDP1%防衛費という国是とともに防衛力を整備してきましたが、このわく内で小泉内閣時代にミサイル防衛という、もう一つ自衛隊が必要になるような防衛政策、防衛力整備を開始しています、これにより削られたのは専守防衛の骨幹と云えるものでした。
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戦車に火砲にヘリコプターと掃海艇、哨戒機や輸送機もかなり減りました、これはいずれ建て直しが必要になる、一個師団で実員4500名規模というのは明らかにおかしい、ここを是正するのか、と予算増では期待しました。せめて師団は6000名規模にもどしてほしい。
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特に自衛隊の、陸上自衛隊における師団と旅団をすべて機動運用部隊とする改編です、長らく機動運用部隊といいますと第7師団の戦車連隊中心の編成や第一空てい団に第一ヘリコプター団、近年はここに即応機動師団御即応機動旅団という、ものがくわわりました。
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装備の充実した即応機動連隊一つと、即応機動連隊に全て装備を持っていかれた印象のある軽装備の普通科連隊を基幹としていたものですが、地域配備師団も即応機動連隊くらいの、つまり偵察戦闘大隊の三倍くらいの部隊を持たせてくれるのではないかとか、ね。
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現実は、そんなことはありませんでした。地域配備師団は軽量装備のまま機動運用を強いられるというもので、、装備も人員も少ない中、気の毒になるのですが与えられた任務を不充分でもなんとかします、としか言いようがない状況があります。それは2020年代です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
防衛力整備が2012年当時は東日本大震災の影響は残るもののおおむね順調に見えまして流石に2020年代の変容は予想でき無かった。
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ゆうだち艦上からこの観艦式を撮影していました当時は、ひゅうが大きいなあ、という印象とともに22DDHこと現在の護衛艦いずも型の建造に将来の海上防衛について予想は恐らく遠い将来にF-35B戦闘機を搭載するのだろう、と思っていたものなのですが。
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F-35B戦闘機の配備開始は来年であり、先日航空自衛隊へF-35戦闘機搭載用のJSMミサイル、射程510kmのミサイル引き渡しが開始され、此処まで急速に防衛力が近代化されるとは思っていなかったのですが、それ以上に中国がこんなに空母を揃えると思わなかった。
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いずも型護衛艦のF-35B戦闘機搭載は予想よりも早くなった印象ですが、それ以上に自衛隊が防衛力を強化しなければならなくなります背景に中国の軍事圧力があり、これほど短期間に一気に中国海軍が戦力を拡大するとも思わなかったというのが率直なところです。
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新田原基地へ配備されるというF-35B戦闘機ですが、しかし予想できるといいますか、懸念するのは海上自衛隊と航空自衛隊との間で、F-35Bの運用についての齟齬が生まれないか、と危惧するのです。実際、イタリア軍で海軍と空軍の間でF-35Bの問題がありました。
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イタリア軍の縄張り争い、海軍は空母カブールで運用したい、空軍はAMX軽攻撃機の後継としてKC-130J空中給油輸送機とともに遠征航空団を編成したい、といい結果仲良く半分こにすることになった構図で。仲良く、といえば響きはいいのですが、現実は厳しい。
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第五世代戦闘機の運用基盤を二か所用意するというのは、いずも型護衛艦のF-35B戦闘機運用能力付与と同じくらい時間がかかります、F-35B含めF-35戦闘機はシミュレータでの訓練時間も長く、これが逆に普段それほど飛行訓練せずとも十分な技術を得られるという。
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F-35のシミュレータ重視設計思想は、機体寿命は飛行により削られませんし飛行させることによる消耗品の劣化も抑えられ、という利点はある、しかしその分シミュレータは高額となっていますし、この設置の費用とデータリンク装置の費用もかなり高くなります。
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F-35Bについて30機をあえて二つの基地へ分さん配置する必然性はあまりありません、政治的に二つに割れたという。イタリア国防省は、一か所にまとめておくとその基地が空爆で全滅すると危険だから分散は合理的なのだ、としていますが、そんなものなのかな、と。
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ミサイル攻撃を警戒するならば地下ハンガーに入れればいいしF-35Bならば滑走路が破壊された場合でも誘導路から短距離発着できる、と反論できてしまい、要するにやはり政治的なのだ、となります。日本の場合はイタリアと違い海上自衛隊は戦闘機を持たない。
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ハリアー攻撃機を運用するイタリア海軍のような、無駄にF-35B運用能力があるのだから割れるのだ、という事にはなりませんが、航空自衛隊が、海上自衛隊の護衛艦運用、特に護衛艦隊は別に南西諸島近海での任務だけが任務ではなく、これは広範な運用をめざす。
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佐世保地方隊の任務にとどまらず、インド洋や大西洋さえを含めた世界での運用を想定していますので、と事前にどのように調整しているのかが少々関心事となるのです。一方で、この護衛艦運用は、ある程度見込まれていましたが、早くなったことはまだにおどろき。
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反撃能力という新しい防衛力整備については、ちょっと想定できませんでした。専守防衛の枠外での反撃能力と、専守防衛の枠内での反撃能力では意味がまるで違います。専守防衛の枠内での反撃というのは防御戦闘という意味でしょう、しかし今回のものは違う。
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専守防衛、当たり前ですが防御戦闘には攻撃的な要素があり、逆襲部隊というものが防御戦闘では当然のように編成に内部化されています、ようするに相手の攻撃衝力を防御戦闘により削ぎ、つまり防御戦闘により相手の戦車や装甲車などを一定以下まで削ったのち。
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逆襲部隊という、息切れしたような時機を見計らって逆襲部隊を展開させる、逆襲部隊は戦車によるものが基本ですが、歩兵の、いや普通科による迂回攻撃等も含まれます。もちろん海岸橋頭保への攻撃や上陸部隊の洋上での撃破も含まれるのでしょうけれども。
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これが、特に逆襲部隊は反撃的な意味を含めているように見える。海岸橋頭保への攻撃もその反中でしょう、しかし、いま政府が想定する反撃能力は射程2000kmから3000kmのミサイルが中心、これを数百発程度保有するとともに従来の防衛力も維持するならわかる。
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戦車や火砲に戦闘ヘリコプターといった、これこそ専守防衛であるし日本を侵攻する相手もこれくらいで反撃されるのは想定するだろうというものを、従来の数まで再構築していざという時の為の抑止力と普段使いの戦車等の防衛力を整備するならば、わかるのだが。
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現実は、そんなことはありませんでした。地域配備師団は軽量装備のまま機動運用を強いられるというもので、、装備も人員も少ない中、気の毒になるのですが与えられた任務を不充分でもなんとかします、としか言いようがない状況があります。それは2020年代です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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