■11000km先の邦人輸送
日本から11000km先のハルツーム、戦闘も負傷者も無く成功したという今回のスーダン邦人輸送は準備と努力と法整備が勝ち取った奇跡です。
航空自衛隊C-2輸送機による日本時間深夜0100時、の邦人と関係者45名輸送、これは在留邦人41名とその家族4名とのことですが、ポートスーダン空港からジブチへの自衛隊輸送機による輸送につづいて、フランスの協力を受け8名の在留邦人出国がかないました。これにより出国を希望した全員の出国が適った、岸田総理大臣が記者団に述べています。
岸田総理大臣は武井外務副大臣をジブチへ派遣し、調整に当たっています。なお、武井外務副大臣は、駐スーダン日本大使について、C-2輸送機には乗らず別の対応があったとしてポートスーダンに移しての大使業務継続を示唆しています。ハルツーム情勢は緊迫しており戦闘はかなり広範囲で行われていたとの声もNHKなどで報じられ、間に合ってよかった。
21世紀はアフリカの時代、2011年にダボス会議にて示された視点です。この背景には世界の多くが人口減少に悩む時代にあって、アフリカ諸国だけは21世紀後半まで人口増大が続くためであり、人口は製造業や経済力に直結する要素でもあります。むろん地下資源も豊富なのですが、今後は経済成長に製造業が加わる成長時代も見込まれる希望があります。
日本も今後成長を維持しようとするならば、アフリカとの関係性を維持し、また強化しつづけなければなりません。これはアフリカからの人材を日本に招くことも含まれますが、同時に日本企業がアフリカでの工場整備や部品調達先としてのアフリカ諸国、という選択肢も当然増えてゆくことでしょう。いや、アフリカ地域と関係強化は必須となるのです。
アフリカへ現地進出しないのはなぜか。過去にアフリカ開発会議が行われる都度、日本の姿勢としてまず実際にアフリカへ進出して関係を強化することが先決ではないか、こう指摘されることがあります。しかし同時にアフリカは日本から旅客機の直行便も無く、行くことが難しいとともに万一の際に帰国すること一つとって難しい、こうした実情が。
スーダン邦人輸送のような事例は今後また必ず直面することを想定しなければなりません。今回は、KC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機の連携など、危機管理における迅速な状況把握の先に部隊の展開も円滑に行えました、アフガニスタン邦人輸送任務の事実上の失敗を考えれば、これは過去の反省と法整備が活かされたと思います。そして次は。
アフリカ、問題は政治安定化でサヘル地域を筆頭に、政権が安定していても権威主義国家である、という事例も見受けられます。今回政変があったスーダンも、2010年代はじめにはムガベ独裁政権時代ではありました、ここに安定性が多少なりともみ込まれたのは、ムガベ大統領が高齢であり将来的な民政移管の目処が多少なりともあったためなのですが。
権威主義国家の課題は、突然政権が崩壊することです。もちろん民政移管プロセスと選挙制度構築を進めてソフトランディングさせる選択肢はあるにはあるのですが、民主主義国家は選挙により政権が倒れるものですから、ある程度見通しは立ちますし、政権崩壊は選挙に起因する場合、基本的にソフトランディングで円滑に政権は交代するのと対照的だ。
民主主義国家の政権崩壊はこの通り見通しは立つ一方、権威主義国家は任期さえ不明確なものなのですから突然崩壊しかねない、そして権威主義国家では後継者指名を丹念に行うことで一見ソフトランディングをおこなえるような事例は見受けられるのですが、もっとも多いのは突然引き下ろされる、制度が不明瞭な権力闘争を背景とするものでしょう。
スーダンクーデター、大きな課題はアフリカの世紀、という今の時代にあって日本はある程度アフリカとのコミットメントを維持しなければならない、ということです。すると、自衛隊は海賊対処任務のためのジブチ航空拠点を今回大きく活用することとなりましたが、たとえばNATO加盟国との関係強化と拠点整備など、まだやることはないのか。
アフリカとの協力関係を強化するとともに、今回のようなリスクは残るという認識と、次への備えが必要なように考えます。これはNATOとの防衛協力強化をすすめるという選択肢もあるでしょうし、フランスやスペインのようにアフリカ諸国の軍隊との防衛協力強化による信頼醸成なども考えられます。今回の成功を次の成功につなげる努力が、必要だ。
C-2輸送機の即応機を増やせるよう、C-1輸送機の飛行隊定数と同数を確保する必要というのは幾度か提唱しているところですが、輸送機部隊の置かれる小牧基地と美保基地近くに中央即応連隊のような輸送防護車を装備した即応部隊を配置するという選択肢、ヘリコプターをそのまま空輸する準備、UH-60JAをC-2で2機輸送する研究など考えられるかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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日本から11000km先のハルツーム、戦闘も負傷者も無く成功したという今回のスーダン邦人輸送は準備と努力と法整備が勝ち取った奇跡です。
航空自衛隊C-2輸送機による日本時間深夜0100時、の邦人と関係者45名輸送、これは在留邦人41名とその家族4名とのことですが、ポートスーダン空港からジブチへの自衛隊輸送機による輸送につづいて、フランスの協力を受け8名の在留邦人出国がかないました。これにより出国を希望した全員の出国が適った、岸田総理大臣が記者団に述べています。
岸田総理大臣は武井外務副大臣をジブチへ派遣し、調整に当たっています。なお、武井外務副大臣は、駐スーダン日本大使について、C-2輸送機には乗らず別の対応があったとしてポートスーダンに移しての大使業務継続を示唆しています。ハルツーム情勢は緊迫しており戦闘はかなり広範囲で行われていたとの声もNHKなどで報じられ、間に合ってよかった。
21世紀はアフリカの時代、2011年にダボス会議にて示された視点です。この背景には世界の多くが人口減少に悩む時代にあって、アフリカ諸国だけは21世紀後半まで人口増大が続くためであり、人口は製造業や経済力に直結する要素でもあります。むろん地下資源も豊富なのですが、今後は経済成長に製造業が加わる成長時代も見込まれる希望があります。
日本も今後成長を維持しようとするならば、アフリカとの関係性を維持し、また強化しつづけなければなりません。これはアフリカからの人材を日本に招くことも含まれますが、同時に日本企業がアフリカでの工場整備や部品調達先としてのアフリカ諸国、という選択肢も当然増えてゆくことでしょう。いや、アフリカ地域と関係強化は必須となるのです。
アフリカへ現地進出しないのはなぜか。過去にアフリカ開発会議が行われる都度、日本の姿勢としてまず実際にアフリカへ進出して関係を強化することが先決ではないか、こう指摘されることがあります。しかし同時にアフリカは日本から旅客機の直行便も無く、行くことが難しいとともに万一の際に帰国すること一つとって難しい、こうした実情が。
スーダン邦人輸送のような事例は今後また必ず直面することを想定しなければなりません。今回は、KC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機の連携など、危機管理における迅速な状況把握の先に部隊の展開も円滑に行えました、アフガニスタン邦人輸送任務の事実上の失敗を考えれば、これは過去の反省と法整備が活かされたと思います。そして次は。
アフリカ、問題は政治安定化でサヘル地域を筆頭に、政権が安定していても権威主義国家である、という事例も見受けられます。今回政変があったスーダンも、2010年代はじめにはムガベ独裁政権時代ではありました、ここに安定性が多少なりともみ込まれたのは、ムガベ大統領が高齢であり将来的な民政移管の目処が多少なりともあったためなのですが。
権威主義国家の課題は、突然政権が崩壊することです。もちろん民政移管プロセスと選挙制度構築を進めてソフトランディングさせる選択肢はあるにはあるのですが、民主主義国家は選挙により政権が倒れるものですから、ある程度見通しは立ちますし、政権崩壊は選挙に起因する場合、基本的にソフトランディングで円滑に政権は交代するのと対照的だ。
民主主義国家の政権崩壊はこの通り見通しは立つ一方、権威主義国家は任期さえ不明確なものなのですから突然崩壊しかねない、そして権威主義国家では後継者指名を丹念に行うことで一見ソフトランディングをおこなえるような事例は見受けられるのですが、もっとも多いのは突然引き下ろされる、制度が不明瞭な権力闘争を背景とするものでしょう。
スーダンクーデター、大きな課題はアフリカの世紀、という今の時代にあって日本はある程度アフリカとのコミットメントを維持しなければならない、ということです。すると、自衛隊は海賊対処任務のためのジブチ航空拠点を今回大きく活用することとなりましたが、たとえばNATO加盟国との関係強化と拠点整備など、まだやることはないのか。
アフリカとの協力関係を強化するとともに、今回のようなリスクは残るという認識と、次への備えが必要なように考えます。これはNATOとの防衛協力強化をすすめるという選択肢もあるでしょうし、フランスやスペインのようにアフリカ諸国の軍隊との防衛協力強化による信頼醸成なども考えられます。今回の成功を次の成功につなげる努力が、必要だ。
C-2輸送機の即応機を増やせるよう、C-1輸送機の飛行隊定数と同数を確保する必要というのは幾度か提唱しているところですが、輸送機部隊の置かれる小牧基地と美保基地近くに中央即応連隊のような輸送防護車を装備した即応部隊を配置するという選択肢、ヘリコプターをそのまま空輸する準備、UH-60JAをC-2で2機輸送する研究など考えられるかもしれません。
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