北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

UH-60JA事故の背景にヘリコプターの急激な機数縮小-政治は防衛力強化よりも先ず再建を優先せよ

2023-04-09 20:00:32 | 防衛・安全保障
■緊急特集:陸自ヘリ墜落
 UH-60JA多用途ヘリコプターは基本的に安全な機種といわれていましたが今回の事案と時間のかかり過ぎている航空救難、やはり全般的に予算が足りていません。

 ヘリコプターの急激な機数縮小、これも意図したものではなく閣議決定された防衛計画の大綱に基づきヘリコプター部隊を増やし新しい脅威に対抗しようとしているものの、年度予算という閣議決定により、その防衛大綱を実行する為の航空機調達が削られている状況があります。政治が大風呂敷を広げ自衛隊が対応し、しかし政治がその予算を認めない。

 先決となるのは先ず事故の根絶です。ただ、予算不足の長期化によりかつてのような、少数機種で数百機が保有されていた時代ではなく少数多種多様な航空装備体系となっていますので、機種当たりの手厚い運用基盤とノウハウが蓄積されているという状況ではありません、単純に予算を増やす選択肢だけでは、再構築するまでの期間はやはり懸念が続く。

 予算が足りないのだから、オーストラリアなどが実施しているような、列線整備以上の整備をメーカー支援に外注として出すことも出来ません、整備員が足りないのではなく予算、今の予算のままではすべての航空機を整備できない、ただ、北海道と九州南部以外のヘリ部隊を廃止するならば、メーカー支援の整備を行った場合でも予算が足りるかも知れない。

 南海トラフ地震にヘリコプターなしでどうするのか、という反論があるのかも知れませんが、それが政治の選択なのであれば問題があると考える場合は、まともな防衛力を整備できる政治を選ぶほかありません。防衛費を増額するといういまの岸田政権ですが、手遅れであるとともに反撃能力整備という、一から構築故、さらに予算を食う事業に集中します。

 火砲、戦車、装甲車、あらゆる装備がミサイル防衛の費用負担、それも二年三年であれば立て直せた、しかし、ミサイル防衛が開始された後の二年後はWeblog北大路機関が開始された時代ですので、どれだけ無理を強い続けてきたかはわかるでしょう。他方で自衛隊はシビリアンコントロール、予算は一種の法律であり政治に関与することなどは出来ません。

 政治がこの装備でこの任務をやれ、といわれればやるほか無い現状であり、その結果の事故が発生している、部隊の定数われをみて見ぬ振りをしつつ、いつか予算が元通りになると考えて存続している、ヘリコプターの視点でいえば、航空機の寿命を考えれば20年とは、いつかは正社員と言いくるめられて非正規雇用のまま60歳を迎えてしまった構図に近い。

 防衛力強化が叫ばれる昨今ですが現実をみていない、先ず必要なのは防衛力の再建であり、既に防衛力は崩壊しているという現状の直視です。応用の状況に陥ったドイツは30兆円規模の基金を2022年に立ち上げ、足りない装備の調達という、強化するのではなく先ず再建するところから着手しています。日本も先ず、こうした方式が先に必要なのです。

 防衛費は増額するのではないか。こうした反論があるでしょう、防衛費は今後数年間を掛けてGDP2%まで増額する指針が示されています。ただ、議論が全て金額に注目されているようで中身を吟味していない点が問題ではないか、実際、防衛費は増額するが増額した以上の費用を必要とする反撃能力整備が進められる方針であり、増額の恩恵は廻りません。

 自衛隊の予算規模を考えるならば、その規模を縮小するほかありません。ただ、誤解されない様に強調したいのは、まともな装備を持つ部隊でなければ現代戦闘や将来戦闘に対応する事は出来ず、規模と定員だけ大きな部隊を編成して人員も装備も定数割れのまま看過するよりは、現実的な規模に抑え、防衛力を再建した時点で次を考えれば良い、とおもう。

 第3師団のような地域配備師団は災害派遣を考えれば地元としては心強いものですが、第11旅団のような装甲近代化旅団をもととした機動旅団の方が、人員定数は半分程度ではありますが、戦車大隊もありますし威力偵察を行うに十分な即応機動連隊も置かれている、今後は地域配備師団も機動運用に充てるという政府方針ですが、現実的能力的に無理です。

 第11旅団型の部隊であれば、中国の中型合成旅団に十分対応でき、運用次第では重型合成旅団にも開けた地形での運動戦を避けるならば十分対抗できる、仮に15個ある師団と旅団をこの編成に改編した場合は、戦車が450両と機動戦闘車が定数通りならば300両必要となりますが、人員規模は4万7000名程度で済みます、現在の実員でも完全充足可能だ。

 災害派遣や防衛力を単に書類上の人員規模と考えるのではなく、機動打撃力や砲兵火力である、と認識するならば定員は少なくとも現実的な規模に抑え、その上で小型の部隊であっても充分な能力を整備する方が肝要でしょう。それとも政治は自衛隊にランボーやメイトリクス大佐のような隊員が揃っていると考えているのか、と。現実を見る必要がある。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-三条,高瀬川沿いイタリアンで想う"艦これ-いつかあの海で"

2023-04-09 18:22:11 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 いやもうあれは何というか救いようのない作品世界を視れば最早呑むしかないでしょう。

 艦これ-いつかあの海で。あの最終回はないよなあ、と思いつつ最後まで視てしまいました。世界観をプレイヤーの一人一人の裁量に合わせて全体像をあえて示さないことで創作の幅を広げたといいますC2機関、創設20年を迎えた北大路機関的には少々考えてしまう。

 呑むしかない、北大路機関的にはもう飲むしかない終わり方でしたアニメーション、はるなさん、くらまさん、まやさん、ひゅうがさん、いせ殿の北大路機関ですので、これはもう吞むしかない、と桜の見えるところへ一杯やりに。戦艦鞍馬はいつでてくるのか、と。

 高瀬川、森鴎外の著作に出てきます有名な立地はちょうど佐久間象山最後の地、その近くに美味しいイタリアンなお店がありまして、ここはランチタイムにはビュッフェ、ちょっとこの数年間値上がりがすごいのですが、そして夜にはお洒落なレストランとなる一軒が。

 カシスジン、甘酸っぱいなかに英国風のジンという香りを付けました一杯だ。呑むしかないのならば呑む。艦これ1944というタイトルでしたから、いよいよ末期戦の日本海軍を擬人化し再現したのですが、レイテ沖海戦が中盤で辛勝、しかし製作に間が開いてしまった。

 レイテ沖海戦そのものは、東宝が1960年代に映画化を試みるものの史上最大の開戦であり、参加空母も戦艦も数多く、何より誤情報に基づく楽観的な作戦運用と、誤情報が完ぺきな作戦計画に変な途中変更を加え、結果惨敗するというフィリピン決戦の失敗、闇は深い。

 ジャックダニエルをロックで頂く。ネエチャン酒だ酒を持ってこい、的なことになりそうなものですが、艦これ-いつかあの海で、はレイテ沖海戦を辛勝している世界なのですね、もちろん薄氷を踏むような展開だ、レイテ沖海戦の失敗は作戦計画を急ぎすぎたこと。

 テネシーウィスキーは進む。艦これ-いつかあの海で、レイテ沖海戦では失敗はただでさえ足りない艦隊戦力を、栗田艦隊、西村艦隊と志摩艦隊、小沢艦隊、この三つに分散し各個撃破されたことにあります。各個撃破はロシア軍もウクライナで失敗した戦術上の愚行だ。

 久慈の蛸のカルパッチョ、酒宴に加わる。レイテ沖海戦で艦隊戦力を囮部隊として四分割三勢力としましたが、その理由を少し調べますと、台湾沖航空戦の戦果、日本は相当な戦果を挙げたと誤認した、希望的何足の下で大急ぎで艦隊決戦を準備した背景、ありました。

 カルパッチョといえば、ガルパン最終章もCOVID-19のせいで全く観に行けていないなあ、と思い出しつつ。レイテ沖海戦の大急ぎの準備は艦隊燃料の確保の問題、タンカーを手配できないまま準備したために、西村艦隊の出航を延期し、統一戦闘加入ができなかった。

 ソーダ割のジャックダニエルとしていたらタコハイボールになるなあ、とおもいつつ。艦これ-いつかあの海で、主人公は白露型駆逐艦の時雨でしたが、ロンドン軍縮条約下で小型化した白露型には航続距離が短いという問題もあり、これも接近経路を限定する結果へ。

 タコハイボールって何だろう最近名前は聞くが。レイテ決戦、輸送船団を叩けば太平洋戦争に勝利できる、特にフィリピン上陸部隊はマッカーサー元帥率いる50万名規模であるのだし、という想定で陸軍はルソン決戦を準備していたのをレイテへ転進させています。

 ピザ、もう少しお酒を進めたいところだ。ルソン決戦の準備を行いつつ、今レイテに行けば台湾沖航空戦で壊滅状態の敵艦隊ごと上陸部隊を叩ける、という不確かな情報に向かって、つまり海軍戦果を陸軍が精査せず転進、その移動だけでかなりの損耗を強いられます。

 トマトベースでチーズを省いて、というものですがなかなか美味しいものですね。艦これ-いつかあの海で、史実を知っているうえでの開戦ならば最初から艦隊を十分補給して一つの舞台で展開するか、陸軍の主張通り艦隊保全主義として出さないほうがまだよかった。

 レイテ沖海戦、思うのは現代日本の悪いところ、教条主義や忖度や希望的観測や損害からの建て直しや人事の流動性という部分の全てが表面化しているものでして、変な話日本はあのレイテ沖海戦から社会が何も学んでいないところに、その映像化の必要を感じます。

 ミラノ風カツレツ、これを待っていました。カツレツはビーフカツといいますか日本風とんかつ的な厚い衣ではなくまぶして揚げたところが美味しい。さて艦これ-いつかあの海で、1944とあるのに、1945年の天一号作戦までやってしまった、もちろん準備不足だ。

 カツレツは薄い衣の方が美味しいが作戦は薄い考えでは取り返しがつかない。信濃、生駒、阿蘇、建造を進めていた航空母艦をレイテで稼いだ時間とともに完成させ、菊水作戦と連携して決戦を挑む、もしくは連合国側との連携を図る、こうした選択肢は踏み込まない。

 カツレツとともに、勝つとカツを掛けているわけではないのですが、もう少しやりようはなかったものなのかなあ、と思うのです。そして政策の意図がなかなかわからない。たしかC2機関はあのゲームに、戦争の悲しい歴史を知ってほしい、との願いがあったようだが。

 サルヴァトーレ、木屋町三条の高瀬川沿いにありますお店で、高瀬川沿いのテラス席がとても気持ちの良い、しかも桜の季節にはお勧めの度合いをぐんと増すことができるお店です。艦これ-いつかあの海で、残念な終わり方でしたがヤケ酒で少し癒すことができました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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陸将/中将の随伴機なし単機飛行は危機管理上の問題-伊良部島未確認情報と宮古島自衛隊ヘリコプター不明事案

2023-04-09 07:01:41 | 防衛・安全保障
■緊急特集:陸自ヘリ墜落
 陸将といいますか師団長に補職される中将というのは在日米軍司令官と同格なのです。

 宮古島沖自衛隊ヘリコプター墜落事故、昨日8日に対岸に当る伊良部島付近で人が浮いているようだとの通報が陸上自衛隊へ寄せられ、海上保安庁が2215時から約一時間に渡りヘリコプターによるサーチライトによる捜索を行ったとのことですが発見には至りませんでした。第8師団長以下、行方不明ヘリコプターに搭乗していた10名は今も安否不明です。

 将官がヘリコプターで第一線視察を行う際に随伴機が居ない、というのも実は中々無いのではないか。陸将は中将、日本の場合は旧陸軍の師団長が親補職であり天皇から直接任命される関係から中将が師団長に補職され、各国師団長が少将であるのと比べますと三ツ星の中将が指揮する特殊な事例です、その中将が随伴機を伴わない、特殊な事例ではないか。

 中将、陸上自衛隊の場合は階級インフレと云われるように自衛隊の規模に対して将官が多い事は指摘されますが、公官庁同士の調整会議や自治体首長との会議などに将官の職域が求められる特性上、いや2011年東日本大震災に際しては幹部自衛官が多数の会議に対して実際不足していたという実例があるのですが、それでも陸将は世界で中将の接遇を受ける。

 在日米軍司令官が中将でインド太平洋軍司令官が大将、その在日米軍司令官が今年一月の空挺団降下訓練始めを視察した際には、やはり随伴機を含めた二機編隊で横田基地から習志野訓練場へ移動しました。いや、日本もこの時に統幕長や防衛大臣がCH-47輸送ヘリコプターにより移動する際に随伴機を伴っていましたので、これが普通なのかもしれません。

 中部方面総監が方面航空隊の年頭飛行訓練始めを統裁する際にも、総監のUH-1Jには随伴のUH-1Jが飛行していました。総監も師団長も同じ陸将です。随伴機が今回の宮古島事故に際して師団長機とともに飛行していたならば、空中分解のような状況でない限り、即座に随伴機が救助できたでしょうし、少なくとも事故発生の第一報はもっと早かったはずだ。

 ヘリコプターが不足しているから随伴機を用意できなかったのではないか、こうした可能性も指摘できるのですが、それならばMQ-8無人ヘリコプターのような航空機を、オーストラリアが開発しているロイヤルウイングマン無人僚機のように随伴機を無人機で代替する選択肢は検討されるべきですし、何らかの手段で随伴機を用意すべきだとおもうのです。

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