イキイキと生きる!

縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

手放しながら知恵をはぐくみ(今ここと縄文時代 10/10)

2025-02-07 | 第六章「螺旋状に上昇する意味」

発達心理学で有名なエリクソンは、61歳~死の成年後期の年齢分類を「知恵」(以下、知恵の年代)と呼んでいた*1。肉体的に衰え次世代に様々なことを引き渡す年代であり、やがて死を迎える年代である。私も70台で確かに、体力的にも記憶力なども衰えていくのを感じる。一般的にはネガティブな年代のように受け取られているが、他の年齢分類と同様に人間として成長していく部分があるようだ。記憶力などは衰えていくが、結晶性知能という経験や学習で積み重ねられた能力は健全で、それ故ポジティブな活躍の場が残されているようなのだ。確かに、周りを見渡しても様々な分野で活躍されている70歳台、80歳台、90歳台・・の方々は少なくない。そして、過去を振り返っても確かな足跡をのこされた方も少なくない。

この知恵の年代になってみると、気が重くなることも多い。知人の病気や訃報の話を聞くことも多くなる。また、時代や価値観も変わり若いころに使った言葉を発しても、若者は反応しない。あれだけ使った言葉が死語になっていたり。例えば正月などが端的だが、正月らしい風習もいつのまにか少なくなり、羽子板や凧あげなどする風景はもうほとんどない。葬式も簡素化されたり、墓じまいなどする話も多い。当たり前だったものが変わる。苦労したのは何だったのかと考え込むこともある。一方人間関係など若いころからの悩みは年をとったからと言って悩むこともあるだろう。そして、この年代特有といってもよいネガティブな感情である絶望感を感じはっとする。

しかしポジティブな面もある。年齢を重ねたことで、宗教や哲学の領域では、初めて納得できる言葉に出会ったりする。かつて、同じようなことを聴いてもこちら側の体制が整わないで理解できなかったことがはじめてわかったりする。そして、知恵の時代。大事な言葉に出会う時は、社会的に一歩退いたり失ったりする、傍から見るとネガティブに見えそうなときと重なる。今まで固執していた何かを手放す。その時に得られる解き放たれた感情。なんで、そんなにこだわっていたのだろうかと自分自身をどこかの高みから俯瞰する自由さ。

思えば、赤子として生まれる時にはもちろん裸で何も持たない。しかも単独で生きる力はなく、回りから与えられて育つ。そして少年少女期を過ごし、青年期を過ごし、成人となり家庭や職場でなどで働き、老いた今を迎える。どうも、これからは、与えられたものを手放して行く時期。もともと自分は何も持っていなかった。大いなるものに与えられて、何かを成したかも、成すこともなかったかもしれないが、時がきて与えられたものを手放すことになる。ただ、今までの経験や学習は無駄にはならず、精神的に防衛機制から外されやすい環境の中で、知恵として活躍出来る統合されやすい状態になる。

そして、そんな知恵を誰かに伝えることが大事であり、昔で言えば、男性なら愛されるご隠居さんになり、様々な人と手を組んで活躍できるのではないだろうか。

こだわりを 手放してみて 月冴ゆる


この歌を作るきっかけとなった正月の縄文活動はWebマガジンAMOR「縄文時代のイキイキ生活」に投稿しました。こちら

*1出所:新版 障害発達心理学 バーバラ M・ニューマン/フィリップR・ニューマン著 福富護約 川島書店

10/10 今ここと縄文時代

この記事は「生き甲斐の心理学」ーCULLカリタスカウンセリングの理論 ユースフルライフ研究所主宰 植村高雄著 監修2008年第3版 を参考にしています。

----------------------------------------------------------

「縄文小説 森と海と月 ~五千年前の祖先の愛と魂~」

縄文中期の関東・中部地方を中心にした愛と魂の物語です。

入手方法

1.紙の本の入手については・・・

  四ツ谷サンパウロさんへ 定価(1,500円+税)送料別。

  電話:03-3357-8642(書籍・視聴覚)

    住所:〒160-0004 東京都新宿区四谷1-2  

 なお、国会図書館、八王子市図書館でも閲覧できます。

2.電子書籍版はアマゾンさんで、1000円で購入できますが、

  Kindle unlimitedなどの特典で無料でも読めます。 


       森裕行