第三話、「蟷螂たちの幸福」もなかなか面白かったですよね。水曜の夜、ちょっと出かけていて、昨日の朝見ていました。
ミステリー作家の蓬城静流が、いかにも怪しくアリバイ工作なんかをして、部屋を抜け出した時、なんだかありきたりの展開っぽく感じてしました。ですが、それをさせたのは待っていた夫、田橋です。
「何をするつもり?」
「こうするつもりさ。」と銃を向ける田橋。恐怖の瞳で見つめる妻。
いい感じです。そして、CM。
再び幕が上がってみると、死んでいたのは田橋のほうでした。どうも自殺らしいと言う雰囲気が漂っているところへ、妻が現れますが、何の動揺も見せない妻。
・・・・さては返り討ちか・・・
部屋には無くなっているクッションと百科事典が一冊。硝煙反応のトリックか。
でも、なんかありきたり・・・
葬式でも、死んだ田橋の妹が、
「兄はあの女に殺された。いいようにこき使われて。」と、まるで蟷螂のようだとなじります。
でも、花の里で美也子が一年に一度は二人で温泉に行く、おしどり夫婦に見えたと語ったときから、だいたいすべてが見えてしまいました。
鑑識の米沢さんが静流のことを語り、また彼女も苦しそうな顔をして、薬を飲んでいたりしたら、動機やらなにやら細かいところまでまるわかりです。
確かに変わったというか、凝った内容だと思いましたが、ミステリーとしては親切すぎたような気もします。もっと最後のほうで吃驚してみたかったかもしれません。
でも物足りなかったかと言うと、そうではありません。多分、それが狙いだったのだと思いますが、この二人の「愛の物語」には、私はぐっと来ました。
田橋が自分の胸を撃つ前に言った
「君のいない世界を思うと耐え切れない。」と言うセリフで、思わず涙が出そうになりました。
とその時、忘れ物を取りに来ただんなが(仕事場が近いが、途中で帰ってくるなんて10年に一度)
「おい、『相棒』で泣いてちゃ、涙がもったいないぞ。」と言いました。
いいところなんだから、早よ、仕事に行けと心の中で思いながら、だんなが仕事に行っている間、こんなことばかりしているのかと疑われたかもしれないと、気になりました。・・・まあ、そういうときもありますが・・。
でも自分の命を懸けて、がんで死んでいく妻に最後の一作を書かせるなんて、出来る事ではありませんよね。そして妻も、悲しい気持ちを押し殺して、夫の死が無駄にならないように、クールに書き続けるなんて・・・・
そして完成した彼女の遺作「蟷螂たちの幸福」でした。
でも、売れているその様子を見て、文句言っていた妹にはお金が入って万々歳、なんてくだらないことを考えてしまいました。
でも、この愛、かなりお騒がせな「愛の形」だったかもしれませんよね。
2010,8,17追記
私も、昨日の再放送で久しぶりにこの作品を見ました。やっぱり、この作品好きです。ずっと笑顔なく重厚な雰囲気だった妻の、書店に張られていたポスターの微笑が、満足の気持ちを表していて素敵でしたね。