flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

百貫島

2009-10-03 00:00:13 | 海道・みなと
(弁天島 広島県福山市鞆町弁天島)
 仙酔島への渡船の途中に堂宇の建つ小さな島が見える。その堂宇に弁天が祀られているため弁天島と呼ばれ、正保元年(1644)に再建された弁天堂と、文永八年(1271)銘の石塔婆がある。
 百貫島の名の由来に次の伝説がある。
近江国の正道という武士が、広島の厳島神社参詣の途中に鞆に立ち寄り、弁天島近くで太刀を落としてしまった。正道は鞆の住人達に「引き上げてくれた者には銭百貫を与える」と言ったが、住人達はフカ(サメ)のいる海には入りたがらず、引き受ける者はいなかった。正道は、「この地には勇気のある者はいないのか」と罵った。そこで一人の若者が、「鞆の者達を悪し様に言われては、命をかけて取りに行くほかない」と海に入った。然し、太刀を拾い上げた代わりに下半身をフカに食いちぎられ命を落とした。正道はこれを悔み、百貫で十一重の石塔を建て若者を供養したという。その石塔が現在残る、九重の石塔婆であるという。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする