眼下に金峯山寺が望められる、上の千本の猿引坂を下っていくと町並みが現れる。そして、突如大勢の人が現れ始めた。辺りの店の人曰わく「店が並んでいるからここだけ人がいるだけです。桜の時期が過ぎればパタリと人がいなくなりますよ」とのこと…。私は買い物三昧よりも、この場の雰囲気を吸収したくあったので、颯爽と通り過ぎながら、付近に漂う精気と業を掻き分けながら進んだ。
櫻本坊は大峯山の護持院であり、金峯山修験本宗の別格本山である。天智天皇が創建したとされ、明治の神仏判然令以前は金峯山寺境内にあって蜜乗院と称していた。
如意輪寺を遠くに望みながら宮坂を下ると、多聞天の垂迹(すいじゃく:神仏の出現)、仏法護持、国家鎮護の首鎮といわれた勝手明神勝手神社が鎮座する。
(如意輪寺)
少し道をそれると吉水神社がある。神仏判然令以前は金峯山寺の僧坊吉水院であった。後醍醐天皇の玉間と源義経が潜居したと伝えられる重要文化財指定の書院がある。