ごめんくださ―い
「夕方でかけますよ」
「じゃ、そのときうかがいます」
「留守のうちはねーのかよー」「こんにちはー」「ぶっそーですよー」「お留守ですかー」
「いない!?」「いない!」「いないとわかったら落ち着け!」……
空き巣狙いだ。桂文朝「できごころ」と言っていた。
願えばかなう運の良さ。偶然にもつけていたラジオから、落語の放送だった。
「…あっ、いけねー、草履おいてきちゃったよ」と終わった。
次は3代目三遊亭金翁?「三軒長屋」。聞き出したら電話がかかってきた…そこまで。
思い出す事がいっぱい。
夕方、私と入れ違いに学校から帰宅した息子。10年ほど前になるだろうか。
自転車を奥に入れようとすると、一人の男が何食わぬ顔ですれ違い、外へ出ていったという。
「おばあちゃん、今誰か来てた?」「知らん」 !!!
東の小門から外へ走り去る姿。後を追う。西の大門の後ろに回り込む。両の足首から下だけが覗いている。
こんな情景はもう沢山。もういい!何もなくてよかった、それだけだった。
思いっきり逃げ去ったという。
先がピンととがった、まっ白いエナメル靴をはいた男。押し売りだった!下へ下りずに上から応対に出たのだが、すでに腰を下ろし、箱を開けている。何?!選手交代、すぐに婆さまを呼びに行く。
「若いもんに聞かんと…」、お帰りいただけた。
「何か食べるものを分けて欲しい」。我が家の夕食後、さて…、選手交代。折りに詰めてお引き取り願う。翌朝、隣のお地蔵様の前に空っぽになって置いてあったと聞く。
キリスト教の布教に見える女性連れ。どういう神経なのか、即刻お断り。「ご苦労様でした~」。
いつ誰が見えるかわからない。どこもかしこもあけっぱなしの昔昔。
玄関をあけ内の戸をあけ、どんどん奥まで。勝手よく知る方は上がって見える。
「鍵をかけない」、このため、いったいどれだけの珍客を迎えたことだろう。
しかし、たとえ鍵をかけたとて、お断りできないお客様。
本堂、大屋根の上を、青光りしたものがふ~~っと横切られるのだそうな…
(…御不幸があります、帰ってこられるんだと、前の家のお婆さまが)。私どもには見えません。
空き巣にご用心。戸締りは早めに。命あってのものだねです。
幸い失ったものはない。
「夕方でかけますよ」
「じゃ、そのときうかがいます」
「留守のうちはねーのかよー」「こんにちはー」「ぶっそーですよー」「お留守ですかー」
「いない!?」「いない!」「いないとわかったら落ち着け!」……
空き巣狙いだ。桂文朝「できごころ」と言っていた。
願えばかなう運の良さ。偶然にもつけていたラジオから、落語の放送だった。
「…あっ、いけねー、草履おいてきちゃったよ」と終わった。
次は3代目三遊亭金翁?「三軒長屋」。聞き出したら電話がかかってきた…そこまで。
思い出す事がいっぱい。
夕方、私と入れ違いに学校から帰宅した息子。10年ほど前になるだろうか。
自転車を奥に入れようとすると、一人の男が何食わぬ顔ですれ違い、外へ出ていったという。
「おばあちゃん、今誰か来てた?」「知らん」 !!!
東の小門から外へ走り去る姿。後を追う。西の大門の後ろに回り込む。両の足首から下だけが覗いている。
こんな情景はもう沢山。もういい!何もなくてよかった、それだけだった。
思いっきり逃げ去ったという。
先がピンととがった、まっ白いエナメル靴をはいた男。押し売りだった!下へ下りずに上から応対に出たのだが、すでに腰を下ろし、箱を開けている。何?!選手交代、すぐに婆さまを呼びに行く。
「若いもんに聞かんと…」、お帰りいただけた。
「何か食べるものを分けて欲しい」。我が家の夕食後、さて…、選手交代。折りに詰めてお引き取り願う。翌朝、隣のお地蔵様の前に空っぽになって置いてあったと聞く。
キリスト教の布教に見える女性連れ。どういう神経なのか、即刻お断り。「ご苦労様でした~」。
いつ誰が見えるかわからない。どこもかしこもあけっぱなしの昔昔。
玄関をあけ内の戸をあけ、どんどん奥まで。勝手よく知る方は上がって見える。
「鍵をかけない」、このため、いったいどれだけの珍客を迎えたことだろう。
しかし、たとえ鍵をかけたとて、お断りできないお客様。
本堂、大屋根の上を、青光りしたものがふ~~っと横切られるのだそうな…
(…御不幸があります、帰ってこられるんだと、前の家のお婆さまが)。私どもには見えません。
空き巣にご用心。戸締りは早めに。命あってのものだねです。
幸い失ったものはない。