京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

人肌よりは熱燗で

2008年10月10日 | 日々の暮らしの中で
   人肌というはむつかし温め酒   瀧春一

旧暦九月九日は、寒暖の境目とされ、酒を温めて飲むと病にかかることがないとの言い伝えがあり、この日から酒は温めて飲むものとされていた―と記されてもいます。

肌寒さが感じられる夕べが多くなれば、いよいよ、です。

“人肌”よりは熱燗で。

やかんに湯を沸かし、徳利を入れて…、底に指先を当て…、熱さをさぐります。
レンジでチン、は風情がありません。そして小さなお猪口で!
プンと鼻を突くあの香気とともに、さかずきを重ねるのです。至福の時!?です。

浮世絵みたいで一緒に飲むのが好きだといわしめ、よくお声がかかりました昔昔。
若干意味不明でもあるのですが、飲んでいる姿が気に入られていたようです。
決して淫らなんてことはありません。飲めども飲めども顔に出ませんし、“酔っぱらう”ということはありませんでしたから。ちょっと足元が…おかしい?そして匂いプンプンどまりでした。
(「酔っぱらって帰ってくるな」、この父の言いつけに従おうとした結果でもなく。)

法事後。
コップ1杯のビールでひっくり返っている家人に代わり、若く美しい(確かにそんな時期はあったと思うのですが)私がお相手を。皆さんどれほど喜んでくださいましたことか。仏罰が下ることもありませんでしたから、これまたお喜びかと。
飲めない体質は娘に継がれ、幸い私と息子のつながりは濃いものとなりました。

種々のお祝い事も多い季節、秋。
好きな音楽とおしゃべりに添えられるお酒も。
親しい人と語らいながら、時に大勢で賑やかなお酒もいいものです。
独りもいいし。

お酒の好みはそれぞれですが、手を高くかかげて喜びを交わし合う瞬間に立ち会えるのも良いものでしょう。
あれから何年…、10月10日は夫婦の盃を交わした日。自由の境地は、そんな日さえ忘れてしまいそう。

「オクトーバー・サプライズ」
予期せぬ驚きが、ぜひ喜びの形でやって来てほしいものです。

秋の夜長、お酒の香りに包まれて…。




コメント (5)
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