両脇に立ちはだかる緑の壁は私の想像以上だった。それは私を圧倒し、神秘的ですらあった。以前からぜひ一度行ってみたい!と思っていた支笏湖・苔の回廊だったが、その思いを果たした今、満足感でいっぱいである。
支笏湖には「苔の洞門」という名所があったが、崖崩れがあり閉鎖されてしまい、まだ訪れていなかった私は残念な思いをしていた。しかし、近年それに代わる「苔の回廊」が注目を浴びてきていた。それを知って「いつか行ってみたい」と思っていたのだが、今日ようやくその思いを果たす機会がやってきた。
車で自宅から1時間半、支笏湖畔を過ぎ美笛峠方向に向かい、モーラップキャンプ場入口から4番目の橋「紋別橋」を目ざした。「紋別橋」を見つけ、周辺に車を駐車するところを探したが、運良く橋の近くに駐車するスペースを見つけることができた。
※ 幸い「紋別橋」の近くに駐車スペースを見つけることができました。
「紋別橋」には「楓沢(からさわ)」と書かれた看板がかかっていた。そこから足跡をたどり橋の下へ降りていく。すると、まったく水が流れていない川底を上流に向かってトレッキングが続くことになる。けっこうな幅のある川底だが、何らかの理由によって涸沢となったのだと思われる。砂地の川底を歩くというのはなんだか不思議な感じがした。
※ 何の変哲もない「紋別橋」です。見落とさないよう気を付けねばなりません。
※ 橋の欄干にはこのように「楓沢」という表示がありました。
※ 「紋別橋」のところから沢に下りると、写真のような川床が続いていました。
上流を目指すトレッキングを始めて5分が過ぎたころから徐々にその雰囲気が出てきたが、まだまだ本格的なものとはいえなかった。
※ やや雰囲気が出てきましたが、まだまだです。
15分後だった。両側に岩石の壁が現れてきた。いよいよ「苔の回廊」の始まりである。もう説明は不要である。私はため息をつきながら、次々と現れる緑の壁を写し続けた。
※ いよいよ第一の回廊の始まりです。川床が第二より広いのが分かります。
※ 苔とともに規制する幼木が生えているところもありました。
※ 徐々に川床の幅が狭まってきました。
※ 前進が阻まれ、第一の「苔の回廊」の終点です。
苔の壁に近寄ってみると、比較的長く伸びた苔は黄土色かかっていた。一方、短いものはきれいな緑色をしていた。それは誕生してからの時間を表すのだろうか?それとも種類の違いを表すのだろうか?門外漢には分からない。
※ 丈の長い苔です。やや黄土色がかっています。
※ こちらは別の種の苔だと思われます。鮮やかな緑色です。
また、一部に苔がはがれているところがあった。そこをよく見てみるとさらさらとした砂状のように見えた。専門家がいうには、支笏火山がもたらした溶結凝灰岩というものらしい。私が見たのはそれが崩れたものらしい。その溶結凝灰岩が長い年月の中で水流などによって削られたのが現在の「苔の回廊」となっているそうだ。
※ 苔が剥がれたところに溶結凝灰岩が顔を出しました。
「苔の回廊」巡りを続けて約15分。行く手が塞がれた。これで第一の「苔の回廊」は終わりである。
そこからさらに左手に回り、ちょっと大変な崖を乗り越えて第二の「苔の回廊」を目ざした。完全に尾根を越えて、また下ったのだから、第一の沢とは別の沢に入ったようだ。
※ 第一の回廊から左手の沢を上ります。
※ さらに沢から尾根に向かって急斜面を登ります。写真上の隙間のところが尾根です。
約20分かけて第二の「苔の回廊」に入った。こちらもまた見事な回廊が私を出迎えてくれた。ただ、第二の回廊の方はルートが第一よりは厳しく、岩を登ったり、越えたりとやや厳しいルートだった。こちらは約10分程度だったろうか?ついに終点となった。
※ 第二の「苔の回廊」の始まりです。
※ 第一の回廊に比べて川床が狭くなっています。
※ 前進を岩が阻みます。岩の苔の表面が剥がれています。
※ 写真の岩に横たわった木を伝って上へと進みます。
※ 岩から剥がれて岩石の表面にも苔が張り付いています。
※ 第二の「苔の回廊」の終点です。
終点とはいえ、ルートは続いていた。というのも、このルートは樽前山、風不死岳の登山ルートになっているとのことだった。
私はここまでで目的を達したので、来たルートを折り返した。土曜日だったので、多くの人出があるのではと予想したが、思っていたほどではなかった。(出会った人は約20人?)
行動時間約1時間30分、満足満足の1時間30分だった。なお、第二の回廊はやや厳しいが、第一の回廊だけだと足元がスニーカーでも耐えられそうだし、体力的に自信のない人でもなんとかクリアできるのではないかと思われた。