6月の初めから取り組んできた札幌市の50,000㎡以上の21ヵ所の「都市緑地」めぐりを先日終えることができた。その結果、「都市緑地」と言ってもさまざまなタイプがあり、簡単に一括りにはできないことが判った。そんなあれこれを振り返ってみたい。
そもそも「都市緑地」とは何ぞや?という問題がある。そこで法的根拠を調べてみた。すると日本では1973(昭和48)年に「都市緑地法」なるものが制定されている。それによると「都市緑地法は、都市において緑地を保全するとともに緑化を推進することにより良好な都市環境の形成を図り、健康で文化的な都市生活の確保に寄与することを目的として制定されました。この法律には、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する制度等が定められています。」とある。その後、時代の変遷により細部の改変は行われてきているようだが、根本は変わっていないようだ。とすると、都市緑地とはかなりアバウトな概念であることが見えてくる。そのため、今回私が巡って歩いた「都市緑地」に様々なタイプが存在することがちっとも不思議でなくなってくるということになる。つまり、今ある都市の緑をむやみに開発することなく保全し、その緑でもって市民の健康と文化的な生活を確保することに寄与しようというわけである。
ということで、私は今回巡って歩いた札幌市の21の「都市緑地」を粗い分類ではあるが、次の4つのタイプに分けてみた。
◆第1タイプ《自然散策型緑地》
①清田緑地、②ハイテクヒル真栄緑地、③厚別南緑地、④天神山緑地、⑤東部緑地
※ 「ハイテクヒル真栄緑地」内の遊歩道の様子です。
◆第2タイプ《公園的緑地》
⑥石山緑地、⑦小金湯さくらの森緑地、⑧茨戸川緑地、⑨曙西緑地、⑩山口緑地、⑪あいの里・福移緑地、⑫豊平川緑地(豊平川雁来健康公園)
※ 茨戸川緑地の「集いの広場」の東屋と遊具です。
◆第3タイプ《河川緑地》
⑬新川緑地、⑭中の川緑地、⑮野津幌川緑地、⑯厚別川緑地、⑰豊平川緑地
※ 「厚別川緑地」の厚別川の流れです。
◆第4タイプ《どれにも属さないその他の緑地》
⑱荒井山緑地、⑲青葉緑地、⑳もみじ台緑地、㉑丘珠空港緑地
※ 「丘珠空港緑地」のランニングロードを走るランナーです。
これらのタイプの分類、あるいはそこに属する緑地の分け方が的確かどうかは分からない。ただ、私が便宜的に分けたものと受け止めてほしい。
第1の《自然散策型緑地》と第2の《公園型緑地》とは、自然をそのまま生かしたもの《自然散策型緑地》と、自然の中に人工的な工作物がおかれたもの《公園型緑地》に分けてみた。私の好みとしては《自然散策型緑地》の方がより好ましいと感ずるが、《公園型緑地》も緑を活かした緑地の造成が図られていると感じた。
第3のタイプの《河川緑地》は難しい問題を抱えた緑地なのかな?と感じた。それはとりもなおさず、河川が大雨や増水時の対策を抱えながら、市民の健康・文化的生活要求にも応えねばならないという点である。そのためもあってだろうか?豊平川以外は河川敷の遊歩道や堤防上から川面を見ることがほとんどできないことが残念だった。市民が散策する際に水面が見えることでどれだけ癒されることか…。難しい問題なのだろうか?
第4のタイプは難しい。⑱荒井山緑地はジャンプ台を維持するためだけの緑地に映った。⑲青葉緑地は崖地のために人が立ち入れるところは僅かだった。⑳もみじ台緑地は対象緑地が分散しているため緑地としての性格を掴みづらかった。㉑丘珠空港緑地は市民が健康づくりをしたり、憩ったりするには最適の緑地だったが、《自然散策型緑地》にも《公園型緑地》にも属さないタイプと思えたので、やむを得ずこのタイプに属したが、市民にとっては素晴らしい緑地の一つだろう。
以上、ざーっと振り返ってみたが、緑地とはいっても広義的には「公園」の一つである。市民が健康的・文化的生活を享受する場としてますます魅力ある場所として存在し続けてほしい。札幌には「都市緑地」と称するところが、今回私が訪れたところも含めて126ヵ所も存在するという。50,000㎡以下の都市緑地の実態はどうなのだろうか?興味はくすぐられるものの、それらを訪れることは難しいかなぁ…、というのが本音である。