田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

聖火の炎は消えて…

2021-08-09 19:08:38 | スポーツ & スポーツ観戦

 7月23日、聖火台に炎が灯され以来17日間にわたる若人たちのスポーツの祭典は昨夕聖火の炎が消えると共に静かにその幕を閉じた。賛否両論が渦巻く異例の形での開催となった東京オリンピックだったが、私なりに今オリンピックを振り返ってみたい。

  

  ※ 聖火の炎は消え、聖火台の扉は閉じられた…。

 まず今大会のデータを記録しておきたい。参加した国・選手数は205の国・地域から約11,000人の選手が参加し、史上最多の33競技、339種目が実施されたという。

 大会前、開催の是非を巡り世論は揺れ動き、さらには無観客での開催と異例づくめでの開催となり「果たして大会は無事に運営できるのか?」と憂慮されたが、運営スタッフ、ボランティアの懸命な努力に支えられ無事に閉会を迎えられたことに安堵したい。

 開催の是非云々については、大会中にも投稿したように「開催中止という選択肢はなかった」と思う。ただ、1年延期を決めた際に2年延期論も出ていた中、1年延期という結論を出す際に医学的・疫学的見地から十分な検討が加えられたのかどうか?人類が初めて遭遇するコロナウイルスだけにもしあと1年先だったら、という「たら、れば」がどうしても頭をもたげてしまう…。

 続いて無観客問題だが、これも開催を前提としたときやむを得ぬ措置だったろう。緊急事態宣言下での開催だからできうるかぎりの感染対策を取らねばならないことは当然のことといえる。ただ、私はその対策に反する行動を取ってしまったことについて指摘されれば返す言葉もない。

 こうした問題を内包しながら17日間の大会を開催したのだが、大きな事故や問題もなく無事に閉幕を迎えられたことは何よりだった。大会前、組織委員会の不手際が相次いで露見して大会運営に不安が募ったが、なんとか乗り切ることができたのは大会を下から支えた運営スタッフ、ボランティアに依るところが大きかったのではと想像される。この部分では日本の大会運営の底力を示せたのではと思っているのだが…。

   

   ※ 「東京五輪 テレビ放送スケジュール」表です。

 さて、ここからは大会に参加した選手たちに思いを馳せてみたい。私は大会期間中、新聞が発行した「東京五輪 テレビ放送スケジュール」表と「五輪日本選手団名簿」を常に脇に置きながらオリンピック放送に熱中した。その「五輪日本選手団名簿」によると日本の選手団は総数538人だったそうだ。(監督・コーチ・役員などは含まず)今大会の日本選手団の活躍は目覚ましかった。これも記録として残す意味から表記すると、金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個、総数58個と過去最高だったそうだ。メダリストたちはメディアにも露出しヒーローとして讃えられ、私たちもその活躍に拍手を送り続けた。しかし多くの選手たちは健闘むなしく敗れ去り、メディアにも登場することなく静かに退場していった。しかし、538人の一人一人は日本の各分野における第一人者であることには疑いがない。一人一人は厳しい国内予選に勝ち残り、オリンピックという晴れ舞台に出場することができたオリンピアンである。彼らの多くは、彼らの人生を賭けての挑戦だったことは間違いない。昨日、男子マラソンで第6位に入賞した大迫傑選手が「100点満点の頑張りができた。やり切った」とメダルに届かず涙しながらも胸を張った。目標に届かなかった多くのオリンピアンにとっても思いは同じだったろう。大迫選手同様、オリンピアン達は懸命の努力を傾注してオリンピック本番に臨んだのだ。そうした選手たちの努力の結晶がオリンピックという舞台だった。私たちはそうした選手たちの努力の結晶を目の当たりにするという幸運に出会えたと思っている。

   

   ※ 「五輪日本選手団名簿」の一枚です。(2枚構成)

 そのことに喜びつつも、半世紀を経て2度目に開催された東京オリンピックがコロナウイルスのパンデミックと遭遇するという不運に見舞われたことが残念でならない。

 しかし諸外国の反応を見ると、フランスのオリンピック組織委員会の会長は「コロナ禍に直面しながら適応する能力を示した」と評価し、アメリカの女子体操選手は「日本人は私がこれまで出会った中で最も優しい方々です」と感謝の言葉を発したり、悪名高き韓国のマスコミが「夏季・冬季通じて4度目の五輪を行った先進国らしく、大会運営では合格点を受けるに十分だった」と報じるなど、総じて高評価が多いと感じた。

 コロナ禍の対応に終始しなければならなかった今大会において「お・も・て・な・し」は十分ではなかったかもしれないが、大会に参加した選手・関係者が日本に好印象を抱いて帰国されたこととしたら、それが今大会の最大の成果だと私は思いたい…。