田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 キネマの神様   №317 

2021-08-11 20:38:17 | 映画観賞・感想

 およそ一年ぶりの映画館のスクリーンでの観賞である。やっぱり大スクリーンで映画の中にどっぷりと浸れるのが嬉しい。山田洋二監督らしい優しさ、温かさに満ちた人情味溢れる作品を堪能した。

       

 本日(8月11日)午後、ユナイテッドシネマ札幌において山田洋二監督の「キネマの神様」を観賞した。この映画は以前からぜひ映画館で観賞したいと思っていた。コロナウイルスの感染が心配される状況は続いているが、状況を伺うかぎりコンサートなどよりは客同士のディスタンスは保たれているようだったのでそれほど心配なく映画館に向かった。映画館の場合は座席を指定できるので、私はあまり他の人が選ばない前の方の席を指定したところ、傍には一人の姿もなく安心して観賞することができた。

 映画は50数年前、映画監督を夢見た円山郷直(沢田研二、菅田将輝のダブルキャスト)の希望に満ちた若いころの夢と恋を描きながら、初監督作品においてその繊細さのため、小心ゆえに失敗し、志を果たせず映画界から去りギャンブルに明け暮れ荒んだ生活をしている今とを交互に織り交ぜながら描いていく。

   

 郷直の現在は、当初コメディアンの志村けんが演ずることになっていたのが、コロナウイルスに感染し亡くなったために、志村の知人だった沢田研二がその役を代わって演じたそうだ。そうしたことが背景にあったためだろうか、山田監督はラグビーWC東京大会やコロナウイルス感染症が拡大するという時代背景も巧みに取り入れながら映画を進行させている。

   

 沢田研二は役になりきり79歳のダメ爺さんを好演していたが、志村けんだとどのように演じただろうかと想像すると、沢田よりはよりリアリティーのある役を演じてくれたのではと思ったところもあった。

 さすがだなぁ、と思わせてくれたのは宮本信子である。彼女は郷直の妻淑子(永野芽都、宮本信子のダブルキャスト)の現在役を演ずるのだが、若いころを演じた永野芽都のかわいらしさを失わず、健気な妻の役を見事に演じていた。さすがにベテランの味である。

   

 また、郷直の初監督作品で主演を務めることになっていた映画女優桂園子(北川景子)も郷直を密かに愛していた人として重要な役どころを演じているが、その美しさが際立っていた。

 映画は最後に「キネマ(映画)の神様」を信ずる郷直に思わぬ幸運が巡ってくるのだが、それはぜひ映画館で直接確認いただきたい。

 やはり映画は映画館の大スクリーンで観てこそ、その良さに浸れるものということを再確認できた、久しぶりの映画「キネマの神様」だった。

 この映画は松竹映画会社創立100周年を記念しての制作だというが、山田洋二監督は当年89歳という高齢だという。山田監督の味が十分感じられた映画であったが、はたして次なる作品はあるのだろうか?私は次作が世に出ることを望みたいのだが…。