世界の若手音楽家が札幌に集い、僅かな期間を経て見事なアンサンブルを聴かせてくれた。改めて楽譜(音符)という共通言語の持つ可能性の大きさを感じさせてもらった昨夜の清田区公演だった。
昨夜(7月21日)、札幌国際大学総合情報館シアターにおいて「PMFアンサンブル清田区公演」が開催され参加した。
会場のシアターは定員が3~400名が収容できそうな立派なホールだったが、8割程度が埋まっていたように思われた。
演奏は世界各国から集った14名の若手音楽家が4つのグループに分かれて演奏した。出身国を見ると、キューバ、ノルウェー、カナダ、ポーランド、オーストラリア、ベネズエラ、中国、そして日本と実に多彩な顔ぶれだった。
演奏された曲目と作曲者、そして奏者は…、
◆三重奏曲 ハ短調 作品87 / ベートーヴェン
(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ)
◆ヴァイオリン四重奏曲 / バツェヴィチ
(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン)
◆ヴァイオリン二重奏曲 ト長調 作品3-3 / シュポア
(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン)
◆セレナーデ第13番 ト長調 K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
以上4曲が演奏されたのだが、特に私にとって印象的だった曲は2曲目のバツェヴィチの「ヴァイオリン四重奏曲」だった。曲の出だしから私の耳には不協和音的な音が聴こえてきたのだ。私は思わずプログラムの片隅に「なんとも不協和音的な調べが…」とメモしたほどだった。このことはどう考えたら良いのだろうか?私は次のように考えたのだが…。
作曲者であるバツェヴィチは実験的、挑戦的な曲作りに挑んだ曲だったのではないのだろうか。つまり、和音が崩れるギリギリのところを狙った曲づくりをしたのではないだろうか、と…。そうした曲に若手音楽家である彼女たち(4人とも女性奏者だった)も意欲的に挑戦したのではないだろうか?音楽に関しては全くの素人の私はそんなことを考えた。
この曲も含め、ステージに登場した若手音楽家たちは僅かな調整期間の中でそれぞれが見事に調和した音を披露してくれた。このことはPMFに集う若手音楽家たちがすでに相当なレベルに達した音楽家たちであるということである。その彼らが楽譜を前にしたとき、そこには何の障害もないということなのだろう。あの音符、記号は世界共通語なのだということを改めて教えられた思いである。
高いレベルで世界共通語を自分のものにしたPMFアカデミー生の音をこれからも楽しみたい。