オホーツク海に伸びる野付半島は特異な半島である。砂が堆積してできた半島は今にもちぎれてしまいそうなほど心細い地形である。その内海の尾岱沼(野付湾)はホッカイシマエビが特産で、それを捕獲するための「打瀬舟」という伝統的な帆船で行われる漁が有名である。
野付半島
野付半島は本当に特異な地形である。全体像はドローンなどを使って上空からその形状を捉えねば把握できない。そこでウェブ上からその写真を拝借した。
野付半島は沿岸流の影響で砂が堆積してできた “砂嘴” であるが、その延長は約28kmと日本最大といわれている。車が通れる道路は根元になる国道244号線から別れ道々950号線の「フラワーロード」と称される道路が17.7km伸びているが、その途中15km地点に「野付半島ネイチャーセンター」がある。
私は8月15日午前に訪れたのだが、私にとってはずーっと以前に訪れてから(それが何時だったか思い出せない)2度目の訪問だった。国道244号線から道々950号線に入って、まず目に入ったのが野付湾側ではなくオホーツク海側に見えた「国後島」の島影だった。その距離の近さに改めて驚いた。
※ 雲一つない晴天ではなかったのですが、「国後島」の島影が眼前に見えました。
次はフラワーロードの中ほどにある「ナラワラ」だ。ちょっと離れた位置であるが、主としてミズナラの木が立ち枯れている様子を見ることができた。
※ 「ナラワラ」の光景です。やや遠いのですが、立ち枯れたミズナラの木が見えます。(下の写真も)
そして「野付半島ネイチャーセンター」の先に広がる「トドワラ」である。「トドワラ」はネイチャーセンターから散策路が設けられている。私はその散策路を巡る前に、ネイチャーセンターのところからさらに先に2kmほど延びている道路の終点まで行くことにした。
※ 「野付半島ネイチャーセンター」の建物です。
※ センターの横に立てられていた「野付半島」の石標です。背景は尾岱沼(野付湾)です。
※ 「野付半島と打瀬舟」が北海道遺産の登録されたことが大きな看板で説明されていました。
舗装道路が切れているその先にも道路は続いていたが、そこから先は関係者以外は立入禁止となっていた。
※ 車の交通止めの先は、野付半島の先端部分がまだまだ先へと延びていました。
戻って、ネイチャーセンターのところから「トドワラ」に向かって約1.5kmの散策路を歩いた。途中、エゾシカが十数頭群れになって散策路の近くに佇んでいた。人慣れしているせいだろうか、私たちにまったく動ずることなく佇んでいた。その群れは、私が「トドワラ」の先端まで行った帰りには、移動して尾岱沼(野付湾)の浅瀬に移動していた。立派の角を付けた多数のシカを見るのは初めてだったが、あるいは天敵がいないために伸び伸びと生きているのかもしれない。
※ ネイチャーセンター横から「トドワラ」に伸びる散策路です。
※ 角を戴いたオジカをこれほど近くで複数頭目にしたのは初めての経験です。
※ トドワラからの帰路の際、シカの集団は尾岱沼の浅瀬を移動していました。
「トドワラ」の先端は木道になって水際近くまで延びていた。その先端からは立ち枯れたトドマツの枯れ木が数本立っていた。
※ 遊歩道の先端には、「トドワラ」の標識がありました。
※ 遊歩道に続いて、木道がトドワラの先端に続いていました。
※ 木道の先端から見た光景です。満ち潮の時には辺り一帯が水面で覆われるものと思われます。
※ 木道の先端からわずかに残った立ち枯れのトドマツがありました。
※ 砂嘴がまだまだ伸びています。
私が以前に野付半島を訪れたのがいつだったのか思い出せないのだが、「トドワラ」の風景が当時とはかなり変わっている印象を受けた。というのは、当時は散策路を歩くことなくトドマツなどが立ち枯れた特異な風景が道路際からたくさん見えたように記憶している。沿岸流の流れによって “砂嘴” の形状が変わり続けるとともに、立ち枯れるマツなどの様子も変化しているようだ。
打瀬舟(うたせぶね)
「打瀬舟」は野付半島のもう一つの名物なのだが、今回もその光景を目にすることはできなかった。尾岱沼(野付湾)はホッカイシマエビの名産地として知られる。湾内は水深が1~3mと浅く、そこにシマエビのすみかとなるアマモが密生しているという。浅い海で漁をする漁船はスクリューでアマモを傷つけないように帆を上げて漁をするという。その光景が情緒的ということで人気を呼んでいる。ところがその漁期が6月中旬から一か月と10月中旬から一か月に限られている。残念ながら今は休漁期ということで、その光景を目にすることは叶わなかった。
※ この光景を見たかったですねぇ~。
その様子を写した写真をウェブ上から拝借して掲載することにした。