チェロとパイプオルガンの音域が意外に近いことに驚いた。時にはどちらの楽器の音なのか迷う場面もあった。気鋭のチェロ奏者・山田慶一さんの音をじっくりと拝聴した11月の昼休みコンサートだった。
札幌北一条教会の昼休みコンサート「秋季シリーズ」の第3弾が昨日(11月2日)お昼に開催された。今回のゲストはチェロ奏者の山田慶一さんと、オルガン奏者の工藤羊子さんのデュオだった。
演奏された曲目は次のとおりである。
◇ F.クープラン/5つの演奏会用小品
1.前奏曲 2.シシリエンヌ 3.ラッパ 4.嘆き 5.悪魔の歌
◇ A.ヴィバルディ/チェロソナタ第5番 ホ短調 RV40
◇ F.シューベルト/万霊節のための連禱
以上の3曲だったが、1曲目、2曲目がそれぞれ5楽章、4楽章構成となっていたために全体としては予定時間を超えるコンサートとなった。
チェロ奏者の山田慶一さんは北海道出身の方ではないが(長野県出身)、2011年に札幌に移住し自らの演奏活動と共に、チェロ教室を開設したり、北海道教育大学の非常勤講師を務めたりして後進の指導にも当たっている方である。山田さんについては9月21日の札幌交響楽団のコンサートでチェロのソリストを務められたのを聴いた経験があったが、その力量は折り紙付き。どの曲もオルガンとのアンサンブルも素晴らしく時に重厚に、時に軽やかに確かな演奏を聴かせてくれた。
※ チェロ奏者の山田慶一さんです。
演奏された3曲はいずれもそれほどメジャーな曲ではなく(?)、私にとっては初めて聴く曲ばかりだったが、7~80名が詰めかけた他の聴衆も同様だったようだ。1曲目が5楽章からなっていたのだが、4楽章と5楽章の切れ目が今一つ分かりづらかったことから、なんと1曲目の演奏が終わっても拍手はなく2曲目に移ってしまった。(演奏者に申し訳なかった)
そうしたこともあり2曲目はしっかりと拍手しなければ、と聴き耳を立てた。ヴィバルディのチェロソナタはとても聴きやすい曲で、各楽章間も〈緩→急→緩→急〉とはっきりしていたこともあり、私は演奏が終了した後、率先して拍手を送ったのだが、私と一緒に拍手をされたのは数人程度でパラパラと拍手した程度だった。やはり1曲目で拍手しそびれたことで、皆さんちょっと気おくれしてしまったのかもしれない。
※ パイプオルガンの工藤羊子さんです。
それにしてもリード文で触れたように、チェロとパイプオルガン(正確には札幌北一条教会の中型のパイプオルガン)との音域が意外に近いことに気づかされた。時にはどちらの音なのか迷う場面もあったほどだったが、昼休みのひと時を心地良く過ごすことができた11月2日の昼休みだった。