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金平茂紀氏がウクライナ戦争を語る

2022-11-30 16:44:03 | 講演・講義・フォーラム等

 大手メディアのキャスター(TBS系「報道特集」) として権力に忖度しない発言が一定の支持を得てきた金平茂紀氏が来札し、ウクライナ戦争を、そして日本の政治状況を縦横に語った。

        

 11月27日(日)午後、金平茂紀氏「戦争をさせない市民の風・北海道」の招きで来札し、自治労会館で「ウクライナ戦争が問いかけるもの」と題して講演するのを聴講した。なお副題として「分岐点としての2022年-ウクライナ侵攻/安倍元首相殺害」と掲げての講演だった。

 金平氏は今年69歳になったということだがとても若々しく感じられるが、9月に金平氏の看板番組ともいえるTBS系の「報道特集」のキャスターの座を降りた。そして「特任キャスター」として長期の調査報道に軸足を移すことになったという。このことはこれまでより、より自由に発言できる立場になったということなのかもしれない。

   

   ※ 講演をする金平茂紀氏です。

 金平氏はまず、今回のロシアのやり方はけっして許容できるものではないということを前提としつつ、氏の思いを語った。その一つは「正義論」と「平和論」についてだった。日本はアメリカを旗頭としたロシアの不正義を追求する正義論に立っているが、ロシア側から言えばウクライナは元々がロシア帝国の一部であり、そこに居住するロシア系住民の保護を目的とした正義論に立って侵攻したことを主張している。(それが日本などから言わせたら、到底容認できない正義論ということになるのだが…)ここで金平氏は「平和論(=和平論)」に立って考えるべきではないか、と話された。(と私は解釈したのだが…)あるいは支援疲れも手伝って日本も早晩「平和論」が台頭するのではないか、とも述べられた。

 さて、近代を俯瞰してみた時、2022年は歴史的に見て大きな「分岐点」になるのではないかとも指摘した。奇しくも2022年は戦後77年にあたるという。そして明治維新後に日本が近代化の道に舵を切って(1868年)から太平洋戦争終結までも77年だったそうだ。

 また日本国内に激震が走った1972年から今年2022年はちょうど50年の時を経ているという。1972年がどのような年だったかというと、主な事柄だけを書き出してみると、◆日本赤軍の浅間山事件、◆沖縄返還、◆ベトナム戦争、◆テルアビブ事件、◆日中国交回復、などなど我が国や世界を揺るがす事件が多発した年であることが分かる。

 そして今年2022年は◆ウクライナ戦争、◆コロナ禍(今年だけではないが)、◆安倍元首相銃撃殺害事件、などやはり衝撃的事件が勃発している。金平氏はこの1972年から50年経った2022年にシンボリックな事件が頻発したことは、50年という時間の経過があるにも関わらずどこかシンクロ(共振)しているように思われるとも語った。金平氏は明言はしなかったが、2022年を契機に時代は大きく揺れ動いていくのではないか?と示唆したのではないか、と私は受け止めた。

 そうした激動した時代にあって、最後にメディアの果たす役割について言及された。金平氏は戦争(紛争)当事国のメディアは「自国にとって有利となる報道」、「勝つための報道」をすると明言した。現在のロシアやウクライナの報道を見聞きしていると頷ける点がある。そうした時、第三国のメディアこそ積極的に現場に赴き、真実を伝えるべきではないかと強調された。さすがに現場第一主義を貫いてこられた金平氏の言である。ところが日本のメディアは腰が引けてしまって多くのメディアはウクライナから引き揚げてしまって、メディアの原点である自らの目と耳、あるいは肌で取材するという基本が蔑ろにされているのではないかと嘆いた。

 前述したように金平氏はメディアの第一線から退いた形だが、まだまだ現場第一主義を貫き調査報道を続けるという。そこでの姿こそが後に続く人たちに対しての強烈なメッセージとなるに違いない。金平氏の報道ぶりをこれからも注目していきたいと思う。



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