プロのオペラ歌手が出演したり、音楽大学の先生がピアノ伴奏をしたり、地元の弦楽合奏団が演奏したりと多彩なコンサートだった。もちろん主役の青葉中学校合唱部の皆さんの演奏もレベルの高い合唱を披露してくれた。
どこにでも出没する私はとうとう厚別区にある市立青葉中学校の「春のコンサート」まで足を延ばした。というのも、客演の方々のお名前を見た時に「これは普通の中学校の合唱部のコンサートとは違うぞ!」と思ったからだ。
その客演の方々とは…、
◇鎌倉亮太さん(ピアノ伴奏)
鎌倉さんと云えば、大谷大学音楽学科の准教授であり、札幌市内のクラ
シック分野では大活躍されている方である。まず西区オーケストラの指揮
者を務められ、一昨年暮れにはオペラ「フィガロの結婚」のカバーキャス
トスペシャルコンサートで全曲の伴奏をされるなど、ピアノ奏者として現
役で活躍されている方である。
※ ピアノ伴奏で出演された鎌倉亮太さんです。
◇福田貴之さん(指揮者)
福田さんについて私は未知だったが、札幌市内はもとよりさまざまな合
唱団の指揮をされ、アマチュア音楽会では名の知れた指揮者だということ
である。
◇下司貴大さん(オペラ歌手 青葉中学校第22期卒業生)
下司さんはプロの歌手である。私は一昨年の3月、彼のステージを聴い
たことがあった。イタリアに留学され、そこで学んだ素晴らしいオペラの
曲を歌う下司さんの歌声を堪能したことがあった。
※ バリトンの下司貴大さんです。
◇山田結花さん(ピアノ伴奏)
山田さんは大谷大学音楽学科を卒業され、市内の各種コンサートに出演
されると共に、札幌大倉学園で音楽指導員として活躍されている方だと紹
介があった。
◇永倉駿さん(オペラ終業中 青葉中学校第36期卒業生)
永倉さんは現在北海道教育大学岩見沢校の音楽文化専攻の声楽コースに
学ぶ学生である。すでにさまざまな舞台にも出演され、将来が嘱望される
歌い手のようである。
※ テノールの永倉駿さんです。
さらには地元新札幌で活動している弦楽合奏団「アンサンブル弓」の
方々も出演するという多彩さだった。こうした素晴らしい方々が一中学校
合唱部のコンサートに集結したのだから遠方ではあっても駆け付ける価値
が十分にあったのである。
※ 弦楽合奏団「アンサンブル弓」の皆さんです。
しかし、なぜごく普通の(失礼)市立中学校合唱部のコンサートにこれ
だけの方々が集結したのか不思議だったが、私は合唱部顧問の佐藤真弓先
生の存在だとみた。佐藤先生はお見受けしたところ50歳代の方と見えた
が、おそらく市内の中学校で長く合唱指導をされていて相当に実績のある
方なのではと思われた。そうした過程で佐藤先生と交流のあった方々が佐
藤先生を慕って駆け付けたのではと思われた。実際に鎌倉、福田、下司さ
んのプロフィールの末尾には「チームMayumiメンバー」と記されている
ところを見ると日常から佐藤先生と交流があることを伺わせてくれた。
おーっとコンサートのレポをする前にずいぶん紙数を使ってしまった。
コンサートの方は5部構成となっていた。
◇第1ステージ「今年度のコンクールより」 青葉中学校合唱部
※ 現部員17名のステージです。
◇第2ステージ「下司貴大&永倉駿スペシャル☆オペラステージ」
◇第3ステージ「中学生企画ステージ~昭和そして令和へと歌い継がれる名
曲」
※ ユニフォームをTシャツに代えてリラックスした第3ステージでした。
◇第4ステージ「新札幌弦楽合奏団 アンサンブル弓」
◇第5ステージ「合同演奏」青葉中学校合唱部+下司貴大・永倉駿+アンサ
ンブル弓+青葉中学校合唱部OB・OG
このステージ名を見るだけでもその多彩さが伝わるのではないかと思われる。
現役の青葉中学校合唱部は卒業する3年生を加えても17名とやや少なく寂しさは隠しきれない感はあったが、佐藤先生の指導を得て少ないながら健闘していた。特に男子部員が6名も在籍しているのは特徴の一つかもしれない。第5ステージでOB・O Gが加わって40名となると聴き応えのある合唱となっていただけに、なんとか部員勧誘に力を入れてほしいと願わずにはいられなかった。
圧巻はやはり第2ステージの「スペシャル☆オペラステージ」だった。バリトンの下司さんとテノールの永倉さんが本格的なオペラを披露してくれたのには後輩たちも大いに刺激になったことと思われる。
「アンサンブル弓」の皆さんも女性を中心として20名ほどの皆さんがかなりの練習を積んで本番に臨まれたことを伺わせてくれる演奏だった。
最後の第5ステージはこの日の出演者が総動員の上に、合唱部先輩が加わり大音量でのステージとなった。最後の曲だったミュージカル「レ・ミゼラブル」より「民衆の歌」、そしてアンコールで披露された合唱の名曲「大地讃頌」は圧巻だった!
※ この日の出演者全員がステージに登場した第5ステージの様子です。
コンサートの最後に新3年生となる部長さんが「3年生部員が卒業し、部員は少なくなるが頑張りたい」と挨拶した。部員17名の中から7名の3年生が抜けてしまうようだが、現部員の人たちが頑張ってより多くの生徒を勧誘して今年以上のボリュームで活動されることを期待したい。そして来年も多彩な「春のコンサート」を開催してもらいたいものである。