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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 №334  クナシリ

2021-12-18 15:26:22 | 映画観賞・感想

 旧ソ連(現ベラルーシ)出身のウラジミール・コズロフ監督によるドキュメンタリー映画である。ナレーターも付けずに淡々とクナシリ(国後島)の現状を撮り続けるドキュメントは観る者にさまざまな思いを抱かせた。

  

 基本的に私はドキュメンタリー映像が好きである。事実を写し出すドキュメンタリーは、文芸のノンフィクションに通ずると思っているからだ。

 12月15日(水)午後、サツゲキにおいて標記映画を観賞した。この映画の存在を知ったのは、11月6日にサツゲキで「日高線と生きる」を観賞した際に、予告編でこの映画のことを知り「ぜひ観たい」と思っていた映画だった。

 映画はまずロシアの戦勝記念日(だと思うのだが…)の日にクナシリの中心地において日本軍が降伏した時の様子を島人たちが演ずるのを、島の人たちが見守っているシーンから始まる。それを観せられた時、この映画はやはりロシアのプロパガンダ映画だろうか?と思ったのだが、その後の展開を観るにつれてけっしてそうではないことを思い知らされた。

   

※ 映画の冒頭、島の人たちによって日本軍が降伏する様子を再現するパフォーマンスを島の人たちが見守るシーンから始まった。

 というのも、映像はクナシリの装った街中を写すのではなく、田舎の寂れた様子や戦争の残骸を見せたり、そこに暮らす老人や婦人に語らせたりするところを写し、クナシリの 裏も表も写し出そうとする監督の意思のようなものを感じさせた。

 老人はクナシリのインフラ整備の遅れを嘆き、日本の援助を望んでいるような口ぶりだった。また、初老の婦人は自らの生活の貧しさを語った。そして彼らは戦前に日本人と共に過ごしたころを懐かしがってもいた。

 彼らが住んでいるのはクナシリのどこらあたりなのか不明であるが、その光景は私が子ども時代に過ごした戦後間もなくの日本の田舎の光景を見ているようで、生活環境が整っていない現状を写し出していた。

    

※ クナシリのどこかは不明であるが、クナシリの現実を写し出した一つのシーンである。

 一方、クナシリを管轄する役所の役人は「クナシリを日本に返すことなど論外であり、       日本はクナシリをロシア(当時のソ連)に返上したのではないか」と明言した場面も写し出されていた。

 前述したようにドキュメンタリーでありながら、ナレーターは付けず、住民たちの言葉を挟みながら、クナシリの現状を淡々と写し出すことに終始した映像だった。

 北方四島の返還は日本の宿願であり、大きな外交問題である。しかし、戦後75年が経った今になっても問題は少しも進展していない。その間、ロシア国民が住み続け既成事実化が進んでいるのが現状である。

 非常に難しくデリケートな問題ではあるが、なんとか両国政府が歩み寄り平和的な解決策を見いだすことができないものかと思うのだが…。

 いつもは納沙布岬から国後島(クナシリ)を望む映像ばかり見せられるが、映画ではクナシリから知床連山を望む映像が新鮮に見えた…。

※ 掲載した写真は全てウェブ上から拝借したものである。           



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