田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

モエレ沼の水鳥たち モエレ沼探鳥会

2022-04-10 20:00:58 | 環境 & 自然 & 観察会

 なんともまったりとした観察会(探鳥会)だった。春らしい陽気の中、モエレ沼の周りをそぞろ歩きながら、北海道野鳥愛護会の会員の方たちが鳥の名を教えてくれ、バードスコープで鳥を見せてくれるといった探鳥会だった。

   

   ※ 橋の上からモエレ沼に生息する野鳥を観察する参加者です。 

 今日(10日)午前、北海道野鳥愛護会が主催する探鳥会がモエレ沼を会場に開催された。野鳥の観察について私は特に関心があるわけではないが、久しくアウトドアに出ていなかったこともあり、「探鳥会ってどんなものか?」という思いもあって参加してみることにした。午前9時30分、集まった参加者は会として今年初めての探鳥会ということもあり、会員を中心に40名を超える参加者だった。その中には もちろん私のような非会員のスポット参加の方もけっこういたようだ。

   

   ※ この日、私たちはガラスのピラミッド(星印のところ)から矢印の方向に巡り歩きました。

   

   ※ 何度も訪れているモエレ沼公園ですが、この角度から見るガラスのピラミッドは初めてでした。

 探鳥会ということで参加者たちの装備に特徴があった。多くの会員の方たちは倍率の高い双眼鏡を首からかけ、バードスコープを手にし、巨大な望遠レンズ付きのカメラを手にしていた。私はといえば、オペラグラスに毛の生えたくらいの倍率の双眼鏡と、望遠の倍率の低いカメラを持っていただけだった。

   

   ※ これから以降の野鳥は全てトリミングしたものです。カモの中の何という種かは分かりません。

 開会式で本日の探鳥会のコースの説明があり、モエレ沼に生息する水鳥を観察するとの説明があった。その後、特に班分けなどはせずにリーダーを先頭に三々五々連れ立って出発した。そこからはそれぞれ自然に出来た固まり毎に観察が続けられた。ところがモエレ沼の水面にはけっこうな数の水鳥は見えるのだが、あまりに遠いところにいるために私の双眼鏡やカメラでは鳥たちの違いが分からない。会員の方たちがバードスコープの焦点を合わせてくれて、時折り見せてくれるのだが私にはその種類の違いが分からない。後で知ることになるのだが、私が「カモ」と見る鳥だけで7種もあったというが、私にはその違いを見分けることはできなかった。そうしたこともあり、私がカメラに収めることができ、傍の会員の方に教えていただけたのは、「アオサギ」、「カワウ」、「ニコアイサ」、「キンクロハジロ」くらいだった。

   

   

   ※ 沼の中州で休む多数のカモの仲間たちです。

   

   ※ ピントを合わすことができなかったアオサギです。

   

   ※ 水面を飛び立とうとしているカワウです。

   

   ※ 水面で遊ぶニコアイサです。

   

   ※ 潜りが上手なキンクロハジロのつがいです。(白い方が雄、ねずみ色がメスだそうです)

 会員の方々は、機器を駆使しながら鳥を観察し、それぞれの知識を披歴し合い、自らの知識を広げていっているようだった。北海道野鳥愛護会の方々は、こうした探鳥会を数多く重ねながら自己研鑽されているように見えた。

 初めて参加した探鳥会で面白いと思われたのは、最後に「鳥合わせ」といって観察することができた鳥の種類を確認し合うことだった。これは北海道野鳥愛護会独自のものなのか、それともどこの探鳥会でも行われていることなのか、分からないがなかなか良い取り組みだと思われた。この日はスズメやヒバリを含め計33種が確認されたことが報告された。(さすがにカラスは野鳥に類別されていないようだ)

   

   ※ 水鳥の死骸を啄むカラスです。水鳥の毛を咥えています。

 今回、初めて探鳥会に参加してみて面白いとは思ったが、「今から自分の趣味とするにはちょっと時間がないかな?」というのが偽らざる感想である…。

   

   ※ 探鳥会の最後に「鳥合わせ」をしている参加者です。


頑張れ!北海道のプロスポーツ

2022-04-09 19:29:19 | スポーツ & スポーツ観戦

 日本ハムファイターズをはじめ、コンサドーレ札幌、レバンガ北海道と、どうも北海道のプロスポーツチームの成績が今一つパッとしない。全国の強豪チームと比べチーム力が劣っていることは否めないが、選手たちの頑張りで私たち道民に明るい話題を届けてくれないものか…。

     

 今年の北海道のプロスポーツチームの成績が振るわない。その象徴ともなってしまっているのが「北海道日本ハムファイターズ」である。本日の対楽天戦も試合前半で勝敗の帰趨が見えてしまったような戦いだった。これまでの成績はなんと2勝11敗と惨憺たる成績で、パリーグで断トツの最下位である。

   

 そして「北海道コンサドーレ札幌」も今年は今一つパッとしない。ここまで7試合を戦って、いまだ1勝もできずに対戦成績は6分1敗である。開幕以来引き分けが6試合続いていたうちは多少の希望もあったのだが、先日の対鳥栖戦では「あれっ?」と思うほど攻め込まれっ放しで0対4とサッカーの試合としては無残な負け方だった。順位もJ118チーム中16位に沈んでいる。

   

 さらに「レバンガ北海道」は今年も苦戦続きである。元日本代表で闘将とも称された佐古ヘッドコーチの就任で期待されたのだが、現在15勝29敗で東地区11チーム中9位と苦戦している。

 北海道の各チームが苦戦している要因については以前に言及したことがあるが、かなりはっきりしていることがある。それはコンサドーレ前社長だった野々村氏がいつも口にしていたことだが「資金力の差」である。プロスポーツの場合、選手たちは契約金の多寡によって所属チームを決めることが多い。ところが北海道では有力なスポンサーを見つけづらいという事情がある。そのことが特にコンサドーレやレバンガではチーム強化の足かせになっている。しかし、日本ハムの場合は少々事情が異なる。日本ハムの場合はあくまで経営の主体は親会社は(株)日本ハムである。(もちろん経営そのものは(株)「北海道日本ハムファイターズ」という形を取っているが、役員は親会社から派遣されている)その親会社が健全経営を球団に促しているようである。これまでも高い年俸となった選手たちをFAなどで放出する傾向があったが、昨年は選手間の不祥事もあって主力選手を放出したにもかかわらず、その主力選手たちに代わる補強をまったくしなかったことが、 今シーズンの大不振に繋がっているように思える。

 と愚痴ばかり述べ立てても、気分は一向に晴れない。確かにチーム力の差は認めざるを得ないが、所属する選手たちはいずれもプロを憧れた多くの人たちの中から選ばれた選手ばかりである。今は年俸が安くとも、活躍次第で年俸がどんどん上がることを励みとして、自分のため、チームのため、北海道のために頑張ってほしい。そして北海道民に明るい話題を提供してほしいと念願するのである。

   

 北海道のプロスポーツというと、旭川に本拠地をおく男子バレーボールチーム「ヴォレアス北海道」がある。国内のバレーボールチームでは初のプロバレーボールチームだという。そのヴォレアス北海道はV2リーグでは3年連続して優勝し、今日からV1昇格を目ざす入れ替え戦をV1リーグ最下位の「VC長野」と戦い、大激戦の末セットカウント3対2で勝利した。明日もう一試合戦うが、その結果次第では数年来の念願だったV1リーグ入りを果たすという夢が近づいてきた。それほどバレーボールを熱心に観ているわけではないが、今日はテレビの前で懸命に応援した。やはり北海道のチームが活躍することは道民にとって何よりの明るいニュースである。

 北海道のプロスポーツチームが明るい話題を届けてくれることを道民の一人として心から願っている。そのことが私たち道民の何よりの心のビタミンとなるのだから…。

※ 掲載写真は全てウェブ上から拝借しました。 


鼓動する野生 山本純一写真展

2022-04-08 18:45:33 | 作品展・展覧会等

 ヒグマが、オオワシが、シマフクロウが…、北の大地に鼓動する野生生物たちの姿が鮮やかに切り撮られた一枚一枚は圧倒的な迫力で私に迫ってきた。私たちが住む自然の豊かさを再認識されられた写真展だった。

   

    ※ 会場の「道新ぎゃらりー」の入口に掲示された写真展の案内です。

 私は写真展とか、絵画展にはあまり興味を抱くことがない人間だと自認している。そんな私であるが「道内の野生生物 迫力ある写真に」という北海道新聞の見出しにちょっと 心が動き、覗いてみることにした。

 札幌市の写真家・山本純一さんが写真集「カムイの生命(いちの)」の出版記念写真展が昨日7日から12日までの日程で、道新ぎゃらりーで開催されていることを知り、本日午後覗いてみることにした。

 道新ホール7階の「道新ぎゃらりー」にはたくさんの人たちが詰めかけていた。その多くは平日とあってシニア層が多かった。今、シニアの間でカメラファンやネイチャー志向の方が増えていると聞くが、そのことを反映しているようだった。

   

   ※ 写真展の作品を撮るのはNGだと思い、場内の混み具合を撮った一枚です。

 写真展は大小取り交ぜて43点の写真が「森、川、空、海」といったジャンルに類別されて展示されていた。中には「氷筍」、「御神渡り」といった自然そのものを写し取ったものもあったが、多くは自然の中に生きる「ヒグマ」、「キタキツネ」、「エゾシカ」、「オオワシ」、「シマフクロウ」といった動物たちに焦点を合わせた写真が多かった。写真展のパンフレットの扉の写真にもなっているヒグマが鮭をくわえた一枚は非常に迫力があるとともに自然の厳しさを教えてくれる一枚だったが、私が最も感動した一枚は海面から飛び立とうとするハシボソミズナギドリの無数ともいえる大群の姿だった。

   

   ※ 以下、3枚の写真は提供されたパンフの写真を私のカメラで改めて撮ったもので、山本氏の作品の雰囲気を感じ取ってもらいたいと思い貼り付けました。

 ハシボソミズナギドリが飛び立つ瞬間もそうであるが、ヒグマが鮭を捉える瞬間、ミサゴが海中の魚を目ざして飛び込む瞬間など、その一瞬のために山本氏はどれだけの時間待ち続けた末での一枚なのだろう?おそらく気の遠くなるような時間待ち続けた末の一枚なのだろうと推測される。時々アマチュアの方のブログでも野鳥や小動物を写した写真などを拝見するが、私のようなせっかちな人間にはとても真似のできない粘り強さである。

   

 おそらく山本氏のようなプロの方々は、そうして写した何万、何千枚の中から厳選した一枚を作品として外に出していられるのだろうと思われるが、大変な努力と才能である。また、私たちが住む北海道では多くの野生生物たちが絶滅の危機に瀕しているとも聞くが、一方で山本氏のように方々が映し出す豊かな自然がまだまだ残っていることにどこか安堵の思いもするのである。

   

 そんな豊かな自然が、彼の国のように人為的に無残に壊されないことを祈りたい。などと、発想がつい飛んでしまうことが悲しい…。

   

   ※ 私が最も感動した「ハシボソミズナギドリ」の飛び立ちの様子ですが、この写真は山本氏のモノではなく、山本氏が主宰したツアーの参加者の一枚です。山本氏のそれはもっとアングルの高い位置から、この写真の数倍の数のハシボソミズナギドリの飛び立ちを撮ったものでした。そして写真もクリアでした。 


北東アジアシンポジウム Part Ⅱ

2022-04-07 15:39:27 | 講演・講義・フォーラム等

 気鋭の国際政治学者である中山俊宏慶大教授は舌鋒鋭く米中問題に切り込んだ。アメリカの対中政策は時の政権に微妙な食い違いを見せたことで中国から見透かされてきた点があったのでは、と指摘した。

 

 中山氏は松本氏(昨日レポしたJETROアジア経済研究所主任研究員)とは反対にアメリカ側から見た米中対立について論じた。中山氏は最近テレビにも積極的に顔を出し、その精悍な表情に相応しく鋭く国際政治について論じる国際政治学者として知られる人である。

    

 この日は「バイデン政権と米中対立」と題して原稿なしで持論を展開した。中山氏の言葉で印象深かった言葉は、「国際間の問題においては、国内の警察にあたる仕組みが無い。そのことが今回のウクライナ問題のようなことが生起したときに手の打ちようがない状況を生み出している」と指摘した。世界はこの20世紀末から21世紀にかけて、今回のような剥き出しの暴力が露出するのを曲がりなりにも抑えてきたのだが、ロシアはそうした国際間の現状の弱点を突くかの如く戦争を仕掛けたと指摘した。(このお話は3月17日時点での発言である)ただ、中山氏はロシアはエネルギーだけが頼りの国で、いずれ衰退する国家と呼び、この時点で大きな問題とは認識されていないかのような印象を受けた。

 さて、アメリカ側から見た米中対立であるが、アメリカとしては冷戦終了後において中国はいずれ共産党体制が崩れて民主化されると期待していた向きがあったとした。この点については、私も月刊「文藝春秋」の読者として何度も中国の国家体制が早晩崩壊するとの言説を何度も目にした記憶がある。しかし中国は強かだった。昨日のレポでも紹介したように「二十一字方針」でも分かるように「対抗せず、冷戦せず、開放を継続し、国家の核心的利益は譲歩しない」との方針のもと、開放という資本主義の果実は求めるものの、国家の核心(共産党体制の維持)は譲歩しないと謳い、アメリカが期待していた方向には事態は進展しなかったのがこの十数年の動きである。

 そうした中で登場したのがオバマ政権だった。当時中国は経済的に躍進を続ける一方、政治的には一筋縄ではいかないことにアメリカは気付き始めた時期だった。そのことを察知したオバマはアメリカの対外戦略の重点を中東からアジア・太平洋地域に移す「ピボット戦略」に着手した。つまり中国を明確に対立国として位置付けるとともに、経済力を付けた東アジア・オーストラリアなどの国々との連携を強化する戦略だった。しかし、その時代でもアメリカは、いずれ中国は良い方向(アメリカなど西側世界にとって)に変わっていくのではないかという期待を抱いていたという。

 そして登場したのがトランプ政権である。トランプの登場によってアメリカの対中政策は一気にハードなものになったと中山氏は指摘した。トランプは「中国は望ましい国へと誘導することが可能な国ではない」としてこれまでのアメリカや西欧諸国の歩みを全否定する「ビッグリセット」を行った。ところがここがトランプのトランプたる所以であるが、彼は権威主義的な性向があり、当時の西側諸国の首脳とは肌が合わず、むしろ習近平やプーチンなどといった権威主義者との親近感を打ち出すなどして、西側諸国と連携するどころかアメリカファースト路線を突っ走った。ただ、コロナ期に入り中国を徹底的に敵視することにはなったのだが…。

 トランプの4年間を経て登場したのがバイデン政権である。バイデンは「ミドルクラス外交」を標榜した。「ミドルクラス外交」とは、ごくごく簡単にいうと、アメリカの中間層に益する外交とも言え、トランプ時代に彼の攻撃の矢面に立たされた中間層の復興を最優先課題として、外交においては「積極的に力で対抗するような政策を展開しない」とのメッセージを世界に向けて発したという。こうした姿勢が今のウクライナ問題(戦争)においてもアメリカの対応として表れていると言えそうなのだが、もっと深いわけがあると中山氏は言う。つまりウクライナはアメリカにとって利益を得るに足るクラスAではないという。したがってアメリカがウクライナ戦争に積極的に関与することはないという。対して東アジア・太平洋地域の国々は今や世界経済のエンジンとしてアメリカにとってもなくてはならない地域となっているとウクライナとの違いを指摘する。さらにこの地域では中国、北朝鮮を除き、日本、韓国、オーストラリアをはじめとしてある程度民主的な基盤も出来つつある国であり、アメリカとして大切にしなければならない国々だという。だからアメリカはこれらの国々を「MNNAMajor non-NATO ally)」に指定している。「MNNA」とはNATOの加盟国ではない密接な関係を有する同盟国のことで、軍事的、財政的に優遇を得る国々だという。つまりアメリカにとってクラスAであるこれらの国々がコトある場合はウクライナとは違い、積極的な関与をしてくるであろうとして話を締めた。

 中山氏のお話をどれだけ咀嚼してレポすることができたかというと疑問であるが、私なりに理解できたことを中心にお話をまとめてみた。中山氏のお話は、3月17日の時点ではあったが国際政治を専門とする中山氏にとっては米中問題の先にあるウクライナ問題のことが喫緊の課題であるから話の矛先がそこへ向かうのは当然と思われた。そのウクライナ問題(戦争)であるがお話のあった3月17日からおよそ一か月が経とうとしているが一向に終焉の兆しが見えない状況である。その間に民間人の犠牲者がどんどん増えているとニュースは伝えている。世界は過去に幾多の犠牲を払いながら21世紀を迎えたが、今もってこうした残虐行為を阻止できない状況にあることに慄然とする思いである。これが人間の弱さ、限界だとは思いたくない。なんとか今の状況を一日も早く終息することを願うばかりなのだが…。


北東アジアシンポジウム Part Ⅰ

2022-04-06 15:43:16 | 講演・講義・フォーラム等

 シンポジウムのテーマは「米中対立と北東アジアへの影響~日本の外交政策を考える~」というものだったが、ロシアのウクライナ侵攻というホットな話題も加味されたため非常に興味深かった。二日間にわたってスピーカーを務めたお二人の知識人のお話を振り返ってみる。

 私にしては珍しく少々お堅い問題についてのレポを試みてみたい。

 「北海道国際交流・協力総合センター(HIECC)」主催の「北海道で考える北東アジア国際シンポジウム」が3月17日にオンラインで開催された。私は受講を申し込んだのだが、上手くアクセスできず受講することができなかった。ところが私と同じような方が多かったようだ。主催者の方で当日のシンポジウムの様子をYoutubeで配信してくれると連絡があった。そこで3月4日に改めてYoutubeでお二人のお話をうかがうことができた。

 その二人とは、お一人がJETRO(日本貿易振興機構)のアジア経済研究所の主任研究員の松本はる香氏、もうお一人は慶応大学総合政策学部教授の中山俊宏氏である。

 Part Ⅰでは松本はる香氏が「米中対立と習近平外交」と題して、主として中国側から見た米中対立について中国問題の専門家らしく多角的に論じた内容についてレポしてみる。

      

      ※ 松本はる香氏は帯広市出身ということで北海道には親しみがあると冒頭話されていた。

 松本氏のお話を短くまとめることは私にとっては困難だが、お話の最後に紹介してくれた言葉が印象的だった。その言葉とは、2018年に中国の党中央指導部が「二十一字方針」という対米方針を発表したそうだ。その「二十一字方針」とは「対抗せず、冷戦せず、開放を継続し、国家の核心的利益は譲歩しない」という意味の方針を中国語で二十一字で表したものだそうである。習近平指導部の近年の外交を眺めてみると、見事にこの言葉が反映されているような気がしてくる。2021年には時の駐米中国大使が中米関係について「我々は準備のない戦いはせず、勝つ見込みのない戦いはせず、意地の張った争いはせず、消耗戦はしない」と述べているという。中国外交の用心深さと強(したた)かさが見えてくる思いである。つまり覇権争いに名乗りを上げつつも、大国アメリカと今すぐ争うつもりはない、といいつつも執拗にその座を虎視眈々と狙っているということだろうか?

 その姿勢の一端がコロナ対策をめぐる米中間の違いに現れていると松本氏は指摘する。米中の2022年3月現在における感染者数、死者数の両国の違いであるが、中国の感染者数663,700人、死者7,505人に対して、アメリカは感染者数79,406,602人、死者963,819人とアメリカは中国に比べて二ケタ以上も上回る感染者、死者を出している。こうしたアメリカの不手際を突き、中国は巧みに国際的な影響力の拡大を試み、積極的な医療支援などによって「パンデミック対応におけるグローバルリーダー」として諸外国への影響力の増大を試みているという。

 一方で習近平は国内的には、党総書記国家主席党中央軍事委員会主席と枢要な地位を独占し「一強体制」を固め、長期政権の土台を着実に築いている現状にある。

 中国ウォッチャーの松本氏から見ると、前述したように中国は用心深く、しかし強かにアメリカにとって代わって世界の覇権を握ろうとする意欲を隠していない、ということのよううである。近い将来に生起すると言われている台湾併合問題も含めて、隣国でもある私たち日本人は中国の動静から目を離すことができないと改めて教示された思いである。

 松本氏の思いを十分に汲んだレポとはなり得ていないが、大変興味深いお話だった。

※ 明日中山氏のお話の内容についてレポします。


映画 №345 帰らざる河

2022-04-05 16:50:22 | 映画観賞・感想

 ヒットした主題歌と主演のマリリン・モンローが話題の映画であるが、映画としての魅力をそれほど感じさせるものではなかったと私は感じた。古きアメリカのゴールドラッシュを背景にしたものだったが…。 

※ タイトルにナンバーリングを付けているが、この数字は私が2007年に札幌に転居後〈つまり退職後〉に観た映画の通算の映画の数である。「映画は最高のエンターテイメント」と考える私にとって、これからも有料・無料にかかわらずできるだけ映画を観ていこうと思っている。 

           

 3月25日(金)にBSプレミアムで放送された映画を録画しておき、昨夜観賞したものである。

 映画は1954(昭和29)年に制作されたアメリカ映画の西部劇の一つである。制作されてからすでに70年近く経ったものであるが、主演のマリリン・モンローは当時28歳と女性としては輝かしい年代である。マリリン・モンローについて詳しくはないが、彼女のスタイルの良さや男受け(?)する顔の表情から「アメリカのセックスシンボル」とも謳われていたことを記憶している。

 舞台はゴールドラッシュに沸くアメリカ北西部。ケイ(マリリン・モンロー)は黄金に目がくらむ荒くれ男たちが屯す酒場の歌手だった。(モンローのはまり役?)そこに現れた息子を探すマット(ロバート・ミッチャム)。それにマットの息子マークの3人が主として演ずる映画である。

   

 ケイはイカサマを演じるようなギャンブラーの許嫁だったが、さまざまな経緯からマット親子と共に、激流渦巻く河をイカダで下ることになる。幾多の困難を乗り越え河を下っていくうちにケイはいつしかマットに心を許すようになり、マット親子と農家の主婦として暮らす道を選ぶのだった…。

 映画として特に感情移入するようなこともなく、西部劇としては有り得る話の一つかな?という感じだった。見どころは、やはりマリリン・モンローのスタイルの良さや表情だろうか?当時のアメリカ男性を虜にしたというのもどこか納得できる思いもする。また、アメリカ北西部のロッキー山脈の山並みの美しさ、その山間部を走る激流の様子など、アメリカの大自然を堪能できるところか?

     

 題名の「帰らざる河」とは、一度下るとけっして遡上することなどできない急流、ということから付けられた題名だという。

 70年近くを経て現代においても再映されるということは、映画としてそれなりにヒットしたということなのだろうが、もし現代において制作されたとしたら果たしてヒットしたかというとやや疑問にも思える映画だった。

※ 掲載した写真は全てウェブ上から拝借したものです。


アーバンベアの生態を知る

2022-04-04 15:31:42 | 講演・講義・フォーラム等

 アーバンベアとは、都市など住宅地に近づき過ぎたヒグマたちのことを指すそうである。住宅地に近づき過ぎたヒグマの被害に遭わないために、近年のヒグマの生態について専門家からお話を聴いた。

 昨日4月3日(日)午後、エルプラザにおいて「北海道自然観察協議会」が主催するヒグマに関する講演会に参加した。講演はNPO法人もりねっと北海道の代表であり、ヒグマの会の副会長でもある山本牧氏が講師を務め、「今どきのヒグマ事情~アーバンベアの背景と対策~」と題してお話された。

     

     ※ 講演をしていただいたNPOもりねっと北海道代表の山本牧氏です。

 先日の三角山でのヒグマ騒動が象徴的であるが、昨年は東区の市街地に姿を現し人々を襲い駆除されたが、近年は札幌市周辺、特に南区、西区の住宅地と近接した山間部でのヒグマ出現のニュースが後を絶たない状況である。このことはヒグマの生息数が平成2(1990)年に春グマ駆除を廃止する以前の北海道内に約6,000頭が生息していたと推定されるが、春グマ駆除を廃止したことによって現在では生息数が約10,000頭にまで回復していることが原因の一つとなっていると山本氏は指摘した。

   

  ※ 以下、2枚の写真は山本氏のスライドを写させていただきました。        

 そのうえで、私が山本氏のお話で印象に残った言葉は「ヒグマは非常の学習能力が高い」という言葉だった。その学習能力の高さがヒグマを住宅地に近づかせてもいると言う。つまりヒグマを容易に駆除できなくなった、また駆除するハンターが減少したことにより「現代に生きるヒグマはヒトに対しての恐怖心を持たなくなった」ことが市街地周辺に出没するヒグマの増加を招いているという。

 さらにはヒグマが畑の作物の味を知ってしまったことがあるという。講演ではデントコーンの耕作地の広がりがヒグマを招いているとも語られたが、デントコーンだけではなく人間が栽培する畑作物が簡単に手に入り、しかも栄養豊富であることをヒグマたちが学習してしまったことが挙げられるという。

     

※ 牧草地(緑色)とデントコーン畑(黄色)の作付面積の変遷です。デントコーンの美味しさを知ったヒグマは背丈の高いデントコーン畑で身を隠してデントコーンを食い漁るそうです。

 するとその対策は?生物多様性が叫ばれる現代において、以前のように駆除という手段は取りにくい。今取られている対策は、電気柵で畑を囲うこと、あるいはヒグマの通り道になりそうなところの下草狩りをすることでヒグマが近づきにくい環境を作ることだと言われている。

 しかし、ヒグマに恐怖を覚える私などから言わせると何だか「隔靴掻痒」的な対策のように映ってしまう。「ヒトは怖いもの」ということを学習能力の高いヒグマに覚えさせることが対策の第一ではないのだろうか?それはもっともっとヒトがヒグマの被害に遭わなければ議論の対象にならないということなのだろうか?

 このような現状の中、私たちがヒグマから身を守るためには①音を出す、②複数人で行動する、③周囲の様子に気を配る、ということを山本氏は強調された。

 私はこれまで登山やハイキングなどは、そのほとんどが単独行動だった。この日のお話を伺い、そうした行動はあまりにも危険だということを悟らされた。体力の衰えもあり登山などは控えようと思っていたが、今後もし登山をする場合は募集登山などに限定して楽しみたいと考えている。                          


一足早く春の山野草を愛でて来ました!

2022-04-03 12:34:10 | 環境 & 自然 & 観察会

 百合が原公園の温室で「春の花展~一足早い春の訪れ~」が開催されている。シラネアオイ、オオバナノエンレイソウ、エゾエンゴサクなどこれから野山を彩る山野草の花々を一足早く愛でてきた。

   

   

 ※ この写真だけはHPから拝借しました。この大温室の中央部に山野草の花々が植え付けられていました。

   

 4月1日から今月末(24日)まで百合が原公園「春の花展~一足早い春の訪れ~」が開催されていると知って、本日の午前に足を延ばしてみた。すると、百合が原公園の大温室では野山でしか見ることができないと思っていた山野草の花々が見事に花時を迎えていた。それらは私がチェックできただけでも、

◆エゾエンゴサク

   

◆ニリンソウ

   

◆シラネアオイ

   

◆オオバナノエンレイソウ

   

◆タチツボスミレ

   

◆フクジュソウ

   

◆カタクリ

   

◆キバナイチゲ

   

◆キクザイチゲ

   

◆ヒトリシズカ

   

などをチェックすることができた。その他、私が野山に行ってもチェックできそうにない

◆白花シラネアオイ

   

◆ショウジョウバカマ

   

などが展示されていた。また、今や山野草というより園芸種ともとれる

◆ドウダンツツジ

   

◆チシマザクラ

   

も展示されていた。

 これらの花々が楽しめるのは春先わずか2カ月程度のため「スプリング エフェメラル(春の妖精)」とも呼ばれている。しかし、私たちが野山で楽しむとき、それらの花々が咲く時期は微妙に違っている。それを一時期に私たちに見せるために公園のスタッフたちは微妙な温度管理などに苦労されていると思うと、頭が下がる思いである。

 同行した妻が「これで野山に出かけなくとも良いのでは?」と問いかけられた。確かにそんな思いに駆られもするが、やはり実際のフィールドで見るのとでは感激度が違う。体力の衰えを自覚する昨今だが、できれば今春も野山に出かけて実際の山野草を愛でたいものである。

 なお、温室に入って直ぐの「中温室」のところにとても存在感のある花が待ち受けていた。一つは強烈なオレンジ色が印象的な「マーマレードブッシュ」という花である。コロンビア、エクアドルなどが原産で、標高2,000mの高地で自生しているそうである。

   

   

   

 また一方で、おかしな形をした花?(実?)を付けた木が目に入った。その名も「フォックスフェイス」。その名のとおりキツネにそっくりの形をした妙な花?(実?)である。ちなみにこれは熱帯アメリカ原産のナス科の植物だそうである。

   

   


吉村昭著「白い航跡」(上・下巻)

2022-04-02 19:04:08 | 本・感想

 恥ずかしながら私は吉村昭のこの著を読んで高木兼寛という偉人の存在を初めて知った。宮崎県の片田舎の大工の子として生まれ、己の努力と才覚によって明治の初めに医学界の中で金字塔を打ち立てながらも、苦難の人生を歩んだ壮大な男の物語である。

 私の中での吉村昭ブームは続いている。「白い航跡」は吉村の著書として珍しく上・下2巻に分けられた長編だった。リード文でも触れたようにこの「白い航跡」は、高木兼寛という薩摩藩の軍医だった者が、己の努力と才覚によって明治初期の海軍の軍医総監(海軍軍医の最高階級)に上り詰めるまでの過程と、一方で現東京慈恵医科大学の創設にも関わった偉人の物語である。リード文では苦難の人生と記したが、それは彼が心ならずも当時の医学界の対立の渦に中に巻き込まれたために不遇の後半生を送る羽目になったことからそのように表現させてもらった。

          

 高木兼寛は幼いころから非常に優秀だったことで薩摩藩の蘭方医から学び、やがて戊辰戦争では薩摩藩の軍医として従軍し、その後薩摩に帰ってからもイギリス人医師のウィルスに認められるなどして、中央にもその名が伝わり海軍の軍医に取り立てられた。そこでも彼の優秀さは際立ち、やがてイギリスの聖トーマス病院医学校への留学生として推挙された。そこにおいても彼は努力を怠らず、在学中に最優秀学生の表彰を受けるなど大いなる収穫を得て海軍に帰属した。

 そこで待っていたのは、当時の海軍内で異常発生し死者も多く出した「脚気」という原因不明とされる病気だった。高木は「脚気」と栄養素との因果関係に着目して、さまざまな実証実験の末に海軍の食事に注目して、「麦飯」を推奨し、「脚気」の発生を劇的に減少させることに成功した。ところが彼は実証主義を主流とするイギリス医学の系統に属することもあり、理論的な証明にやや弱いところがあった。そこを当時日本医学界の主流を占めていた東大や陸軍の医師たちから攻められた。当時の日本医学界は理論を重視するドイツ医学の系統を汲み、ドイツでは「脚気伝染病説」が唱えられていた。そのため高木は日本医学界から総攻撃を受けることになってしまった。特にその急先鋒が東大卒で陸軍軍医の森林太郎(ペンネーム森鴎外)だった。陸軍は「米飯」の優位性を疑わず、そのためにその後の日露戦争などにおいて日本陸軍は大量の脚気患者を生んだそうだ。

 結局、高木は彼が亡くなるまで日本医学界において彼の主張は認められないまま鬼籍に入ってしまった。その後に鈴木梅太郎がビタミンB1を発見したことで高木の主張が正鵠を射たものであることが証明されたのである。

 読後評というよりは、高木兼寛の生涯について概略を説明することになってしまったが、日本の医学の開明期には矛盾もたくさん含まれていたことを私自身が学んだこともあり詳述してしまった。

          

 以前にも述べたが、吉村昭の小説の魅力は歴史を書くにしても、まるで吉村自身がそこに寄り添っていたかのような詳細な描写が読む者を興奮させるところに大きな特徴があるように思われる。長編ではあったが、主人公・高木兼寛の才能と努力がいかに人並外れたものであったかを雄弁に語ってくれた吉村昭の筆力に改めて感嘆した一編だった。   

 


有料駐輪場を巡ってみました

2022-04-01 17:00:56 | その他

 本日、4月1日から大通公園の周辺8ヵ所にできた駐輪場が有料化でスタートした。うち4ヵ所は定期利用者のみの駐輪場だという。私のように一時利用を考えている者の駐輪場は4ヵ所だという。その4ヵ所を巡ってきた。

 かなり以前から西2丁目線に地下駐輪場の新設工事が行われていたが、その駐輪場が完成し、駐輪場としての開設に合わせて周辺の8ヵ所の駐輪場が有料化されてスタートする、と新聞が伝えていた。このことに伴い大通公園、ならびに周辺の商業地域は駐輪禁止になるという。雪のない時期は自転車を使用することが多い私としては、駐輪場の位置を把握する必要もあったので早速開設された有料駐輪場を巡ってみた。

 その中の一つ、「さっぽろ創世スクエア地下1階駐輪場」(北1西1)は、以前無料だったものが有料に変わったということだが、私はこれまで何度か利用していたので今回は訪れなかった。したがって残り3ヵ所を巡ったということになる。

 最初に私は「南2西4五番街駐輪場」を訪れた。ここは民間駐車場の2階が駐輪場となっていた。屋根なしの青空駐輪場である。場所としては商業施設が集まっている地域なので一時利用者が多いのではないかと思われる。私も今後は中心街へ出た時に利用することが多くなる駐輪場かもしれない。

   

※ 「南2西4五番街駐輪場」は写真のように一階が民間の駐車場で、駐輪場は2階にありました。

 私は早速駐輪体験をしてみることにした。これが最初に利用する人にとってはけっこう面倒ではないか?と思えたのだが…。その手順を述べてみる。

《入場》

① 入口の発券機のモニターで「一時利用」の画面にタッチする。すると、「一時券」が出てくる。

   

※ 入場口にある発券機(右側)と、入場ゲートの読み取り機(青色)です。

            

        ※ 発券機から出てきた「一時券」です。(この券は西2丁目線駐輪場のものですが)

② 入場ゲートの読み取り機に「一時券」をかざすと、ゲートが開かれ自転車と共に入場することができ、空いているスペースに自転車を駐輪する。これで駐輪完了である。

《退場》

① 自動料金精算機の読み取り部分に「一時券」をかざす。すると「100円」と表示が出るので100円を投入する。(一時利用の料金は24時間以内の駐輪は100円)

   

   ※ 自動料金精算機です。ここに一時券をかざします。この機械の横に出場ゲートの読み取り機があります。

② 出場ゲートの読み取り部分に清算後の「一時券」をかざすとゲートが開く。

 これで終了である。慣れれば大したことではないが、初めての方はけっこう戸惑うのではないだろうか?

 続いて、地下鉄大通駅地下コンコースと直結する「西2丁目線地下駐輪場」を訪れた。駐輪場は予想より地下深いところに設けられ、2階構造になっていた。新聞記事によると125ccまでのバイクを含めて1,350台が駐輪可能という大規模な駐輪場である。入退場の方式は「南2西4五番街駐輪場」と同じである。ただ、長い階段が利用する上では高いハードルになりそうな気がする。 

   

   ※ 「西2丁目線地下駐輪場」の入口です。

   

   ※ この長い階段が利用者にはけっこう高いハードルになりそうな気がしますが…。

   

   ※ 地下1階(といっても実際は地下2階くらいの深さです)の駐輪場の様子です。

   

   ※ その下の階は供用開始日とあって、まだ利用者はいなかったようです。

 最後に「北1西6駐輪場(暫定)に行ってみた。ここは道庁のすぐ傍の元斗南病院の跡地である。“暫定” ということは跡地利用が決まるまでなのだろうか?こちらも青空駐輪場だった。そしてこちらは有料を謳っていながら、これまでのような発券機やゲートが見当たらなかった。しかしHPを見ると精算機があるように書かれている。はて?私が見落としたのだろうか?

   

   ※ 「北1西6駐輪場」はご覧のように病院跡地を利用したものでした。

 この有料化によって、札幌市中心部のかなりの部分が駐輪禁止となった。これまで大通公園周辺には駐輪している自転車やバイクが目立ったが、これでこうしたところから自転車やバイクは一掃されるのだろうか?しばらくは取り締まる側とのイタチごっこが繰り返されるのかもしれないが、市民の良識が問われることになる。

   

   ※ 街中に駐輪していた自転車やバイクにに駐輪禁止の告知の書類が張られていました。