田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

マルヤマクラスアニバーサリーコンサート

2024-03-21 11:24:56 | ステージ & エンターテイメント
 ヴァイオリンとドラム、キーボードと津軽三味線という特異なユニットの二組のミニコンサートを聴いた。私にとってはどちらも初めて聴く特異なユニットということもあって、興味深く二組の演奏を聴いた。
        

 昨日(水)、円山地区のショッピングモール「マルヤマクラス」の開設15周年を記念するアニバーサリーコンサートが行われ、私は二組の演奏を聴くために午前と午後の2回にわたってマルヤマクラスを訪れ、二組の演奏を楽しんだ。 

    
 午前に聴いたのはヴァイオリンとドラムの組み合わせの「Resonance」という若い男女のユニットだった。二人はヴァイオリンのえる(19歳)とドラムの吉田れいと(20歳)という若いユニットで、いわゆるポップな曲を演奏するユニットのようだった。
 演奏してくれた曲は、彼らのオリジナルや他のアーティストのカバー曲を6曲披露してくれた。曲名の紹介がよく聞き取れなかったので、確かな曲だけ紹介すると…、
 ◇Youth/Resonanceオリジナル
 ◇海の幽霊/米津玄師
 ◇春泥棒/ヨルシカ
 ◇進撃の巨人(作中曲)/KOHTA  YAMAMOTO
その他2曲ほどだった。
 彼らは積極的にライブ活動を行うとともに、アイスホッケー戦の選手入場やバスケットボールの試合などで演奏することが多いという。確かにそうしたところでは効果的な音楽として受け入れられているのかもしれない。しかし、私のような世代にはえるさんのヴァイオリンはオーケストラや室内楽で聴くヴァイオリンとは別の楽器のように聴こえてしまった。つまりえるさんのようにヴァイオリンの弦の傍らにマイクがあり、そのマイクを通して私たちに聴こえてくる音は、まったく違った楽器の音のように思えてしまったのだ。私はそれを否定するものではない。そうした楽器の活かし方もあるのだということを教えられた思いである。ただ、私には演奏される曲の違いが聴き分けにくく、どの曲も似たように感じられてしまったのが少し残念に思えた。

    
 続いて午後、今度はオサナイカナル(キーボード)とウエムラマコ(津軽三味線)という岩見沢市在住の “おい” と “おば” のユニット「OITOBA」である。
 キーボードのオサナイカナルさんは小学校5年生で目が不自由な少年だった。さらにキーボードはメロディーを奏でるのではなく、パーカッションの役割を担うという特異な形だった。こちらはオリジナルあり、民謡あり、ポップな曲ありとバラエティに富んだ楽曲を披露してくれた。その曲目を紹介すると…、
 ◇邂逅/オリジナル 
     ※曲名は言葉で伝えられたので漢字表記は私の判断です。
 ◇こきりこ節/古代民謡
 ◇ディズニーメドレー
 ◇つどい/オリジナル
 ◇ ? /オリジナル
 ◇ライディーン/YMO
 ◇学園天国/井上忠夫
 ◇ソーラン節/北海道民謡
以上だったが、披露された曲がバラエティに富んでいて、聴いていて飽きがこなく楽しく聴けた。また、オサナイカナルくんがステージ慣れしていて、“おば” のウエムラマコさんとのやりとりが微笑ましく、それもまたステージを楽しくさせてくれた。
 以上二つのユニットのステージを楽しんだが、「Resonance」はあるいは特異なユニットとして全国デビューもあり得るのではないかと思われる可能性を秘めていた。一方の「OITOBA」は地域のアイドルとして各種の催しに要請が相次ぐのではと思われた。
 二つのユニットが今後も活躍していくことを願いたい。

太古のいきものよみがえる展

2024-03-20 10:18:18 | 作品展・展覧会等
 NHK札幌放送局のロビーが博物館に変身していた!?放送局のロビー内に太古の北海道に生きた生物の骨格標本がなんと8体も展示されていたのだ。NHKもやるものである!

      
 昨日(3月18日)、NHK札幌放送局で3月16日から31日までの予定で開催されている「太古のいきものよみがえる展」を覗いてみた。   
 ロビーに入ると、いきなり体長3メートルにも達するという海洋生物の🔳「デルモスチルス・ヘスペルス」のレプリカが出迎えてくれた。この生物は中新世(2300~1000万年前)に生息していたとされる水生生物で樺太でその全身骨格が発掘されたことから足寄博物館に全身骨格のレプリカが展示されていることから、今回展示されたようだ。
   
   
 続いてそれよりさらに大きい体長4メートルになるという🔳「ヌマタカイギュウ」の骨格標本のレプリカが迎えてくれた。「ヌマタカイギュウ」はその名の通り北海道・沼田町で発掘されたのだが、姿は鯨類に似ているが実際はゾウに近い哺乳類だそうだ。実は同種のカイギュウが札幌豊平川でも発掘され、「サッポロカイギュウ」と名付けられている。
   

 その他にも骨格標本がロビーのあちこちに展示されていた。その名と体長は、   
🔳「ホッカイドルニス・アバシリエンシス」(1.7メートル)
   
   
🔳「パレオロクソドン・ナウマンニ」(2.5メートル)
   

🔳「ヌマタフォシーナ」(?)
   

🔳「ヌマタフォシーナ」の実物化石
   

🔳「エティオケトゥス・ポリデンタトゥス」(3.5メートル)
   

と化石マニアにとっては垂涎の的のような骨格標本が展示されていた。(私は門外漢なのだが…)
 そして骨格標本として立体像ではなかったが、骨格のレプリカが平面に並べられた🔳「カムイサウルス・ジャポニクス」(8メートル)、いわゆる平成の大発見「むかわ竜」が床に並べるように形で展示されていた。
   

 また、8Kスタジオの方では札幌在住で、ボールペン細密画で有名な浩而魅諭(ひろじみゆ)さんが描く、古生生物の復元画が多数展示されていた。こちらの細密画も見ものの一つである。(浩而魅諭については先日のNHK番組「北海道道」で詳しく紹介する番組が放送された) 
 
 ※浩而魅諭ひろじみゆ)さんがボールペンで描く古代生物の細密画の一つです。

 というように、それほど広くはないNHK札幌放送局のロビーは太古の生き物ワールド一色に染められていた。
 古生生物にそれほど関心のない私でも十分に楽しむことができた。展覧会は31日までだそうだ。近くへ行った際はぜひ覗いてみることをお勧めしたい。

さっぽろれきぶんフェス2024 後編

2024-03-19 11:18:48 | 講演・講義・フォーラム等
 「れきぶんフェス」のパネルディスカッションは多様な人材が登壇して多彩な意見が交わされ興味深かった。市内各所でこうした議論が交わされることが、きっと札幌市の活性化に繋がっていくことだと信じたい。

   

 「さっぽろれきぶんフェス」は、前編でレポした通りにお二人の講演の後、小休止のような形で北白石中学校吹奏楽部の女子生徒が指導者の伴奏で「札幌の四季の曲」をトランペットで演奏するステージ発表があった。披露された曲は、① 虹と雪のバラード ② この道 ③ 時計台の鐘 ④ ふるさと の4曲だった。たくさんの聴衆を前に堂々とトランペットソロを披露した女子生徒の精神力に感心した。

   
   ※ トランペット演奏を披露する北白石中学校吹奏楽部の女子生徒さんです。私の席からは顔がよく見えませんでした。(中央は伴奏をした顧問の先生、右は曲目を紹介した女生徒です)

 さて、肝心のパネルディスカッションである。「札幌の歴史文化の楽しみ方・活かし方」をテーマとして、登壇者は講演をされた越田賢一郎氏和田哲氏に加えて、旅行商品企画・造成を担う伴野卓磨氏(Discover EZO代表)、韓国語通訳案内士の高野康夫氏(ことばサポーターなぐね代表)の4人が登壇し、主催者である歴史地域未来創造株式会社やまチの代表・神長敬氏がコーディネーターを務めた。

   
   ※ パネルディスカッションに登壇した4名の方と、司会の方です。

 パネルディスカッションは伴野、高野両氏が登壇したことで、越田、和田両氏の論旨とは若干趣きが違った異なった雰囲気となってきた。というのも、伴野、高野両氏は経営者の貌を持っていたということだ。お二人は単に札幌の歴史文化を楽しんだり、紹介したりするだけではなく、それを活かして商業活動として成立させたいという思いが滲んでいたということである。
 伴野氏は言う。「地域の歴史や文化をガイドすることで適正な対価をいただき、地域経済を回す(潤す)視点が必要ではないか」と…。さらに伴野氏は「札幌は歴史的な事物を軽視していないか」と疑問を呈し、「札幌の文化を掘り起こし、文化的価値を高める働きが必要ではないか」と強調した。
 一方、韓国人の旅行者を案内する高野氏は「韓国人の来日旅行者は若く、SNSを活用して旅行している。そうした方々への情報発信に力を入れるべきだ」と話された。「特に札幌(北海道)は食の宝庫である。歴史文化と飲食を組み合わせたような情報発信に力を入れるべきだ」と強調された。
 そうした二人に対して、越田氏は「自然が豊かな札幌は、自然と人間に着目して古い札幌にもっと目を向け、過去から現在への繋がりを重視するような取り組みも必要である」と指摘し、特に博物館活動にもつと力を入れるべきと話された。
 また、和田氏は「札幌は一般にアピールするような分かりやすい文化財が少ないのではないか。関係者がPRを重視し、若い人たちの関心度を高めるような取り組みが必要で、例えば “語り部” などの育成も課題である」と述べられた。
 いずれの方々の主張も傾聴に値する内容なのではないかと思えた。
 昨秋、私が訪れた北東北の縄文遺跡群の各遺跡では地元のボランティアガイドに大変お世話になった。どこの遺跡のボランティアも非常に熱心に、分かりやすくガイドしていただいた。しかもそのほとんどが無料だった。(施設入場料を徴収されたところはあったが)ガイドの存在が私の旅をどれだけ内容の濃いものにしてくれたか計り知れないくらい貴重だった。
 ボランティアか否かはさておいて、地域の人々が己の地域の歴史文化を尊く思い、そのことを訪れた人たちに伝えるということは私の体験からもとても重要なことだと思われる。そういう意味で、今回のような議論を数多く実施することの必要性を痛感した「さっぽろれきぶんフェスティバル2024」だった。                           


さっぽろれきぶんフェス2024 前編

2024-03-18 19:43:17 | 講演・講義・フォーラム等
 「れきぶん」とは、「歴史と文化」を短縮した言葉である。どうやら札幌市が有する歴史や文化を見直し、活用することで地域の活性化に結び付けようというねらいをもったフェスティバルということのようだ。

     

 昨日(3月17日)午後、札幌市芸術文化交流センターにおいて「札幌市歴史文化のまちづくり推進協議会」という官主導(?)のもと任された(?)運営会社が主催する「さっぽろれきぶんフェス2024」に参加してきた。というのも、以前に私はこの団体が主催するワークショップにちょこっとだけ参加したことがあったので「どんなものか?」という興味から参加してみた。
 フェスは午前中から体験プログラムを実施していたが、「子ども向け」のようだったので、午後の講演、パネルディスカッションのみ参加した。
講演は二つあり、その講演1は「遺跡から現在までつながる札幌の歴史文化」と題して越田賢一郎札幌国際大教授が、講演2は「札幌おもしろ歴史雑学」と称して街歩き評論家ほ自称する和田哲氏がそれぞれ講演した。本日はこの二つの講演に絞ってレポートし、明日パネルディスカッションの部についてレポートすることにする。

     
      ※ 講演をする越田札幌国際大学教授です。

 越田氏は遺跡など古代を研究する学者らしく、札幌の成り立ちから話に入った。まず、札幌の地層から900万年前のサッポロクジラが、そして800万年前のサッポロカイギュウの化石が発見されている。ということは現在の札幌の地は遠い昔は海の底だったことが考えられるとした。

     
    ※ サッポロカイギュウの想像図です。

 さらに、縄文前期(概ね紀元前1万年から5 or 6,000年前くらい)の頃には温暖化が進み海進現象により、現在の札幌の中心部付近まで海が近づいていたと考えられるということだ。その証拠に石狩湾に近い札幌(北区の方向)では数多くの竪穴住居跡が発掘されているそうだ。(ex. 北大構内の遺跡保存庭園)
 越田氏はそれら遺跡の発掘状況から当時の海進の状況、竪穴住居跡の状況などを地図の落とし込んだ図を提示してくれた。
 さらに縄文時代が終わり、擦文文化時代の遺跡としては江別古墳群の後藤遺跡において東北地方が主産地である特徴のある「蕨手刀(わらびてとう)」が発見されたことから、当時から本州各地との交流が行われていたことが証明されるとした。
 そして越田氏は人間が営む歴史においては「水」が大いに関わっているとして、縄文、擦文時代は海辺や水辺、あるいはワッカに集落が出来、江戸、明治の時代になると大友堀、創成川が街づくりの重要に位置を占め、さらには小樽港が物流の重要な位置を占めるなど…。こうしたことから、札幌の歴史文化を語る時、歴史の連続性に着目して理解を図る必要があるのではないか、と強調されたのだと私は解釈した。

     
      ※ 講演をする街歩き研究家の和田哲氏です。

 一方、講演2の街歩き研究家の和田哲氏は豊富な氏の知識の中から二つの話題を提供してくれた。その一つは、札幌独特の住所名の表記「条・丁目」についての面白知識を披露された。札幌の「条・丁目」は一つの碁盤の目を表すもので、その表記の仕方が独特だということだ。つまり「条・丁目」が他の都市では「通り」を表すのに対して、札幌では碁盤の目の「地域」を表すということなのだ。
 だから札幌で最小の面積の「条・丁目」は「南10条西2丁目」だそうだ。そこは札幌パークホテルの敷地の角の道路に囲まれた三角の緑地帯で、面積が1,402㎡で人口はゼロだそうだ。一方、面積が最大の「条・丁目」は「北16条西16丁目」だそうだ。そこは「札幌競馬場」を指すという。面積を調べてみたが、残念ながら分からなかった。
 その他、「北1条通りになぜ放送局が集まっているのか?」とか、「百貨店の丸井と三越の位置の違和感」などといった話題に話が及んだが割愛したい。
 もう一つの話題が札幌の「冬とスポーツ」についてだった。札幌は低温、降雪量、中心街から近いところに山があるといったスキースポーツに適した大都市ということでは世界的にも稀な存在であることは良く知られている。しかし、札幌においてはスキーよりスケートが早く市民に浸透したそうだ。それはスキーに比べてより安価に、より簡単に取り組むことができたことがその原因だったと和田氏は話された。
 スキーが札幌に紹介されたのは、明治41(1908)年に札幌農学校にドイツ語教師として赴任したH.コラー氏が自国から取り寄せたことが始まりとされている。ただし、コラー氏自身はスキーで滑ることはできなかったそうだ。したがって札幌にスキー技術を伝えたのは伝えられている通り明治45(1912)年にオーストリアのレルヒ少佐がその技術を伝えたのが札幌のスキー事始めとされているという。

     
     ※ 昭和時代の三角山スキー場の様子です。

 その後の札幌では三角山がスキーの中心地だったようだ。その時の様子を写す写真を見せていただいたが、昔日の感を感じさせる一枚だった。
 お二人の話は異質な感じがするが、それがある意味狙いどころなのかな?と感ずるところだ。つまり、私たち市民が知らなかったこと、隠れた魅力を知ることによって、そうしたことを市民が外部に発信し、魅力を伝えていくことによって札幌市の活性化に繋げようということなのだろう。
 明日はパネルディスカッションの様子についてレポすることにしたい。

繊細なマンドリンの調べを堪能した!

2024-03-17 16:53:00 | ステージ & エンターテイメント
 小さな会場で、目の前でマンドリン奏者がとても繊細な音を紡ぎ出すのを聴いた。マンドリンの集団でのトレモロも良いが、あの小さな楽器を自由に操る奏者たちの高い技量を堪能することができた「マンドリンの宴」だった。

      

 昨日(3月16日)午後、「Mandolin × Guitar Duo 森羅万象」が主催するコンサート「マンドリンの宴」札幌市生涯学習センター「ちえりあ」の音楽研修室を会場に開催された。このところマンドリンの調べに癒されている私は迷いなく駆け付けた。主催者である「森羅万象」は札幌市内で活動を続けるアマチュアのマンドリンとギターの二人組である。彼らは北大のマンドリンサークル「チルコロ・マンドリニスティコ『アウロラ』」の出身である。「アウロラ」は昨年結成100周年を迎えた伝統あるサークルである。そこの出身である「森羅万象」を慕って集まった9団体延べ26名が出演するコンサートだった。
 実は「森羅万象」のギタリスト倉田拓郎さんは昨年度の札幌市民芸術祭の「ギター音楽祭」の独奏部門のコンペティションの最終審査に残った一人で、難曲に挑戦された方だったことを記憶していた。ことほど左様に、この日のコンサートの出演者たちはマンドリンやギター演奏技術をより高度に実現しようとしている集団と私には映った。
 以下、出演団体と演奏曲目を紹介すると…(グループ名の後は、演奏楽器名です。〔Mn〕マンドリン、〔Md〕マンドラ・テレーノ、〔Mc〕マンドロンチェロ、〔Gt〕ギター、〔Pf〕ピアノ、の意味です)
 🔳 ノルディコ・クインテット 〔Mn〕二人、〔Md〕、〔Mc〕、〔Gt〕
  ◇ 祈り/U.Bottacchiari
  ◇ スペイン舞曲~果敢なき人生より/M.Falla
 🔳 ノルディコ・デュオ 〔Mn〕、〔Gt〕
  ◇ ラティーナの誘惑/湯浅隆・吉田剛士
     

 🔳 森羅万象 with # 〔Mn〕二人、〔Gt〕
  ◇ 機織る乙女による主題と変奏/桑原康雄
 🔳 酒落 〔Mn〕、〔Gt〕
  ◇ In My Life/The Beatles
  ◇ 蘇州夜曲/服部良一
 🔳 Duo KK 〔Gt〕二人
  ◇ 組曲「夏の庭」より Invitation(招待)、Farewell(さようなら)
             Helping Hands(お手伝い)/S.Assad
 🔳 United Tactical Guitar Ensemble 〔Gt〕六人
  ◇ 春よこい/松任谷由美
  ◇ The Road to Lisdoonvarna/アイルランド民謡
     

 🔳 レパロマンドリン 〔Pf〕、〔Mn〕
  ◇ クープランの墓より「トッカータ」/M.Ravel
 🔳 Volpetasso 〔Mn〕二人
  ◇ 野花のダイヤリーより「スノードロップの光」、
   「ハルジオンの夢」/堀雅貴
 🔳 森羅万象 〔Mn〕、〔Gt〕
  ◇ マンドリンとギターのためのソナタ
    Ⅰ.Allegro impetuoso、 Ⅱ.Andante、Ⅲ.Scherzando、
   Ⅳ.Vivo /藤井敬吾 
     

 これらのほとんどの曲はこれまでのマンドリンコンサートでは聴いたことのない曲だった。そして奏者たちのレベルもかなり高いものだった。特に、前半三つの団体にいずれも加わってマンドリンを演奏した橋本航大さんの繊細な演奏技術は素晴らしかった。あの小さくて、弦間の狭いマンドリンを一音一音弾きこなす繊細な技は “お見事!” の一語である。
 もちろん、リーダシップをとった森羅万象のお二人の演奏も素晴らしかった。演奏時間が20分にも及ぶ「マンドリンとギターのためのソナタ」を弾ききった技量は並大抵のものではなかった。
 事程左様に、出演された方たちのレベルが高いコンサートだった。彼らのコンサートをまたいつかどこかで是非聴いてみたいと思った。                        

連夜の道銀ロビーコンサート

2024-03-16 20:16:51 | ステージ & エンターテイメント
 北海道銀行本店ロビーにおけるクラシックコンサートが最終回を迎えた昨日、一昨日と連続でコンサートが開かれたが、二日ともに通い最後のコンサートを楽しませてもらった。

 北海道銀行本店ロビーを飾る巨大レリーフを背にクラシック音楽を楽しむ「道銀本店ロビーコンサート」はクラシックファンのみならず札幌市民の楽しみの一つだった。しかし、北海道銀行本店は建て替えによる改築のために、ロビーコンサートも残念ながら今回で最終回となった。3月14日、15日と連夜の開催となったが、私は二日ともに駆け付けてコンサートを楽しませてもらった。


 本店ロビーを飾る巨大レリーフだが、1964(昭和39)年に現在の北海道銀行本店の営業開始に合わせて、当時北海道を代表する彫刻家だった佐藤忠良、本郷新、山内壮夫の合作によって「大地」と題する巨大なレリーフがポリエステル樹脂板によって制作された。その大きさは横41メートル、縦3.3メートルの巨大なもので、北海道の歴史風土や産業発展への熱い思いが込められた作品として、札幌市民には「隠れたアート」として親しまれてきたという。
 そのレリーフを背景にして本店ロビーでは折に触れて「道銀文化財団 CLASSIC♪FAN」という名称でロビーコンサートが開催されてきた。私も過去に何度か通い拙ブログにも投稿したことがあった。
 その第9回、第10回のコンサートがこのほど連続して開催されたのだ。

     
 まず第9回は、「花鳥風月~人の心、自然の心~」と題して、バリトンの三輪主恭さんピアノの三輪栞さんによる演奏だった。当夜のプログラムを紹介すると…、
 ◇R.シューマン/『ミルテの花』より“献呈”
 ◇C.グァスタヴィーノ/『アルゼンチンの花々』より
      ススキと羽ぼうし
      白いクラベル・デル・テイレ
 ◇G.ランゲ/花の歌(Piano Solo)
 ◇千原英喜/『みやこわすれ』より“はっか草”
 ◇C.ドビュッシー/月の光(Piano Solo)
 ◇中田喜直/木兎
 ◇新井満/千の風になって
 《アンコール》◇上田知華/私の好きな月


 三輪主恭さんはけっして体格に恵まれた方ではないが、声量豊かでさすがにオペラで活躍されていることを彷彿とさせるような素晴らしい歌声だった。三輪さんは長崎出身とのことだが、現在は三輪栞さんと結婚され、札幌を中心に活動されているとのこと。今後も北海道のオペラ界で、あるいは三輪栞さんとのデュオでの活躍が期待される方である。

     
 翌15日(金)は「クラリネットとピアノ~ブラームスへのオマージュ」と題してクラリネットの河野泰幸さんとピアノの岡本孝慈さんのベテランデュオの演奏だった。
 お二人はベテランということもあり本格的なクラリネット曲を用意してきた。その曲とは…、
 ◇M.レーガー/クラリネット・ソナタ第3番 変ロ長調 Op.107 第1楽章
 ◇M.エリザベート/ロマンス
 ◇J.ブラームス/クラリネット・ソナタ第1番 ヘ短調 Op.120-1
    第1楽章 Allegro appassionato
    第2楽章  Andante un poco adagio
    第3楽章 Allegretto grazioso
    第4楽章 Vivace
 《アンコール》◇作者不詳(数説あり)/クラリネット・ポルカ
        ◇A.シュライナー/だんだん小さく

   
 
 私は最初の2曲を聴いて思わず次のようにメモした。「難しすぎて曲の良さを感得できない」と…。しかし、3曲目のブラームスのクラリネット・ソナタはピアノとの相性も良く、クラリネットの良さが感ずることができた一曲だった。
 しかし、私が本当に楽しめたのはアンコールの2曲だった。「クラリネット・ポルカ」はクラリネットが軽快な音を出して軽やかに演奏する曲で、お馴染みの曲だったので楽しめた。それにも増して「だんだん小さく」は、クラリネット本体を切り離してだんだん小さくしていくという見た目にも楽しい曲だった。クラリネットはマウスピースも含めると全体を5つに分解できるようだ。曲を演奏しながらクラリネット本体を徐々に短くしながら演奏する姿は見ていても楽しい一曲だった。
 ところでお二人は共に東京芸術大出身の方で、北海道生まれではない。それが河野氏は在札幌10年、岡本氏にいたっては在札幌30年だという。お二人ともに後進の指導にも当たっておられるということだが、札幌はそうしたプロの演奏家を抱えるだけのキャパシティがあるということのようだ。前日の三輪氏も長崎出身でやはり在札幌が10年を経過したと言っていた。こうした素晴らしい音楽家たちが活躍する札幌に住んでいることに感謝しながら、これからもそうした札幌の文化の香りを少しだけお裾分けしていただこうと思っている。


「めだかの学校」令和6年度企画かたまる!

2024-03-15 11:13:53 | 「めだかの学校」関連
 私が所属し、代表を務めるシニアの生涯学習グループ「めだかの学校」の令和6年度の学習計画が固まった。大きくは4本の柱だてで実施することになった。以下、具体的に紹介していくことにします。

     

 今年度後半、半年間をかけて会員の希望を汲みながら運営委員会で協議を積み重ね、このほど来年度の学習計画を樹立することができ、会員の皆さまにも伝えたところです。
 じっくりと時間をかけて練り上げただけに会員の方々からは期待をもって受け止められたと信じているのですが…。
 さて、その4本柱の一つが、札幌市のさまざまな機関が実施している「出前講座」を活用した学習である。題して「賢いシニア生活を送るために」というテーマのもと、次のようなラインナップとした。
 ◇「特殊詐欺の現状と対策」
 ◇「犯罪被害を防ぐ~インターネット・SNSの脅威」
 ◇「犯罪被害を防ぐ~特殊詐欺被害に遭わないために」
 ◇「キャッシュレス決済との付き合い方」
 ◇「ご存じですか?住宅に潜む火災危険と対策」
 ◇「急に病気になったら?知っておこう!札幌市の緊急医療体制」
以上、6回を札幌中央警察署、札幌市消費者センター、そして札幌市の関係部署の方々に講師をお願いして学ぶことにした。

     

 二つ目の柱はコロナ禍のために実施が3年も延びてしまった現地訪問学習「さっぽろの古を訪ねて Ⅲ ~北の守りと開拓を担った屯田兵の史跡を辿る~」である。明治初期、札幌市内・近郊には5つの屯田兵村が存在した。その屯田兵村とは(兵村名の後は訪れる予定の施設、史跡などです)
① 琴似屯田兵村 ・屯田の森(関係の碑) ・琴似屯田歴史館資料室 
                              ・琴似屯田兵屋  ・琴似屯田兵村兵屋跡 
                              ・琴似屯田兵授産場跡碑
② 山鼻屯田兵村 ・山鼻屯田記念館 ・山鼻屯田兵村開拓碑 
                              ・山鼻神社の石碑と小祠
③ 新琴似屯田兵村 ・新琴似屯田兵中隊本部  ・安春川の屯田兵関連壁画
                                  ・新琴似神社境内の開拓関連石碑群         
④ 篠路屯田兵村 ・屯田郷土資料館(篠路屯田兵屋) ・屯田開拓顕彰広場
         ・開基90周年記念顕彰碑 ・望郷のアカマツ
⑤ 野幌屯田兵村 ・野幌屯田兵屋 ・野幌屯田兵第2中隊本部 
                              ・野幌公会堂  ・開村五十年碑 ・野幌兵村練兵場
                           ・野幌屯田兵村開村百年記念樹
         ・屯田兵像32体(天徳寺内)
の5つである。講座ではその5つの屯田兵村跡を全て訪ね、関係者からお話を伺うとともに、現在残っている建物や史跡などを見学することにしている。(なお、第1回目は座学で講座全般を概観し、屯田兵についての理解を深める機会とした)
 以上二つの講座は来年度上半期(4~9月)に実施することにしている。その実施日なのであるが、私たちの活動の基本は毎月第2月曜日と第4月曜日としている。ところが「さっぽろの古を訪ねて」の場合、資料館などは休日明けの月曜休館のところが多い。そのため特例で、「さっぽろの古を訪ねて」だけは毎月の第4火曜日に実施することにした。他は全て月曜日実施である。
 来年度下半期に実施を計画していることの一つ目の柱は「めだか会議放談会」と称して、各回ごとにテーマを決めて、会員同士が大いに放談しようという計画である。その各回のテーマとは?
 ① 私の健康法(運動、食事、検診、その他)
 ② 札幌の良いところ、残念なところ(好きなところ、嫌いなところ)
 ③ 私の余暇の活用法(生きがいとしていること、趣味、その他)
 ④ 北海道内のお勧めスポット(地域、温泉、お店、景色、etc.)
 ⑤ 私の忘れえぬ思い出(旅、食べ物、出来事、etc.)
 ⑥ 私が名作だとお勧めできる作品(小説、映画、絵画、etc.)
 そしてもう一つのテーマは、会員のお一人が所蔵する豊富なDVD資料をお借りして、それを視聴し、感想を語り合う「DVDフォーラム」学習なのだが、いずれの資料ともに5巻から10巻くらいのシリーズものなのだ。そこで来年度は、そのシリーズの中から1巻ずつを視聴して、来々年度に会員の希望をとり一つのシリーズを通して視聴することとした。そのシリーズの題名は?
 ① 「探検ロマン世界遺産」
 ② 「五木寛之の百寺巡礼」
 ③ 「こころの名山 日本霊山紀行」
 ④ 「ヒット曲にのせて贈る青春歌謡映画」
 ⑤ 「中島みゆき「夜会」シリーズを見る・聴く」
以上の5本である。本来なら6回となるのだが、下半期は12月の第4月曜日となると年末となるため、12月の第4月曜日は休会としているため5回開催としている。
 会員、そして運営委員の知恵を総動員して以上のような学習計画を立案することができ、来年度も会員と共に学び合いたいと思っている。
 ところが私たちの現在の悩みは、会員の高齢化によって会員の方が病気に罹ったり、高齢ゆえに学習に参加できなくなったりする方が出てきたことなのだ。
 新たなる会員をお誘いすることが現在の課題である。もし、札幌にお住まいの方で拙ブログを見て興味を持たれた方がいらっしゃったら、コメント欄などを利用してお声がけいただければ幸いである。

ジャニーズ報道「沈黙する日本メディア」

2024-03-14 15:46:07 | 講演・講義・フォーラム等
 ジャニー喜多川による性加害問題が昨年3月にイギリスBBC放送がドキュメンタリーで放送されて公になったことで、日本のメディアの在り方が問題となった。メディアの世界では公然の秘密だったとも伝えられるこの問題に日本のメディアはなぜ沈黙してしまったのか、識者が鋭く突いた。

     
 3月9日(土)午後、北大学術交流会館においてメディア・アンビシャスと称する市民団体がジャーナリズムを研究する水島宏明上智大教授を招いて「沈黙する日本メディア~ジャニーズ報道から考える~」と題する講演会を開催したので参加した。
 水島氏は、元々は札幌テレビ放送(STV)でドキュメンタリーのディレクターを務め、その後日本テレビに移り、さらに法政大学を経て、現在は上智大学で教鞭をとられている方だと紹介があった。
 ジャニー喜多川による性加害問題については、関係者間では古くから囁かれていて、いわば公然の秘密というような問題だったとその後伝えられた。しかし、日本の大手メディアはこの問題から目を背け続けてきたという。一部メディアが細々と伝えてはいたそうだが、我々一般大衆には届いていなかった。
 そうした中、昨年3月18日、イギリスBBC放送「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」と題するドキュメンタリーを放送した。そしてそれに呼応する形で関係者(被害者)がポツポツと名乗り出ることで5月11日になってTBS「News23」でようやく独自取材で特集番組を放送するに至ったという。
 講演の中で、水島氏はBBCのドキュメンタリーを時折り間に挟みながら話を進めた。ドキュメンタリーはBBCのモービン・アザー記者が関係者にインタビューしながら進行する内容だったが、被害者の一人は「これを我慢しないと売れないから」と周りから言われたと話す。また “りゅう” と名乗り出た元アイドルは、今でもジャニーズが大好き、尊敬していると語るものもいた。
 水島氏は指摘する。ジャニーズ事務所の創始者ジャニー喜多川氏(故人)の男性アイドルに強いた性被害の数々は、深刻極まりない人権侵害である。そのことは本来糾弾されるべき事件であるにも関わらず数十年も一部メディアから伝えられる状況に止まったのは何故か?芸能ネタ、まして性的スキャンダルとみなした大手メディアの ”無自覚” さらにはダントツの勢力を誇る同事務所に対する業界ぐるみの “忖度” があったと指摘する。
 そして今度はジャーナリズムの世界的 “権威” (BBC)から指摘されると掌を返したかのような情報洪水、という日本のジャーナリズムの不甲斐なさを指摘する。

     
     ※ 講演する水島宏明上智大教授です。

 今回の問題はいったい何に起因しているのだろうか?その点について水島氏は多くは語らなかった。
 ただ、こうした問題が指摘された日本のジャーナリズム界だが、はたして真剣に反省したところはあるのだろうか?私ははなはだ心もとないような気がするのだが、どうなのだろうか??

NHKトークイベント「ニュース ここだけの話」

2024-03-13 11:35:00 | 講演・講義・フォーラム等
 昨年7月、札幌の繁華街ススキノのホテルで首のない死体が発見されるというショッキングな事件が発生し、世の中をざわつかせた。その際取材に当たった放送記者が取材の内幕を話してくれるという。期待してイベントに参加したのだが…。
       

 3月8日(金)夕刻、午後7時からNHK札幌放送局の8K公開スタジオにおいてNHK札幌放送局としては3回目となるトークイベント「ニュース ここだけの話」に応募したところ幸いに当選して参加することができた。
 今回のテーマは、昨年7月2日に札幌の繁華街ススキノで発生した殺人事件を、取材した担当記者が語るというものだった。トークイベントは取材を担当した入局2年目の高山もえか記者に、赤松俊理アナウンサーが質問する形で進められた。
 話はまず事件の経過を確認することから始まった。それによると……、

 ◇7月 2日(日)事件発覚 取材開始
 ◇7月 3日(月)朝  報道① ホテルに二人で入室
昼  報道② 頭部のない遺体
 ◇7月 4日(火)午後 報道③ 防犯カメラの人物
     ↓
 ◇7月24日(月)昼  報道④ 逮捕

 事件発生から逮捕までの時系列は上記のとおりだが、事件を伝える報道の側としてはニュースの言葉選びに慎重を期したという。それはニュース報道を通じて視聴者の受け止め方が左右されることがあるため、丁寧に、丁寧にということに努めたという。
 NHKの取材班は独自に犯人の姿が映っていると思われる防犯カメラの映像を入手したそうだ。NHKでは許可を受けたうえで33時間分に及ぶ防犯カメラの映像を解析したそうである。そしてそこに犯人と思われる映像を発見したそうだ。それはもちろん捜査本部と協議し、許可を得たうえで7月4日(火)午後に放送したという。

  
※ NHK取材班が独自に入手した防犯カメラの映像から犯人らしき姿を映し出した映像です。

 高山記者の言葉からNHK札幌放送局の取材班は3名くらいでチームを組んで取材していたようだが、高山記者がもちろん最年少だったようだ。ニュース原稿はまず高山記者が第1稿を書き、それをキャップなどと慎重に検討したうえで放送に回すといった手順を踏んだようだ。(ここは高山記者の言葉から私が類推したものである)
 ともかく留意したことは伝える側の使命として、間違いのない正しい情報を伝えるということを最も意識したという。例え伝えたい気持ちがあっても、放送記者としては確かな情報を伝える使命があると心して臨んだということだった。
 私は当初、あらぬ期待を抱きながらトークイベントに臨んだ。その期待とは、取材過程の中で放送できなかった内幕的な事実などが聴けるのではないか?というような期待を抱いていた。しかし、そうした類の話は露ほども話されなかった。
 よく考えてみれば、それは当たり前のことである。そうした内幕的なこと、噂話的なことを正確な報道を旨とする放送記者が口にするはずはないのである。ましてや公共放送としての使命を託されたNHKが、である。私は最近のスクープ週刊誌がセンセーショナルに書き立てる報道に毒されていたようである。

  
  ※ 当日は写真撮影はNGだったが、NHKのHPに前回の模様を写した写真が掲載されており、雰囲気はまったく同じようだったので使用させてもらいました。

 高山記者は最後に、「自分にとっては、初めて捜査本部が立ち上がった大きな事件立ち合い、伝える側の責任を強く感じた事件だった」と語った。放送記者として歩み始めてまだ間もない高山記者にとっては、彼女自身が記者として成長する機会でもあったようだ。

恐~い、怖~い 肝臓病のお話

2024-03-12 16:39:52 | 講演・講義・フォーラム等
 肝臓病と聞くと、私の場合はアルコール性肝障害のことが頭に浮かぶ。摂取量をコントロールしなくては、と思いつつもどうしても自分に甘くなる私である。札幌医科大学の肝臓病教室に足を運び、専門の先生からお話を聞いた。

      

 このところ参加した講座やフォーラムのレポートが遅れ気味である。今回の教室も3月8日(金)の午後、札幌医科大学(以下、札幌医大)記念ホールにおいて札幌医大肝疾患センターが開講した教室である。
 札幌医大において今回の「肝臓病教室」は実に51回目だという。私は初めてこの教室のことを知り、今回初めて参加することができた。
 教室は次の2つの講座から成っていた。
 🔳 「アルコールにご注意を!」 
          札幌医大肝疾患センター長  佐々木 茂教授
 🔳 「メタボと肝臓」   
          札幌医大肝疾患副センター長 阿久津典之教授
の2つの講座があったが、私の関心は上記したようにアルコールと肝臓病の関係である。したがって、本稿では佐々木センター長のお話を中心にレポートしてみたい。

     
     ※ 講義をされる佐々木札幌医大肝疾患センター長です。
        佐々木氏はこの日が最後の講義と話されていた。(退官?)

 佐々木氏によると肝臓専門医の間では「脂肪性肝障害の1日アルコール量別診断基準」では、毎日60g以上のアルコール量の摂取を5年以上続けている人は「アルコール性脂肪肝」の疑いありと診断するとのことである。
 アルコールはまた血液を通して全身を巡るため、あらゆる臓器に影響を及ぼすとも言われている。口腔がん、咽頭がん、食道がん、大腸がん、高血圧、不整脈、糖尿病、膵炎、等々…、聴いているだけでも気が滅入ってくるが、最も高頻度で重症化しやすいのが「アルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がん、脂肪肝」だという。う~ん、恐~い、怖~いアルコールである。
 さて、アルコールと肝臓に関してもう一つ問題となるのは「アルコール依存症」のことである。「アルコール依存症」の特徴は以下のような状態を指すという。
 ◇長期に大量の飲酒をくり返す。
 ◇仕事、家庭よりも飲酒を優先させてしまう。
 ◇強い飲酒欲求(渇望)が生じコントロールがきかない。
 ◇アルコールが身体から抜けると手指や体幹のふるえ、発汗がある。
 ◇お酒に強い(お酒で顔が赤くなりにくい)けれど、翌日にお酒が残りやすい。
こうした傾向のある人はアルコール依存症の割合が高いという。
 心配な人は「アルコール依存症チェックシート」というのが、ウェブ上に公開されているので自己チェックすることをお勧めするとのことだった。

    
 さて、私の場合はどうだろうか?と思い振り返ってみた。
 まず、私が摂取している「アルコール量」であるが、この「アルコール量」というのが分かりにくい。佐々木氏によると、缶ビールの場合は缶の脇に「純アルコール量」という表示があるという。私が夕食時に毎日摂取している「プリン体〇(ゼロ)」「糖質〇」「カロリー最小級」という500mlの発泡酒は純アルコ―ル量12~16gと表示されていた。これだけだと問題はなさそうだ。しかし、しかし…。
 私の場合は、この後に風呂に入ったり、ブログを投稿したりした後、寝酒(これは悪い習慣だというが…)にウイスキーをダブルで2杯程度飲むことが多い。
 これだと60gに届くか届かないかギリギリのラインである。もう少し量を減らしたり、「休肝日」を作ったりしなければと反省しているのだが…。
 次に「アルコール依存症」についても「アルコール依存症チェックシート」でチェックしてみた。こちらの方は「判定7点 低リスク飲酒 このまま上手に、お酒と付き合いましょう」とコメントされた。まあ、ホッと一安心である。
 肝臓はよく「沈黙の臓器」と称される。知らぬ間に病魔に蝕まれている恐れがある。特に常習飲酒者は要注意である。心しなければ…。
 最後に佐々木氏は次の7点についてまとめられて受講者に注意を促された。
 1.アルコールは全身のいろいろな病気を引き起こします。
 2.肝臓ではアルコール性肝硬変が増えています。
 3.アルコール依存症が増えています。
 4.アルコール性依存症のチェックシートがあります。
 5.アルコール性肝障害は断酒で改善します。
 6.断酒困難には節酒を。
 7.節度をもった楽しい飲酒をしましょう。