田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

さっぽろラウンドウォーク 事前踏査 セクション1

2024-03-11 19:11:23 | さっぽろラウンドウォーク
 満を持して(?)「さっぽろラウンドウォーク」事前踏査に挑んだ。しかし、昨日は未明から朝にかけて降った雪が考えていた以上に私を苦しめることになった。なんとか予定どおりにセクション1を踏査したものの私は疲労困憊の状態で家に帰り着くとともに、ある不安が頭をもたげてきた…。

     
  ※ さっぽろラウンドウォークの全コースの概念図です。私がこの日歩いたのは
    緑線の部分、セクション1のところです。

 北大観光高等研究センターが主導する形で札幌市街地を囲むように一周するトレイルコース「さっぽろラウンドウォーク」一周140キロのコースが設定されたことは以前に拙ブログで投稿した。そしてできれば今夏に仲間と一緒に踏破したいと書いた。
 そこで言い出しっぺである私は彼らと周る前に一度コースを体験しておいた方が良いと考えていた。そしてそのチャンスをうかがっていたのだが、「今日がチャンスでは?」と考え、実行に踏み切った。
 昨日(3月10日)朝10時、セクション1のスタート地点である地下鉄「真駒内駅」に立った。私は雪の状態を見て、最初から靴には軽アイゼンを装着して歩行することにした。

     
     ※ 地下鉄「真駒内駅」(背後の黒い建物)の前です。  

 まず目指すは「エドウィンダン公園」である。幸いなことに雪が降った直後だったにも関わらず公園内の遊歩道は除雪されていた。公園内に建つ北海道酪農の産みの親と云われるエドウィンダンの立像をカメラに収めた後、マップに従い「真駒内川」堤防に向かった。

     
     ※ 「エドウィンダン公園」の中に立つエドウィンダンの立像です。

 堤防ではバズーカ砲のような望遠レンズを携えた人に多く出会った。野鳥を狙うカメラマンがとても増えているようだ。
 堤防を進むとやがて「真駒内公園」に至る。「真駒内公園」の遊歩道では散歩する人、ランニングに励む人などが雪が降って足元が悪いにもかかわらず体力づくりに励んでいた。

     
     ※ 真駒内川の細い流れです。

 「真駒内公園」を横切る「五輪通」を越え、再び「真駒内川」の堤防にコースは移ったのだが、そこは数日前に人が歩いた跡が微かに分かる程度で早朝に降った雪が積もり、私は堤防をラッセルしながら進まねばならない状況に追い込まれた。堤防上のラッセルを1キロくらい強いられただろうか?私の体力はここでかなり削られてしまった。

     
     ※ この堤防上のラッセルを強いられました。

「真駒内川」が「豊平川」に合流した地点からまもなく「豊平川」に架かる人道橋「藻岩上の橋」を渡り対岸へ出た。

     
     ※ 豊平川に架かる「藻岩上の橋」とその背後の藻岩山です。

少しの間国道沿いを歩き、藻岩山の登山口がある「藻岩山市民スキー場」を目指した。藻岩山の登山口までもかなりもかなりの上りが続いたが、軽アイゼンが効いてゆっくりではあるが一歩一歩登山口に近づき、スタートから2時間10分をかけて登山口に到達した。

     
     ※ 登山口「藻岩山スキー場口」の看板は雪に埋まっていました。

 ここからがこの日の最大の誤算だった。「藻岩山」自体には何度も登っている私だが、そのほとんどは「慈啓会口」を往復するコースだった。「スキー場口」からのコースは過去に2~3度登っているが、全て夏山だった。「スキー場口」からのコースは思っていた以上に斜度のあるコースだった。軽アイゼンの爪が効かなくなるケースが増えてきた。この日は登山の助けとなるポール(ストック)も持参していなかった。斜度がきついところでアイゼンの爪が効かずに滑ってしまうとお手上げだった。特に、「藻岩山市民スキー場」の名物「うさぎ平」の急斜面の脇を上るところでは、何度も何度も靴が滑り、その度に転倒を余儀なくされた。そうしたことを何十度繰り返しただろうか?まさに恐る恐る登り続ける登山だった。それと共に私の体力は削りに削られた。もうこの時点で私は疲労困憊の状況に陥っていた。

     
     ※ 「うさぎ平」を滑るスキーヤーと私の前を行く登山者です。

 途中、藻岩山のロープウェイの「中腹駅」を通過して、「山頂駅」に着いたのは登山を開始して1時間50分後の14時だった。

     
     ※ 藻岩山ロープウェイの「中腹駅」です。
     
     ※ こちらは「山頂駅」(=藻岩山山頂)です。

 疲労はしていたが、帰りのバス時間が気になり水分を補給しただけで、すぐに下山に取り掛かった。
 下山はかつて知ったる「慈啓会口」コースの一部である。多少アイゼンが効かないようにところがあったものの、なんとか馬の背分岐に辿り着いた。そこから私が目ざすのは「慈啓会口」ではなく、「旭山公園口」である。

     
     ※ 馬の背分岐の「旭山公園口」方向を示す看板です。
    
※ 残念ながら今回の写真はここまでです。疲労困憊の私にはカメラを構える余裕も無くなっていました。

 ここからがまた大変だった。「旭山公園口」は馬の背から何度も何度もピークを乗り越えて進まねばならないのだ。そのピークを目ざす上りも下りと急傾斜なのだ。今度は上りも下りもアイゼンが効かないために、またまた何度も何度も転倒をくり返した。私が数えたところ大きなピークが3度、それ以外に小さなピークもいくつか訪れた。
 私と出会った登山達は「お爺さん、だいぶん疲れているなぁ」と思いながら行き交ったことだろう。バス時間を気にしながら、結局1時間30分を要して、ようやく「旭山公園前」バス停留所に辿り着いた。
 「15時35分発の円山公園駅行のバスに間に合ったぁ!」と安堵したのもつかの間、バス停の時刻表を確認すると、私が記憶していたのは平日ダイヤだったのだ!日曜ダイヤは出発した後で、次の便は17時を回ってからとなっていた。
 とてもそれまで屋外で待てるはずがない。私は疲れ切った体に鞭打って、我が家まで約4キロを徒歩で帰ることを強いられてしまったのだ。家に帰り着いたときは、疲労困憊状態でようやく辿り着いたという状態だった。
 いやいや、昨日は大変な1日となってしまった。と同時に不安が頭をもたげてきた。「さっぽろラウンドウォークを一緒に歩きませんか?」などと呼びかける資格が私にあるのか不安になってきたのだ。
 冬山であったこと、さらには新雪が降ったという夏とは違うコンディションではあったが、はたして皆さんをリードしながらウォークすることなどできるのか? これは今しばらく検討しなくてはならなくなった…。う~ん??
◇事前踏査実施日 3月10日
◇踏査距離    約10キロ

市民健康教育講座「薬と中毒」

2024-03-10 19:41:24 | 講演・講義・フォーラム等
 街中にはドラッグストアが目立ち、薬のみならずサプリメントなどが気軽に入手できる状況である。しかし、そこに危険が潜んでいるとも聞く。薬の効用、薬害などについて薬剤師からお話を聞いた。

    

 3月6日(水)午後、西区民センターで開講された「市民健康教育講座」に参加した。西区の講座に参加するのは2度目である。今回のテーマは「薬と薬害」と題して、東洋薬局八軒の薬剤師:東洋慶武氏からお話を聞いた。

      
《医療用医薬品とOTC医薬品》 
 東洋氏はまず、医薬品には「医療用医薬品」と「OTC医薬品」の2種類があること話された。
 「医療用医薬品」は医師が処方する薬であり、「OTC医薬品」とは自分の意思で購入できる医薬品で市販薬などと称されている。
 「OTC医薬品」はさらに4つに分類されており、「要指導薬品」、「第一類」、「第二類」、「第三類」と分類されており、「要指導薬品」、「第一類」は販売する際に薬剤師が書面でもって必要な情報を提供しなければならないこととなっているそうだ。
 なお、「OTC」とは、Over The Counter(カウンター越し)にいただく医薬品の頭文字を取った名称だということだ。
《薬の服用》
 薬を服用する場合に「食前」、「食後」、「食間」という指示が明示されているが、「食前」、「食後」については説明の要もないと思うが、「食間」とは食事後2時間後が目途ということだ。他に「頓服」なついては発作時、あるいは症状が強い時に直ちに服用することが肝要とのことだった。
《ポリファーマシー》
 ポリファーマシーとは、多く薬を飲んでいることにより、薬の相互作用や飲み間違い・飲み忘れ等により正しく薬を飲めなくなることなどから引き起こされる有害現象のことだという。
 東洋氏からは次のような注意点が述べられた。それは「健康食品、サプリメントの過剰摂取は中毒症状を招く恐れがある」とのことで、薬剤師に相談することが肝要であると述べられた。
 また、決められた用量を守らずに過剰摂取することを「オーバードーズ」と称するが、これも危険なことなので要注意とのことである。
さらに「自己判断で服用(特に医療用薬品)を中止することは症状の悪化や副作用の出現の原因となる」ので、これも医師や薬剤師に相談してほしいとのことだった。
《薬の組み合わせの不適例》
 薬を組み合わせて服用した場合、思わぬ副作用や効果が減じられるケースがあるという。残念ながら講師の説明が早く、全てをメモすることができずメモができた分だけ紹介する。
 🔳「風邪薬」+「栄養剤」 🔳「風邪薬」+「葛根湯」 🔳「便秘薬」+「総合胃腸薬」
 🔳「便秘薬」+「制酸薬」、「乳製品」 🔳「抗菌薬」+「制酸薬」、「総合胃腸薬」
 🔳「風邪薬」+「咳止め」 🔳「風邪薬」+「痛み止め」etc. …
 実に多くの薬の組み合わせの不都合があるようだ。不安な場合は必ず薬剤師に相談することが肝要とのアドバイスをいただいた。

     

《その他の留意点》
 高齢になると、複数の薬を引用しなければならないケースが増えてくる。6種類以上の薬を服用すると副作用が心配される。特に高齢者は副作用が出る可能性が高いという。
 病気を快癒するために服用する薬が害になるようでは本末転倒である。複数の診療科、複数の病院にかかっている場合などは、医師や薬剤師に迷わず相談することが大切なことを学んだ。

仏像彫刻展~原田政光のひとり旅

2024-03-09 10:44:33 | 作品展・展覧会等
 思わぬ形で仏像彫刻展を見物することになった。仏像彫刻の良さなど門外漢の私には分かるはずもない。それより、彫刻家・原田政光の人となりに注目した。
       

 3月7日(木)午後、札幌市民交流プラザのチケットセンターにチケット購入に赴いたときだった。チケットセンターの横のSCARTSスタジオで仏像彫刻展が開催されていた。しかも入場無料とあった。チケットを購入後、「ちょっと覗いてみるか」という軽い気持ちで入場した。
 場内には仏像彫刻(木像)がズラーッと展示されていた。その数56点という大変な数だ。その横に作家・原田政光氏の略歴が表示されていた。それをみると原田氏は高校卒業以来、北海道教育委員会に長く務められ後志教育局長などを務められ定年まで勤務されたとなっていた。というと、まんざら私と関係ないわけではない。俄然興味が湧いた。さらに略歴を見ると、原田氏が仏像彫刻を始めたのは定年退職後だという。独学で仏像彫刻を学び、80歳でお亡くなりになるまでに56点もの仏像彫刻を残したということだ。
 作品の写真撮影が許可されたので、そのうちの何点かを掲載することにした。
       
       ※ 作品名「吉祥天」 73歳時制作
       
       ※ 作品名「阿弥陀如来立像」 68歳時制作
       
       ※ 作品名「恵比寿天」 62歳時制作
       
       ※ 作品名「みかえり阿弥陀」 75歳時制作
   
   ※ 作品名「白衣観音」  67歳時制作
   
   ※ これは原田氏の木像制作をするアトリエを再現したものだということです。
        
        ※ 在りし日の原田政光氏です。

 会場にはおそらく仏像彫刻展を企画されたと思われる原田氏の娘さんがおられ、来場者に丁寧な接待をされていた。父親の努力の結晶を広く市民に公開することを誇りに思っているように見えた。麗しい父子愛を見た思いだった…。

カーボンニュートラルと地域創生

2024-03-08 20:49:45 | 講演・講義・フォーラム等
 最近はGX(グリーントランスインフォメーション)に対する議論が活発に交わされるようになってきた。今回は北ガスと北大が主催して、識者の講演、ならびにパネルディスカッションの議論に耳を傾けた。
     

 最初に「GX」について確認すると、GXとは「温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組み」とされ、最近はこのことに関する議論が特に活発になっている。
 3月5日(火)午後、北大クラーク会館において、北海道大学と(株)北海道ガスが共催で「カーボンニュートラルと地域創生~北海道のポテンシャルと地域課題の解決~」と題するシンポジウムが開催されたので、どこにでも出没する私としては当然のように参加させていただいた。

       
       ※ 環境省の和田事務次官です。

 最初に環境省の和田篤也事務次官「再エネ・ゼロカーボンで地域創生、更にその先へ!」と題して、オンラインで基調講演された。
 和田氏はまず、気候変動問題に対する世界の動きの変遷を概観し、2020年に当時の菅首相が「2050年カーボーニュートラル」宣言をしたことを契機として、2023年には「G X推進法」を成立させたことなどを紹介した。それを受けて環境省では、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動の愛称として「デコ活」なる言葉を推奨していると紹介された。
 そして環境省では脱炭素先行地域として全国95市町村から脱炭素の取組みを進める自治体を選定(その一つに十勝管内の上士幌町のバイオガス発電も含まれている)することで、地域課題を解決し暮らしの質を向上させるカーボンニュートラルの取組みは、地域創生、そして暮らしのウェルビーイング(心身の健康や幸福)を実現できると強調された。

           
           ※ 国際大学の橘川学長です。

 続いて国際大学長の橘川武郎氏「カーボンニュートラル・ガス産業・北海道」と題して基調講演された。
 橘川氏は基本的にはGXに対する推進者の立場の方だと解するが、氏は現状の前のめりのような議論に掉さす立場の方だと理解した。例えば、橘川氏は二酸化炭素の排出量は「脱炭素」ではなく「低炭素」で良いのだと主張します。そして、再エネでエネルギーを生産する際のコスト高が大きな課題であるとし、コストを下げるには技術革新と共に既存インフラの活用が鍵だとし、泊原子力発電所の1号機を運転する必要性についても言及された。
このあたりは、GX推進者の間でも議論が分かれるところなのではないだろか?
 休憩を挟み、4人の方が登壇し、北大の瀬戸口工学研究院教授の司会でパネルディスカッションが行われた。

   
    ※ パネルディスカッションに登壇した 4人の識者です。

 登壇者は竹中上士幌町長、岸北大工学研究院教授、若松北ガス研究所長、そして橘川氏の4人が登壇した。各氏の主たる発言を紹介すると…、
🔳竹中上士幌町長
 上士幌町は2022年に脱炭素先行地域に選考された。その他関連した表彰も受けた。町の主な取り組みとして、家畜のふん尿をバイオマスプラントで発電し、地域に配電している。またプラントで生まれた液肥を地域の畑に還元しているとした。また、太陽光発電、バイオマス発電にも取り組んでいる。「ない」ことの多い北海道だが、「ない」を資源にすることを考えたい。上士幌は「スギ花粉」がないことを売りに、観光開発をしようとしている。
 また、再エネの生産には地域住民が主役となることが必要とも強調された。
🔳岸北大工学研究院教授
 北海道の交通体系はGXの観点から見ると矛盾点が多い。広大な北海道において長距離移動の手段が自家用車となっている。他方、鉄道路線は廃線が続きやせ細るばかりである。カーボンニュートラルの観点から考えると、これからの北海道においては公共交通をいかに維持していくかが一つの課題である。
 また、省エネの観点からいうと北海道の気密性の高い住宅は、寒冷地だからこそ建築技術が育った。その技術を他地域の高温地域の住宅建築に技術移転する視点を持ちたい。
 さらに、広大な北海道において人口減少がもたらす過疎のインフラをどう維持するかも課題である。コンパクト化は避けて通れない課題であるとも指摘した。
🔳若松北ガス研究所長
 北ガスでは道内7市町村と連携を締結して、マイクログリット(小規模電力網)の整備を進め、エネルギーの地産地消を目指している。
 また、水素とCO²から都市ガス原料の主成分であるメタンを合成するメタネーションにも取り組み、「合成メタン」の製造にも力を入れていると言明した。
🔳橘川国際大学長
 北海道はあらゆる再生可能エネルギーを産み出すポテンシャルの高い地域であり、水も豊富である。資源の豊かな北海道はラピダスだけではなく、データセンターなども誘致して北海道で仕事を増やすという視点も必要である。

     
     ※ パネルディスカッションをコーディネイトした瀬戸口北大教授です。

 今やGXとか、再生可能エネルギーという単語は時代のキーワードとなったている感がある。おそらく北海道のみならず、全国的にこうした類のフォーラムやシンポジウムが展開されていることが想像される。その中でも橘川氏が指摘するように北海道は再生エネルギーを産出するポテンシャルに富んだ地域であると言われている。この機会をチャンスと捉え、関係者の健闘を期待したいものである。
 私には声援を送ることしかできないが、躍進する北海道を夢見たい。
 まさに “試される大地 北海道”である。

リカレント教育の今を知る

2024-03-07 15:52:11 | 講演・講義・フォーラム等
 リカレントとは?「循環する」、「再発する」という意味がある。つまり「リカレント教育」とは一度社会へ出た人が学び直す教育を指す言葉である。現職時代、多少関わった経験のある私は、その現状を知りたくて会場に足を運んだ。

     

 3月4日(月)午後、TKPガーデンシティPREMIUMにおいて「北海道リカレント教育プラットフォーム」なるところが主催する「第2回北海道リカレント教育プラットフォームシンポジウム」なる催しが開催され「リカレント教育」という言葉に現職時代に多少関わった経験があったことから触発され参加した。
 プログラムは、まず基調講演として帯広畜産大学長であり、「とかち熱中小学校」校長も務める長澤秀行氏「もういちど七歳の目で世界を―熱中小学校の取組み」と題しての講演があった。

        
                 ※ 講演される長澤秀行帯広畜産大学々長(十勝熱中小学校長)です。         

 続いて、一昨年経営統合した帯広畜産大学、小樽商科大学、北見工業大学の担当者がそれぞれ自大学におけるリカレント教育の事例と成果報告をそれぞれされた。
 そして最後に関係者3名が登壇して「北海道におけるリカレント教育の課題と展望」をテーマに意見を交換しあった。
 長澤秀行氏の「とかち熱中小学校」のお話は大変興味深かった。
 「とかち熱中小学校」は帯広市を拠点として、広域連携型の人材交流や学びのシェアを目的に、大人の学びの場を提供して、開設からすでに6年も継続しているとのことである。
 同じような目的を持った「熱中小学校」は全国的に展開されており、講師陣も充実していて、そうした講師が全国を飛び回って講義を展開しているとのことだった。受講生はそこで新たな知識を得るとともに、異業種の方々と人脈を結ぶなどの効果で出ているという。
ただ、開設が6年前から、ということは三大学が経営統合する前から活動しているということでは、経営統合による効果とは別次元のことなのかなぁ、という思いが私の中に「?」の思いが残った。
 一方、統合を機に始められた「北海道リカレント教育プラットフォーム」をベースとした各大学の「リカレント教育の事例と成果報告」では、それぞれの大学の取組みの内容が報告されたが、正直な感想としてそこに三大学が経営統合されたことによる相乗効果のようなもの感ずることはできなかった。考えてみれば、社会人が学び直すということは、各々の専門性をさらに高める、あるいは新知識を得るということであるから、それぞれの大学の専門性を追求するという意味において、リカレント教育において三大学が連携を図るということ自体が無理な話なのかもしれないのだが…。
 プログラムの最後に「北海道におけるリカレント教育の課題と展望」と題するパネルディスカッションがあった。登壇者は、◇キャリアバンク(株)取締役:益山健一氏、◇北海道労働局:内海晴之介氏、◇小樽商科大学:北川泰治郎氏の3人と、コーディネーターとして北海道国立大学機構の鈴木将史氏が登壇した。

         

         
         ※ パネルディスカッションに登壇した方々です(上の写真も)

 キャリアバンクの益山氏はさすがに民間の人材サービスを展開する会社の方である。これから企業においては、ITスキルを持ち、それをビジネスに転用できる人材が求められとし、そのためにリカレント教育はますます重視されるだろうと指摘した。また、将来の日本企業の姿はラグビーの日本代表のように多国籍の人材が在籍するものとなるだろうとした。したがって、外国人にもリカレント教育を受けさせる体制が必要だと指摘した。
 北海道労働局の内海氏からは、リカレント教育を推し進めるための厚労省が用意している助成制度について説明された。助成制度自体がまだまだ企業側に行き渡っていない現状を憂慮され、労働局としては制度の周知徹底を図っていきたいと述べた。
 対して、北川氏はリカレント教育を実施する側として、企業の経営者の理解と社員の再教育を後押しする姿勢の変化を求めた。また、研修自体を評価するような企業の姿勢を求めた。
 シンポジウム全体を通じて私が感じたのは、三大学が経営統合して「北海道リカレント教育プラットフォーム」を起ち上げたということだが、本当に三大学が統合して起ち上げたプラットフォームが機能しているのだろうか?という疑問が若干残った。先述したようにリカレント教育自体は専門性が求められることから、それぞれの大学の専門性に依拠した教育が行われると想像されるのだが、そこで止まってはいないだろうか?私はまったくの外野の人間であるが、そんな外野の人間にも「あゝ、統合によってこんなメリットがあったんだ!」というものを、これからの実践の中で見せていただきたいと思ったのだが…。
 なお、私が多少関わった経験とは、現職時代に6年間ほど社会教育の仕事をやらせていただき、社会人の教育(学習)のお手伝いをした体験があったので、そうした表現をさせてもらいました。

モレウのうた AINU ART展

2024-03-06 11:18:12 | 作品展・展覧会等
 “モレウ” とは?アイヌ文様の特徴の一つである渦巻き文様のことだそうだ。そのアイヌ文様を継承しながら、そこに各作家の個性も加味したさまざまアイヌコレクションを集めた展覧会を覗いてみた。
     

 昨日レポした「北海道立近代美術館コンサート」の投稿に添付した最初の写真の右下のところに「特別展鑑賞 AINU ART モレウのうた」という表示に気付かれただろうか?実は昨日のコンサートは「モレウのうた AINU ART展」の鑑賞券付きコンサートだったのだ。
 そこでコンサートが始まる1時間前に会場に集合するよう案内があり、私たちは近代美術館が閉館した後に、特別に鑑賞が許可されてゆったりと鑑賞させていただいた。

  
  ※ 特別展会場の入口です。今回の特別展は常設展示会場で開催されていました。

 今回の特別展ではアイヌ芸術関連の作家、工芸家など10人の方々の作品が展示された。その10人とは…、(敬称略)
 ◇小笠原小夜(イラストレーション)
 ◇貝澤 幸司(木彫)
 ◇貝澤  徹(木彫)
 
      

 ◇川村 則子(布アート) 
 ◇下倉 洋之(金工)
 ◇関根 真紀(デザイン)
 ◇西田香代子(刺繍)
 ◇藤戸 康平(ミクストメディア)
   

 ◇藤戸 幸夫(木彫)
   
 ◇結城 幸司(版画、映像)
の10人が出品する展覧会だった。

  
  
 私にはそもそも芸術的な素養などこれっぽっちもなく、特に美術分野はその最遠にあるといってよい。作品の良さを受け止める感性なども皆無である。したがって、どんな作品を見ても「ほーっ」とため息をつくばかりであった。
 展覧会では一部の作品の写真撮影が許可されていたのだが、それがどの作品なのかよく判別が付かず、確実に許可されている数点をカメラに収めるのがせいぜいだった。

       

 いただいたパンフレットを見ると、関連行事がたくさん催されている。それらに参加することで少しは作品の良さを感得することができるかもしれない。これからは、そうした行事にも参加することで作品の良さを理解することに努めなければ…。

※ 添付した作品写真の上部3点は作者が分かったので作者の下に貼り付けましたが、下部の2点は作者に自信がありませんでした。

北海道立近代美術館コンサート

2024-03-05 20:16:49 | ステージ & エンターテイメント
※ 最近、参加するイベントなどが多くなり、ブログ材料が多いことから本日は2度目の投稿をします。

 札幌で活躍する若手声楽家のお二人の歌声を聴いた。近代美術館が閉館した夜、天井の高い1階ホールに朗々とした二人の歌声が響き渡った。閉館した美術館は二人の歌声を聴く50人だけという贅沢な一夜を味わった。

      

 3月2日(土)夜、北海道立近代美術館のホールにおいて北海道銀行文化財団が提供する「道銀文化財団Art Ensemble #19」が開催された。入場希望者が多く抽選となったが運よく入場券が舞い込んだ。この日は若手の二人の声楽家が「歌で紡ぐうららかな物語」と題してのコンサートだった。
 出演はソプラノの櫻井彩乃さんバリトンの大野祐司さん、そしてピアノ伴奏として山田結花さんが出演した。三人は共に札幌大谷大学の音楽科を卒業した見たところまだ30歳前の若手演奏家たちだった。
 演奏はソプラノの櫻井さんの「春の歌」から始まったが、いつものように演奏された曲目を羅列すると…、
 ◆P.チマーラ/春の歌(櫻井彩乃)
 ◆山田耕筰/この道(櫻井彩乃)
 ◆木下牧子/物語(大野祐司)
 ◆小林秀雄/すてきな春に(櫻井彩乃)
 ◆C.グノー/歌劇『ファウスト』より“宝石の歌”
 ◆G.ドニゼッティ/歌劇『愛の妙薬』より抜粋(櫻井彩乃、大野祐司)
    “なんて面白いお話!”
           “昔パリスがしたように”
             “私は金持ち 君は美人”
              “なんと大きな愛なの!”   
 音楽そのものに素養のない私だが、特にその中でも “歌唱” となるとお手上げである。まったく何が良くて、何が良くないのか、まったく判断が付かない。まったくの私の印象で感想を述べるとすると…。

            
       ※ 櫻井彩乃さん    ※ 大野祐司さん   ※ 山田結花さん

 櫻井彩乃さんはソプラノ歌手らしく高音は素晴らしい声の伸びを感じさせてくれたが、低音の方は響きがやや弱いように感じたのだが、他の方々はどう聴いただろうか?
 一方、大野祐司さんの方は体格も素晴らしかったが、彼の喉から発せられる声は声量十分で、地声に力強さを感じさせられた。
 最後に二人揃って披露してくれた「歌劇『愛の妙薬』より抜粋」の4曲は、歌の中で二人のやり取りがあり、歌劇を鑑賞している気分にさせられた瞬間だった。
 コンサートの終わりには当然のようにアンコール曲が披露されたのだが、残念ながらその曲名を聞き取ることができなかった。
 時間にして40分間と短い時間ではあったが、三人の若々しい演奏がとても好ましく、彼らの今後の活躍を願ったのだった。

札幌&大田 姉妹都市国際交流音楽会

2024-03-05 11:43:11 | ステージ & エンターテイメント
 韓国・大田市はかなり本格的な演奏者を派遣してきたなぁ…。対して札幌市は?少々人数的に少ないのが気になったが…。歴史的建造物である豊平館の広間で、両都市の音楽家が共演する心温まる音楽会に同席させてもらった。

     

 少し時間が経ったが、2月29日(木)夜、札幌市豊平館においてMusica Amicitia Festival実行委員会が主催する「札幌&大田 姉妹都市国際交流音楽会」が開催され参加した。
 Musica Amicitiaとは、調べてみるとラテン語で「Musica」は音楽、「Amicitia」は友情、となっていたが、「Festival」は英語で祭礼・祭典・祝祭や祝祭日という意味であるが、ラテン語と英語を混合するという意味が私にはいま一つ分からなかったが、まあ好意的に解釈すると、「音楽を通して友情を育む音楽会」といった意味だろうか?
 内実は、札幌市内で音楽活動を展開(ピアニスト)している菊地玲子という方が2017年から主として両市の若い音楽家たちの交流の場として両市を繋いだことが始まりのようである。その間、コロナ禍もあり一時中断を余儀なくされたが再開できたことに対するメッセージが菊地氏から発せられた。

  
  ※ 演奏会の様子です。指揮者は大田市から来日した女性指揮者でした。

 音楽会は札幌市から6人、大田市から14人が参加して演奏された。中にはベテランの方も混じってはいたが、主として若い演奏家たち(特に大田市の方は)が多い編成だった。
 演奏されたのは次の6曲だった。
 ◆P.マスカーニ/《カヴァレリア・ルスティカーナ》間奏曲 
※ 日韓合同の弦楽アンサンブル
 ◆W.モーツァルト/「魔笛」よりパパゲーノのアリア
     ※ ピアノ~飯尾莉子 ヴァイオリン~パン・ジュヘ チェロ~カン・ジフン
 ◆C.サンサーンス/チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33より第1、2楽章
     ※ チェロ~キム・ソンヨン バック~弦楽アンサンブル
 ◆L.ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19より第1楽章
     ※ ピアノ~キム・ユリ バック~弦楽アンサンブル
 ◆韓国民謡/アリランの物語
     ※ 韓国のみの弦楽アンサンブル
 ◆A.ギャニオン/めぐり逢い
   ※ フルート~チェ・ヨンウ、松本綾、アン・スジン バック~弦楽アンサンブル 
 演奏のレベルは高かった。特に韓国の若手演奏家たちの自信に満ちた演奏ぶりが印象的だった。特に、チェロのカン・ジフン 、キム・ソンヨンの若手男性奏者の技量が秀でていたと私には映った。
 日本勢ではピアノの飯尾莉子さんが小学生だと思われるがトリオで弾いた一曲は、他の二人をリードするような堂々たる演奏ぶりは見事だった。

          

 そしてもう一つ、日本から唯一男性陣として加わった野村聡氏であるが、最近私はしばしば野村氏を目撃することがあった。調べてみると野村氏は「札幌室内管弦楽団」さらには「宮の森アルテ・ムジクス」、「北海道農民管弦楽団」においてコンサートマスターを務められている凄い方である。この日も堂々とヴァイオリンを弾いている姿が印象的だった。

         
         ※ 札幌市内で大活躍の野村聡氏です。

 会場が豊平館の大広間とはいえ演奏陣が20人を占めたために、聴衆は多く見積もっても30人程度ではなかったろうか?ちょっと贅沢な一夜を過ごした気分だった…。

道総研が目ざすゼロカーボンとは?

2024-03-04 19:02:02 | 講演・講義・フォーラム等
 さすがに研究機関である。北海道立総合研究機構が目ざす “ゼロカーボン技術” とは、風力発電や太陽光発電の研究ではないという。道総研が研究するのは木質バイオマス発電であり、地下水熱利用、あるいは温泉熱利用の技術開発であるという。その実状を聴いた。

     

 3月1日(金)午後、道民活動センタービルのかでるホールにおいて北海道立総合研究開発機構が主催するオープンフォーラム「地域に応じたゼロカーボン技術を北海道のすみずみに」に参加した。
 フォーラムは、まず北大工学研究院の石井一英教授が「ゼロカーボン北海道に貢献できる再エネ等の地域資源の活用」と題して基調講演をされた。
 続いて、道総研が道内の町村と共同研究をし、成果を上げた三つの町村における研究成果の発表が行われた。
 石井教授の講演は、その大要として「2050年までにゼロカーボンを目指す日本としては、待ったなしの状況にあり、再エネに関する技術開発はどのようなことにも積極的に取り組むべし」といった内容だったと受け止めた。

  
  ※ 津別町の木質バイオマス製造工場です。

 そして各町村における研究成果の発表だが、まず津別町における「脱炭素のまちづくり」と題して、木材の街津別町が産出する木材を活用して「発電用木質バイオマスボイラー」を稼働させ、そこで発生する廃熱の活用法についての技術開発についての発表があった。津別町では発生した廃熱を役場庁舎、そしてその近くに存在する公共施設(老人施設)に融通する取り組みの事例が発表された。将来的にはさらに熱エネルギーの融通範囲を地域に広げていく方途を探りたいとのことだった。

 
    ※ 当別町の地下水熱交換システムの概念図です。

 続いて二つ目は、当別町における「地域特性に応じたエネルギー地産地消モデルの構築」と題して、やはり当別町の豊富な森林資源を活用した「バイオマス発電」と「地下水熱」を利用する取り組みについての発表があった。特に当別町の事例では、某地域に有効な帯水層が見つかったことから、その地下水熱を採熱する方式として「ヒートクラスター方式」を採用し、歩道の融雪システムとして採用した事例が発表された。

    
    ※ 足寄町の温泉熱を利用して生産するイチゴです。

 三例目は足寄町における「温泉熱と温泉付随ガスのハイブリッド利用モデルの提案」と題して、二つのエネルギーを融合させてイチゴ栽培ハウスを運営する事例が発表された。足寄町新町地区では以前から温泉熱を利用したハウス栽培でイチゴ生産をしていたが生産効率が良くなかったという。そこで、温泉と共に湧出している天然ガスを併用することにより、より効率的なイチゴ栽培を目指す取り組みが紹介された。
 技術的なことについてはほとんど理解できなかった私だが、目ざすゴールはまだ先のようである。しかし、このように地域資源を有効活用し、ゼロカーボンを目ざす取り組みが展開されているようだ。道は険しいとも思えるが、こうした地道な取り組みがやがていつか結実するときあることを信じたい。
 それにしてもリード文で触れたことであるが、風力発電や太陽光発電はもはや研究機関にとっては研究対象ではない、ということなのかもしれない。それら両者は研究が進み、すでに事業化されているということなのだろう。
 先の「道新フォーラム」で北電の齋藤社長は「道内電力の必要量の45%は再エネ電力によって賄われている」と言明された。既存の再エネ発電をさらに増大させるとともに、研究中の新再エネ技術が実用化されることによってゼロカーボンへの道が近づいてくることを期待させてくれるフォーラムだった。
 

弦楽四重奏ミニコンサート

2024-03-03 16:33:41 | ステージ & エンターテイメント
 ミニコンサートと称してはいても、それはもう立派な演奏会といっても遜色のないほど本格的なものだった。奏者の四人はいずれも現役の札幌交響楽団の団員だったり、OBの方だったりしたからだ。コンサートは比較的軽めの曲が主だったことからリラックスして楽しむことができた。

     
 昨日レポした「冬の暮らしアイデアコンテスト」の審査の要する時間帯を利用して「弦楽四重奏ニコンサート」が用意されていた。私にとっては想定外の主催者の配慮が嬉しかった。
 演奏に現れたのは、◆ヴァイオリンの佐藤郁子さん、富田麻衣子さん、◆ヴィオラの青木晃一さん、◆チェロの坪田亮さんという4人の方だった。その中で坪田氏は一昨年暮れに札響を離れたそうだが現在も現役として活躍されているとのことだった。そして他の3人は現役の札響団員として活躍されている方だった。

        
   佐藤郁子さん   冨田麻衣子さん   青木晃一さん   坪田亮さん

 この日は「弦で奏でる四季の音色」と題して次のような8曲(アンコールも含めて)が演奏された。
 ① 虹と雪のバラード(村井邦彦)
 ② 雪やこんこ(作曲者不詳)
 ③ スケーターズワルツ(E.ワルトトイフェル)
 ④ 弦楽四重奏曲 第67番「ひばり」(F.ハイドン)
 ⑤ 無言歌「春の歌」(F.メンデルスゾーン)
 ⑥ ありがとう(水野良樹)
 ⑦情熱大陸(葉加瀬太郎)
〈アンコール〉⑧エトピリカ(葉加瀬太郎)
 いずれの曲も一度はどこかで聴いたことのある馴染みのある曲目ばかりで親しみやすく聴くことができた。

   
   ※ 特に規制のアナウンスがなかったので一枚だけコンサートの様子を撮らせてもらいました。

 4人の方々のベテランらしい落ち着きと円熟した音色を醸し出してくれた素晴らしいひと時だった。
 私としては想定外のミニコンサートだったが、主催者の好企画に感謝したい。