昔、びっくりマンチョコというのがあった。中に入っているキャラクターのシールを収集したいがために、買ったチョコは捨ててシールだけを集めている子供が多かった。今回の選挙も投票用紙をより多く集める目的で、このチョコと同様、CDが逆に付録になってしまっている。確かにCDは1枚あれば聴き込める。何十枚同じCDを持っていても何の役にも立たない。中には一人の押しメンのために給料をつぎ込んでCDを百枚単位で購入した輩もいるときく。昔、自分はレコードの時代、なけなしの小遣いで1枚のLPを買い大事に聞き込んだものである。音楽がまず最初にありきであった。しかし今回の現象は、音楽ありきではなく投票用紙を集めることが目的であり、つまりは音楽の堕落とそれを伝えるメディアの多様性が浮き彫りになってきたのである。同じ選挙でも議員の選挙では、お金をつぎ込んで投票用紙を買ったなら選管法違反になる。ところがAKB総選挙ではお金をつぎ込むことが応援することの正義につながっているわけで、これはもちろん違法にはなっていない。しかしながら何となく、なんでこれが選挙なの?と複雑怪奇な思いなのである。