現場に居合わせた人が傷病者に対して病状の悪化を防ぐ目的にて行なう処置のことを応急手当という。一般の人が傷病者に対して手を差し伸べるということは、どうも「勇気がいる」行為のようである。かれこれ10年前くらいだろうか、どこかの講演にて現場の傷病者に声をかけて、もし必要なら手当をすることが当たり前の感覚と世の中のシステム作りをする必要があると述べたら、会場から「一般の人が応急手当を行なうことはすごく高いハードルがあり、ものすごく勇気がいることだ。まったく現状を把握しておらず認識不足である」と辛辣な批判を頂いた。自分の意図は元来日本では「餅は餅屋」「生兵法は怪我の元」と救急車がくるまでの間の傷病者に対して「触らない事、動かさないこと」を是としてきた。それを乗り越えるためにはきちんとしたシステム作り(つまり正しい応急手当指導、普及啓発)を行う必要があると述べたつもりだった。結局、今までの普及啓発のあり方が問題であるとの趣旨だったのである。ところが・・・。