吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

新幹線内焼身自殺 その6

2015年07月25日 05時37分16秒 | 日記
 この52歳の女性の死因は当初「一酸化炭素中毒」と発表されていた。不思議である。そうであるとしたら、同じ客車にいる人は全員一酸化炭素中毒になっていなければおかしい。一酸化炭素はそれ自体は有毒ガスではない。酸素を運搬するヘモグロビンに、酸素の代わりに結合してしまい酸素を体内末梢に送り届けられなくするわけである。つまりこれで亡くなるとしたら所謂「酸素欠乏」が病態である。特に閉鎖空間に長いこといた状態で一酸化炭素を吸い続けると徐々に頭痛やめまいを起こし時間をかけて症状が進行するのである。数回吸っただけで死亡するサリンのような瞬殺性の毒ガスではないのである。誰が言った死因か知らないがどうも「ど素人」の発表のようである。マスメディアもいいかげんである。後日ようやく、気道熱傷による窒息死と発表しなおされたがこれなら理解できる。いずれにせよ日本の乗降客の多い鉄道でこのような事件を起こしたということの波紋は大きく絶対に許されるべきことではない。テロやセキュリティ問題も含めて社会に与えたダメージはいろいろな意味で大きく、鉄道だけは標的にしないという日本人の性善説的コンセンサス?が崩壊したともとれるのである。残念である。