芸人のピース又吉氏が芥川賞を受賞した。古館一郎氏が「芥川賞も(格が)落ちた。本屋大賞でもいいのでは?」と酷評した。そして和田アキ子氏は「私も結構太宰とか読んでいるが、あの(又吉の)小説は少しもいいとは思わない」とTVでコメントしたらしい。しかしとりあえず自分はすごいことであると思っている。まずはこの賞は本職の物書きが自分の全生活を打ち込んで書いても、なかなかとれるような賞ではないのである。近年「純文学」という枠を超えて、確かに直木賞との棲み分けがないような気もするが、それでもやはり難関な賞であることには間違いはない。又吉氏は今回の中編小説が1作目か2作目くらいであるとのこと。もちろん担当編集者と何回もやりとりをして随分書き直しはあったようである。それにしても駆け出しの小説家である。それが受賞したのだから、やはりこれは大したものなのである。たぶんそれは今までの彼の人並み外れた読書量と、桁違いの文章咀嚼力(読解力)のなせる技であると思う。