昔から蓄えられた「貯金」と磨かれたセンスにより、小説を書き始めて数作目であったとしても、すぐに才能が開花したのであろう。もともと彼は芸人なのである。しかも、そこそこ中堅どころとして売れているのである。センスはもともといいのであろう。ゴマンといるお笑い芸人の中で日の目を見ない人は数多い。お笑いの世界で「中堅どころ」というのは成功しているという部類なのである。結局、芸人でも小説家としても成功したことになり、やはりかれは才能の塊であるとしか言いようがない。その彼が「小説家に転向か?」と聞かれ、「自分の軸足は芸人であり、今後も芸人をやめるつもりはない。お笑いの仕事の合間に小説を書く」と言っている。それもすごいのである。たぶん彼ならどちらの職に転んでも今後も成功するであろう。ただしその言葉も通常「嫌味」に響くところがそう感じなかったのはお笑い芸人のコメントだったからだろう。たぶん和田アキ子も古館一郎も彼の才能を羨んで少し皮肉を言ったのであろうと解釈する。この2人の思考背景には「芸人のくせに」という感情があったかもしれないと思うのだが。でもすごい芸人がいたものだ。