この巻き添えで亡くなった女性は、今まで無事に暮らせたことのお礼にお伊勢参りに行く途中であったそうである。もちろん道中安全であるという保証はなにもない。江戸時代から「お伊勢参り」は遠国の村々から講を募り代表者をたててまでお参りに行かせるということがなされてきた。もちろん信心ということもあるが、途中から他国を物見遊山で見物する旅行という風潮になってきたらしい。昔は途中で盗賊や追剥にもあう危険があったろう。それにしても「お伊勢参り」ということで免罪符のようなものがあり、旅行中の一団は色々有形無形の便宜がはかられるようなこともあったという。無一文に近い形で出立し、伊勢詣での旅と言うことで途中の土地において、食料や路銀を恵んでもらうことも「おかげ参り」といわれ行われていたようである。江戸時代と現代とでは比較にはならないが、今回の惨劇では神仏のご加護がなかったのかと寂しい気持ちになる。