彼女が今回順位を下げたのは内心悔しいはずである。それをおしてこう言った。「私に(年長だから)席を譲れという人もいますが私は譲りません。席を譲らないと上にいけないような人はこのAKBではやっていけません。受けてたちます。もし後輩達が立派に育ってきたなら私は安心して席を譲ります」と。確かに壮絶な内情を想像させるようなスピーチである。このようにかなり厳しい競争社会であることが容易に想像されたが、これこそ各人の努力することへの原動力になっているのだろう。上へ向かうことの貪欲さ、あるいは自分が落ちた時の落胆は一般社会よりもシビアであるかもしれない。これをみてファンが特定のメンバーを応援したくなる気持ちは理解できる。しかしながらこの応援の仕方とはCDを何枚も購入してそのCDのパッケージに同梱されている投票用紙をより多く手に入れることであり、自分はそのことに対して違和感を覚えているのだ。「心から応援していますよ」という精神性だけでは何の役にも立たないことを「現実的な」彼女達は全員知っているのである。
今回、順位発表時、受賞者のスピーチがあったが、なかなか皆立派なコメント内容であった。言葉は悪いが二十歳になるかならないかの若造(小娘)が、あれだけ立派で感動的なスピーチができるのはたいしたものである。自分があの年代の頃には、人前であんな立派なスピーチなどできなかったろう。そういう意味では若いながらも自分のmotivationはしっかりとしているので立派である。ところであの一見華やかそうな集団の中で這い上がろうとしてドロドロとした戦いが起こっているであろうことを想像させるスピーチがあった。昨年4位から今回5位におちた福岡出身の最年長の子である。上京してオーディションにおちたがAKBのカフェで働いているところを抜擢された所謂「1.5期生」のたたき上げの子である。なんだ批判的なわりには随分知っているじゃないかといわれると汗顔の至りである。でも彼女のスピーチは壮絶であった。
先週のことになるが、またしても今年のAKB総選挙が熱狂のなかで終了した。表題で(再び)と書いたのは以前どこかのコラムでもこの総選挙について書いたような記憶があるからである。自分の意見はそのときと同じであり概ね好意的なのだが一点において批判的でもある。さてこの熱狂的イベントにコメントをよせている知識人や有名人も多い。芸能人のコメントならまだしも、あの硬派でならす石原都知事までもが「国民が元気になるのであるから、この方法論を見習うべきだろう」と好意的なコメントを述べている。ゴーマニズム宣言で有名な硬派のこばやしよしのり氏も経済評論家の森永卓郎氏も「私の押しメンは○○さん」といってはばからない。ちょっとなんだか著名人までもがこんなに熱狂的だとこちらは引いてしまうのである。昔、自分がある地方に住んでいた時は国会議員選挙になると地元は熱狂的になり、なかばお祭り騒ぎになる。AKB総選挙もまさにその選挙みたいである。
最近はメタボリック健診も浸透しつつありメタボ体型は健康によくない、痩せて標準体重にもどすことが心疾患や脳血管障害の予防になると厚労省でも言っています。また適度な運動とあわせて適度な飲酒(1日1合以内)も循環を刺激して健康によいといわれております。一方、街角での外食産業は丼のメガ盛り、ギガ盛りまで出現しており、大食い天国となっております。さすがに最近、年齢のせいか大食いの自信はなくなりましたが、学生時代はいくら食べてもすぐに空腹になりました。いいんです。若い年代層では、メタボ体型になってもまだまだ体力に余裕があります。どんどん太ってもやり直しがききます。しかし自分の年齢では、今メタボ体型に戻ったら、生命に危険がおこりかねません。はー、魚介系のドロドロ仕立てスープで食べるちぢれた太いつけ麺が好物なんですけどねー。もういいかげんにこれはやめないと・・・。
味噌に抗酸化作用があって成人病を予防する? いやいや抗酸化作用が発現されるほどの量を食べたら塩分摂取のほうが多く高血圧の原因になるでしょう。わかめが余分な塩分を排出するとありますが、人間の腎臓の働きのほうが余分な塩分をきちんと排出してくれるでしょう。わかめに頼らなければならないほど人間の身体はヤワではありません。もやしにはビタミンCがたっぷりとありますが、熱を通したもやしではビタミンCは分解されているでしょう。残念ながら店のカウンターに貼られたウンチク書きを読んでいたら、こんなツッコミが頭に浮かんできました。ほどなくしてでてきた味噌ラーメンは脂がギトッと浮かび分厚くきられたチャーシューはジューシーそのものであります。たぶんものすごいカロリーでしょう。また濃厚な味噌スープは、塩分も濃く、魚介や豚骨のエキスのスープにはプリン体がたっぷりと充満しているようでした。 美味いっ! いいんです、言い訳なんかいらないっての。
先日、医師会の帰りにラーメン屋にたちよった。久しぶりに味噌ラーメンを注文した。カウンターの目の前に「ウンチク書き」があった。「味噌は成人病の原因となる活性酸素をおさえる抗酸化作用がある」「もやしにはビタミンCがたっぷり!」「わかめは身体の余分な塩分を排出する」といかにも自分の店の味噌ラーメンが身体に良いようなウンチクなのである。しかしこんなことはどうでもいいのである。味噌ラーメンなんてのは身体に悪いけど、極上に美味いんだから。いいんです。美味いものを食べて病気になるのは自己責任なんですから。それにしてもいかにも何か「言い訳」のようにかかれたウンチクは誇大広告か、店主の勘違いか、はたまた健康によくないものを販売していることに対する免罪符なのかと思ってしまう。それにしてもサプリメントのCMみたいに「○○に効く!」なんてかかれているとついつい信じてしまいますよね。
私は巣鴨のとげ抜き地蔵さんの近所で育った。小さい頃から縁日の屋台を周るのが好きだった。私の味覚の原点は、屋台のお好み焼きや焼ソバやハッカパイプや綿飴、はたまた夏場は氷で冷やした、如何にも人工着色料がふんだんに使われている原色シロップ水なのである。これらジャンクフードはどう考えても身体によくはない。でも今でも美味しいと感じるのは幼小児期における味覚の刷り込みというものがいかに大きいかということである。刷り込みというわけではないが身体によくないものというのはやはり旨いものが多いのではないかと思っている。たとえば、飲み屋のモツ煮込みは極上である。でも塩分やらプリン体の多さやらで健康にはよくない。最近のラーメン、つけ麺もブームであるがこれらだって塩分、カロリー、プリン体などの宝庫なのである。
いわゆる健康増進のための商品や食品の宣伝におけるキャッチコピーには随分いい加減なものがある。たとえば膝痛の人に対しての内服食品(薬品ではなく食品扱いになる)には、使用者の談として「もう、こんなにも元気です! 痛みもすっかりなくなりました」とTVなどで流される。そのときTV画面の右隅に「これは使用者の声の一部です。効能には個人差があります」と瞬時に小さくこのような文字が通り過ぎるのである。もちろん個人差はあるが、残念ながらこのような食品については何ら臨床検証データがないので効くとも効かないともいえないのである。中には経口で内服しても絶対に効くわけがないという健康食品までが堂々と販売されている。まあ特に毒にはならなさそうなので、あえてどれとは言わないが、何だかまるで誇大広告のようである。でも鰯の頭も信心からといわれるよう、外来にくる患者さんの中には続けている方もいるようなのだ。
昨日、指名手配中の元オウム真理教信者の身柄が確保された。昨年12月31日の男性信者の逮捕に引き続き、このところまた昔のサリン事件などがTVにて報道されている。そういえばあの警察庁長官狙撃事件は地下鉄サリン事件の1週間後のことであったが、当時、自分は長官の主治医であった。結局犯人は検挙できぬまま時効をむかえたが、今年、自分は奇しくも狙撃を受けた当時の長官の年齢となり、特に複雑な思いである。今では思い出にまでなっているが、長官の診療当時は異常な事件が頻発し世紀末的な世相を感じたものである。もちろん昨今では大震災や経済危機などで、同様に先行きの見えない不安を抱えている。時代が好転するのはいつになるのであろうか? それにしても今も元長官はお元気なので喜ばしい。
さて今年も6月に突入しました。また特定健診開始の季節になりました。特定健診は予備月いれると半年以上であり契約健診は一部1月までやっています。なんだかほとんど年中健診をしているような感覚ですね。国保の特定健診の場合はお手元に区から資料が行きますのでよく目を通してから受診してください。男性の場合、今年から併施される前立腺癌検査(PSA)の自己負担金が昨年の¥500から無料になりました。また年齢や昨年の健診結果にて行う検査内容が異なります。また契約健診のかたは一部負担金が発生する場合がありますのでご注意ください。それからかならず事前に予約を入れていただき、来院時は健康保険証を持参ください。あ それから食事しないできてくださいね。いろいろ面倒ですみません。
確かに1週間近く便が出ないときは、大量の排便により腹部の不快感がスッキリ解消し、これは喜ばれるだろう。喜んでいただけるだけでありがたいのである。でもある意味これらの病態は「救急疾患」かもしれないが、突然「何とかしてくれ」と外来の混雑している時に駆け込まれても頭を抱えてしまう。しかも普段はうちに来院しない他院のかかりつけ患者さんであることが多い。摘便終了後にそれら患者さんに聞いた。「いつものかかりつけ医院さんに行かないで何故うちの医院にいらしたのですか?」と。すると「だって、ここは肛門科じゃないですか」といわれた。うーん・・確かに、そういえばそうだ。目からうろこである。きっとこれこそが地域医療である。「とげ抜き」「摘便」何でもござれ。とにかくまあ地元の患者さんの喜ぶ笑顔が一番である。