昭和35年楠本健吉が刊行者となって発刊された俳句結社「上海すみれ會」の句帖である。
敬愛して止まない久保田万太郎も名を連ねていることを知り、最近オークションで手に入れ、
愛蔵書の仲間入りとなった。
先年虚子が亡くなり発刊が間に合わなかったことを、楠本は大変残念がっている。
虚子を初め、久保田万太郎、星野立子、武原はん、久米三汀、高野素十、山口正邨その他
錚々たる人たちの名前が見える。
上海というのが気になっていたのだが、何となく付け虚子に相談したらあった方が面白いと
いうことになったらしい。
すわりても立ちても日あしのびにけり 万太郎
巻頭に紹介されている句である。うまいな~、惚れ惚れしてしまう。
万太郎も38年、画家梅原龍三郎邸で会食の際突発事故で亡くなる事になる。
さきに「久保田万太郎回想」という本を手に入れた。
79名の方々が稿を寄せられている。改めて万太郎のすごさを思い知らされる。
秋の夜長PCの電源を落としてこのような本に接すると、誠に気が落ち着くのは何故だろうか。