定
何事によらす宣からさる事に百姓大勢申合せ候をととうと唱へ
ととうして強て願事を企るを強訴といひ 或ハ申合せ村方たちの
きをてうさんと申 前々より御法度ニ候條 右類之儀これあらハ
居村他村に不限早々其筋の役所へ申出へし 御褒美として と
とうの訴人銀百枚 強訴の訴人同断 てうさんの訴人同断 右之
通り下され その品ニより帯刀苗字御免あるへき間 たとへ一旦
同類に成るとも 發言いたし候ものゝ名前申出るにおひてハ 其
科を免され御ほうひ下さるへし
一、右類訴人いたすものなく村々騒立候節 村内のものを差押へ
ととうニ加ハらせす 一人もさし出さゝる村方これあらハ 村役人
ニても百姓にても重モに取静候ものハ 御褒美銀下され帯刀苗
字御免 さしつゝき静メ候ものともゝこれあらハ 夫々御褒美下し
おかるへき者也
明和七年四月 奉行
(井田衍義 御惣庄屋十ヶ条懸令條目 743 藩法集7・熊本藩 p394)