津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■横井小楠・木下韡村往復書簡ーその(一)

2023-09-03 06:16:52 | 先祖附

天保十一年二月二十四日
 ■木下宇太郎へ
   昨夜は酒坐にて私もよ程酔ひ候ての御咄合心中盡不申かと考、尚書呈仕候。御互之御交は居尞以來別
   て打明しつゝ親敷御座候處、去夏此許着以來何角と御疎遠に相成、仲冬墨田御同行之節其迄之事抔御
   互にうち出し、私心得等御教示承り古之通りに無腹蔵御咄合可申と御盟申候事は御覺と奉存候。然處
   其後とても不相替被打明候御様子に見受不申、昨夜不斗其咄合に及び候處御了簡有之ての事之由、將
   又私事には御腹蔵之儀も有之段承り、御互氣質替り候より合兼候と存じ、只今通にては交情とても面 
   白無御座却て妨に相成可申、左候へばお互切磋等は以來仕不申方可然と及御咄合申候。右之通に御聽
   取に相成候か、自然申違ひの聽き違ひ等有之候ては不相濟事に付為念尚得貴意申候。已上
        二月廿四日                 横井
          木下様
       尚々御書物は返上仕候。已上。

 ■木下宇太郎より(返書)
   御紙表被成下奉拝見候。昨夜座間被仰聞候儀に付 猶又 御委細致仰示被下御多念之儀奉存候。御書中
   通に昨夜も拝聞仕候。尤御事に付腹蔵仕候と申事にては無御座、時宜に寄候ては直に御咄に及兼候儀
   は不免事も御座候て、何ぞ御隔意に奉存候ての事御座候。墨田道上にて段々御咄合之儀於私心事御疑
   之筋も有御座間敷と奉存て追々之通昨夜も不遠慮之戯譃放論、不都合之儀も御恕容可被下と奉存候處、
   私御交際に付て打明不申様に被思召、且流儀違にて於御自身御氣遣被思召との事に御座候へば罪過存
   當り候迄は御断之申上様存不申、御相談通に相心得可申と御返答仕候通に御座候。此段御報簡如斯御
   座候。以上。
        二月廿四日                 木下宇太郎
          横井平四郎様
       尚々別裁一帙、慥に拝受仕候。已上。
   
   

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