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独り視聴者委員会~弥生篇

2020年03月25日 | 雑記帳
 ドラマや生中継以外は民放をあまり見なくなっているなあと思いつつ、今月もNHK中心に面白かった番組などをピックアップしてみる。


 『プロフェッショナル 仕事の流儀』に靴磨き職人が登場した。都会ではまだその仕事があると知っているが、この方はお店を構えている。なんとワールドチャンピオンだ。職人と心底呼べるいくつかのジャンルがあるが、映像からもその技術が伝わってきた。代金一足4000円にも驚く。その価値をどこで知るか。


 足元を大事に、とよく言われる。比喩ではなく、身につけるものに気を遣うことは、ある面精神に働きかけるからだ。特に靴を挙げる人は多いかもしれない。装身具等には興味をずっと持てずにきたが、意味は分かる。「磨く」という具体的な動きが心に及ぼす影響は案外大きい。その集中と繰り返しが呼び起すものは…。


 深夜『AI美空ひばり あなたはどう思いますか』という番組があった。昨年9月にそのドキュメントも観ていた。そして紅白に登場し賛否が分かれた反応があることも知っていた。それを受けた特集である。自然な流れと受けとめる者、冒涜ではないかと首を傾げる者、様々な感情や思考が渦巻いている内容だった。


 AIの進歩は留まらない。どう向き合っていくかを常に意識し、顕在化していく必要がある。一番焦点化されたのは台詞の箇所だった。「死者」が語りかけることの意味とは何か。受けとめる側の感情が揺れ動かされ、何かに誘導されることへの危惧…。全て人間の行為に違いないが、「情報」だけで「人」は成立しない


 その意味で、『ガッテン!』が研究者SPと名づけ火災予防、食虫微生物、入れ歯製作の専門家を取り上げたことは、生身の人間がクローズアップされていた。自ら身体をはって実証する精神を持ち続ける研究者たちを見ていると、いくらAIが進化しても決して持ちえない「命」の素晴らしさをつくづく感じてしまう。