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桜と絵本と豆乳と

長月十番勝負その六

2023年09月21日 | 絵本
 秋めいてきた9月20日午前。来週の予定を繰り上げてのこども園読み聞かせがある。この頃は続けて紙芝居を最初に取り上げていたが、今回は大型絵本とする。図書館の棚を一通り漁ってみていて、これがいいかなと実のところ軽い気持ちでピックアップした一冊だ。名作『だるまちゃんとてんぐちゃん』である。





 40人ほどを相手に「前に読んだことがあると思うけど…」と通常版の本を出して訊くと、「あるう」と声を出した子は数名だった。確かにそうなのかもしれない。次々に新しい絵本が発刊されているし、大人が知っていても今どきの子の多くが読んでいるとは限らない。大型版を出すと、わあっととたんに見入ってくる。


 ストーリーは単純で、だるまちゃんがてんぐちゃんの持っているあれこれを欲しがり、だるまどんに用意してもらって見せに行くという形。読み聞かせ方を考えると、改めて絵の見せ方もポイントになるなあと気づいた。たくさん用意してくれたもののなかから、てんぐちゃんが選ぶものは…といった見せ方が有効だ。


 今どきの子どもたちの受け止め方はどうかやや心配もあったが、やはり名作は名作だ。子どもたちの目と耳が惹きつけられているのが伝わってきた。長く読み継がれる作品には、心をとらえる芯のようなものがある。それは達磨と天狗という対照的な造形と、筋の繰り返しの妙と変化、明朗さといった点が挙げられる。


 大相撲中継をしている今の時期ならと思い、力士が登場する絵本を一冊取り上げた。『たぷの里』という書名が、力士の体型とあいまって面白い。子どもたちの頭などに「たぷ」と胸部が乗っていく繰り返しがユーモラスだ。これなら乳児であっても笑えるかなと思う。そのあとに2冊短いものを取り上げ、終了