すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「なつかしい声」と言われて…

2024年02月17日 | 雑記帳
 某小学校の1年生、2年生への読み聞かせがあり出かけた。学校へ着くと、2年生に体調を崩している子が多く、1年生のみになったと言われた。2年生向けに話したい中味が少しだけあったので残念だった。それでも、まあこじんまりと教室でやれるのもいい点はある。お迎えの子が来てくれたので、一緒に向かう。


 教室に行くと「知っている」という声。もちろん一学期も来ているし、この子たちはこども園の時から語っているので、見知った顔も多い。PPTをモニターにつなぐために「ちょっと待ってね」と口を開いたら、ある一人の子がこんなふうに言ってくれた。「あっ、なつかしい声だ」…なんとなく、心にじいんときた。


 「生の声で語り聞かせる」ことが、この活動の一番の肝だと思っている。絵本について造詣が深いわけではないので、それなりの発達段階を考慮するが自分好みの選書である。対象人数に合わせ、絵本をモニターに映すことも取り入れ工夫している。けれども、いつでもどこでもど真ん中にあるのは、自分の声である。


 単に以前聞いた声を思い出しただけかもしれない一言なのだが、声で記憶されているなら、嬉しい。幼児や低学年だから練習に手抜きをするようなことは、禁じてきた。積み重ねていくらか声が表情を持ちその子に伝わっているのだとしたら…本当に語り手冥利に尽きる。気分をよくして『あばれネコ』から始めた。

  


 一冊終わったら校長先生から耳打ちされた。「3,4年生担当の方が来ておらず…」。ああっ、承知しました。数分後ぞろぞろと教室満杯の異学年を前に、大好きな『トラネコとクロネコ』そして初めて読む『ねこの木』の二編。内容は、各々の学年なりに聴き取ってくれたか。今日も、声を覚えていてくれたら嬉しい。