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桜と絵本と豆乳と

令和の「芸能」最前線に

2024年05月14日 | 雑記帳
 手持ちの講談絵本は8冊で、うち神田伯山(松之丞)監修が7冊ある。読み聞かせた経験があるのは4冊。ミルハスで開かれた独演会で、前座?として三番弟子が語ったのはその一つ「宮本武蔵~山田真龍軒」だ。こいつはラッキー、プロの噺が聴けるなんて…と耳を傾け、不遜な心持ちで「勝ったな」(笑)と思ってしまった。


 それはともかく、その後泊山が登場し高座に上がる。計4席、正味2時間ほど堪能した。TV等では見ているが、その語り口の鮮やかな様は「今、一番チケットが取りにくい演者」と言われる評価を裏切らない。滑舌のよさ、声調の豊富さ、強弱・緩急の巧みさ…初生講談が多いと思われる800の観客を魅了したように感じた。




 最初は、絵本にもある「荒大名の茶の湯」。これは滑稽な内容であり、学校寄席ではウケると説明していた。絵本を読んだ限りではちょっと難しいと思って取り上げたことはないが、どうなのだろう。いつか試せるか。二つ目は「出世浄瑠璃」。これは登場人物が語る劇中の講釈が見事で、聞かせどころのある演目だった。


 三つ目はあの四谷怪談のエピソードZEROと称する「お岩誕生」だった。照明を落としての語りは、落語の怪談噺より迫力がある。最後は、落語のネタとして有名な「名工浜野矩随」。これは泊山が18歳の時に観客として聴いたエピソードが前置きだった。表情豊かな語り口はお見事、現役落語家を茶化した?締めも笑えた。


 Youtubeを探したら、先代泊山の録音が残されていた。聴いてみるとやはり特徴は違うものだと興味深い。演者の個性をひとまず置いたとしても、テンポの違い、聴き手を意識した滑稽的な要素や現代風なキャラを挿入することなど、やはり令和の芸能と呼ぶにふさわしい。その最前線に触れたひと時、反芻してみた。