すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

使用期限 2024.3

2024年03月28日 | 雑記帳
 勤務最終週となった。5年前に思いもかけず、心の隅に興味を残していた図書館勤めが非常勤ながら始まった。振り返るとそのうち3年半ぐらい「コロナ」の背景があり、ぼんやりと望んでいた姿には影響があったと思う。しかし、やはり自分にとって貴重だったのは、「本に囲まれている」という環境そのものだった。


 質はともかく読書量だけはある程度こなす生活を心がけてきた。教育書を手始めとしながら年間100冊以上読了を25年以上は続けてきた自負もある。ただ、図書館という場で書架を巡り眺めるとき、それが地方のこうした小さな館であっても、いかに自分が部分的で矮小な存在であるかを頻繁に思い知ることになる。


 そして「今となっては遅い」と言い訳がましく思う。実際のところ、これが半世紀前であっても同様だろうが…。人が一生に読める冊数など、仮に一日一冊80年間読んでも3万冊には届かない。本館蔵書が8万近いことを考えると実に途方もない。だから無駄、とはならない。結論は「読まなければ出逢えない」のだ。


 そういう志向を多くの人が持てるようにすることが使命であり、公務だった。その一助になったかは甚だ心許ない5年間であった。幼児から高齢者まで多様な生き方、興味関心、嗜好等が認められ許されるなかで、紙の本というメディアの存在は軽くなり、消費的になる一方である。どんなアプローチが必要だったか。


 整理下手の机の中は、今までのプランと課題の紙であふれている。ワークショップ、読み聞かせ講座、羽後学、掲示資料等々、そのどれもが緩かったけれど思い入れはある。2020年秋に始めた公式ブログも継続できて、愛読している方が少なからずいた。ただ、順調に拡大発展させるよう引き継ぐほどの自信はない。


 ともあれ、大きな不祥事や突発事項がなく乗り切れたことは素直に喜びたい。机の右2番目の引き出しに、何かの時にと思い買って置いた一本の高価なユンケルが箱ごと残っている。しんどいけれどやり抜かなければという事態に遭遇しなかった証拠か。使用期限が2024.03と打たれていた偶然に、思わず頬が緩んだ。



2 コメント

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お疲れ様でした。 (郭公太)
2024-03-29 09:45:48
そうでしたか。5年間お疲れさまでした。魅力的な図書館づくりに取り組むご姿勢に改めて敬意を表させていただきます。今後のご活躍も楽しみにしています。
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Unknown (spring)
2024-03-30 06:37:32
以前から自分のなかでは決めていたことで、やや無理を通した感がありますが、町のためにはなるかなと…(なんだか上から目線だな)。ともあれ、昨日もそうでしたが老夫妻の「孫との格闘」を片手に、好きなことをできるうちにやるという構えです。
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