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「雨がしくしく、ふった日は」

2021年06月14日 | 絵本
 図書館ブログのネタにならないかと思い、検索システムで「6月」を入れてみたら、「講談社のおはなしシリーズ」のなかの「6月のおはなし」がヒットした。月ごとに異なる作家が書き下ろしていて、6月は森絵都。ページごとに絵はあるが、絵本というより「幼年童話」である。たまには、こんな本に浸るのもいい。


『雨がしくしく、ふった日は』(森 絵都・ たかおゆうこ・絵  講談社) 




 クマのマーくんは、雨がふるとその音が「しくしく、しくしく」と聞こえてしまう。泣きぬしをさがしに出かけ、最初に会うのは、緑色をした「あじさい」。マーくんは、そのあじさいがみんなと同じように青くなりたいと言うので、青い絵の具を持ってきて塗るが、雨のせいでみんな流され…今度は自分が泣き出す。


 周りのあじさいからある事を聞いたマーくんは…。こんなふうに泣きぬしを探しに出かけたマーくんが、一緒に問題を解決していく形で続いていく。登場するのは「ナメクジ」「人間の女の子」そして「空」と、変化のある設定が楽しい。でんぐりがえりが好きなマーくんの素直さ、共感性が読者を元気づけるようだ。


 最後に梅雨が明けてこの話は閉じるが、「つゆあけのうた」のシンプルさがいい。「つゆが あけた/つゆが あけた/なつが くるよ/なつの あとは/なつの あとは/あきが くるよ」。自然の移り変わりには訳がある。自然に逆らわない、いや自然に生かされていることを祝いたい心が芽生える。季節を言祝ぐ話だ。


 巻末にある月ごとの「まめちしき」にも頷いた。「天泣(てんきゅう)」という語を初めて知った。いわゆる「天気雨」のこと。雨の国だね日本は、と思う。


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