Re80『絵本のまにまに』(長野ヒデ子 石風社)。去年の三月発刊のエッセイ集。ちょっと前に買って読みきれていなかったが、今回通読した。一昨年にお招きした頃に、最終校正をしていたのだろうか。親しく話した夕食の席を思い出しながら読んだ。八十路の方には失礼かもしれないが「純真さ」の印象は今も残る。
一番熱く語られた「紙芝居」のことが、この本でも記されていて興味深い。自分でも演じた『くわず女房』の絵の描き方の部分では、プロ作家としての技術や思いを教えられる。簡単に読める、抜くのではなく、そこに深みを求めたいと思わされる。「演じ手にも心地いい声」…そのためには間違いなく「心」が問題だ。
東京駅で財布を落とし、保管センターに取りに行った経験がある。大都会でよく見つかったものだと国民性に感謝した良き思い出だ。Re81『ゆめみの駅 遺失物係』(安東みきえ ポプラ文庫)は女子中学生が主人公で(文庫自体も読者層は中高生あたりだろうか)遺失物係を訪ねる話だが、落としたのは実は物ではなく…。
係に保管されているのは「拾得物語台帳」であり、係の人が見えない事務室から「おはなし」を捜してくれる。そして、これではないかと読んでくれる。月曜から日曜までの七日間、短い七つの話が語られる入れ子構造となっている。それぞれにファンタジー性があったり、寓話的であったり、読みごたえがあった。
「あとがき」に記された作者の思いは、様々なモノ、コト、ヒトを失くしていく大人にも響く言葉となっている。そして、また誰かにも伝えたい。例えば…
「失くした分だけ、生み出していけばいい。そう信じること。」
一番熱く語られた「紙芝居」のことが、この本でも記されていて興味深い。自分でも演じた『くわず女房』の絵の描き方の部分では、プロ作家としての技術や思いを教えられる。簡単に読める、抜くのではなく、そこに深みを求めたいと思わされる。「演じ手にも心地いい声」…そのためには間違いなく「心」が問題だ。
東京駅で財布を落とし、保管センターに取りに行った経験がある。大都会でよく見つかったものだと国民性に感謝した良き思い出だ。Re81『ゆめみの駅 遺失物係』(安東みきえ ポプラ文庫)は女子中学生が主人公で(文庫自体も読者層は中高生あたりだろうか)遺失物係を訪ねる話だが、落としたのは実は物ではなく…。
係に保管されているのは「拾得物語台帳」であり、係の人が見えない事務室から「おはなし」を捜してくれる。そして、これではないかと読んでくれる。月曜から日曜までの七日間、短い七つの話が語られる入れ子構造となっている。それぞれにファンタジー性があったり、寓話的であったり、読みごたえがあった。
「あとがき」に記された作者の思いは、様々なモノ、コト、ヒトを失くしていく大人にも響く言葉となっている。そして、また誰かにも伝えたい。例えば…
「失くした分だけ、生み出していけばいい。そう信じること。」