【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

山と携帯

2010年09月04日 21時25分01秒 | 登山&アウトドア(関西)
8/12付け筆者ブログ「白馬岳山行覚書」で、携帯に付いて次のような事を書いた。
“北アルプス縦走する方は、ソーラー+磁石・高度計付docomoに変更した方がいいかも”
この根拠となったのは、次の2点。
①実際稜線上でauが通じなかったこと。
②「山と渓谷」2010年8月号、『日本百名山でつながる携帯電話を調査』の記事。

②については、気になったので、再度読んでみた。
下記にデータを記す。
docomo・・・・・55%
au・・・・・・・・・43%
ソフトバンク・・・・13%

具体的な山名を出すと・・・
山名       dcomo     au    
金峰山    ○           △    
瑞牆       ○           ×      
白馬       ○           △    
剣岳       ○           △    
槍ヶ岳     ○           ×     
奥穂高    ○           ×      
大台ヶ原 ○            ×    
  
(ソフトバンクは、奥穂高以外、全滅。byアトラストレック社調べ)

確かに、データを見る限り、(北アルプスでは)docomoが圧倒的に強い。
ただ、口コミ情報として、六甲、京都北山とかでは、auが強い、と聞いた。
(docomo解約して、auに切り替えた方もいる、という)
自分がどこの山を登るのか?
周りの方の携帯はどうか?
具体的な状況を山仲間に聞いて、判断した方が良さそうだ。
なお、トムラウシ山では、docomoがペケで、auがマルになっている。

「山と渓谷」の記事によると、福島県警では県内の主な登山口にある看板やポスターにバーコードの掲示をはじめた。これを読み込んで、県警の携帯用ホームページにアクセスすれば、現地から登山届けを簡単に提出できる、とある。
登山届け等、安全対策に関しては、今後全国的に、ネット利用、携帯利用と言った方向にいくでしょうね。携帯の通話、電波状況も、改善されていくでしょう。でも、基本は自分で自分の安全を確保する。普段からトレーニングをして限界を知り、実力以上の計画を立てないこと。自戒を込めて書いておこう。以上、「山と渓谷」8月号の感想。(よかったら実際読んでみて)


さて、岩場ではどうなんだろう?
備中や帝釈の岩とか、どうなんだろう?
便利な場所にあるのもあれば、電波の入りにくそうなエリアもある。
いざという時の為に、組織的に調査をしても良いかもしれない。

「I'm sorry, mama.」桐野夏生

2010年09月04日 20時06分49秒 | 読書(小説/日本)

読後感よくない・・・やりきれない気分。
私は、基本的にカタルシスのある、明るい作品が好き。
でも、時々どろどろした、複雑な感情を惹起する作品を読みたくなる。
そんな時ピッタリなのが桐野夏生作品。
今のところ、「グロテスク」が№1だけど、この作品もレベル高い。

「アイ子」と名乗る女が主人公。
この女、ヘーキで嘘をつき、盗み、火をつけ、殺す。
この残虐さはどこで培われたのか?
次第に明らかにされる過去。
救いのない現実。

いったい、このやりきれなさは、どこから来て、どこへ持っていったらいいのか?
(この読書は娯楽とはほど遠い)
ところでこの作品、ミステリとしても読める。
白い靴はどこから来たのか?
母親の靴なのか?
母親は誰なのか?
「謎」が提出され、最後に解明される・・・そう言う意味ではすっきりする。

【ネット上の紹介文】
児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。盗み、殺し、火をつける「アイ子」。彼女の目的は何なのか。繰り返される悪行の数々。次第に明らかにされる過去。救いようのない怒りと憎しみとにあふれた女は、どこからやって来たのか。邪悪で残酷な女の生を、痛快なまでに描き切った問題作。

「少女マンガで読み解く乙女心のツボ」和久井香菜子

2010年09月04日 10時21分56秒 | 読書(マンガ/アニメ)

 
「少女マンガで読み解く乙女心のツボ」和久井香菜子

このブログを読んでいる方は、99%クライマー、と思われる。
こんな本を紹介されても、まったく興味ないでしょうね。
(以下、読み手の意向と関係なく、文章をすすめる)

オタクの間で流行っている「メイド」に対抗して、女性では「執事」がブーム。
「メイちゃんの執事」を取り上げながら、この現象は今に始まったことではない、と論評。
それは、オスカル様に奉仕するアンドレである、と。
目から鱗、である。(そうだったのか!、って感じ)
著者曰く:「自分を想い、守ってくれる男性こそが、女にとって最高の男性」、と。
      「それが「執事」という名前を与えられ、ブームになったというわけだ」

このように、著者はツボを押さえながら、具体的な作品を上げて説明する。
以下、興味深い文章のオンパレード。

現実では、女は男性の愛情を、その行動で見極める(自分のためにどれだけ金や時間を費やしてくれるかとか、他の女に見向きもしないとか)けれど、漫画の場合は男性の愛情を、男性キャラの行動ではなく、ト書きで見極めるのだ。だから、少女マンガのプレイボーイは、人気がある。どんなに女が寄ってこようが、主人公に一途だったら、それは浮気じゃなくて単に「モテてる」ってことで、そんなすごい男を捕まえたってことで、主人公の価値は上がりっぱなしなんだから。(P70より)

「幸せにする」と言う男性はいるけれど、「どうやって?」と問うたときに、答えられる人はいるだろうか。その時に、女が納得する答えを持ってこられる男性はいるんだろうか。幸せというのは、環境ではなくて、自分の心の中にあるのに。(P79より)

女の話の8割は、オチなんかないぞ。女は「そこでどう思ったか」とか「何を考えたか」なんて話が好きなのであって、別にオチがなくても大丈夫なのだ。(中略)一方少年漫画は、目的、攻略、達成(オチ)で、非常に起伏が激しいものだ。男性からしたら、女の話や少女漫画って、メリハリなくてつまんないかもね。

さらに上記文章に註釈が付いてくる。
 ↓
物事の経験値が少ない人間ほど、排他的な意見を言いたがるものだけど、少女漫画を「つまらない」「恋愛ネタばかり」と否定する男性のほとんどは、「読んだことがない」と言う。よく知らないものを評論したり否定したりしちゃいけませんよ。(P93)

(仕事をすてて)男を選んだら、どうだ。保障なんて、なにもない。永遠の愛なんて、たぶん、ない。養ってもらい続ける保障もない。自分の培ったキャリアを捨てて、男の愛情に頼るのは、ギャンブルに等しいのだ。(P94)

恋愛期間中に全力投球する女にとっては、終わった恋愛なんか、燃えかすだ。「時間の無駄だった」と思うことはあっても、「今でも好き」は、どれだけいるか。(P103)

彼女にAV鑑賞を責められた男性が「いいじゃないかそのくらい!」と怒っていて面白かった。女としては、無駄に男性にサカって欲しくないので、こういうのは許せないんでしょうね。(P198)


以上、文章一部を紹介したけど、如何でしょうか?
この方は少女漫画にすごく愛情を持っておられる。
まぁ、そんな女性は多いけど、この著者のすごい点は、突き放して距離を保ちつつ、ストーリーや設定、キャラの破綻した点をツッコミ、笑いをとりながら、「共通項目」や「真理」を導き出していること。もし、書店で見かけたら手に取ってみて。註釈いっぱいで驚くから。著者自身のイラストによる自虐ネタも見どころ。

PS
出版社は株式会社カイゼン・・・マイナーな出版社だ。
書店に並んだり、図書館に入荷されたりするんだろうか?
私がこの著者を知っているのは、ネット上にコラムを書いておられるから。
突然ですが、私は「NANA」のハチが大嫌い。なぜ好きになれないのか・・・を、きっちりコラムで説明してくれている。納得の文章である。
『NANA』編~その1
『NANA』編~その2
http://journal.mycom.co.jp/author/0000159/index.html

【ネット上の紹介】
今も昔も女性から絶大なる共感、熱烈な支持を集めている「少女漫画」。少女漫画には女性のすべてが載っています。女心がわからないと首をかしげる男性の皆さま、“乙女心”をつかむには、少女漫画を読めばいいのです。少女漫画はつまらない?意味がわからない?本書を読めば、あなたも少女漫画の新たな魅力に気づくはず。