『ROCK & SNOW 2010秋号 No.49』について。
いくつか気になる記事をピックアップする。
●P8、「スティングレイ」23年ぶりの再登
・・・なんと、23年も再登されなかったのか!
この初登の記事は何となく覚えている。当時グレーディング13dであった。
今回14aに格上げ、ってのがすごい。写真を見ると、ジャムせずにレイバックしてますね。(関係ないけど、このルートの左にある岩・・・落ちそうで気になる)
●P24、特集は「気になる!“あの人”のクライミングライフ」で、木村さん登場!昨年、私のHPにレポートを寄稿していただいた。(感謝)
→【kimuraさんのセユーズレポート】http://homepage3.nifty.com/takimoto/ceusereport.htm2009.5.19
●P57、グランピアンズ・The Wheel of Life、第3登。
初登は、もちろん大ちゃん、2004年5月。第3登が出るまで6年経過している。
昨今のクライミング界のレベルアップを鑑みて、相当難しい、ってことだ。
手数60手以上なので、ボルダーと言っても、ルートに近い。結果として、クライマーを選ぶのかもしれない。
●P70、安間君がトレーニングに関して、興味深い教示をしている。最大筋肉はフォールしてからすぐトライすると最大筋肉への刺激は半減する、と。読んでみて。
●P71、同じく安間君の記事。アダムがセユーズ・リアライゼーション1撃を狙っている、と。(すごすぎる!)
●P75、レスキュー大全、「それでも遭難は起きる」・・・体力、技術もあり、こうした備えも行動もしていた。それでも何かのミスか不運で事故は起きた。これだけ科学が発達しても、人ひとり、落ちたのか流されたのかわからないが、いなくなると、大自然のなかから探し出す難しさを毎回思い知らされる。
●P107、「クライミングジム連盟設立に向けて」、・・・2010年夏時点で国内の主なジムは150軒。今後、さらに増える勢いである、とある。これだけジムが出来ると、ジム同士の情報交換は必要でしょう。今後、予想もつかないようなトラブルが発生するかもしれない。記事でも触れられているが、オーナーがクライマーでないジムも増えていくと考えられる、とある。本来共有しているはずの「常識」が通用しなくなるかもしれない。さらにインドアインストラクターの制度、安全基準の作成・・・これらは今後重要な意味を持ってくる。初期のクライミング界はマンツーマンで山岳会の先輩が後輩に指導していた。今はジムから入る方が圧倒的に多い。いかに安全を確保し、危険認識を培うか・・・教育の問題は大きい。車の運転と同じで、最初に悪い癖をつけると、なかなか修正できない。逆に、初心者の時、安全チェックの癖や、危険認識を身につけると、やがて習慣となり、人にも指導できるようになり、「よい循環」が生まれる。普通、クライミングの経験や知識が少ない方は、初心者を指導しないし、出来ない。これは、どの世界でもそうだと思うけど、なぜかクライミング界、常識通じない場合が有る。(なぜ?)
●P42~45、小山田大、The Story of Two Worlds再登の反響・・・相当反響があったようで、世界のクライミング誌のインタビューに応じている。興味深いのが次の言葉・・・
正直なところ、登れば登るほど「グレード」というものがわからなくなり、存在する意味さえも謎となってきています。同時に「グレード」に対する執着もなくなってきました。「大切なのは、課題に取り組む際に“対グレード”ではなく“対ムーブ”だ」と。もちろん仕事として、そして初登・再登者の義務としてのグレーディングは今後も続けますが、「まあ適当に」かな。今回も依頼があったのでこういう記事を書きましたが、グレードの話はもうあまりしたくない。グレードが低かろうが高かろうが、ついてなかろうが、自分にとって「できるのか、できないのか」、それだけが大切なのです。
・・・いかがです?大ちゃんクラスになって初めて言えるこのセリフ。全ての言葉に重さがある。限界を追求してきた実践者の重みである。
さて、ここで思い出して欲しいのは、ROCK & SNOW 2004.JUNE. No.24、P75~79、「グレーディングを探る」。(6年前の旧い記事だけど・・・覚えてる?)この座談会(糾弾会?)で印象に残るのは、大ちゃんが登喜男君を一方的に責める姿である。この時、大ちゃんは、とことんグレードにこだわっていた。ところが、2010年今号では、「まあ適当に」、という心境の変化・・・非常に興味深い。(この6年間、いろいろあったんでしょうね)
【参考リンク】
/cm.impress.co.jp/?5_78263_4929_4
9月6日発売 販売価格 1400円(税込)
特集は「気になる!“あの人”のクライミングライフ」