
9年ぶりの長編、534ページたっぷり読みごたえがった。
致死率100%近い感染症から3人が生還した。
その引き替えとして、特殊な能力を獲得した。
詳細でリアルな病院シーン、医師の対応、マスコミの反応、一般の人の反応。
SFでの非日常的な状況や人物を描くのは難しい。
あり得ないことに現実味をもたせて読者を引き込むには文章力がいる。
キャラクターの心理描写も難しい。
井上夢人さんと言うと、知らない方がいるかもしれないが、「岡嶋二人」さんというとご存じだろう。
井上夢人さんと言うと、知らない方がいるかもしれないが、「岡嶋二人」さんというとご存じだろう。
以前、二人で作品を書かれていたが、それぞれ独立された一人が井上夢人さんである。(まるで藤子不二雄さんみたい)以前、名作「クラインの壺」を読んだが、共通のテイストを感じた。(健在だ!)
主人公は雑誌ライターで、病気から回復したとき千里眼となる。
主人公は雑誌ライターで、病気から回復したとき千里眼となる。
他の二人、女優志望・めぐみは念動力を獲得し、93歳の老人は若返りと共に「ある種」の能力を獲得。
この3人の行動と心理が、ぐいぐい読者を引っ張っていく。
一体どうなるんだ?、って感じ。
途中から絶望的な展開になるが・・・これでエンディング可能なのだろうか?と思うが驚愕のラストである。
でも、後味は悪くない。

【ネット上の紹介】
山梨県内で発生した致死率百パーセント近い新興感染症。生還者のウィルスから有効なワクチンが作られ拡大を防ぐが、発生当初の“竜脳炎”感染者で意識が戻ったのは、三名だけだった。病院内での隔離生活を続ける彼ら三名は、「後遺症」として不思議な能力を身につけていることに気づき始める。壮大なる井上ワールド、驚愕の終末―。