
巧い!見事なできばえである。
非常にレベルが高い。
明治初期の空気が伝わってくる感覚。
主人公は元御家人次男坊・定九郎で、明治維新により、生活が一変する。
時代についていけず、武士として生きることも出来ない。
時代についていけず、武士として生きることも出来ない。
家を出て、出自を隠して遊郭の下働き。
未来への希望もなく、なんとなく生きている。
そんな定九郎を中心に、その周囲の人たち、時代を描いている。
さて、本作品は遊郭を舞台にしている。
(但し、吉原ではなく根津遊郭が舞台)
その雰囲気をよく描いている。
ミステリ仕立てになっており、最後まで緊迫したストーリー構成。
特に10章から最終章まで息詰まる展開。
もし難を言うなら、陰のヒロイン花魁・小野菊の心理描写が薄いこと。
もう少し突っ込んで描いてもよかった、と思う。
それにしても、登場人物たちの今後が気になる。
彼ら(彼女たち)は明治をどう生きたのか?
彼ら(彼女たち)は明治をどう生きたのか?
スピンオフで『その後』を描いて欲しい。(特に、小野菊が気になる)
【ネット上の紹介】
明治10年。根津遊廓に生きた人々を描く長編 ご一新から十年。御家人の次男坊だった定九郎は、出自を隠し根津遊郭で働いている。花魁、遣手、男衆たち…変わりゆく時代に翻弄されながら、谷底で生きる男と女を描く長編小説。


遊郭と言えば、上記二作「吉原手引草」「花宵道中」を思い出す。特に、「花宵道中」は傑作。


遊郭と言えば、上記二作「吉原手引草」「花宵道中」を思い出す。特に、「花宵道中」は傑作。