
「みずみずしい感性」、って持ち上げられた方の作品はイマイチである。
(アレやコレやで、いろいろ具体例有り)
人生経験が乏しく、文章表現、演出もこなれていないのだから当然。
でも、これは面白かった。
例外、ってあるもんですね。
裏の著者略歴を見ると、1991年4月28日生まれ。
初版は2003年12月、とある。
つまり、12歳の時の作品で、書かれたのはさらに以前ということになる。
「天才」という表現も、まんざら誇大広告ではない。
私は最初20代後半くらいになってから、小学生時代をふり返って書いた作品、と思っていた。
そうじゃなくてリアルタイムだったんですね。
しかも、帰国子女だし。
【ネット上の紹介文】
授業で先生に指されても、ニコニコするばかりで決して声を発しない女の子、エリカちゃんとの出会いと別れを描いた「ポテトサラダにさよなら」。日本での新生活に戸惑う兄を描く「モトイと日本語」。フリマ、学校でのいじめ、受験、NY大停電…。ナイーブでまっすぐな眼差しと、何よりも端正でみずみずしい表現力!天才作文家とうたわれ各紙誌で絶賛されたhanae*ちゃん、奇跡のデビュー作品集。
【目次】
フリマとわたし;モトイと日本語;太秦のオードリー;おばあちゃんのつむぎ;ポテトサラダにさよなら;ひとりで行く渋谷;移動教室;ニューヨーク大停電;ラジオの夏休み;昼間の電車;受験タイマー;100円の恋愛力;ミュージック・オブ・ハート;モミヤマさん;受験まであと100日;ひとりでまっていた日のこと
【参考】
小学生時代を描いた名作として「夜の朝顔」(豊島ミホ)を思い浮かべる。
さすがに「小学生日記」は、「夜の朝顔」のレベルには達していない。
それはしかたがない・・・「夜の朝顔」は豊島ミホさんが大人になってから著したものだらか。
技巧や心理描写レベルが異なる。
技巧や心理描写レベルが異なる。
それにもかかわらず、この「小学生日記」もよかったし、楽しめた。
よく書けている、と感じた。

小学生から成人までを描いた作品として、秀逸なのは次の2作品。
特に、「永遠の出口」は名作である。


さらに、大人になった著者が小学校時代の友人を訪ねていくノンフィクションとして、「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」が有名。私は過去数千冊の本を読んできたが、これはその中でもベスト10に入る、と感じている。
