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「アニマルアイズ動物の目で環境を見る」(3)宮崎学

2010年12月02日 22時03分04秒 | 読書(写真エッセイ)

シリーズ第三作目「明るい夜」。
不夜城と化した日本の都会。
明かりに惹かれてやって来る動物たち。
人間の暮らしは動物たちに、どう影響を与えているのか?
文章を紹介する。

ぼくは、これまで30年以上のあいだ、日本でくらす動物たちのすがたを写真におさめてきた。そのなかで、ひとつのことに気がついた。
動物たちのくらしには、かならずといっていいほど、人間のくらしが関係している。少なくとも、日本にすんでいる野生動物たちは、そうだ。
そのひとつが、光なのだ。
家の中を明るく、道路を明るく、街全体を明るくしてきたことで、ぼくたちは、人のくらしのすぐ近くにいる動物たちのすみ場所まで、明るくしてきた。
昔は、夜になれば闇につつまれていたところでも、いまでは、夜になっても光がある。その光は、動物たちにも、かならずとどいている。
とどいてきた光をうまく利用するものもいれば、光をきらって、いなくなるものもいる。人間が自分たちのためにつくった光が、気がつかないうちに、動物たちの夜を、少しずつかえてきている。
人間は人間、自然は自然と、わけて考えているのは、人間だけなんじゃないだろうか。