【ぼちぼちクライミング&読書】

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「HER」ヤマシタトモコ

2010年12月24日 21時01分41秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「このマンガがすごい!」1位、なので読んでみた。
確かにおもしろいし、レベルも高い・・・納得の1位でしょう。
一般読者の知らない作家を世間に知らしめる、という意味でも目的達成された。
一部紹介する。(読みやすいように私が句読点をうった)

「ケーキ食いたいけど、太りたくないけど、お金ないけど、ニキビ出したくないけど、モテたいけど、ケーキ食べたいのっ」
「ハハハ」
「女の人って男よりよっぽど色々両立できるのに取捨選択しない・・・ていうか優先順位つけないよね、欲張りっていうか」
「・・・そりゃね・・・だって女だもん」
「・・・その答えはナンセンスだ」
「だって女だもん!」
「・・・かわいいよね、女の人は」
「だって女だもんねー、なんて」
(以下モノローグ)
・・・感情的で、感傷的で
物欲が強くて八方美人で打算的

どうでもいいことですぐ怒るし
全然関係ない昔のことを引っぱり出して
キンキン声で筋の通らない
文句を怒鳴る

女同士のドロドロとか恐ろしすぎるし
ひとの彼氏を値ぶみしたりして

かんたんに男を死ぬほど傷つけて
自分は忘れてケロッとしてる

お化粧ぬったくって
なんか甘い匂いとかさせて
おっぱいとかおしりとか
あほみたいにやわらかいし
優しくされてあたりまえ
みたいな

とかいって誘われている
のかと思ってうかつに
触ると般若になるし


そしてこの後、彼は『爆弾発言』をする。
・・・それは読んでのお楽しみ。

さて、ここまで褒めたけど、あえて批判もしてみよう。
文壇では、このレベルの内容、文章、構成、既に何年も前から達成されている。
例えば・・・
「もっと、わたしを」(平安寿子)
「ガール」(奥田英朗)
「男は敵、女はもっと敵」(山本幸久)

あえてマンガで表現する価値があるのか、と。
さらに言うなら、マンガ界でも
1980年代、デビューまもない吉田秋生さんが、これ以上のレベルの作品を軽く描いておられる。
以上、オワリ。(1位になったからこその苦言である・・・その辺をくみ取って欲しい)

それでも、新しい作家が、懸命に努力されている姿に感銘を受ける。
『要チェック作家』にリストアップしておこう、と思う。
(個人的に)努力賞、敢闘賞をさしあげたい。

【参考リンク】

  • フィール・ヤング ヤマシタトモコ インタビュー!

    【参考作品】