「異国のヴィジョン」北川智子
ヨーロッパを旅しながら、そこに回想シーンが入る趣向。
P6
ロンドン市内。ハイドパーク。午後四時。
夏のはじめの肌寒い夕方でも、池のまわりにはたくさんの人が集まる。わたしは池の端に腰かけ、この週末が終わったらしばらく旅に出るよと、となりのカモメに話しかける。(こうして五ヶ国を巡る旅が始まる)
P124
思い返さなければ、今という時の流れは違った方向に向かっていたのではないかと、今という状況がわからなくなる。わたしは、そんな過去の時間が今に与える錯乱的なひずみを感じ、苦しくなっていた。
『野うさぎ』、1502年
P128
ウイーンにあるアルベルティーナという美術館
描かれてからずっと、さみしいような、かなしいような、怒ったような。どうして、そんな表情でいるのだろうか。
アルブレヒト・デューラー - Wikipedia
【ネット上の紹介】
ハーバードからケンブリッジへ!日本から北米へ、北米からヨーロッパへ。日本を離れたところにいると、異国の人が見ているプリズムの中の光の道筋が見えてくる。
1 水の街アムステルダム(はじめての旅
マルチカルチュアリズム
ヴィジョン)
2 時の街ボン(異国で日本を語る
フリーマン・ダイソンとの出会い
生きている歴史)
3 光の街パリ(歴史のプリズム
命とインプレッション
それぞれのプリズム)
4 音の街ウィーン(現在を生き、未来を生きる時間
失われた命を語る
歴史をシェアする)
5 匠の街ミラノ(「現代のWe」
戦後を生きる)