百醜千拙草

何とかやっています

統一教会が止まらない (2)

2022-07-22 | Weblog
統一教会ネタが止まりませんな。今回も長くなりました。

そもそも、法的根拠のない「国葬」という行事を政府がゴリ押しするのは、第一に、とにかく、安倍を祭り上げることで、その腐敗と不祥事を一緒に葬り去りたいという政治的目的、そして「統一教会」と自民党の繋がりを話題にされたくない、という複数の思惑があるのだと思います。

国葬の問題については、過去の事例について福島みずほさんのツイートでも紹介されていましたが、例えば、安倍氏の叔父で、ノーベル平和賞を受賞し沖縄返還を成し遂げた(ま、密約でヤラセのようなものだったワケですけど)佐藤栄作の死去の際にも国葬が検討されました。結局、国葬という行事に法的根拠がないと言う理由で行われませんでした。当然、そうした立場から、共産党、れいわ、社民党は党として正式に反対を表明。昔は、野党に怒られなくても、自民党政府もちゃんと法律や憲法を守ろうとはしていたのに、それがここまでガタガタの無法政府になってしまったとは、と情けない気持ちでいっぱいです。そして、その国を破壊してきてガタガタにした腐敗の中心にいた主要人物が、自民党の独断で国葬で祭り上げられるという異常事態。どれだけ腐っているのでしょうか、自民党は。

安倍の地元のローカル紙、長周新聞はブチギレ。

ま、国葬の話はともかく、それよりも私はこの事件そのものをもっと深く見ることが必要だろうと思います。明らかに安倍氏と統一教会との不純な関係が招いたことですし。しかし、この容疑者の背景を見ると、それだけではない日本社会の問題が見えるような気がします。この容疑者の気持ちを多くの日本人は容易に理解し、共感を感じるのではないでしょうか。正直、気の毒だなあと感じます。かつてあった京都伏見介護殺人事件とも重なります。殺人犯罪という結果に終わったものの、そこに至る過程の中で犯人/容疑者に同情を感じない人はいないと思います。

この、普通のサラリーマンの家に生まれた容疑者の10代は複数の不運の連続に見舞われました。兄が障がい、父がリストラで自殺、その後、母は統一教会にカモにされ、一家は破産、兄も自殺、本人は大学進学を諦め、自衛隊に勤務。除隊後はロストジェネレーションの世代で就職難、そんななかで、本人は国粋主義的な右翼思想に傾いていったようです。おそらく、このような背景を持つ人は今の日本では少なくないのではないでしょうか。リストラで自殺を選ばねばならなくなった社会、公に頼るものがなくカルト宗教につけ込まれてしまうような社会、ロストジェネレーションの世代を見捨てる冷たい国、中高生の本人が自力ではどうしようもできないような周囲の状況によって、家庭は崩壊し、苦しく辛い日々がずっと続いてきたようです。その間に恨みは募り、五月に工場を退職したあとは七月にはカネが尽き、借金しか残らないからそれまでに決行して死ぬと決意したと供述しているようです。もし、彼がもう少し人間らしい生活を送れるような支援を国や社会が提供していれば、このような追い詰められかたはしなかっただろうと想像できます。介護殺人事件にしててもそうです。むしろ容疑者や犯人はとことんまで追い詰められた被害者であり、それは、国や社会が、自己責任、自助、共助だ、と「国民の生活を守る」という本来の責務を放棄してきた結果です。

(おそらく政権によって)数日前に凍結されてしまった本人のものと思われるツイッター アカウントですが、凍結前に投稿を調べた町山智浩さんの情報で知りましたが、2020年の9月まで、容疑者は自分自身を「ネトウヨ」と自称し、安倍政権とその政策を強く支持していたようです。しかし、偶然、目にしたイベントの写真で、安倍氏と統一教会が繋がっていることに気づきます。それから急激に安倍への不信感を募らせたようです。コロナのために韓国の教会本部幹部を狙うことができなくなり、代わりにその広告塔であった安倍氏に標的を切り替え、この事件につながったわけです。興味深いのは、犯行直前手紙の中で(これも共同通信が一旦、公開したものですが、あっという間に主要メディアから消え、魚拓を保存した個人らが、情報を拡散しています)、「本当に殺してやりたいのは統一教会の文一族で、安倍は影響力のつよい統一教会シンパに過ぎない」というようなこと述べていることです。安倍氏を殺すのはスジが違うという自覚があったにも関わらず、この犯行を計画し、標的一人だけを殺すために、爆弾ではなく銃を作り、練習までして備えたというのは、理性的な思考力があったにもかかわらず、追い詰められて、かなりの視野狭窄に陥っていたことが想像されます。スジ違いを自覚していながら、安倍氏の殺害を執拗に追及した理由の一つは、統一教会の主張する全体主義的な思想が安倍政権の右翼的政策とキレイにオーバーラップすることに気づいたせいではないのでしょうか。安倍の政策と今回の殺害の動機は関係ないと本人は語っていますが、それは自らを「ネトウヨ」と自称する自分の考えと安倍自民党の極右思想がマッチしていたからでしょう。ところが、それは憎むべき統一教会の思想ともほぼ一致するのです。このジレンマに陥った容疑者の心に、安倍という「影響力の大きい韓国のカルト宗教の手先」を殺害することによって、自分が信じる国粋主義的右翼思想と自分が心底憎んでいる韓国の統一教会の繋がりが解消できる、とでもいうような複雑な論理が生まれたのかも知れません(ま、私の考えすぎかも知れませんけど)。

安倍氏殺害の二日後の参院選後の会見で山本太郎は、この事件に関して記者の「政治と暴力」に関する質問に、「日々、さまざまな暴力に晒されている」と答え、一例として、銃弾を送りつけられたときの話を披露しています。(https://www.youtube.com/watch?v=FhQa09-Hny0 35'あたり)。犯人は年金暮らしの母親と二人暮らしで厳しい生活を強いられていた人で、職場関係での恨みを募らせた挙句に敵意の行き先を誤ったという事情であったらしく、山本は、社会の荒廃によって恨みを抱いた人々が追い詰められた結果、起こったことだろうと述べています。このエピソードも今回の事件と重なり合う部分が多いと思います。犯人の行動は合理的とは言えないが、そこに至る過程に、自分ではどうにもできない不遇な境遇に恨みを募らせた挙句の行動であったという共通点があります。この話をしている時の山本太郎の表情が印象的で、犯行を糾弾するのではなく、むしろ、そうした状況に追い込まれた人々への同情の気持ちと彼らに冷たい国や社会の問題に対する悔しさが滲んだような沈んだ表情を浮かべています。

今回の容疑者の背景を深く掘り下げていけば、殺人という行為に至ったことを除けば、多くの人が同情を感じることになるのではないでしょうか。この詳細は(政権の妨害がなければ)裁判を通じて真相は明らかにされて、広く、我々が知るところになることを望みます。
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統一教会が止まらない

2022-07-19 | Weblog
Mac OS MontereyのUSB非認識問題は、USB-C hubをANKERというブランドに変えてからとりあえず止まりました。それでもスリープ後に、認識しなくなることがわかりました。

しかし、止まらないのが、ツイッターの「統一教会」。おかげで今回も長くなってしまいました。よくも毎日、毎日新ネタが出るものだと、ゲップが出そうです。それもそのはず、これまで自民党政権が統一教会の活動の情報にフタをしていたのが、今回の事件を契機にそのフタが外れただけのことだったのです。昨日のTVで、以前から統一教会問題を追求してきた立民の有田さんが述べた「オウムのあと、統一教会への捜査が中止になったのは政治圧力だったと警察官僚から聞いた」という発言は重いです。

昨日の新ネタは、政府の「子ども家庭庁」が「子ども庁」から改名されたのは統一教会の「世界平和統一家庭連合」が自民党議員を通じてやらせたという話。それから、共同通信が一旦は発表した容疑者の犯行前の手紙がメディアから消されているという話題。手紙の中にあった「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。、、、」という部分が、自民党には都合が悪かったのでしょう。とにかく、毎日、毎日、統一教会と自民党に関しての複数の新ネタがでてきます。

安倍元首相の殺害後、ワシントンポスト紙は、早速、統一教会と自民党との癒着は安倍氏の祖父、岸信介が、文鮮明を日本に引き入れた時から連綿と続いており、(私は知りませんでしたが、統一教会日本支部の最初の住所は、岸の邸宅であったとのこと)、以後、自民党とは浅からぬどころか「ズブズブ」の関係であったことを述べています。この韓国のカルト宗教団体は、岸を通じて自民党に深く入り込み、政治や選挙協力と引き換えに自民党議員を広告塔につかって霊感商法で荒稼ぎし、問題が大きくなれば先述のように自民党を使って捜査を妨害させたり、と典型的な悪代官と越後屋パターンの不純な関係を築いてきたようです。そして、今回の参院選では、安倍の元秘書で、統一学会の全面的支援をうけた候補が当選してしまいました。このように、日本以外の欧米のメディアは、安倍氏とカルト宗教の深い関係を大々的に記事にして問題視しているのに、日本では、殺害から選挙までの二日間、日本のメディア、政権は「統一教会」の名前をひたすら避け、殺害動機である安倍氏と統一教会との関係を隠そうとしました。

そして、先日、キシダは、安倍元首相を、すでに法的根拠もなくなっている国葬にすると独断で発表し、各方面から壮絶な怒りを買っています。そもそも政治家を国葬にするというだけでも大問題なのに、私は、安倍の何が国葬に価するのかサッパリ理解不能です。モリカケ、サクラに代表される汚職縁故政治、アホノミクスが失敗したらそのカネを景気演出の株価操作のために株式市場にぶち込んで、外資系ファンドにカモにされ、大企業優遇政策で雇用の不安定化と不況を悪化を促進し、保身のためだけの数えきれぬ嘘で国会を空転させ、第一次政権時には事故前に危険を指摘されていた福島原発の安全対策を拒否して原発事故を招いた挙句に、事故の責任は民主党政権に転嫁、オリンピック招致では世界に「アンダーコントロール」と堂々と嘘をついて呆れさせる、自己保身と党利のために、内閣人事局を作り官僚とNHKを支配し、メディアは恫喝コントロール、自殺者までだした公文書や統計数字は改竄、隠蔽、やってるふり外交で北方領土返還を不可能にし、拉致問題は一人として解決せず、アメリカの軍事属国化は促進、ポンコツ兵器を言い値で爆買い、沖縄の珊瑚礁の海は完成不可能な新基地建設のために破壊し、挙句にサクラで追い込まれたら病気を口実に逃亡、そして、国民の富や年金資金をを韓国のカルト宗教や外資ファンドの食い物にさせ、海外には60兆円をばらまく、、、、。マジでこの人、国民にとって何か一つでも良いことしましたか?こういうのを真正の売国奴というのではないでしょうか。そして、その反社会カルト教団の被害者の家族に恨まれて殺害されるという最後。


日本では、吉田茂以来、国葬はおこなわれず、またその法的根拠も消失したため、叔父の佐藤栄作でも国民葬(国葬ではない)。この人も批判は多いですが、それでも沖縄返還(密約と引き換えであったにせよ)という業績があります。安倍氏にはマイナスしかない。しかも、死去の理由はカルト宗教団体との癒着が招いたものですから、一から十まで腐敗に始まり腐敗に終わった、汚れ切った宰相と言えるのではないでしょうか。その上、さらに税金を使って、国民の同意も得ず、現首相が独断で国葬し、祭り上げて腐敗を葬ろうとするのは極めて悪質と言わざるを得ません。ネットでは、国葬ではなく、統一教会と自民党の合同葬にすればよい、という意見もありました。

さて、ここからは、もと朝日新聞記者の佐藤さんの情報で、今後の日本政界がどう変わるかという多少陰謀論的な話になるのですけど、それによると、戦後連綿と自民党の中でアメリカの代理人として働いてきた清和会が安倍氏の死去によって、代理人の立場を失い、アメリカはキシダの宏池会に乗り換えることになるのでは、という話がありました。安倍氏の死後、急遽、アメリカからブリンケン国務長官がわざわざ来日し、キシダと会談したのは、今後のアメリカの日本代理人の引き継ぎをスムーズに行う必要があったからだという話です。アメリカの意向としては安倍に3回目の首相をやらせるつもりであったが、この事件によって、アメリカの意のままに動く、支配力の強い人間がいなくなったので、やむを得ず現職総理のキシダにあとを継がせることにしたために、派閥を乗り換えるという判断になったとのこと。この辺の実際は、あと30年たってアメリカ政府の公式文書が正式に公開されて証拠が得られるまでは、陰謀論的推測ですが、これによって、来月にでもキシダが行うことになる内閣改造では、閣僚から少なからぬ清和会系議員および安倍の後ろ盾議員が外されることになるだろうという予測。あの安倍の後ろ盾で、キシダと総裁選を争った極右の政調会長もこれで失脚しTVでデマを飛ばすこともなくなるでしょう。

アメリカが派閥を乗り換えたので、内閣改造での人事やその後の派閥間の力関係は大幅に変わると予想されているわけですが、現時点でわかっているだけでも100人以上の自民党議員が、講演などで統一教会と何らかの関係をもっているわけで、そうした議員を身体検査ではじいていくと組閣も満足にできないのではないかという状況にあるようです。それもあって、キシダ政権と自民党は統一教会問題をメディアから消し去るように必死でテレビ擁護部隊を派遣し、火消しに努めていますが、私のツイッターの勢いを見る限り、これは来月の内閣改造までに収まりそうにはありません。

ま、内閣改造はどうでも良いのですが、結局、対米隷属路線は今後も続き、キシダはアメリカの指示どおり、適度に日中緊張を煽って、アメリカ軍産と国内軍産の要望を忠実に遂行し、軍事費増大、軍備増強のこれまでの路線を継続するでしょう。そして、利権でしか動かぬ自民党の腐敗体質はかわらず、大企業優遇政策は維持、国民へのサービスは、これからもすべて企業に紐付けされて、中抜きされることでしょう。敵は無風の三年でやりたい放題ですから、下手をすると、自民党独政権に向けて、安倍政権以上の腐敗政治が跋扈することになるかも知れません。
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北朝鮮化

2022-07-15 | Weblog
なかなか濃い一週間でした。おかげで今回も長くなってしまいました。

これまでは、他の同名の人々と区別し、非難の意を込めてカタカナ二文字で呼んできましたが、もはや故人となって非難の届かぬところへ行ってしまった人ですから安倍元首相と呼ぶことにします。

この元首相の殺害事件について、当初、民主主義の冒涜であると与野党政治家が揃ってコメントを出しておりました。ところが、蓋を開けてみると、韓国のカルト宗教団体の統一教会(旧名)への容疑者の怨みが、その広告塔をやっていた元首相に向いたための犯行、とのこと。これが真相なら、これは民主主義の冒涜というレベルの話ではなく、単に個人的恨みによる一殺人事件であった、ということです。しかも、憲法の政教分離の原則によって禁止されている反社会的カルト宗教教団と、安倍氏が祖父の時代から深く相互依存関係にあったことが改めて世間にさらされたわけですから、民主主義の冒涜どころか、むしろ政治腐敗が起こした自業自得であったとも言えます。その憲法もロクに守れない政党が、今、憲法を都合の良いように変えようとしているのです。私も覚えていますが、30 - 40年前はオウムよりも危険な団体と言われ大問題となった統一教会です。おかげで、この数日、私のツイッターは統一教会一色になってしまい収まる様子がありません。

この元首相の死によって、反社会カルト宗教団体が自民党と深い関係にあったことが再び明るみに出たことは別にして、彼と自民党が引き起こしたの数えきれぬほどの政治腐敗、不祥事と疑惑に関して、政治も司法も行政も悔いて過ちを正す機会を事実上、失ってしまったということは、我々にとって残念なことです。もはやこの人が国会で追求され、司法で裁かれることは永劫になくなってしまいました。たとえ報いを受けるに価する人間であっても、殺されて腐敗と共に封印されて忘れ去られるべきではなく、民主主義のルールの中で、正しく裁かれ、然るべき罰を与えられないと意味がありません。
一方で、自民党は、これ幸いと、死者を祭り上げた上で、公文書改竄、隠蔽から自殺者まで出したモリカケ、サクラをはじめとする数々の現職総理による腐敗汚職事件をこのまま過去のものとして葬りさろうとしています。

そして、その事件から二日後に投開票された参院選、結果はほぼ予想した通り。立民の惨敗。立民の中でも落選すべきでなかった数人の議員が議席を失いました。その統一教会問題を追求してきた有田芳生さんも議席を失い、新潟では森ゆうこ氏も落選。一方で、中身は空っぽの昔の有名人が票を集める自民党。多分、これは経団連企業の組織票なのでしょうけど、国民が自らの意思で進んでこうした人に投票したのであれば、これから起こるであろう地獄はこれは国民が選んだことということになります。

今回の選挙で、多少の明るいニュースは投票率が前回よりも少し上がったこと。それから、れいわが三議席を獲得し(まだまだ絶対数が足りないですが)勢力拡大に成功したこと。れいわの比例で議席を獲得した水道橋博士、彼の演説やコメントにはなかなか感銘を受けました。この短期間に急遽立候補を決めた人とは思えぬほど見識と信念に満ちている様子が窺えます。同じ元タレント議員と言っても自民党の傀儡議員とは雲泥の差がありますね。当選会見の最後のコメントで、水道橋博士は「国会を可視化する。国会の爆弾男と呼ばれたいですね、水道橋に調査権を与えたらとんでもねえな、と言われるまで、晒していきたい」と決意を述べたのが、印象的でした。言うまでもないですが、これは、二十年前に暗殺された民主党の石井紘基議員を念頭に置いた言葉です。国政調査権を駆使して「特別会計」に関わる政府の不正の証拠を掴んだ時、自宅の駐車場で刺殺され、その日に国会に提出される予定であった証拠書類がごっそり現場から消失するという事件がありました。政治とは関係ない金銭的動機だったと主張する右翼団体の犯人の言い分を通して、真相を闇に葬った事件です。思うに、水道橋博士は、この事件と今回の安倍元首相の殺害事件の類似点(大物議員の殺害にもかかわらず、犯人の動機が政治的なものではないとされていること)が頭にあって、石井議員のことを思い出したのではないでしょうか。加えて、水道橋博士は「たとえ命を狙われたとしても、政府の不正、腐敗を暴いていく」という覚悟を示したかったのだろうと想像します。

さて、無風の三年を手に入れた自民党ですが、安倍氏だけが腐敗の本体ではありません。むしろ、安倍氏は腐敗した自民党の象徴的人物であったということであり、自民党の体質は安倍氏亡き後も変わりません。それどこか、今回の死去によって安倍氏の数々の腐敗問題を終わったこととして葬りさることが事実上可能になり、自民党はさらに有利に「カバルのアジェンダ」を遂行できるようになったと思わねばなりません。今後、与党政府は消費税を最大19%まで上げ、同時に改憲に向けて世論操作を本格化するであろうと予測されます。三年後の総選挙までに、日本の「北朝鮮化」に向けて自公政権はその下準備を完了しようとするはずです。そして三年後には、国民が何をやってももう手遅れという状態を実現するために着々と歩を進めることでしょう。事実、すでに選挙直前から「侮辱罪」の厳罰化の施行が始まりました。この法令の主な目的は、SLAPPと同様、言論を萎縮させることです。これは次第にエスカレートして、いずれ日本は、ロシアのように政権を批判しただけで、権力によって拘束されるようなことが普通に起こる国になるでしょう。一方で、生活必需品を含めて19%もの消費税をかけるという世界のどの国もやらない経済も税の基本も無視したキチガイ政策は、未曾有の不況を招くことになります。つまり、自民党政府の目指すところは、北朝鮮のような貧しい独裁軍事国家であって、支配者層が、権力とカネで一般国民を支配して彼らが作り出す富を吸い上げる、経済カースト制の非民主主義の国です。

この選挙において、民主主義国家の国民が自民党を支持したということは、自らの主権を捨てて、支配者層の奴隷となることを国民自らが望んだということです。自民党を支持した国民は、北朝鮮化した日本で、自分たちからまず搾取が始まり、自分たちから最初に戦場に送られて捨て駒にされるのだということを理解しているのでしょうか。それとも自分は支配者側に入るとでも思っているのでしょうか。あるいは、強欲な搾取者に使い捨てられ支配されることに喜びを感じるM体質なのでしょうか。

とにかくも、この参院選が自民の圧勝に終わったということが意味することは、今後、日本の状況はますます悪くなり、経済は低迷し、貧困化は進行し、社会保障はカットされ、学問は衰退し、政府と権力側の権限は大幅に拡大され、国民の義務が増大する一方で権利は制限されていくということです。残念ながら、これは100%そうなります。「みんな大変だから、我慢ましょう。わがまま言うのは非国民、欲しがりません勝つまでは」という精神状態に追い込むようにメディアで誘導します。そして、しばらく経てば、ふと気がついたらじわじわと追い詰められてがんじがらめにされて、生きるだけで精一杯、国民の大部分がそう思う世の中になります。

五年前、日本贔屓の投資家ジム ロジャースは、安倍政権の政策を評して、日本はアジアの成長から取り残されて衰退すると予測し、「日本の若者よ、日本の外に出なさい。中国でも韓国でもいい。そのほうがあなたの人生が豊かになるはずだ。」と週刊誌のインタビューで述べました。日本が変わってくれることを私は望んでいましたが、参院選がこのような結果で終わった以上、今後も日本は5年前のロジャースの言葉通りにますます衰退していくことでしょう。現時点では、豊かな人生を送りたいと思う若者の現実的な選択肢は、日本の外に出ることだ、と私も思います。
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コンピュータが壊れる時

2022-07-08 | Weblog
参院選前なので、コンピュータの話をしている間にまたまた長くなってしまいました。

二年前に買ったIntel ChipのMacBook Air、また壊れました。二度目です。前回は、前日まで問題なかったのに、ある朝、立ち上げようとしたら死んでいました。今回は画面が突然、死にました。外付けモニターを主に使っていたので、画面が死んでいることにしばらく気が付きませんでした。修理すると新品のApple siliconのマシンが買える額の半分弱ほどのコストがかかりますから、このままでも画面以外は動いているし、外付けモニターでそれほど不自由はないので、これはそのままにして、別にM2 ChipのMacBook Airを買うかどうか、ちょっと悩みました。結局、今回は、財政上の見通しが不透明という理由で見送り、修理することにしました。修理期間中は、自宅で使っていた7年もののAirを使い、自宅では13年もののMacBook Proを使うことにしました。13年前のMacBook Proは本体も重いし電力は喰うしうるさいし遅いで、イライラしていたら、これも突然壊れてしまいました。突然、真っ暗になって反応しなくなったのです。このマシンは一度も壊れたことがなかったのに、ある日突然逝ってしまいました。

カメの寿命と老化を調べた最近の論文を思い出しました。カメやある種の爬虫類というのは年齢による老化の兆候が乏しいのだそうです。老化はしないのにそれでもある日寿命は尽きるのです。私の理解では、老化は基本的に抗癌のメカニズムであって、老化しないと癌になってもっと早くに死んでしまうのだと思っていましたが、こうした理解はどうも広く一般化はできないようです。明らかに個体の老化は細胞老化が全てではありませんし。ま、老化することなしにある日、寿命が尽きるというのは人間だと喜ばしいことでしょうが、コンピューターだと迷惑です。

そして先日、修理から返ってきました。ロジックボードとタッチIDとディスプレイを取り替えたようです。例によってOSをクリーン インストールされてしまったので、バックアップからデータを移植して作動環境を再構築し、ソフトを入れ直すのに5時間以上かかりました。が、気がつくと、最新のOSを入れたと書いてあるのに、なぜか二つ前のOSが入っており、一部の作業環境は復活できず、おかげで仕事の能率が激減。あまりにイライラしすぎて、久しぶりに泣きそうになりました。新しいマシンを買わなかったことを後悔しました。とりあえず、OSを以前使っていたBig Surにしようとしたのですが、うっかり最新のMontereyにしたら、やっぱりヤラれました。このOSでは、どういうわけか、USB-C hub を通じてUSB-AにつながっているキーボードやメモリやLANが認識されなくなるのです。しかし電源と外付けハードは同じHubにつながっていても動きます。Googleしてみると、この問題は結構広く知られているようで、誰もよく原因がわからず、ある特定のUSB-C Hubを使うと治ったとかケーブルを変えたら良くなったとかいうanecdotalな情報があるだけです。またOSを戻して、やり直すのは嫌なので、Appleが解決策を出すまでは、内蔵のキーボードとトラックパッドを使うことにしました。結果、イライラがますます募ることになりました。

さて、あと二日で参院選で、その後は、いくら政権批判したところで、このまま自公維国が圧勝すれば、政府は3年間は国民の声を無視し続けてやりたい放題します。長期独裁政権化のための改憲を狙う自民党とそのおこぼれを狙う公民、維新、国民は、国防議論を前面に出して改憲を煽り、その裏で、こっそり独裁化のための緊急事態条項、99条改憲案を紛れ込ませて国民投票に持っていくでしょう。そして、連中の口車に乗って、うっかり改憲に賛成した国民が気づいた時には、すでにみんな政権の奴隷にされ、大勢が下層クラスに釘付けにされ、死ぬまで低賃金で働かされて搾取される、そんな未来が見えてきました。「国を守るために戦争ができる体制にする」という文句に賛成する一般国民は、彼らからまず前線に送られて、捨て駒にされるということを理解していないかのようです。いずれにせよ、この参院選が、この自公維国の邪悪な野望を止めるための極めて重要な選挙であることは間違いありません。

最近はマスコミの選挙前予測が結果とズレることが多いようです。自民の元芸能系議員は思うほど伸びないだろうという話も聞きました。また蒸し返してナンですけど、東京選挙区の元アイドルおばさん、各メディアの政策アンケートにほとんど無回答だったことでネットで炎上したことで、本人はSNSで謝罪して回答を出したらしいですが、今度は出したら出したでまた炎上、同じような質問項目に対して異なるメディアに真逆の回答をしたり、もう一人の自民党候補の回答をまるまるコピペしたり。こういう言葉を使うのは躊躇われるので伏せ字にしますけど、この人、天然のXXですか?それとも、国民や選挙を徹底的にXXにしているのですか?いずれにしてもトンデモない人のようです。そして、この人の支援を4音楽団体が支持表明、呆れますわ。言論封殺と独裁化を企む政党に使われる操り人形を表現者を支援する団体が支持するわけですからね。一方、これに対して、何百人に及ぶ音楽家が抗議表明したそうで、まともな人もまだまだいるのだと多少、救われた気になりました。

このようなトンデモない人が議員になる可能性が高いというのも寒気がしますけど、同じ選挙区で、山本、山添というような人々が万が一、落選するようなことがあるならば、間違いなく日本の転落は加速するでしょう。その時には、間違いなく、現在のロシアや北朝鮮が日本が向かう将来となるだろうと思います。そうして軍国化して、先進諸国からは軽蔑されて、周りの国に嫌われて、貧乏な独裁国になって、国内で喰えなくなって難民となった時に、日本人難民を拾ってくれる国がありますかね。思い浮かびません。

コンピュータが壊れる時というのは、新しい変化が起きる前兆だと解釈するそうです。この参院選で是非、その変化を見たいものだと望んでおります。

ちょっと休みをとりますので、次回は(多分)お休みします。
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Acadexit

2022-07-05 | Weblog
アメリカ、アカデミア研究の困難について、先月のサイエンスの記事。


ジェニファー・メイソンが3月初旬にポスドク募集の広告を出したとき、彼女は4月か5月までに誰かを採用し、最近資金を得たプロジェクトに取り組ませたいと考えていた。ところが、1通の応募があるまでに2ヵ月もかかってしまった。それ以来、まだ2通しか来ていない。クレムソン大学の遺伝学助教授であるメイソンは、「資金が使われないまま放置され、その結果、これらのプロジェクトはどこにも進まなくなった」と言う。

彼女だけではない。ソーシャルメディア上では、米国の研究者の多くが、ポスドクの採用に関する課題が広がっていることを指摘している。Science Careersの調査がこれを裏付けている。今年科学協会の求人掲示板でポスドクの募集を行った米国を拠点とする100人以上の研究者で、採用経験について回答してくれた37人のうち、4分の3が採用に苦労していると報告した。"今年は苦戦を強いられている。「(ポストを)掲載しても全く反応がない」「応募数は2018-2019年の10分の1だ」という。、、、応募総数の減少だけでなく、応募の質も低下したと報告する人が多かった。、、、

アリゾナ大学の薬理学・毒物学教授で、複数のポスドクを雇用しようとしているドナ・ジャン氏は、「初めて自分の仕事に関して、やりがいのなさやもどかしさを感じている」と述べてる。「有能な人材を見つけるのは、以前よりずっと難しくなった」、、、、

ポスドクは一般に高給取りではなく、現在の人手不足の中で、研究者以外の高給取りの仕事が増えてきている、、、。「博士号取得者は、(ポスドクではなく)労働市場に目を向け、チャンスを見出し、それを手にしてる。

、、、「ポスドクは投資であり、損をしてまでするものだが、「このことが知られれば知られるほど、ポスドクになることを望む人は少なくなっていくだろう。、、、多くの教員は、ポスドクが置かれている状況に同情し、もっと給料を上げるべきであると考えているが、多くの場合、彼らはそれをどうすることもできない。

ポスドクの給料は、しばしば米国国立衛生研究所 (NIH)が標準として設定しているものを基準にしているが、「それはかなり低い」と、コロンビア大学の物理学者で上級研究員のダニエル・ウォルフ・サビン氏は言う。(管理人 注 ちなみにNIHのスケールでは、ポスドク0年目で約$54,000 (Y130/$で計算すると、700万円/年、何の経験もない学位取得者でもアメリカではこの額は低いと考えられています。企業に就職すればその2-4割増しぐらい、5年ぐらいの経験でポスドクの二倍近い給与が期待できると思います。)

また、ポスドクの応募が減少した原因として、パンデミック時に学問に対する幻滅感が強まったことを指摘する人もいる。、、、こうした問題は、ワークライフバランスの問題、低賃金、正規雇用の少なさなど、既存の問題に重なるものであった。

「主任研究者は、自分たちだけでは問題を解決できないので、気の毒だ」とコージック氏は言う。ポスドクの給与や労働条件を決定する方針の多くは、研究助成機関や大学が決めている、、、、。


という記事ですが、私もこの傾向は学会などから全世界的な傾向だと思います。まとめると、ポスドクは、低賃金で不安定な身分(それでも日本の正規職の多くよりは高給ですが)でありながら、その後の将来のアカデミックキャリアに対する明るい展望を描けない状況にあるのが、研究を志す人々がアカデミアを避けて企業への就職を望むと言う現況につながっていると思います。

私もこの三年でアカデミア研究を取り巻く状況にほとんど絶望しました。今年だけで身近にいた三人の若者がアカデミアを去り企業に就職しました。二十年ほど前は、企業からアカデミアに移ってくる人から、金の面ではアカデミアは多少不満だが、全体的により幸福度は増えたという話をよく聞いたものです。今は逆のパターンしか聴きません。企業に移った若者は、給料が上がってストレスが減って私生活が充実した、と皆明るい顔をします。政府がこの傾向を深刻な問題と認識すれば、金であっという間に解決できる問題なのですが、アメリカ政府はその深刻度を十分共有していないようです。

アメリカトップ研究機関でPIをやっていて、アカデミアをやめた人のツイート

この人は、連続ツイートの中で、アカデミアを研究者が去っていっているのは金の問題だけではない、と述べています。金銭的な優遇以外に、1) スタートアップはアカデミア以上の自由がある。2) 企業ではより多くのスキルが身に付く 3) アカデミアでは個人で全責任を負わねばならないが企業はチームで動く 4) 企業は目指すサイエンスのゴールが高い ことを挙げています。つまり、アカデミアでどんどん自由が制限され、金銭的に苦しくなり、ハイレベルのサイエンスを行うことが困難になってきた一方、現在のバイオテクブームもあって、企業ではその逆のことが起こっており、アカデミアにいることのプラス面が急激に縮小したということだと思います。

日本に関しては、お話になりません。国民はバカで貧乏な方が都合が良いと思っているトランプ以上の反知性主義の政権が牛耳る国ですから、日本で大学院からアカデミック キャリアを目指したいというような人には「やめとけ」と言うでしょう。学問には国境はないですから、優秀な人が日本のシステムの中で才能を生かせずに腐ってしまうのは世界の損失です。そして、日本を守るとかいう以前に、まず自分を守り個人の幸福の追求を優先するべきだと思います。
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オヤジの安易な発想が当たってしまう国

2022-07-01 | Weblog
参院選前なので、ここしばらく政治の話がつづきましたが、ツイッターで流れてくる情報を見る限り、あまり明るい未来は見えません。東京選挙区をみても、自民党は、かつて、中曽根を首相にしたときの田中派以来の戦略、「軽くてパー」を担ぐという伝統をいまだに継承しているようです。東京選挙区の自民党候補の一人、元アイドルおばさん、軍備増強と改憲賛成以外に何の政策的意見を表明せず、さすがに有権者をバカにしているのかと、ネットで叩かれていましたしたけど、思うに本人はバカにしているという自覚もないのだろうと思います。35年前にTV界のオヤジどもに振り付けらたのと同様、おばさんになった今でも自民党のゲス親父どもに振り付けてもらえないと何をしていいのかわからないのでしょう。ま、しかし、間違いなく、自民党は国民をバカにしています。一世帯にマスク二枚を配ってコロナを乗り切ろうとしたようなお笑い政党ですからね(いまだに、コレ情けなくて涙がでます。世界でこんなバカなのは日本だけですから)。それでも、この人、ヘタをするとトップ当選するかもしれないという話。そりゃ、自民党、国民をバカにしますわな。若い女を集めてセーラー服きせて思わせぶりな歌を歌わせりゃ売れるというオヤジの発想が当たってしまう単純明快な国ですから、昔のアイドルを引っ張りだせば簡単に票が入ると思っているのでしょう。ま、実際、やってみたら、やっぱりその通りになったりするトホホな国なわけですが。(この予想が誤りとなることを願いたいです)

このカラッぽの元アイドルおばさんが票を集める一方で、おそらく全国会議員の中でもベスト5に入るであろう切れ味の山添さんや、政治家の中で最も勉強熱心で十人分の行動力と革新的アイデアとカリスマを持つ山本太郎が当落線上という話を聞くと、理不尽さに悲しくなりますね。豚に真珠、ですか。この際、元アイドルでも、もう少し中身のある人、小泉今日子ぐらいが共産党やれいわから出でれば、変わるかもしれません。

政治家が決める政策によって、そこに住む国民は、その暮らしや命にまで直接、間接に大きく影響を受けます。この三十年、下がり続ける給料、上がり続ける税金、カットされ続けられる社会保障、減少する一方の正規職(ちなみに、非正規職が増えているのは派遣社員を雇うことは、コストが低いという理由以外にも消費税税制の優遇があるからです)、一方で企業は過去最高の内部留保、と事態は一方的に悪い方向に向かっている状況です。例えて言えば、体の不調が目に見えてアチコチ出てきて困っている中老年の患者のようなものです。どんどん体の調子が悪くなって医者にいく時には、ふつう、経験と知識とよい判断力をもち、患者の立場になって考えてくれる医師を選びません?
いくらかつてファンだったとしても、深刻な体の不調があるのに、経営第一の病院理事長が人寄せパンダで雇った専門知識も経験も思考能力もなにもない元アイドルのおばさんに診てもらいたいですかね?しかし、今の日本は、患者のことを考え、悪いところを的確につきとめて適切な処方を出す人よりも、空っぽの元アイドルに自分の命を預けようとする人が多いのです。
それをわかっているから自民党も、できるだけ軽くて扱いやすい自己のない人を引っ張ってくる。国民をバカにしているわけですけど、バカにされるだけの理由が国民の方にもあるわけで、それが最大の問題でしょう。

政治のレベルは国民のレベルと言われます。日本人のレベルを知りたいなら政治家を見ろ、です。つまり、大多数が自民党レベルということです。戦後、マッカーサーは日本人の精神年齢は平均12歳と言いました。それを初めて聞いた時は、随分ムカついたものですけど、今は、そう評価されても仕方がないと思わざるを得ません。自民党が経済問題から話題をそらすために、軍備増強、改憲の議論をしていますが、それを聞いただけでも感じますけど、精神年齢12歳ぐらいが国会の中の7割以上を占めていて、成熟した大人はわずか2割弱といったところでしょう。あいにく、衆愚政治ですから大人の2割よりも子供の8割の方が力が強いのです。それが日本の社会全体を現していると思います。
「世の中を変えたいなら鏡の中の自分を見ろ」とマイケル ジャクソンはかつて歌いましたが、国民が自ら自身を見ることなしに政治も社会もよくはならないでしょう。
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消費税の意味(4)

2022-06-28 | Weblog
今回も随分、長くなってしまいました。同じ話を繰り返しているせいでもありますが、消費税に対する認識の歪みは深刻だと思っているからです。もうこの話題はこれで一旦、終わりたいと思います。長いので、これまでと今回の話の前半部を要約すると、1)消費税は社会保障の財源ではない、2)消費税は税の本来の目的に反する悪税である、3)消費税が今日の不況と社会格差を産んできた主原因となっている、ということなので、この話を聞き飽きたという人はとばしてください。

選挙戦が始まり、消費税は主な争点になりつつあります。れいわや共産党などの主張、消費税は社会保障の財源であるというのは建前に過ぎないこと、そもそもが消費税は法人税や所得税などの直接税の引き下げのために導入されたものであり、社会保障の財源であるというのは後付けの建前に過ぎず、実態は異なること、の認識が広まりつつあります。

「なぜ、政府は悪税である消費税を増税したがるのか」という話をしようとして、ついつい前置きが随分長くなってしまいました。結論から言うと、これは、日本に歴史的にある「島国根性」に由来する「陰険なみみっちさ」だろうと私は思っています。

その前に、もう一度、消費税の歴史的経緯を簡単にまとめたいと思います。
消費税の前にも間接税はありました。物品税とよばれていましたが、当時は贅沢品のみに税がかけられていました(現在、消費税率の高い諸外国でも、消費税は生活必需品は無課税もしくは低税率で、当時の日本と同様のシステムです)。が、80年代の終わりごろに、高い法人税を下げてくれ、という経団連からの要望が強まり、自民党政権は、間接税を上げて法人税減税の穴埋めをする目的で、消費税を広く生活必需品も含めてかけはじめました。当時、大蔵省は「直間比率の是正」というフレーズを編み出して、この言葉によって消費税導入を正当化しようとしました。つまり、税制的に問題があるから変えないといけない、という理屈で議論されました。

民主主義国家においては、富を再配分し、金はあるところから取って、ないところに回すことで、格差を是正し国家の安定を図るのが、政府の仕事です。富の再配分については、金持ちの中でも、アメリカで言えば「小さな政府」を望む共和党的小乗的金持ちと、積極的に自らの資産を広く投資することで共存共栄を図る大乗的金持ちや慈善家がおります。古代ギリシア時代から、いわゆる"noblesse oblige"という文化を受け継ぐ西洋では、富の再配分は富裕層の彼らの身分を安定化させるという利他利己両方の効果があることを知っており、多額の納税、寄付、社会への投資は彼らの義務でありかつ特権であると捉えていたと思います。しかし、経済成長に陰りが見え始めた80年代の日本においては、企業も金持ちも、高い法人税と所得税は彼ら自身の脅威となりはじめたのでしょう。経団連や富裕層の組織票で権力を維持してきた自民党政府は、貧乏は自己責任、と憲法に基づく政府の責任を放棄し、政府は国民のためではなく一部の支配者階級のために国民から年貢を取り立てるだけのヤクザ機関に成り下がりました。

結果、「直間比率の是正」という名目で導入された消費税ですが、いつのまにか社会保障財源という建前が全面におしだされ、野田政権の三党合意での消費税増税時には、財務省は「税と社会保障の一体改革」という意味不明の言葉を編み出し、消費税増税 = 社会保障財源 という実態とは異なる建前だけを主張しだして、今に至ります。

税金は社会保障にも使われるわけですから、(予算上は)企業や富裕層から集められ、再配分される富が一般国民の社会保障にあてられることになりますから、「消費税は社会保障に使われる」というのは100%ウソではありませんが、もちろん、これは建前です。そういう事情で、消費税は使用用途が制限されている「目的税」とされていないのです。消費税は、一般財源として国庫に入り他の一般税と一緒にされ、あらゆる用途に使われます。「れいわ」がデータで示してきた通り、消費税税収の7割以上の額が法人税の減税分に相当しますから、これは文字通り、「消費税によって法人税減税分が穴埋めされた」ということです。

ようやく本題。前回書いた通り、消費税は複数の悪い性質を持つ悪税です。実は悪税であること、それこそが、日本政府が消費税を増税したい理由の一つではないかと私は思っています。格差を広げ、雇用を不安定化し、国民がどれほど困窮しようと絶対に取り立てることができ、弱者がもっともその悪影響を被る、悪税であるからこそ、自民党は消費税を増税したいのだろうと思います。

つまり、意図的に国民を経済的に余裕のない状況に置いておくことが、自民党と経団連企業の互助利益にとって都合がよいのです。一般国民が選挙に行かず、企業従業員の組織票が与党を決める国、そして、「お上」の言うことに逆らわず、苦境を受け入れ、容易にプロパガンダに乗って付和雷同する国民性、それを利用して、意図的に一般国民を貧しくすることが、この国の支配者が権力を維持しつづけるために日本が江戸時代から採用してきたメカニズムであると思います。

カネは一般人にとっては力です。カネを操ることができるということは、人を操る権力を持つということです。人々が豊かな生活を送れるような社会ではカネの持つパワーは減弱するのです。権力者は、持てるものと持たざる者の間の格差に内在するポテンシャル エネルギーを利用して、カネと権力のパワーを維持しているのです。

国家で言えば、カネの配分をするのが財務省です。それゆえに彼らが全省庁の中で最大の権力を持っています。そして、彼らは、常に人々や(他の省庁)をカネ不足の状態に置くことによって、権力をより強固なものとしているわけです。そのために明らかにおかしい理屈をつけては、持たざる者により負担が大きい消費税を増税し、プライマリーバランスがどうとか政府の借金がどうとかという理由で緊縮財政を行っているのだろうと思います。

つまり、相手よりも優位に立つために自らを高めるのではなく、相手を下げるというみみっちい戦略の一つとして、権力(支配者)側が予算を絞り、消費税によって被支配者の力を抑え込むことを行っているのだと私は思います。
島国の小さな世界で完結し、鎖国がうまくいっている間は、その安易でみみっちい戦略が有効です。日本の支配者層に、このような島国根性、猿山のサル根性が脈々と受け継がれているのはその地形に応じた淘汰と選択の必然の結果ではないかと思います。

当然、そんな戦略では、より強大な力をもった外からの相手にはどうしようもありません。それが江戸末期の徳川幕府の崩壊であり、現在の日本だろうと思います。

端的に言えば、財務省と自民党が消費税を下げないのは、国民の困窮を望んでいるからに他なりません。国民が困窮すればするほど、カネを持つものの権力は増大し、持たざる国民をより安く使い捨てにできます。大企業にとっては困窮した国民は使いやすい。法人税引き下げを望んだ経団連は消費税増税によって二重の恩恵をうけることになり、国民は二重に苦しむことになりました。そして、自民党はその経団連の大企業から組織票を得ることで政権を維持しています。

つまり、日本が諸外国から「経済政策の失敗で貧しくなった初めての国」と評されているのは、実は失敗ではなく、この貧困は意図したことであったと私は思います。わざと貧しくなった。これは、他の大陸の諸国には理解できないことでしょう。どうして国をわざと貧しくし、人々が苦しむような政策を政府がするのか。普通の民主主義国家では、そんな政権はあっという間に倒されて、政権交代がおきます。だから、政治家は国民が喜ぶ施策をおこないます。日本のように消費税をどんどんあげ、年金はカット、財産はあれば株式市場にぶちこませて一文なしになっても自己責任、非正規雇用をどんどん増やし、国富を外国に売っぱらい、汚職腐敗が当たり前、のような政権が長期にわたって支持されるような異常事態は、ふつうの国なら起こりません。しかし、生活に余裕がなく、選挙に行かず、権力に牛耳られてマトモな報道がなされない国では、組織票さえあれば政治権力は維持できてしまうのです。

一般国民と「支配者層」の格差を保つことが支配者層のパワーを維持する戦略であるのですが、昔から日本においては、そのために自らのパワーをあげるのではなく、相手を下げるという陰険でみみっちいやり方をしてきたのです。

もちろん、多数の困窮の上に一部のものだけが得をする、そんな国が栄えるはずがありません。歴史の独裁国や江戸時代の鎖国下の日本と同じです。一部のものが権力を保持するためにわざと国を発展させず、人々を豊かにしなかった結果、外国との圧倒的な力の差が生まれて、力づくで開国させられ、300年に及んだ徳川レジームが崩壊しました。

そう考えると日本が再び多少マシな国になるためには、また外国によって屈服させられる経験が必要なのかも知れません。明治の開国も戦後の経済発展も外国の強大な力で屈服させられたあとに、西洋化、民主主義を受け入れ、体質を無理矢理変えさせられた結果として起こりました。結果、われわれは、下駄、着物に丁髷ではなく、体に合わない洋服を着て、蒸れる靴を履いて生活することになりました。屈辱ではありましたが、悪いことばかりではありません。

しかし、いい加減、日本も外国に叩かれてようやく変わるというような主体性のない国ではなく、一般国民の力で自ら変えていってもらいたいと私は望んでいます。それが、日本戦後史上、初めての国政市民政党である「れいわ」の躍進に期待する理由です。
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消費税の意味 (3)

2022-06-24 | Weblog
この話題をここまで引っ張る気はなかったのですけど、長くなってしまいました。歳をとると話がくどくなります。

一口でまとめると、この20-30年の日本の国力の急激な衰退は政治の腐敗が原因です。前世紀末以降、民主党政権の一年目(鳩山/小沢)を除く二十年あまり、利権でしか動かない自民党のみみっちい政治のツケが現在の惨状を生み出したと言って過言ではありますまい。経済は一流、政治は三流と言われ続けた日本が、いまや経済も二流、三流、政治といえば目を覆うばかりの腐敗ぶり。

われわれは、目の前の自分たちだけの利益のみを追い求めようとする賤しい根性で、政府も総理大臣も平気でウソをつき、法をねじ曲げ、国民、弱者を見捨て、強者に阿ねる、未曾有の政治腐敗ぶりを見せつけられてきました。その腐敗がピークに達したのがアベ政権、その腐臭を放つ政権のゴミ箱のフタとなったスガはそのあまりの無能ぶりがたたって、現職でありながら総裁選に出ることさえも許されずに終了、結果、「透明人間」キシダがその腐敗政治をつぐことになりました。この男には主体というものがない。それ故に、ゴミ箱のフタとしてはスガよりもはるかに役に立つのであるが、国民にとってはより厄介なのです。

さて、今回の参議院選挙後、3年間の選挙空白期間を利用して自公政権は暴走し、消費税はさらに上がることになります。一方で、国民へのサービスはますます悪くなり、貧困化は進み、格差は広がり、予算は軍事費にあてられ、日米軍産の金儲けとそのキックバックのために使われます。

日本経済がここまで衰退した直接の原因は消費税であるのは間違いないと思います。輸出産業は円安時代の戦後経済を引っ張りましたが、GDPの6割は内需です。国内の消費、経済活動の不振が主な原因であり、それを作り出した原因が消費税です。

その問題点を述べる前に、そもそも政府が消費税に関して国民に説明してきた「消費税は社会保障の財源」という短い言葉の中に複数の大きなウソがあることをわれわれは理解しないといけません。そもそもこの言葉自体が矛盾です。社会保障とは国民の経済の安定を主目的とするものです。5割以上の国民が生活苦を訴えている中で生活必需品にさえ課税して、その生活苦を一層強めている時点で消費税は社会保障を直接破壊します。
第二のウソは、前回、前々回と述べましたように、徴税の目的は財源確保ではなく、主に経済の安定化などの社会機能の調節のためであり、消費税は財源ではないこと。第三のウソは、先日NHKで自民党政調会長がどうどう言った「消費税を社会保障だけに使っている」というウソ。予算というものがある以上、財源と言う言葉を便宜上使うにしても、消費税に関しては一般財源ですから、社会保障に限定して使われているわけではありません。それどころか、アベはそれを社会保障以外の用途に使っていると国会で答弁までしている。

山本太郎が党首討論で述べたように、30年前、消費税が導入されたのは、直間比率(直接税と間接税の比)是正が名目でした。すなわち、そもそもが、法人税を減税してその穴埋めをするものとして導入されたものであり、「社会保障の財源」という新たな言い訳は増税に際して編み出されたものに過ぎない。

加えて、税金の中でも消費税は特別に悪い性質を持つ税です。消費税の大きな問題点については前々回に紹介したサイトでもまとめられてありますので、リンクしておきます。是非、一読をおすすめします。


このサイトでは、消費税の三つの大きな問題は、①安定化装置(ビルト in スタビライザー)の機能が無い ②消費性向の高い人ほど実質的な税負担が高くなる ③雇用を不安定化させる  と指摘してあり、その理由が述べられています。消費税こそが、現在のように非正規雇用が増えて雇用が不安定化した原因の主要原因となっています。そしてこのサイトは、山本太郎の指摘すると同じく、「消費税は、企業減税のために導入されたもので、日本経済や国民のことを考えた仕組みではない」と結論しています。繰り返しますが、消費税は、社会保障の財源ではなく、法人税減税の目的で導入されたものであり、税の本来の目的に反く悪税であるということです。

それでは、最初の疑問に戻って、そもそもなぜ日本政府やマスコミはウソの言い訳を主張して、国民を苦しめることばかりをするのか、なぜ日本政府は他の国がやっているような当たり前にやるべき経済政策を行わず、「先進国で唯一、経済政策の失敗によって貧困化した国」と評されるようになったのか、という本題ですが、また長くなってしまったので、続きは次回。
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消費税の意味 (2)

2022-06-21 | Weblog
参院選の争点は国民生活、すなわち経済政策にしないといけない、とれいわの山本太郎は言いました。事実、衣食足りて礼節を知るですから、今は防衛とか憲法9条の話をしているような余裕はありません。国防も憲法も、まず国民が普通に喰っていけてからの話ですけど、「透明人間」キシダは、改憲は喫緊の課題だと言う(というか、言わされている)。与党にしてみれば、経済の話をされるのが一番困るのでしょう。とにかくこの参院選さえ乗り切れば、あとの3年はやりたい放題だと思っているのです。

あえて、真面目に反応すれば、国民生活が困窮し、食料自給が不可能という時点で、日本の国防はすでに破綻しています。自前で食料もエネルギーも調達できない国が、戦争になって勝てるわけがない。戦争になってエネルギーと食料を絶たれたら、一週間ともちますまい。そうでなくても、ミサイルを数発、原発や都市部に打ち込まれたら即終了で、それを防ぐ方法はないのです。

現実をみれば、軍事費はいくら増やしても国は守れないのですから、こんな与太話を真顔でするのは、国民をバカにしているのです。与太話で国民を騙せると思っているのです。国防と軍事費増大の話をするのは、当然、彼らには、経済を争点にしたくないという目的以外に別の目的があります。大体、すでに世界五位の軍事大国である日本で、さらなる軍事費の増大を言うのは、さらにアメリカ製兵器を買ってアメリカ軍産と兵器をライセンス生産する国内軍需産業に儲けさせるためでしょう。これは、アメリカ主導での日本の軍事増強を義務づけた「日米相互防衛援助協定(8条)」(1954年締結)にはじまり、以後連綿と日本政府の対米隷属関係が現在にいたるまで強化固定されてきた結果であろうと思います。日米軍事同盟を利用して一部の国内企業が得をするシステムがあるのです。このことについては少し古いですが12年前の記事をご覧いただくと、防衛費が増えて儲かるのはアメリカ軍産に加えて、日本では三菱、川重、日本電気、富士通、東芝などなどと大企業であることがわかります。つまり、これらの国内軍需産業がアメリカにライセンス料を払った上で兵器を生産してもうけているということです。支払いは、言い値で日本政府。消費税によって企業減税を可能にし、防衛費の増大によってさらに大企業に金を回す、その見返りにそうした企業の組織票によって与党の権力と地位を維持してきたのが自民党の戦略だったわけです。投票率の低い日本では、企業にサービスすることが組織票によって自民党の地位を安定化することにつながるが、一般国民へサービスは票に結びつかないので、やらない。自民党のこの一貫した利己的態度は、原発事故への対処を見れば明らかに見て取れるでしょう。被害者を見捨て、加害者企業を助けるのは、被害者を助けても票にならないが、企業を助ければ票になるからです。利権でしか動かないのが自民党政治、と小沢一郎も言っています。

さて、今回のコロナと戦争の影響による不況と物価高という庶民の苦境に対して世界の国々がとってきた経済政策と真逆のことを日本政府はやってきました。いまや世界91カ国が今回の苦難に際して消費税減税に踏み切りましたが、日本政府は頑なに拒否しています。アメリカはやっていませんが、アメリカではそもそも消費税は日常必需品にはかかりません。日本では、生きていくのに必須のものにも容赦なくかけられ、国民がどんなに貧乏になって、収入がなくなったとしても、税金だけは取り立てられるという仕組みになっています。

与党政府、財務省は消費税は「社会保障の財源」として重要と言い続けてきましたが、このような状況では、消費税そのものが社会保障を破綻させていると言わざるを得ません。そもそも、前回、述べたように、税金は「財源の確保」が目的ではありませんし。

先日TVの討論会で、山本太郎はその与党政府の言い訳の矛盾をついて、消費税増税のときだけ「財源論」をもってくるが、企業減税や軍事費増強などに際して「財源」の話が出たためしがない、と指摘。なぜなら「財源」を云々するのは増税のためのただの言い訳に過ぎないからです。かつて自民党の会合でアベは「カネがないなら刷れば良い、20円のコストで一万円札が刷れる」と言いました。自民党も財源論はウソであることを解って言っているのです。

それに、消費税税収も他の一般税収も区別されて国庫に入るのではありません。納められた時点で一緒くたにされるのです。だから、れいわが主張するとおり、「消費税の7割以上が企業減税の穴埋めに使われている」という表現は全く正しいのであって、先日の日曜討論での自民党の高市氏の主張こそがデマです。

随分、脱線しました。日本政府は、本来、税を通じて行うべき景気の安定と格差の縮小(税金の4つの目的の1と2)の真逆のことを消費税を通じて過去30年間やり続け、「社会保障の財源にする」というウソの言い訳を続けてきたわけです。その理由は、すでにもう述べましたが、自民党と経団連企業との相互利益関係であるのは間違いありません。キシダは「財務省と資本家の犬」だと先日、国会で罵倒されましたが、飼い主にエサをぶら下げられて芸をさせられているという意味ではこの表現は的確と言えるでしょう。企業の組織票、全有権者の2割弱の票をもっていれば、余裕で与党でいられるような低投票率の国であるということが、自民党が一般国民ではなく、企業の方ばかりを見ている理由です。しかし、一般国民一人一人が「票」というエサを持っているのですから、国民がキシダに芸を仕込むこともできるのです。

また長くなってしまいましたので、続きは次回。
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消費税の意味 (1)

2022-06-17 | Weblog
まもなく、参院選の公示となります。不況と物価高の進む中で、「れいわ」の以前からの主張である消費税廃止の重要性を人々は切実に感じているのではないでしょうか。この参院選を前にして、与党は、国防や憲法を争点にしようと、テレビなどを使って動いています。経済を争点にされると困るのです。「国を守るということは、国民の生活を守ること」という民主主義国家で当たり前の主張を自民党はしない。彼らにとって、国とは支配者層のことであり、一般国民は、彼らにとっての国を守るための駒に過ぎないと考えているからでしょう。

現在、一般国民救済のための経済政策を強く主張しているのがれいわと共産党だと思います。国会閉会前の質疑で、共産党の大門さんは、「コロナと戦争で物価が上がり、人々の収入が減った中で、世界で89カ国が消費税の減税に踏み切った」とデータを見せて消費税減税を迫りましたが、キシダは、消費税を下げるつもりはない、と明言。山本太郎はキシダを評して、透明人間、味のないパスタ、全く存在感がないのにやることがエゲツない、だからこそ恐ろしい、と言いましたが、全く同感です。彼も「財務省と資本家の犬」と国会で罵倒されるだけの理由があります。結局、犬ですから、しつけられたとおりに芸をしているだけなのです。だから平気でエゲツないことができるのでしょう。慈悲深いキリストなら「父よ。キシダをお赦しください。彼は、何をしているのか自分でわからないのです」とでもいうかも知れません。

脱線しましたが、なぜ財務省と経団連とその犬は消費税減税をしたくないのか、という話をしたいと思います。

その前に、管理通貨性であり通貨発行権を持つ国において、「税金」を集めることの意味とは何か、ということをよく考えるべきだろうと思います。実は、徴税の目的については、高校の政経の教科書にもちゃんと書いてあるそうです。真面目な高校生なら、一般納税者よりもよく税のことを知っているかも知れません

税の目的については、この一般向けのサイトによい解説がありますが、このサイトの言葉を使えば、税金の本来の4つの目的は、1景気の安定化 2所得の格差縮小と社会の安定 3政策的目的 4国内通貨の固定、です。そして、その目的として現在、最も重要なのは 1 であろうと思います。山本太郎の言葉を借りれば、国家が行う徴税の主目的は、流通している通貨を間引き、通貨流通量を減らすことです。つまり、われわれ大勢が思うように「財源を確保する」ことは、税の主目的ではないのです。

つまり、自前で通貨を管理している国の政府が行う徴税と、通貨発行ができない地方自治体や一般の会社などでの会計での「税」では、その目的は違うのです。この一般家計での常識を国の財政にそのままあてはめてしまうことが、われわれ一般人が国の徴税の目的を勘違いする原因になっている思います。われわれ個人にとってはカネは実体のある現実ですが、国家にとれば、ただの口座の数字にしか過ぎず、しかも基本的にその数字は自由に変えれるのです。「税金を集めて何かに使う」という表現をよく聞きます。しかしこれはむしろ、単なる比喩表現であると考えるべきで、国家の税金は何かに使うために集めるのではなく、経済操作のためのツールであると理解すべきでしょう。

つまり、通貨流通量をコントロールすることによって、インフレ、デフレを調整し、経済を安定化させるために徴税や金利の調節や国債発行があります。格差を是正するために累進性課税があります。ゆえに、コロナと戦争でスタグフレーションとなっている外国の国々では89カ国が、一般市民の生活を救い、不況を脱するために、消費税を減税し給付金を出し、通貨量を増やして景気を刺激するという当たり前のことをやっています。それをしないのは先進国では日本だけです。むしろ、日本政府は、税の本来の目的である、経済の安定化、格差の是正に関しては、逆方向の行動をとっています。消費税を増税してより不況を悪くし、一般国民から消費税をとりたてて、金持ち企業は減税して、格差をより広げています。どうして、そんなアベコベのバカをするのか、そして、諸外国から「経済政策の失敗で貧しくなった唯一の国」といわれるようになっても、与党政府は経済政策を改めないのか、というのが本題だったのですが、すでにマクラが長くなり過ぎました。続きは次回にします。
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捏造の文化

2022-06-14 | Weblog
中国からの捏造論文は何年も前から問題になっています。大量に投稿されるこうした捏造論文は、プロセスする編集者や査読者の大きな時間と労力の無駄になっているだけでなく、一旦発表されてしまえば、本物か捏造かの見分けは困難ですから、その研究分野に少なからぬ負の影響を与える可能性があります。

Nature Medicine フロントページから。

(DeepL、一部引用)近年、世界最大の科学論文の供給源は中国からである。、、しかし、中国からの学術論文の大量撤回が懸念されるようになった。例えば、2020年1月から2021年3月にかけて、中国の病院出身の著者によって少なくとも370本の論文が撤回された。それらは主に捏造論文工場が作成した捏造論文であった。
、、、
影響力のある機関(復旦大学病院管理研究所など)が毎年発表する病院のランキングは、中国の病院の学術的パフォーマンスを評価する上で重要であり、国際学術誌への論文掲載が重要な指標となる。その結果、多くの大学病院や三次病院では、国際学術誌への論文掲載が昇進のための必須条件となり、学術的評価や報酬に関連する機関業績の重要なパラメータとなっている。
、、、
臨床医と患者の比率が低く、臨床と教育の仕事量が多いため、中国の病院のほとんどの臨床医は研究に十分な時間とエネルギーを割くことができない。言葉の壁もまた大きな課題である。また、多くの中国人臨床医が臨床研究に関する体系的で正式なトレーニングを受けていない。
、、、
しかし、大学の基礎科学研究者と大学教育病院の臨床医とは、通常、研究業績について同じ基準で評価される。以上のような要因が、キャリアアップのプレッシャーと相まって、学術的な不正行為のリスクを増大させたと考えられる。
学術的な不正行為を最小限に抑えるため、中国の政府機関は最近、ゼロ・トレランス・アプローチを採用している。、、、しかし、学術的誠実性における主要な課題に対処し、研究不正を最小限に抑えるためには、かなりの進歩が必要である。
(引用 終)

この大量の中国からの低品質の低品質の論文は、あきらかに科学界のエコシステムに悪影響を及ぼしています。正直、論文の体を成していないようなものが大量にレビュー出版パイプラインに投入されることによって、目詰まりを起こしている状況ですから、なんらかのフィルタリングをして、あまりに質の悪いものはシステムに入る前に弾いていくべきではないかとさえ思っています。それでも科学的に正直に行われた研究ならば救いもありますが、捏造論文工場で作った捏造論文が流入することは不法投棄ゴミによる環境汚染に等しいと思います。

ま、結局はカネと地位という人間の欲があって、医学や科学界での報奨システムが論文発表というポイントを集める競争に依存しているのだから、ズルをするやつが必ずでてきます。

もっと根本的には、医学科学の世界も、カネと地位をエサに競争させれば必死で働いて生産性があがるだろうと考える支配者層の思惑に踊らされているとも言えるでしょう。そうして競争によって階層化していき、「勝ち組」と「負け組」にわけて、持たざるもの同士を競わせるシステムが資本主義社会のエンジンになっています。

一方で真の支配者層は競争に勝つ必要もないので、最初からこの「Rat race」には参加しません。逆に言えば、子供のころから勉学に励み、競争に勝ち抜いて、一流企業で出世して大金を稼ぐ自称「勝ち組」の人でも、このRat raceに参加させられている時点で、ただの競争ネズミに過ぎないです。しかし、残念ながら、資本主義社会では、大多数の普通の人は、物心もつかぬ子供の時から否応なくこのレースに放り込まれることになっています。

研究費欲しさ、カネで簡単に転ぶ学者の世界、競争社会は欧米でも同様ですが、中国ほど露骨な捏造論文は乱発されていません。科学研究の歴史が違うので、研究倫理の成熟度の差もあるでしょうが、私は、この差はそもそも、一神教の宗教の上に成立した西洋社会とそうでない東洋との文化の差が大きいと考えています。西洋の神は誤魔化しの効かない裁きの神なのです。だから、絶対神を信じない日本でも「恥」の文化がなければ、中国なみに捏造論文は出るだろうと思います。事実、恥知らずの政権では、文書や統計の数字の隠蔽、改竄、捏造、虚偽答弁が大量発生しましたし。

競争によって勝者が報われるというシステムは、人間を何らかの価値を産む機械の部品として扱うわけで、学問の世界とそもそも相入れないものだと思います。捏造論文とはすなわち学問の精神の否定ですから。
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新しい言語

2022-06-10 | Weblog
先日、日銀総裁、クロダ、「家計が値上げを受け入れている」という言葉を発して、大バッシングを受けました。この人の三文詩人なみのレトリック、恥ずかしくないのですかね。値上げを受け入れている「家計」って誰?あんたの知り合い?加計なら百億ほど受け取ってますけど。

そしてこの発言へのバッシングのあとの言い訳がまたすごい。
「企業の価格設定スタンスが積極化している中で、日本の家計の値上げ許容度も高まってきている。その理由として仮説と断った上でコロナ禍で消費が抑制され貯蓄が増えたことが影響している」と言ったそうです。
表現はポエム、内容はでたらめ、ちょっと何をいっているのかわからない。「価格設定スタンスが積極化」というのは、「気候変動問題にセクシーに取り組む」みたいな感じですかね?「家計の値上げ許容度が高まってきている」とか、「コロナ禍で貯蓄が増えた」という明らかな理解力の障害は、この人の脳神経接続フラクタル次元が減少している中で思考無秩序エントロピーが増大してきているとしか思えません。あるいは、頭脳がアルツハイマーを受け入れているのでしょうか。

さて、言葉といえば、Duolingoで続けているフランス語もあと数ヶ月で一通りのレッスンは終わりそうです。一通り終わりそうな段階でも、現在のところ、私のフランス語スキルは英語でいえば、高校一年生レベルぐらいで実用にはなりません。多分、あとはひたすら読み書き聞くを繰り返し、一つ一つ覚えていくしかないのでしょうが、これでは「エマニュエル夫人」を原語で観るとかいう目標は達成できそうにありません。フランス語の次はスペイン語もと思っているので、この際、フランス語は、「エマニュエル夫人」から「タンタンの冒険」ぐらいに最終目標を下げるしかないかな、と思っています。

実は、スペイン語の前にもう一つ覚えたい言語があって、ちょっとオンラインでやりはじめました。Pythonですけど、もう挫けそうです。Johns Hopkins大が提供しているゲノムデータサイエンス ビギナーのためのオンラインコース取り始めましたが、最初のモデュールの中頃なのに、課題のテストが強烈に難しく、10問の簡単なコーディングの問題を解くのに一時間ぐらいかかって、二、三度、挑戦してようやくパスできるかどうかという具合です。

コロナで仕事が中断した二年ほど前、一通りRの初心者コースをとったことがありましたので、ちょっと、ナメてました。と、いってもRもコース終了後も、せいぜいデータを読み込んで、グラフをつくったりする程度で、それなら市販のPrismなどのソフトの方がはるかに効率的だったので、使わなくなってほとんどRは忘れてしまいました。

今回の動機は、少し前のプロジェクトでRNA-seqのちょっと厄介な解析をお願いした大卒の若者が、ズブの素人だったのに、あっと言う間にシングルセル-seqの解析を覚えて、Pythonのプログラムを使ってやっていたことです。私は、最終的には、大規模データ解析で、パブリックデータベースにあるデータをいろいろ解析して楽しみたいと思っているのですけど、これもフランス語でいえば「エマニュエル夫人」クラスなら、結局は実用レベルに達しないかも知れません。

オンライン コースではターミナル ウインドウを使ってのレッスンですが、タイプミスの多い私は、ターミナルではやりずらいことに気づき、PyCharmという RでのR Studioみたいなものを入れてやっています。IDEというそうです。これで操作性は多少は向上し基本演習はやりやすくなりました。

そして、今回のレッスンからいよいよゲノム生物学に関連したレッスンが始まりました。が、始まる前からいきなり躓きました。Biopythonというパッケージをインストールすることさえできません。結局PyCharmを使っていたのが悪かったのですが、始まる前にすでに躓いている状態ですから、不安でいっぱいです。誰か本当の素人でも着実に学習できる方法を教えてもらえないでしょうか。
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地獄の三年

2022-06-07 | Weblog
ロシアはまたキエフを攻撃しだしたようです。その目的はどうも西側から供給される武器を断つためのようです。そもそもロシアのウクライナ侵攻の目的が、近年、アメリカから大量の武器供給を受けてきたウクライナが露骨にNATO入りを希望している状況で、ウクライナがロシアの脅威となることを阻止すること(少なくとも表向きは)だったわけです。戦争の長期化に伴って、西側がどんどん武器を供給することは、対話の可能性を狭めて、火に油を注ぐようなもので、逆効果です。ロシアにしても攻撃を強めることは、マントを力ずくで脱がせようとする北風のようなもので、お互いに引くに引けなくなっています。こういうのを泥沼というのでしょう。

加えて、イギリスとアメリカがウクライナに前線に配備するための50マイル射程の長距離ミサイルを供給するというニュース。「専守防衛のため」とは言っていますが、その気になればロシア領内を攻撃することも可能であり、プーチンは「もしもロシアが脅威に晒されるなら、新たに攻撃を加える」と釘を刺しています。

いまとなっては、停戦を実現するためにはアメリカが逆方向に動くしかありません。戦争を煽るのではなく止めることに集中すべきでしょう(本気でウクライナのことを考えているならば)。アメリカでなければ他のNATO諸国が一致して、バイデンに停戦調停をするよう説得するしかない。戦争を止めるには、どう考えてもアメリカが、ロシアとウクライナの停戦交渉に当事者として臨むしか手はないのに、当のアメリカが、自国が戦場にならないことをよいことに、戦争を煽り立てているという救いのない状況です。終わったころにはアメリカの希望通りロシアは消耗しているでしょうが、ウクライナも激しく荒廃し簡単には立ち直れない状況になるでしょう。

さて、日本。岸田政権、最初からわかっていましたけど、無能、不誠実、悪質なのは、アベ スガ並み。アベのように聞いているだけで不快感を与えるようなアクもなく、スガのように喋れなくて立ち往生するわけでもないのが、却って悪性です。中身はあかわらずアベ スガ以上にスカスカ、対米隷属路線は全く変わらず。生活苦を訴える国民が5割以上もいるのに、バイデンに言われるまま軍事費をGDP2%レベルに引き上げ、戦争放棄している日本を世界第三位の軍事大国にしたいらしい。そんなレベルでは本気でやりあえば中露にはとても敵わないです。アメリカは、それでも有事の際は日本を東アジアでの中露の防波堤として使い捨てればいいし、それまではアメリカ産の武器を言い値で買ってくれればよいと思っている。戦争になれば、ちょうど日本を今のウクライナのように、武器だけ供給して「日本軍」に戦わせて、捨て石にするでしょう。

首相は「財源は?」と聞かれても、もちろん答えられない。消費税を上げ、年金額を引き下げ、社会保障予算を削ればよいなどと選挙前には言えないのでしょう。結局、選挙が終われば、与党にとれば無敵の三年が訪れるのです。その間、増税と改憲を進めて、アメリカに財産も生命も貢ぐ。国民にとっては地獄の三年。

日本が近年、驚くべきスピードで自滅し、地盤沈下し、世界から取り残され、貧困化してきたことの直接の原因は自公政権、それから、見境なくSLAPP訴訟を乱発し言論人に嫌がらせをする自民党の下請け、チンピラ政党の維新であることは間違いありませんけど、そもそも、彼らをのさばらせ、腐るに任せてしまったのは国民ですから、結局は自業自得ではあります。

参院選で与野党が逆転することは、まずないでしょう。その後の三年で、国民生活の破壊はますます進行することになります。希望があるとすると、唯一の市民政党である「れいわ」の躍進でしょう。かつて国民政党としてアメリカと企業と国民との利益バランスを調整していた自民党は二十年前に消滅しました。今はただの権力保持マシーンです。アメリカに逆らえば田中角栄のような目に遭い、隷属していれば権力の座を維持できる、故にアメリカの要求はすべて二つ返事。組織票だけで票が十分あるから企業を優遇し国民の富は彼らに付け替え、消費税を上げて企業は減税する。酒類供与をうけたサントリーには酒税法の改定を見送る(ああ、みみっちい)。かつての自民党のように面従腹背でアメリカの搾取から国民と国の富を守るという知恵も工夫もないただの権力の操り人形となりさがったのが、小泉政権以降の自民党で、アベ政権で腐敗が一気に進み今に至ります。

日本が立ち直る可能性があるとすれば、現時点ではまだまだ先が長いが「れいわ」勢力の拡大しかないように思います。山本太郎の「与党にも野党にも嫌われる政党を目指す」という言葉の意味は、政策実現のためには手段を選ばないということでしょう。逆に言えば、政策が実現するのなら、権力にはこだわらないということです。「れいわ」は、アメリカで温暖化対策を進めたい市民によるSunrise movementのやり方を参考にしているようです。アメリカではこの市民活動から数人の強力な議員が誕生し、民主党を動かしました。プロの政治屋ではない当事者市民による市民のための政治を支えたのは市民のSNSなどによる地道な運動でした。そう思いながら、これを書いています。
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凋落する日本の研究

2022-06-03 | Weblog
沈下する日本の学術レベルについての最近のScience紙の記事。

この記事を書いた記者はDennis Normileで、上海からの発信。かつては欧米企業のアジア支部は日本にあるのが普通でしたが、次々に中国、韓国へと移動。東京は、すでに東アジアの中心では無くなってしまいました。


(一部引用) 大学の地位が低下していることに危機感を抱いた日本は、大学の存在感を高めるために、一部の大学に年間23億ドルもの資金を投入することを計画している。、、、1年以上前から検討されていたこの動きは、沈む一方の日本の研究の運命をどう立て直すか、研究者の間で再び議論を呼んでいる。、、
 新計画は「世界のトップ大学が提供するはずの研究環境を若い有望な研究者に提供し、国際協力を劇的に強化し、国内外での頭脳循環を促進することを目指しています」、、、
 しかし、熊本大学の中国人発生生物学者であるGuojun Sheng氏は懐疑的である。「この計画が、日本の研究活動のランキングや国際競争力の低下を食い止めるのに役立つとはとても思えません」と、彼は言う。中国、米国、英国で研究・仕事をした経験を持つSheng氏は、新計画は、女性や外国人科学者が少なすぎる、変化を恐れる、若い科学者へのサポートがない、といった日本の研究機関の根本的な問題には対処していないと指摘する。、、、
 日本の科学的影響力の衰退に対する懸念は、何年も前から高まっている。経済協力開発機構(OECD)によると、2020年の日本の研究開発費は1670億ドルで、米国と中国に次いでトップである。しかし、研究生産性は「(20カ国)平均を著しく下回り、引用インパクトも低い」、、、
 日本は1997年から1999年まで被引用数上位10%の論文のシェアで4位だったが、2007年から2009年は5位に、2017年から2019年は10位に下がった。、、、カナダ、フランス、イタリア・オーストラリア、インドも日本を抜いた。、、、
 シンガポール国立大学の日本人幹細胞研究者である須田敏雄氏は、(日本の)トップダウン型のプログラムは、その規模と広大な課題により責任の所在が曖昧になり、パフォーマンスの評価を難しくしていると指摘する。また、基礎研究よりも応用に重点が置かれているという。一方、文部科学省が競争的に審査する科学研究費補助金は、過去10年間は年間20億ドル以下で停滞している。、、、
 「さらに悪いことに、日本の大学は固定的なブロック資金で運営されているため、若い科学者に(常勤の)職を与えることをやめてしまった」。また、幸運にも職を得ることができたとしても、スタートアップ資金を得ることはほとんどなく、「リソースの面では上級教授の言いなりになってしまう。
 このようなキャリアの見通しの悪さが、人々をアカデミアから遠ざけている。文部科学省のデータによれば、修士号取得後すぐに博士号取得を目指す学生の数は、20年間で25%減少している。そして、博士号を取得した人の中には、海外にキャリアを求める人もいる。、、、

という内容ですが、日本の問題は他国の組織と比べてみると明らかです。具体例として表れているのは、「アカデミアに職がなく、あっても不安定で将来が見通せない」、「資金配分を広く浅く行うのではなく、トップダウンで集中投下するため、研究格差が拡大し、底力となる裾野の研究者が育たない」、「組織の硬直化と過剰な雑用と報告書の強制によって、研究者なのに研究しているヒマがない」などなどですが、その根本的な問題は、日本政府の不勉強と不作為と短慮です。つまり、やる気がないのです。日本政府の無能さの例を挙げるときりがないです。例えばコロナ対策に30兆円の予算をつけておきながら、有効につかえず余らせる、挙句に何兆円もその使途さえわからない、というような政府です。これでは、小学生のお使いレベル未満です。

記事では日本は多額の研究開発費を費やしているが生産性が悪いと書いてありますが、しかし、この多額の研究開発費に占める政府資金は、諸外国と比べると驚くほど貧弱です。例が挙げられている文科省の科学研究補助金の年間20億ドル未満という数字は、アメリカの政府の研究予算の多くを占めるNIH年間予算の5%未満にしか過ぎません。政府は国の科学技術で世界トップクラスを維持したいのであれば、人口比から考えても、アメリカの1/4規模の予算を組む必要があるでしょう。つまり100億ドルぐらいは出せということです。そして政府が今回、投入しようとしているのが年間23億ドルです。しかし、これでは日本の科学研究を底上げするには全然、不十分なので、一部の大学に選択的に回すと言っているのです。これもマトモに科学振興を考えていない証拠です。これでは、一瞬はよくても10年も経てば元の木阿弥でしょう。その目先のことしか考えられない無能ぶりにくわえて、やることがみみっちくケチくさい。一部の大学だけ立派にして外国に見栄を張り、大半の疲弊する一般大学や研究室は見捨てるというわけです。張り子の虎作戦とでも言いましょうか。

一事が万事ですが、日本が経済的に凋落し、人々が貧困に苦しむのも、科学技術立国の地位を失ったのも、政府の失策。経済政策、科学政策の失敗が原因と言って良いと思います。政府がここまで堕落し無能になったのも、この10年ほどで極度に腐敗が進んだ自民党政治であると言えるでしょう。

2年前にNatureがアベ政権での日本の科学政策の失敗について述べていましたが、自民党政権は誰が頭になっても中身は同じです。失敗から学ばず、同じ失敗を何度も繰り返す。それは、志低くして、誠意乏しく、民間の努力の結晶と国民の富を吸い上げることしか興味がない与党政府が起こした人災です。

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科学出版の崩壊と未来

2022-05-31 | Weblog
前回、論文レビューに関しての愚痴を書きましたけど、画像操作が明らかだった投稿例に関しては雑誌編集部が更に調査することになったと編集者の方から連絡がありました。真面目にやっている雑誌社は大変ですね。浜の真砂と研究不正、これが蔓延るのも研究業界のreward systemが論文出版に大きく依存しているからです。そのニーズに目をつけた金儲け主義の出版社がさらに低品質の論文の大量生産に加担し、それに巻き込まれる人々の時間を奪い、科学研究への信頼を損なって行っていると感じます。

多分、これは科学出版に関わる人々の共通の感想だと思います。私は一応、知らない雑誌からのレビューの依頼は、その雑誌のインパクトファクターとその雑誌がいわる”predatory journal”でないことをチェックしてから引き受けることにしていますが、その線引きは曖昧です。

Predatory Journal という言葉は、コロラド大の図書司書、Jeffery Beallによって広まった言葉で、彼のつくったリストが発端だと思います。リストが閉鎖された五年前に出版された彼自身の記事があることに気が付き、読んでみました。流石にアカデミアの科学出版を追ってきた人の考察は興味深く、少し前に私が論文評価というエントリで述べたように、今後の科学出版は商業出版ではなく、preprint が重要なプラットフォームになると予測しています。結局はカネの問題ですから、時間と共に、科学出版業界や研究業界そのものが腐敗してしまうのは避けられないことです。思うに、腐敗したシステムは丸ごと廃棄して、新たなシステムを構築しなおすしかないだろうと思いますし、そのときには、科学論文は、レビューなし、紙媒体なしで出版する形になると思います。その評価は専門家のピアによる実名での公開評価となと思います。これによって論文出版は、雑誌社の商業主義に影響を離れ、論文と個人ベースでの評価が主となり、かつ、これまで裏方であった査読者としての研究者も評価とクレジットを受けることなると思います。

下にBeallの論文の一部のDeepLしたものを添付します。学問の世界で研究に携わる人には一読をおすすめします。


(一部引用)、、、そして、自分たちの利益のためだけに著者報酬モデルを利用する、略奪的なジャーナルが現れ始めたのです。私が最初に気づいたのは、2008年から2009年にかけて、それまで聞いたこともないような、広範な分野を扱う新しく創刊された図書館科学の雑誌への投稿を勧誘するスパムメールを受け取ったときでした。そして、学術図書館員として、この新しい情報を整理し、共有したいと思うのは自然なことでした。私は、Posterousというブログ・プラットフォームで、略奪的出版社の最初のリストを公開しました。、、、

私が略奪的出版社から学んだことは、彼らはビジネス倫理、研究倫理、出版倫理よりもお金をはるかに重要視しており、利益のためにこれら学術出版の3本柱は簡単に犠牲にされるということです

所有者に利益をもたらすことを目的としているため、ゴールド(著者支払型)オープンアクセス学術誌は、査読に関して強い利益相反を有しています。彼らは常にお金を稼ぎたいと考えており、論文を拒否することは収入を拒否することを意味します。この対立は、現在進行中の学術出版の没落の核心にあります。

医学研究は現在の人類にとって最も重要な研究であるにもかかわらず、もはや本物と偽造の医学研究を明確に分けることはできないのです。、、、

かつて隆盛を誇った学術出版業界は、急速に衰退の一途をたどっている。学者の間では、学術出版は崩壊しつつある、という感覚が一般的です。、、、この業界は一貫して、自らを規制することに失敗してきました。略奪的なジャーナルが出現し、増殖し、繁栄することを許し、見て見ぬふりをしてきたのです。、、

略奪的な出版社は、学術出版業界を崩壊させ、科学と査読も一緒に崩壊させています。オープンアクセス・ジャーナルが登場する以前、学術出版は、研究者、ジャーナル編集者、出版社、読者の間の暗黙の「紳士協定」によって支配されていました(6)。この合意は、研究および出版プロセスのすべてのレベルにおいて、高いレベルのインテグリティを維持するというものでした。しかし、略奪的な出版業者とそれに加担する著者が、自分たちの目的のために学術コミュニケーションを堕落させたため、この合意はいまや破棄されたのです。

学術出版の未来
最後に、学術出版の未来について少し考えてみましょう。この未来では、プレプリント・サーバーとオーバーレイ・ジャーナルが役割を果たすと私は考えています。プレプリントサーバーは、arXiv.orgによって開拓され、その数は増え続け、より多くの学術分野にサービスを提供しています。私はこの状態が続くと予想しています。高品質の学術雑誌に比べれば、プレプリントサーバーは安価に運営できます。特に、査読の管理やコピー編集をする必要がないのですから。最低限の審査は行いますが、審査する場合は、論文レベルではなく、研究者レベルで行われるのが普通です。つまり、科学的コンセンサスから乖離した論文を提出した研究者をブラックリストに載せているのです。、、、、

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